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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:コーラルヘルム(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:コーラルヘルム(モダン)
by 岩SHOW
《石鍛冶の神秘家》はモダンでは使用できない。装備品を何でもサーチできる能力は強力無比。《殴打頭蓋》とのコンビネーションはマジック史に名を遺すデンジャラスなもの。何より恐ろしいのは、このカードが白のマナシンボル1つで唱えることのできる2マナのカードという、非常に使いやすい1枚であること。《石鍛冶の神秘家》4枚と《殴打頭蓋》1〜2枚(あるいは別の装備品1枚)の通称「石鍛冶パッケージ」は、5〜6枚のスロットを割くだけでデッキに勝ち手段を1つ追加してしまう。これが最も恐ろしい。「石鍛冶ジャンド」「石鍛冶マーフォーク」「石鍛冶親和」「石鍛冶エルドラージ」......そんなデッキが蔓延してしまうことになる。こりゃいかんでしょ、というのも納得だ。
このパッケージは極端なものだが、最近モダンでこれに似たパッケージが様々なデッキに出張している件を...皆ならもう知っているかもね。《先駆ける者、ナヒリ》4枚と《引き裂かれし永劫、エムラクール》1枚のパッケージだ。ナヒリはそれ単体でも手札を入れ替える能力とパーマネント除去能力で十分強力なプレインズウォーカーだが、その[-8]能力でエムラクールをサーチしてブン投げることでゲームを決める勝ち手段となる。
ナヒリ自体が扱いやすく、エムラクールはデッキに1枚あればOKということで、赤と白を扱うデッキ・あるいは片方だけ用いるデッキにもタッチで気軽に採用されている。「ナヒリ・バランス」の回でそれをもう紹介はしているのだけども、今回は「そこと併せたかぁ〜」と驚かされた組み合わせのデッキを紹介しよう。まずはデッキリストを見てみよう。
3 《森》 1 《平地》 1 《寺院の庭》 1 《踏み鳴らされる地》 1 《繁殖池》 1 《聖なる鋳造所》 1 《神聖なる泉》 4 《霧深い雨林》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《樹木茂る山麓》 1 《乾燥台地》 1 《地平線の梢》 1 《ガヴォニーの居住区》 1 《ケッシグの狼の地》 1 《幽霊街》 -土地(22)- 2 《極楽鳥》 2 《貴族の教主》 4 《タルモゴイフ》 1 《漁る軟泥》 1 《瞬唱の魔道士》 4 《聖遺の騎士》 2 《クルフィックスの狩猟者》 1 《永遠の証人》 1 《士気溢れる徴集兵》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(19)- |
4 《血清の幻視》 3 《稲妻》 2 《ニッサの誓い》 2 《流刑への道》 2 《頑固な否認》 2 《珊瑚兜への撤退》 4 《先駆ける者、ナヒリ》 -呪文(19)- |
1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 1 《再利用の賢者》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《嵐の神、ケラノス》 2 《外科的摘出》 1 《払拭》 1 《炎の突き》 2 《稲妻のらせん》 2 《否認》 1 《石のような静寂》 2 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
なんだか......ゴチャゴチャっといろんなカードが詰め込まれたデッキである。先に断っておくと、こういうデッキを丸々コピーしてトーナメントに持って行っても、満足な結果が得られることはまれだろう。明らかな「専用機」である。1マナクリーチャーを見ても《極楽鳥》2枚に《貴族の教主》2枚と散っている。除去に関しても《稲妻》3枚に《流刑への道》2枚という、なんとも玄人感あふれるバランス。この辺りは使用者の感覚によって枚数が決められているので、鵜呑みにせず各々で理想のバランスに調整するのが吉。
さて本題に入って、デッキ自体の解説をば。このデッキは上述のようにナヒリパッケージをチョイ足ししたデッキだが...その足された元のデッキは「珊瑚兜コンボ」デッキだ。『戦乱のゼンディカー』登場時に話題となったコンボで、その名の通り《珊瑚兜への撤退》の上陸能力を用いたループにより勝利するものだ。
- 《珊瑚兜への撤退》と《聖遺の騎士》を並べる
- 《聖遺の騎士》の能力で《森》か《平地》(ないしそれらのタイプを持つ土地)を生け贄に捧げる
- ライブラリーから《霧深い雨林》のような、いわゆるフェッチランドor《森》or《平地》タイプを持つ土地を持ってくる
- 珊瑚兜の能力が誘発、聖遺をアンタップ
- 持ってきた土地からマナを出した後、聖遺の能力で生け贄に捧げて再度土地サーチ......
- この工程を繰り返して大量のマナを得たら、《踏み鳴らされる地》をサーチ
- 赤マナを出してから《ケッシグの狼の地》をサーチ
- これの能力を起動して、聖遺のパワーを上昇させるとともにトランプルを付与、墓地にも大量の土地が落ちているので、この攻撃で一撃必殺!
というコンボを狙う。《珊瑚兜への撤退》と《聖遺の騎士》さえ並べばグルグルループを形成できるので、勝利手段はケッシグに限らずとも良い。《セジーリのステップ》でプロテクションを付与してねじ込むというのもよく見るね。
このコンボとナヒリパッケージが同居する、ということの相乗効果というものはあるのだろうか。あるんですよそれが。上記のように、珊瑚兜コンボは大量のマナを得ることができる。ということは...《引き裂かれし永劫、エムラクール》を15マナ払って唱えることができる! なんと腕白なのだろう。追加ターンからの空と地上の大型ダブルパンチfeat.滅殺6に耐えられるデッキなんて、そうそうないぞ。あるいは、ナヒリの[+2]能力で珊瑚兜コンボのパーツを探しに行くのも良いし、[-8]能力から聖遺サーチでいきなりコンボ、とかそんな動きもできる。大体はエムラクールを探しに行くが、それがなんらかの形で成り立たなかった時のことを考えれば、選択肢はあるに越したことはないのだ。
デッキの残る構成要素はマナ・クリーチャーに《タルモゴイフ》、各種ユーティリティークリーチャーで、これらを展開してビートするだけでも勝てるように作ってある。なんとなく殴っている間にどれかのコンボが決まって勝ち、というデザインなのだろう。クリーチャー関係のコンボデッキはこれが理想形だね。
先にも忠告した通りデッキリスト自体は専用機であるが、《聖遺の騎士》《先駆ける者、ナヒリ》と単体でも強いカードを用いたコンボパッケージを抱き合わせにするという発想自体は構築の参考になるはずだ。皆も自分だけのデッキの形を目指して、今日も妄想あるのみ! 僕は布団に入りながら「ドレッジヴァイン」にこのパッケージを搭載する妄想をしたけど、エムラクールが自分の墓地を掃除しちゃうのに気付いてさっさと寝ることにしたぞ!
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