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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白日むかつき(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白日むかつき(モダン)

by 岩SHOW

 きたきたァ!3大会同時開催のグランプリ(広州リールインディアナポリス)、デッキリストの公開だぁぁッッ(8/29のお話)。モダンという「自由」なフォーマットで、世界のプレイヤー達が何を持ち込んだのか......TOP8はもちろんだが、TOP64(あるいはTOP32)までのリストを隈なく見回すのが楽しいのだ。

 デッキの幅があるモダンで、しかも3グランプリ分=100を優に超えるデッキを見ることができるのは、他人のリスト見たい族にとってはごちそうに他ならない。そこで今回も面白いデッキを見つけたので......是非この独特の味付けを皆様にも味わってもらいたいなと。本日の究極のメニューはこちら!

Joe Lam - 「白日むかつき」
グランプリ・広州2016 41位 / モダン (2016年8月27~28日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《平地
1 《
1 《神聖なる泉
1 《湿った墓
1 《繁殖池
1 《神無き祭殿
2 《溢れかえる岸辺
1 《汚染された三角州
4 《真鍮の都
1 《宝石鉱山
1 《啓蒙の神殿
1 《欺瞞の神殿
2 《神秘の神殿
1 《豊潤の神殿
1 《戦慄艦の浅瀬

-土地(21)-

4 《猿人の指導霊
1 《研究室の偏執狂

-クリーチャー(5)-
4 《睡蓮の花
2 《否定の契約
4 《天使の嗜み
4 《血清の幻視
4 《五元のプリズム
3 《時間の把握
4 《ファイレクシアの非生
1 《稲妻の嵐
4 《むかつき
4 《白日の下に

-呪文(34)-
1 《優雅な鷺、シガルダ
1 《鷺群れのシガルダ
3 《隆盛なる勇士クロウヴァクス
4 《未練ある魂
2 《思考囲い
1 《暗黒
1 《天空のもや
1 《大渦の脈動
1 《至高の評決

-サイドボード(15)-

 「むかつき」デッキだ。《天使の嗜み》か《ファイレクシアの非生》を唱えてこのターンにゲームに敗北しない状態になったら、《むかつき》タイム。ライブラリーをめくっていって、公開されたカードのマナコスト分だけライフを失うものの、あなたはこのターンは不死の存在。ライフをすべて投げ出し、なんだったらマイナスに突入させてライブラリーをすべて自らの手に収めたら、有り余る資源を用いて対戦相手を打倒する、そんなコンボデッキである。

 デッキの目指すところとしてはマナ加速呪文を用いて先述のライフを失っても負けなくなる呪文を唱えてからの《むかつき》か、それにアクセスできるように5色のマナを揃えての《白日の下に》を唱えること。その後の勝ち手段としては、手札に大量にある土地を《稲妻の嵐》のダメージに変換して一撃20点オーバー、あるいはライブラリーを空にしてからの《研究室の偏執狂》を出してドロー呪文を唱えて勝利条件達成の2択になる。対戦相手のデッキや状況にあった方を選択して勝つというわけだ。

 対戦相手が除去や火力を豊富に持つ色だったら《稲妻の嵐》、ライフを大きく回復している状況ならば《研究室の偏執狂》と、相手のデッキによってコンボが破綻しない作りなのはありがたい。普通のデッキであれば勝ち手段を複数採用するのは難しいが、ライブラリーをすべて引ききるこのデッキであれば、それぞれが1枚ずつデッキに入っていれば良い。《むかつき》ってすごいね。

 このデッキはまずメインに《白日の下に》を採用している時点で目を引いたのだが、サイドボードもよくある《むかつき》コンボデッキとは様相が異なる。なんてったって《隆盛なる勇士クロウヴァクス》。正史とは別の道をたどった、並行世界のクロウヴァクスの姿をカード化したもので、白のクリーチャーは+1/+1、そうでないクリーチャーには−1/−1修整を与えるという伝説のクリーチャーだ。サイド後は《未練ある魂》とこれ、そして新旧シガルダを勝ち手段にする......ということなのか?

 白のクリーチャーを強化する能力を持っているとはいえ、そこは別のカードで良いのでは? と思われた方も少なくないかと思う。おそらくこのカードを用いているのは、プラス修整する能力ではなくどちらと言えばマイナス修整能力の方に重きを置いているのではないだろうか。このカードによりシャットアウトできるカードはというと、《貴族の教主》《ぎらつかせのエルフ》《荒廃の工作員》《墨蛾の生息地》......おお、「感染」デッキの主力を葬り去るのか。《大霊堂のスカージ》《墨蛾の生息地》に後から出てくる《電結の荒廃者》...「親和」のロボットたちも強制シャットダウン。《ナルコメーバ》《恐血鬼》...「ドレッジ」の墓地から飛び出すクリーチャーも即退場。なるほどさまざまなデッキ相手に刺さるではないか。

 《隆盛なる勇士クロウヴァクス》は6マナと重たいが、《五元のプリズム》《睡蓮の花》を用いれば唱えることも容易い。何より、このデッキを相手にすれば誰だって全体除去を抜いてくるので、そこにきての《未練ある魂》横並べから強化プランは予想外も甚だしいものだろう。

 う~ん、面白そうなデッキだ。似たようなアプローチのサイドボードを、他のコンボデッキなんかに応用できないかなぁ......なんて考えさせてくれる。既存のデッキにこういう大胆な味付けをするデッキ、僕は好きやで!

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