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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:フリゴリッド(エクステンデッド&レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:フリゴリッド(エクステンデッド&レガシー)
by 岩SHOW
異端児。常道から離れた価値観を持ち行動する彼らは、時に歴史を変えるほどの存在となる。織田信長や曹操は、それまでの戦・統治の在り方と全く異なる新たなステージを築き上げ、天下にその手を届かせた。ガリレオやダーウィンが提唱した説は当初受け入れられなかったが、今ではそれらは各学問の基本中の基本として扱われている。異端の思想を持って、それを実行に移すのは簡単なことではない。結局のところ、最も大事なのは行動力なのかもしれない。
今日紹介するのは、マジックにおける価値観をそれまでとは一線を画すものへと変革させた、歴史に名を遺す偉大なるデッキだ。その名も「フリゴリッド」。まずはデッキリストをご覧いただこう。
1 《沼》 4 《湿った墓》 1 《草むした墓》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《セファリッドの円形競技場》 -土地(18)- 4 《朽ちゆくインプ》 4 《サイカトグ》 4 《臭い草のインプ》 4 《イチョリッド》 2 《不可思議》 4 《ゴルガリの墓トロール》 -クリーチャー(22)- |
4 《金属モックス》 4 《陰謀団式療法》 4 《トレイリアの風》 4 《ゾンビの横行》 4 《綿密な分析》 -呪文(20)- |
4 《炎まといの天使》 4 《棺の追放》 4 《一瞬の平和》 2 《天啓の光》 1 《クローサ流再利用》 -サイドボード(15)- |
Tom LaPilleがグランプリ・シャーロット2005にて使用しTOP8に入賞した「フリゴリッド」だ。元々のデッキは、John F. Rizzoが考案・制作したもので、彼のニックネーム・John "Friggin'" Rizzoとキーカード《イチョリッド》をかけてこう呼ばれる。横浜にて開催され、日本勢が個人戦・団体戦ともに優勝を果たした世界選手権2005のエクステンデッド・ラウンドに持ち込まれたこのデッキは、そのわずか2週間後のグランプリにてTOP8に3名を送り出し、うち1名が優勝と文字通り暴れまくったのだった。
では、このデッキ自体の解説に入ろう。このデッキを構成するカードは、大きく3つに分けられる。
(1)カードを捨てるカード
《朽ちゆくインプ》《サイカトグ》《ゾンビの横行》と多くの枚数がここに割かれている。これらのカードは打点を上げつつ、任意のカードを墓地に落としてくれる。このデッキの肝であり、これらが0枚の手札でゲームを開始するのは非常に難しい、エンジン的な役割を持ったカード群だ。《トレイリアの風》も同様の役割を担う。
(2)発掘カード&ドローカード
《臭い草のインプ》《ゴルガリの墓トロール》の二大発掘クリーチャーを、(1)の連中で墓地に置くところからこのデッキのゲームは始まる。ドローする代わりに指定された数字と同じ枚数のカードをライブラリーから墓地に置くことで手札に戻る発掘という能力。これを活かして、ライブラリーを掘り進めるのがこのデッキの狙いである。
墓地に複数の発掘カードが落ちた状態で《綿密な分析》《セファリッドの円形競技場》で複数枚ドロー、これらを全て発掘に置換、なんてやると墓地に落ちるカードが18枚なんてことになったり。《トレイリアの風》は(1)と(2)を兼ねる、自己完結な1枚だったりする。
(3)墓地に落ちることで意味のあるカード
(1)と(2)で肥えた墓地を使って何をするのかというと、これが至って普通のビートダウンだったりする。マナを払わず《イチョリッド》をその能力で複数蘇らせ、それらを《不可思議》で飛行持ちにして攻撃、というのがこのデッキの最も強力で一般的な勝ち方だ。普通の除去呪文では、このワラワラ湧いてくる《イチョリッド》の猛攻を抑えることは難しい。ワンショットで殴りきれなくても、《陰謀団式療法》をフラッシュバックして相手を妨害しつつジワリと攻めていけばよい。墓地に大量のカードが落ちれば《サイカトグ》がそれらを食って致死量のパンチをかましてくれることだろう。
これら3種のカードが絶妙なバランスで配された「フリゴリッド」は、「ほとんど呪文を唱えずに墓地を使って大量のクリーチャーで攻め立てる」というそれまでのマジックには存在しなかった切り口でトーナメントシーンに躍り出て、一躍エクステンデッドの台風の目となった。コントロールデッキでは捌ききれず、ビートダウンでも間に合わないという、まさしく「異次元のデッキ」であった。
この「フリゴリッド」がその本領を発揮したのは、これからさらに後のこと。『未来予知』にて《ナルコメーバ》《黄泉からの橋》が登場したことにより、「フリゴリッド」はその異次元のマジックをさらに昇華させた。
従来の発掘+《イチョリッド》ビートに加えて、通称「ナルコブリッジ」と呼ばれる上記の2枚を用いたコンボを搭載。発掘能力でライブラリーから墓地に置かれた《ナルコメーバ》は、能力が誘発してそのまま戦場に出てくる。これと《イチョリッド》が《陰謀団式療法》をフラッシュバックのコストになり、しかもそれらが死亡すると墓地にある《黄泉からの橋》の能力が誘発して2/2のゾンビ・トークンが発生する。マナを払うことなく、ものすごい勢いでクリーチャーが増えていくのだ。
これらのクリーチャーをコストにして《戦慄の復活》をフラッシュバック、大物クリーチャーを釣っても良いし、《炎の血族の盲信者》でゾンビ・トークンのサイズを上げたうえで速攻も与えて圧殺もできる。
現在このギミックを搭載したデッキはレガシーにて「ドレッジ」の名で活躍し続けている。長いマジック人生、どうせなら一度はこのような異次元デッキを用いてマジックの奥深さを楽しんでみては。その際には、墓地対策で沈まぬ覚悟(対策カードを対策するカード)を忘れずに!
4 《真鍮の都》 4 《宝石鉱山》 2 《色あせた城塞》 4 《セファリッドの円形競技場》 -土地(14)- 4 《ゴルガリの凶漢》 4 《ナルコメーバ》 4 《臭い草のインプ》 3 《イチョリッド》 1 《炎の血族の盲信者》 4 《ゴルガリの墓トロール》 -クリーチャー(20)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《陰謀団式療法》 4 《入念な研究》 4 《信仰無き物あさり》 4 《黄泉からの橋》 2 《戦慄の復活》 4 《打開》 -呪文(26)- |
4 《不屈の部族》 2 《灰燼の乗り手》 4 《よじれた映像》 2 《炎の嵐》 2 《自然の要求》 1 《大祖始》 -サイドボード(15)- |
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