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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:パニッシング・ローム(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:パニッシング・ローム(レガシー)
by 岩SHOW
Magic Onlineプレイヤーって日本にはどれくらいいるのかな?とふと思う。このオンラインゲーム、英語版しかないので手を出せないという人、少なからずいるよなぁ。ただ、それだけの理由で遊ばないというのはもったいない。導入などは思っているよりも簡単だし、ふと思った時にドラフトを遊べたりするのはリアルでは味わえない魅力でもある。オンラインでのプロツアー予選から世界に飛び立つというのも夢がある。
あとは......ここでしか遊べない特殊なゲームがあるのも魅力だね。最近では「○○ Gauntlet」が恒例のイベントとなっている。この期間限定イベントは、平たく言えばレンタルデッキでの対戦。8人集まり次第トーナメント開始、参加者には直前のプロツアーで好成績を残したデッキや、その時のテーマに沿ったデッキがランダムで割り振られる。このデッキはイベントでしか使えず、カードも手元に残らないが......カードを持っていなくてもサクッと遊べるお手軽で楽しいイベントである。一体どんなデッキが支給されるのか、そのワクワク感はこのイベント独自のものだ。
つい先日、僕も「Legacy Gauntlet」というイベントを楽しませてもらった。これはレガシー環境の有力・人気デッキを体験できるもので(ただしデッキリスト自体は一般的なものより少し弱めに作られている)、カードをたくさん集めないと組めないレガシーのデッキに触れるまたとない機会だった。最近ではやや凝り固まってきたレガシー環境、お決まりのデッキとの対戦に食傷気味だったプレイヤーにも、最近見なかったデッキとの対戦を味わえ、また自分もいつもと違うデッキが使えるのが好評で......『エターナルマスターズ』リリースに先駆けてレガシーを楽しんでもらおうというイベントだったのだろうが、これは個人的にはヒットだったので是非またこういう機会を設けてほしいな。
で、このLegacy Gauntletで、僕が2回引き当てたデッキがある。可能な限りいろんなデッキで遊びたいという思いがあったため、最初はなんか残念な気持ちになった。加えて、最近レガシーのトーナメントではその名を見かけない、「ちょっと前」のデッキなので、おいおいこんなデッキで今どき流行りのデッキに勝てんのかぁ?と思ってしまったというのも偽らざる事実。
ところが......いざ使ってみると、これが馴染む。最近のデッキがクラブでイケイケアゲアゲなノリだとすれば、このデッキは田舎のおばあちゃんに久しぶりに会いに行ったような......ちょっと前のデッキだからこその安心感がある。しかもこれが意外に勝てるデッキときたもんだから、愛着が増してしまってしょうがない。で、調べてみると最近でもリーグ戦ならば全勝の結果を残している姿がチラホラと。思ったよりやれる子だったんだね、「パニッシング・ローム」を紹介しよう!
1 《森》 1 《ドライアドの東屋》 2 《Bayou》 1 《Savannah》 1 《Taiga》 1 《Badlands》 1 《Scrubland》 4 《新緑の地下墓地》 2 《吹きさらしの荒野》 3 《燃え柳の木立ち》 1 《平穏な茂み》 2 《やせた原野》 1 《カラカス》 4 《不毛の大地》 1 《イス卿の迷路》 -土地(26)- 1 《死儀礼のシャーマン》 4 《闇の腹心》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《漁る軟泥》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(11)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 4 《虚空の杯》 3 《突然の衰微》 3 《罰する火》 2 《壌土からの生命》 2 《森の知恵》 2 《緑の太陽の頂点》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(23)- |
1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《再利用の賢者》 4 《剣を鍬に》 2 《思考囲い》 1 《輪作》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《情け知らずのガラク》 1 《炎呼び、チャンドラ》 1 《ボジューカの沼》 1 《暗黒の深部》 1 《演劇の舞台》 -サイドボード(15)- |
デッキ名は《罰する火》と《壌土からの生命》の英名から。この2枚で盤面をコントロールするデッキである。かつて「アグロローム」と呼ばれたデッキの最新型だ。墓地に落ちる土地が多いレガシーでは、《壌土からの生命》は2マナで手札を3枚増やしてくれるアドバンテージのシンボルとも言えるカードで......これを活用するデッキはレガシー黎明期からしっかりと存在していた。
この《壌土からの生命》で拾う土地は......生け贄に捧げることでライブラリーから土地を探してくる、いわゆるフェッチランド。《新緑の地下墓地》などを使いまわすことで毎ターン着実にマナを伸ばすことができる。使いまわして最も強力なのは《不毛の大地》。相手の基本でない土地を叩き割るこの土地をグルグル使い続けて、特殊な土地しか入っていない相手はそれだけでマナ基盤をズタズタにして行動不能に陥らせることが可能だ。
この動きをいち早く行うために、《モックス・ダイアモンド》を使用しているのもポイント。1ターン目《不毛の大地》で土地を割り、2ターン目《壌土からの生命》でそれを回収という理想的な動きを可能にしてくれる。このダイアモンドを設置するために手札から捨てる土地も、《壌土からの生命》でキチンと拾えるのがナイス。
大体2ターンに1回くらいドローを《壌土からの生命》の発掘に置換して、ライブラリーを掘り進めていく。こうして墓地を耕してやることで、自ずと拾える土地も増え、アドバンテージが加速していくわけだが......ここで墓地に落ちて嬉しいカードが《罰する火》だ。《燃え柳の木立ち》とセットで落ちてくれるとニンマリできる。燃え柳で赤マナを出し、対戦相手のライフを1点回復させる。すると《罰する火》の能力が誘発するので、この赤マナを使ってこれを拾い上げる。クリーチャーやプレインズウォーカーに向けてこの火力を投げつけては回収し、回収しては投げつけるのを繰り返す。盤面は焼け野原だ。
この2種類の呪文を使って盤面をコントロールするデッキで、他の部分はこれらの呪文と相性が良いもので固められている。メインデッキに1マナの呪文がほぼなく、ダイアモンドから1ターン目に2マナ捻出できるので《虚空の杯》を4枚きっちり投入。これをX=1で置いて《闇の腹心》《聖遺の騎士》を除去から護ってこれまたアドバンテージを美味しくいただく。
《聖遺の騎士》はこのデッキでは重要なフィニッシャーであり、《不毛の大地》《燃え柳の木立ち》にアクセスするためになくてはならない存在である。これをサーチするために《緑の太陽の頂点》が入っており、またこのソーサリーを採用したおかげでレガシーでも指折りの特定のデッキにぶっ刺さるクリーチャーが1枚ずつ投入されていたり、X=0でマナ加速の役割を果たすために《ドライアドの東屋》も採用されていたり。デッキ内にいろんなシナジーが仕込まれていて、なかなかに面白い。
このデッキではサイドボードに《暗黒の深部》《演劇の舞台》コンボも仕込まれていて、見た目はちょい地味でも回してみると引き出しが多くて楽しくなってくる。じっくりしっかり盤面を作りたい人にはオススメのデッキだ!
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