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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白黒アグロ(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白黒アグロ(スタンダード)

by 岩SHOW

 程よく強いデッキの良さを語りたい。むちゃくちゃ強いデッキはあっという間に世界に認知され、結果を残し、そして......時に嫌われることもある。程よく強いデッキはどうだろう。程よく強いから、ある程度認知される。程よく強いので、優勝はなくとも程々に結果を残す。程よく強いので、負けることも多々。結果嫌われない。歴代程よく強いデッキトークとかやると「あのデッキ、好きだったな」「まあまあ良かったよね」みたいな、優しい世界が展開されることだろう(相手も程よく強いデッキマニアである必要はあるが)。

 というわけで、今日は程よい結果を残したデッキを紹介しよう。プロツアーにて7勝3敗!う~ん、これは程よい!プロツアー予備予選やフライデー・ナイト・マジックに持ち込めば程よく勝てるんじゃないかというラインを越えて、もしかしたら環境末期まで走り抜けるポテンシャルがあるんじゃないかという......この程よく夢見られるレベルもまたなんとも言えない。7勝3敗デッキソムリエを目指す僕の今回のオススメはこちら!

Thomas Enevoldsen - 「白黒アグロ」
プロツアー『カラデシュ』 スタンダード部門7勝3敗 (2016年10月14~16日)[MO] [ARENA]
14 《平地
4 《秘密の中庭
4 《乱脈な気孔

-土地(22)-

4 《スレイベンの検査官
4 《模範的な造り手
4 《屑鉄場のたかり屋
4 《無私の霊魂
4 《空中対応員

-クリーチャー(20)-
4 《石の宣告
1 《街の鍵
3 《永遠の見守り
2 《停滞の罠
4 《密輸人の回転翼機
2 《縫い師の移植
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-呪文(18)-
1 《博覧会場の警備員
1 《サリアの槍騎兵
2 《大天使アヴァシン
1 《断片化
2 《神聖な協力
1 《街の鍵
2 《停滞の罠
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
1 《平地
1 《荒廃した湿原

-サイドボード(15)-

 ほぼ白単のビートダウンに黒をタッチしたデッキである。白と言えば、昔から軽量クリーチャーによるビートダウンを得意とする色である。一時期は構築シーンでその姿を見ることは稀であったが、2016年は「白単人間」を皮切りに、白を中心としたビートダウンデッキがトーナメントシーンで数々の活躍を見せている。『カラデシュ』登場により機体やトークンのシナジーを活かしたデッキが誕生しプロツアーでも結果を残したが......それらの陰に隠れて、こんな激シブなデッキが7勝していたのである。

 デッキの序盤の動きは、「白赤機体」「赤白トークン」といったデッキとほぼ同じ。この環境の1マナクリーチャーの中では最強格である《模範的な造り手》からスタートし、続くターンには《屑鉄場のたかり屋》か《スレイベンの検査官》、はたまた最強2マナ域《密輸人の回転翼機》でこれのパワーを3に上昇させて殴る。いまさら何を言うまでもなく強い動きだ。

 このデッキはこの後の展開が何とも言えず良い。3マナ域に《空中対応員》を採用しているのだ。

 飛行・警戒・絆魂と、3マナに入るだけ詰め込んだという感じのデザインは多くのプレイヤーに可能性を感じさせたことだろう。果たして構築ではどうなのか? 回転翼機にサイズ負けしててそれどころじゃないんだよなぁと言われたりしていたが......このデッキでは相方を用意することで、ハードパンチャーへと変貌させるアプローチをとっている。

 その相方こそ、《縫い師の移植》だ。この1マナの装備品は装備コストも{2}と軽く、それを持ったクリーチャーのパワーとタフネスを3も上昇させるという、信じられないコストパフォーマンスを誇っている。......まあ、デメリットも設定されているんだけれども。

 これを装備して攻撃したクリーチャーは、次のアンタップ・ステップにはアンタップすることができない。1回休みというわけだ。だったら装備コストが軽いことを活かして他のクリーチャーにパスすれば......という思惑も踏みにじる、さらなるデメリット能力が。これが装備されているパーマネントからはずれるたびにそのパーマネントを生け贄に捧げさせるというもの。

 楽してオイシイ思いはできないというわけだが、カラデシュ出身のドワーフはイニストラードの忌まわしき発明品も器用に使いこなす。警戒を持っていればそもそもタップ状態にならないため、何のデメリットもなく用いることができるのだ、これで対応員は5/6飛行・警戒・絆魂となり...ってこれはもう《悪斬の天使》クラスのダメージレースの破壊者の誕生や! 4ターン目からこのサイズのクリーチャーで、回転翼機も乗り越えて制空権を得られるのである。除去の弱いデッキには、これだけで勝ったも同然である。

 黒マナは《屑鉄場のたかり屋》の復活コストに充てるだけなので、その実態は白単ウィニー。とても扱いやすく、マジック初心者にもオススメできるデッキだと個人的には思っている。程よく強いのはそういうところでも大事だね。これに慣れたら、もっと運用の難しい多色ビートダウンに挑戦してみようという誘導も簡単だ。

 サイドボードの《サリアの槍騎兵》でアヴァシン&スカイソブリンという伝説の空の王者に繋げるギミックもなかなか面白く、ここにもう少しこだわってみても良いかもしれない。

 むちゃくちゃ伸びしろがあるわけでもないが、それもそれで程よく素敵だなと。まあそんなに注目されないデッキだとも思うので、使っているとシブいデッキ回してる感が出るのも良いよね。

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