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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
プロツアー・機械兵団の進軍 前編
こんにちは!市川です。
今回もプロツアーに向けての調整記、大会レポートを綴っていこうと思います。
前編では、5月5日から7日までに行われた「プロツアー・機械兵団の進軍」に向けての調整記をお送りします。よろしくお願いします。
0.近況と目標
前回の「プロツアー・ファイレクシア」では9勝7敗で、今回の「プロツアー・機械兵団の進軍」の権利を獲得しました。前回の記事でも書きましたが、
- 2022-2023シーズン「プロツアー3」における獲得精算マッチ・ポイント上位32名および同率32位のプレイヤー全員(すでに第29回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権へ招待されている者は除く)。
上記の条件での世界選手権出場を企む計画、題して「こっそり世界選手権出場計画」は継続中です。
シーズンを通して全3回のプロツアーに出ることがほぼ必須の条件となるので、今回も9勝7敗以上で次回の「プロツアー・指輪物語」の権利獲得を目指します。
因みに前回のプロツアーで18点の精算マッチ・ポイントを獲得したので、「プロツアー・機械兵団の進軍」で21点以上の精算マッチ・ポイント(10勝6敗以上)を獲得すると「プロツアー・指輪物語」を待たずして
- 直近3回分のプロツアーにおける合計精算マッチ・ポイント39点以上のプレイヤー。
の条件を満たします。それによりシーズン2の1つめのプロツアーの権利まで獲得と、プロツアー権利の2枚抜きが発生します。
精算マッチポイントとは……説明するのが面倒になってきたので編集の方が何かしら入れてくれるでしょう。(編注:精算マッチ・ポイントについてはこちらの記事をご覧ください)
因みに前回の記事で2個目のプロツアーからプロツアーの参加権利の獲得ボーダーが10勝6敗以上になると記載しましたが、あれはウソでした。正確には次シーズンのプロツアーからみたいです、大変失礼致しました。わかりづらすぎです。
1.フォーマットと調整メンバー
プロツアーとなればいつもの調整メンバーの集合です。
まずは前回の「プロツアー・ファイレクシア」で権利を繋いだ5名。
- 市川 ユウキ
- 加茂 里樹
- 河野 融
- 高橋 優太
- 森山 真秀
「プロツアー・ファイレクシア」で権利を逸するもプロツアー予選や地域チャンピオンシップ(日本でいうチャンピオンズカップファイナル)で権利を獲得し、依然としてプロツアーに継続出場となる2名。
- 中村 修平
- 矢田 和樹
「プロツアー・ファイレクシア」には参加できなかったものの、地域チャンピオンシップで権利を獲得した3名。
- 小澤 毅
- 佐藤 レイ
- 原根 健太
またプロツアーには参加しないものの、調整を手伝ってくれる強力な助っ人。
- 熊谷 陸
以上11名で調整を開始しました。
2.スタンダード
エスパー・レジェンズ
1 《平地》 3 《砕かれた聖域》 3 《皇国の地、永岩城》 3 《天上都市、大田原》 2 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《英雄の公有地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《闇滑りの岸》 3 《金属海の沿岸》 -土地(27)- 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《敬虔な新米、デニック》 1 《夜明けの空、猗旺》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 3 《賢明な車掌、トルーズ》 2 《鴉の男》 4 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《復活したアーテイ》 4 《離反ダニ、スクレルヴ》 4 《侵攻の伝令、ローナ》 -クリーチャー(31)- |
2 《喉首狙い》
-呪文(2)- |
2 《否認》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《切り崩し》 2 《ヴェールのリリアナ》 2 《剃刀鞭の人体改造機》 2 《第三の道のロラン》 1 《ギックスの命令》 -サイドボード(15)- |
前環境で行われたヨーロッパの地域チャンピオンシップで好成績を残したエスパー・レジェンズ。『機械兵団の進軍』では新カード《侵攻の伝令、ローナ》を獲得しました。
前環境では、ほとんど起動型能力を起動せず《鏡割りの寓話》のトークンを受け止められるだけで採用されていた《屍術の俊英、ルーデヴィック》や、伝説じゃなくてシナジーも特になく入っていた《新ベナリアの守護者》と比べると優れた2マナ域といえます。
エスパー・レジェンズはそのデッキ名通り、同一の伝説のカードが複数枚採用されています。その大量に入っている同名の伝説のカードを複数引いてしまって身動きが取れない事故も多々起きます。
そういう台所事情から《侵攻の伝令、ローナ》のルーティング能力は他のデッキよりも重要です。
また、ただのルータークリーチャーではなく、最終的に《トレイリアの抹消者、ローナ》に反転することによって対処しなければならないフィニッシャーともなるので放置も出来ません。
グリクシス・ミッドレンジ/ラクドス・ミッドレンジ
2 《シヴの浅瀬》 4 《憑依された峰》 3 《難破船の湿地》 1 《嵐削りの海岸》 2 《沼》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《ザンダーの居室》 2 《硫黄泉》 3 《黒割れの崖》 3 《闇滑りの岸》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 4 《死体鑑定士》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(11)- |
3 《勢団の銀行破り》 4 《鏡割りの寓話》 2 《削剥》 3 《かき消し》 2 《切り崩し》 3 《喉首狙い》 2 《希望の標、チャンドラ》 4 《絶望招来》 -呪文(23)- |
-サイドボード(0)- |
黒赤系のミッドレンジは強力なフィニッシャー、《希望の標、チャンドラ》を獲得。
《絶望招来》をコピーした時のインパクトは凄まじく、白単ミッドレンジやアトラクサ・リアニメイトなどのデッキに対してスケール勝負も挑めるようになりました。
環境にプレインズウォーカーを対処できるカードはぼちぼちとありますが、《絶望招来》以外になるとソーサリーで取り回しの悪い《魂転移》や、クリーチャー除去としてはクオリティの低い《シェオルドレッドの勅令》などになってしまうので、意外とポンと出した《希望の標、チャンドラ》が残ってターンが返ってくる環境な気もしました。
4 《硫黄泉》 4 《黒割れの崖》 4 《憑依された峰》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《ミレックス》 9 《沼》 2 《山》 -土地(26)- 4 《墓地の侵入者》 4 《税血の収穫者》 4 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《ドロスの魔神》 -クリーチャー(13)- |
3 《勢団の銀行破り》 4 《鏡割りの寓話》 1 《削剥》 3 《切り崩し》 3 《喉首狙い》 2 《希望の標、チャンドラ》 4 《絶望招来》 1 《ギックスの命令》 -呪文(21)- |
1 《魂転移》 1 《勢団の銀行破り》 1 《切り崩し》 1 《ギックスの命令》 2 《剃刀鞭の人体改造機》 1 《兄弟仲の終焉》 1 《ドロスの魔神》 4 《強迫》 2 《ぎらつく氾濫》 1 《石術の連射》 -サイドボード(15)- |
グリクシスとラクドスの差分は《かき消し》などのカウンターや、《死体鑑定士》と《墓地の侵入者》です。
《死体鑑定士》と《墓地の侵入者》は不思議な関係性です。《墓地の侵入者》によって墓地のクリーチャーを追放してしまえば《死体鑑定士》を牽制することができますが、先に《死体鑑定士》がリソースを取りながら戦場に出てきてしまった場合は同サイズのため《墓地の侵入者》が盤面でモジモジする展開もままあります。
この似通った2つのミッドレンジの最も大きな違いは《剃刀鞭の人体改造機》への耐性です。グリクシス・ミッドレンジは3色でありながら黒マナ4つを要求する《絶望招来》をプレイするマナベースを構築する必要があります。それゆえに基本土地の採用枚数は2枚前後と極わずかです。
そのためエスパー・レジェンズや黒赤系ミッドレンジがサイド後プレイしてくる《剃刀鞭の人体改造機》は脅威となります。
最序盤であれば除去からの《死体鑑定士》で追放で対処することも可能ですが、4ターン目以降になると《剃刀鞭の人体改造機》が黒マナ2つで戦場に帰って来れるようになってしまうため、土地を2枚立たせて動かれるだけでそれは成就しません。
対処するとなれば《抹消する稲妻》や《魂転移》などの追放除去が要求されてきます。ただ、《抹消する稲妻》は《黙示録、シェオルドレッド》を倒すことができませんし、《魂転移》は2マナの《剃刀鞭の人体改造機》に当てるとするならばコスパが悪すぎます。
一方ラクドスは2色ゆえ基本土地を大量に採用することができます。対戦相手の《剃刀鞭の人体改造機》の効果は半減し、十分に《墓地の侵入者》での追放が間に合います。
基本土地を複数プレイされるだけでカードとして機能しない点を考慮すると、そもそも対ラクドス・ミッドレンジにおいて《剃刀鞭の人体改造機》をサイドインするかも怪しいところです。
黒赤系ミッドレンジ勝負では上記の通りラクドス側に軍配が上がりますが、もちろんグリクシスにも良い点はあります。
各種カウンター呪文は大きい差分でしょう。《否認》や《軽蔑的な一撃》は黒赤系ミッドレンジを得意としている白単ミッドレンジに対して文字通りカウンターパンチとなります。黒赤二色にまとめると白単ミッドレンジのスケールカードに対応できる呪文が《強迫》のみとなり、相性差はより顕著になります。
バランスの良さで考えるとグリクシス、直接対決を考えるとラクドスといった印象です。
色々書きましたが、とにかく『機械兵団の進軍』加入後も前環境で強かったエスパー・レジェンズ、黒赤系のミッドレンジ2種は健在で、チーム調整ではそれらに対抗できるかが新しいデッキのボーダーとなりました。
ボロス・エターリ
2 《山》 5 《平地》 4 《戦場の鍛冶場》 4 《日没の道》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《道路脇の聖遺》 4 《舞台座一家の中庭》 -土地(24)- 3 《野心的な農場労働者》 4 《神憑く相棒》 4 《セラの模範》 2 《第三の道のロラン》 3 《原初の征服者、エターリ》 4 《ギラプールの守護者》 -クリーチャー(20)- |
3 《勢団の銀行破り》 4 《鏡割りの寓話》 4 《骨化》 1 《邪悪を打ち砕く》 3 《放浪皇》 1 《永遠の放浪者》 -呪文(16)- |
2 《炎恵みの稲妻》 2 《未認可霊柩車》 4 《選定された平和の番人》 1 《邪悪を打ち砕く》 1 《第三の道のロラン》 2 《抹消する稲妻》 1 《永遠の放浪者》 2 《救済の波濤》 -サイドボード(15)- |
『機械兵団の進軍』のカードの中でも気持ちよさランキングトップの《原初の嵐、エターリ》を前環境の白単ミッドレンジにタッチしたような形のボロス・エターリ。《原初の嵐、エターリ》自体は気持ちよくてとてもE!のですが、デッキ自体の感触は悪く。
《原初の嵐、エターリ》でめくって《原初の嵐、エターリ》をもう一回誘発させるために入っている《ギラプールの守護者》がとにかく気に入らなかったです。
それ以外にも《神憑く相棒》や《野心的な農場労働者》の《ギラプールの守護者》で明滅させて嬉しいクリーチャーが入ってはいますが、盤面へのインパクトが薄く「なんか目の前で色々起きてるけどどうでも良い事をやっているな」という、対戦相手とは思えない感想が漏れてきます。
2色になってもサイドボードが弱いのもかなりネガティブです。《強迫》などの手札破壊や《否認》などのカウンター呪文がサイドボードに取れるわけではないので、白単ミッドレンジとサイドボードも対して変わりません。
エスパー・レジェンズに効果的な《石術の連射》は取れますが、白単だったらそもそもメインデッキから《軍備放棄》が採用できていますしこれも2色にするメリットには感じません。
これなら素直に白単ミッドレンジか、序盤適当に捌いてファッティを出すなら《偉大なる統一者、アトラクサ》デッキで良くない?という結論になりました。
リアニメイト
1 《沼》 2 《山》 3 《硫黄泉》 1 《コイロスの洞窟》 1 《闇滑りの岸》 4 《黒割れの崖》 2 《日没の道》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2 《ザンダーの居室》 3 《英雄の公有地》 4 《憑依された峰》 2 《ジアトラの試練場》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 2 《燃え立つ空、軋賜》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《偉大なる統一者、アトラクサ》 -クリーチャー(12)- |
2 《ヴェールのリリアナ》 1 《削剥》 4 《鏡割りの寓話》 2 《勢団の銀行破り》 4 《ギックスの残虐》 4 《切り崩し》 1 《強迫》 2 《喉首狙い》 2 《兄弟仲の終焉》 -呪文(22)- |
1 《喉首狙い》 2 《墓地の侵入者》 1 《家の焼き払い》 1 《勢団の銀行破り》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《ギックスの命令》 3 《強迫》 1 《削剥》 1 《蝕むもの、トクスリル》 1 《炎恵みの稲妻》 1 《兄弟仲の終焉》 1 《抹消する稲妻》 -サイドボード(15)- |
前環境のスタンダードで行われた日本の地域チャンピオンシップはグリクシス・リアニメイトをプレイした私ですが、巷ではラクドス型が一般的でした。自分自身ほとんどラクドス型の良さを感じていなかったので、チームメイトがプレイしているのを眺めている程度ですがやはりそこまでの良さを感じず。
まずマナベースに組み込まれている《英雄の公有地》が最悪です。《税血の収穫者》の2ターン目のプレイを阻害しますし、なによりこれくらいでは《偉大なる統一者、アトラクサ》を通常プレイできません。
グリクシス型と同様に緑や白、青の絡む土地を採用してマナベースを構築するアプローチも試されましたが、それならよりグリクシスでも良くないか?という思考に至ります。
メインデッキの《燃え立つ空、軋賜》はラクドス系のミッドレンジからすると除去し辛い、除去すると宝物・トークンが出てしまって《偉大なる統一者、アトラクサ》が手札からプレイされるというプレッシャーがあって中々に強かったのですが、問題はサイドボード後です。
サイドボード後はグリクシス側も《軽蔑的な一撃》のようなカウンター呪文が増えたり、《魂転移》などの追放除去を増やしてきたりします。
そのため《偉大なる統一者、アトラクサ》は何枚かサイドアウトしたいのですが、そうすると《燃え立つ空、軋賜》の宝物・トークンで手札からプレイしようとした時に《偉大なる統一者、アトラクサ》がそもそもいなかったりと、サイド後はちぐはぐな展開になりがちです。
グリクシス型の方で《アモンケットへの侵攻》をお試しで入れてみるも結論はノー。《税血の収穫者》や《死体鑑定士》などの一般的なクリーチャーしか採用されておらず、それらで《アモンケットへの侵攻》を落とすことは容易ではありません。
相手の戦場に《勢団の銀行破り》が出ていたりすると鼻歌交じりに1枚適当に捨てられる感じもいただけません。頑張って《アモンケットへの侵攻》を落として《偉大なる統一者、アトラクサ》になってもスタッツが4/4で意外と押し切られたりするなど、《ギックスの残虐》と比べてプラスな点が見当たらないレベルでした。
グリクシス型のリアニメイトを以前にプレイしたときに感じた課題はグリクシス・ミッドレンジへの相性の悪さです。
ほとんどが同じようなカードで構成されていて、違う部分はフィニッシュカードのみです。ただ、こちらの《ギックスの残虐》と《偉大なる統一者、アトラクサ》のパッケージはスロットを8枚採用していて、《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に落とすなどの下準備が必要です。
一方、対戦相手の《絶望招来》は4枚のスロットで済み、かつ5マナ出たときにプレイするだけでこのマッチアップでは十分なインパクトを与えられます。
黒赤系ミッドレンジの側に採用されている新カードの《希望の標、チャンドラ》もリアニメイトからすると向かい風。通常採用しているカードでは対処しづらく、盤面に残ってしまうと《偉大なる統一者、アトラクサ》を出しても捲れない展開になってしまいます。
6マナのプレインズウォーカーなので《ギックスの残虐》で捨てさせられそうなんですが、一緒に入っている《絶望招来》を考えると《ギックスの残虐》を1章から入るのは現実的ではなく、《ギックスの残虐》をどの章から入るかはリアニメイト側に一方的な裏目が存在します。
こちらの方が不器用なのに、相手がプレイするだけの《絶望招来》、《希望の標、チャンドラ》は強力。このマッチアップを改善できなかったのが前回の地域チャンピオンシップで、このマッチアップのサイドボード後をクリアーできない限りグリクシスリアニメイトもプロツアーでプレイできないなという印象です。
ジェスカイ・コントロール
1 《アダーカー荒原》 3 《金属海の沿岸》 2 《戦場の鍛冶場》 3 《シヴの浅瀬》 4 《さびれた浜》 4 《嵐削りの海岸》 4 《日没の道》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《山》 1 《平地》 1 《島》 -土地(27)- 2 《聖域の番人》 -クリーチャー(2)- |
4 《勢団の銀行破り》 4 《鏡割りの寓話》 2 《削剥》 3 《記憶の氾濫》 2 《炎恵みの稲妻》 4 《攪乱プロトコル》 2 《かき消し》 3 《勝利の炎》 3 《放浪皇》 2 《告別》 2 《太陽降下》 -呪文(31)- |
4 《黄昏の享楽》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《邪悪を打ち砕く》 1 《兄弟仲の終焉》 2 《否認》 4 《石術の連射》 -サイドボード(15)- |
プロツアー前に行われたMagic OnlineのStandard Challengeで2日連続でトップ8に入賞しチーム内で話題になったジェスカイ・コントロール。
《攪乱プロトコル》などの弱そうなカードが入っていてにわかに信じがたいものですが、ほぼノンクリーチャー構成で《勢団の銀行破り》をプレイするデッキはメイン《切り崩し》で、かつ《削剥》が減りつつある現環境に確かにマッチしていそうという感想に。
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《アダーカー荒原》 2 《地底の大河》 3 《コイロスの洞窟》 1 《金属海の沿岸》 4 《闇滑りの岸》 4 《さびれた浜》 1 《難破船の湿地》 2 《砕かれた聖域》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 4 《ラフィーンの塔》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
3 《喉首狙い》 3 《切り崩し》 2 《否認》 4 《記憶の氾濫》 2 《告別》 3 《放浪皇》 2 《攪乱プロトコル》 4 《勢団の銀行破り》 3 《かき消し》 1 《虚空裂き》 1 《アーテイの嘲笑》 1 《苦痛ある選定》 2 《シェオルドレッドの勅令》 2 《太陽降下》 -呪文(33)- |
1 《切り崩し》 1 《否認》 1 《強迫》 2 《邪悪を打ち砕く》 2 《一時的封鎖》 1 《告別》 2 《ギックスの残虐》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《苦痛ある選定》 2 《金属の徒党の種子鮫》 -サイドボード(15)- |
《黙示録、シェオルドレッド》を対処しづらかったり、《鏡割りの寓話》がただ余っている除去が2枚飛んでくるだけだったりしたので、ジェスカイからエスパーに色替えされてチーム内でコントロール好きな面々に調整されていました。一時期はチーム内で最も評価が高くなり、何もなければエスパー・コントロールが本筋、というプレイヤーも多かったですね。
ただチーム内でのスパーリングに移行したら問題が噴出。メインがノンクリーチャーであることが強みですが、リスト公開だとそのメリットも薄くなり、全然メインデッキでも落としうるという結果に。
また他のデッキと比べるとマナカーブが1個から2個くらい高く、デッキがもっさりしていて相手が上手ければ上手いほどこちらに対応してきます。
まとめると、環境は追い風ですがデッキパワーが足りておらず、プロツアーというレベルの高い舞台を考えると賢明な選択肢と言えません。
その他
ここからはオリジナルおよびローグデッキコーナー、主に熊谷さんの担当です。
5 《島》 7 《山》 4 《シヴの浅瀬》 4 《嵐削りの海岸》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 2 《ザンダーの居室》 1 《ミシュラの鋳造所》 1 《ミレックス》 -土地(26)- 4 《第三の道の偶像破壊者》 -クリーチャー(4)- |
1 《否認》 3 《かき立てる炎》 4 《削剥》 4 《鏡割りの寓話》 3 《かき消し》 4 《銀の精査》 1 《青の太陽の黄昏》 1 《方程式の改変》 4 《セゴビアへの侵攻》 4 《ナヒリの戦争術》 1 《火山の悪意》 -呪文(30)- |
2 《流動石の注入》 1 《青の太陽の黄昏》 3 《石術の連射》 1 《火山の悪意》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《勢団の銀行破り》 2 《方程式の改変》 -サイドボード(15)- |
《セゴビアへの侵攻》、《第三の道の偶像破壊者》から《銀の精査》でいっぱい引けるイゼット召集。
3 《平地》 3 《沼》 4 《コイロスの洞窟》 4 《砕かれた聖域》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《ミレックス》 4 《種子中枢》 -土地(24)- 4 《ベナリアの潜伏工作員》 4 《這い回る合唱者》 4 《離反ダニ、スクレルヴ》 2 《イーオスの遍歴の騎士》 4 《ふくれた昇華者》 4 《生体融合の解体者》 -クリーチャー(22)- |
4 《婚礼の発表》 4 《スクレルヴの巣》 2 《胆液飲み》 4 《全軍突撃》 -呪文(14)- |
2 《切り崩し》 1 《喉首狙い》 2 《ランタンのきらめき》 2 《別館の歩哨》 2 《強迫》 2 《未認可霊柩車》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《第三の道のロラン》 1 《救済の波濤》 -サイドボード(15)- |
最初はキレイにファイレクシアデッキだったのに、《婚礼の発表》が入ってただ《スクレルヴの巣》、《婚礼の発表》のトークンラインが強いだけのオルゾフ・トークン。
1 《島》 1 《沼》 1 《山》 2 《硫黄泉》 1 《地底の大河》 2 《シヴの浅瀬》 3 《闇滑りの岸》 3 《黒割れの崖》 1 《憑依された峰》 4 《嵐削りの海岸》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《ザンダーの居室》 -土地(26)- 4 《気まぐれな厄介者》 -クリーチャー(4)- |
3 《強迫》 3 《喉首狙い》 2 《否認》 3 《削剥》 4 《鏡割りの寓話》 2 《勢団の銀行破り》 3 《完成化した精神、ジェイス》 3 《二重視》 4 《ナヒリの戦争術》 3 《アモンケットへの侵攻》 -呪文(30)- |
2 《否認》 1 《強迫》 1 《勢団の銀行破り》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《ギックスの命令》 4 《切り崩し》 2 《兄弟仲の終焉》 2 《石術の連射》 -サイドボード(15)- |
《二重視》で《気まぐれな厄介者》をコピーすると(だいたい)もう一回《二重視》がコピーできるグリクシス厄介者。
1 《平地》 1 《沼》 4 《コイロスの洞窟》 4 《金属海の沿岸》 4 《闇滑りの岸》 1 《皇国の地、永岩城》 3 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2 《ラフィーンの塔》 4 《英雄の公有地》 -土地(25)- 3 《歴史学の信奉者、ロラン》 2 《アンデッドの執事》 2 《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》 4 《ファラジの考古学者》 4 《離反ダニ、スクレルヴ》 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 4 《侵攻の伝令、ローナ》 -クリーチャー(22)- |
2 《切り崩し》 3 《喉首狙い》 4 《伝説の秘宝》 4 《誰も置き去りにしない》 -呪文(13)- |
2 《切り崩し》 1 《喉首狙い》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《ギックスの命令》 4 《強迫》 2 《未認可霊柩車》 2 《第三の道のロラン》 -サイドボード(15)- |
スタンダードのロランといえば、そう《歴史学の信奉者、ロラン》です。《歴史学の信奉者、ロラン》+《伝説の秘宝》+《離反ダニ、スクレルヴ》+墓地か手札に追加の《離反ダニ、スクレルヴ》があると無限ループが発生します。スクレルヴが伝説のパーマネントなので片方を墓地に送り続けることができるわけですね。
そこに《侵攻の伝令、ローナ》が絡むと無限ルーター無限マナ、引いてきた《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》をプレイすると無限ドレイン。必要パーツが多すぎて《偉大なる統一者、アトラクサ》出したあとじゃないと決まりません。
3.選択
1 《島》 4 《憑依された峰》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《黒割れの崖》 1 《闇滑りの岸》 4 《ザンダーの居室》 3 《シヴの浅瀬》 2 《地底の大河》 2 《硫黄泉》 4 《難破船の湿地》 1 《沼》 -土地(27)- 4 《死体鑑定士》 4 《税血の収穫者》 -クリーチャー(8)- |
2 《希望の標、チャンドラ》 2 《切り崩し》 3 《勢団の銀行破り》 4 《鏡割りの寓話》 4 《絶望招来》 2 《強迫》 1 《否認》 3 《喉首狙い》 2 《かき消し》 2 《削剥》 -呪文(25)- |
2 《黙示録、シェオルドレッド》 2 《剃刀鞭の人体改造機》 1 《切り崩し》 2 《多元宇宙の突破》 1 《ギックスの命令》 1 《兄弟仲の終焉》 1 《抹消する稲妻》 1 《石術の連射》 2 《眼識の収集》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
以上のように色々なデッキを試しましたが、黒赤系ミッドレンジの安定感を上回るデッキは中々出てきません。
その評価はチームでも総意で、チーム調整の後半はグリクシス・ミッドレンジに集中していきました。
サイドボードの《多元宇宙の突破》は苦手とする白単系ミッドレンジへのキラーカード。《希望の標、チャンドラ》との相性は抜群で、《希望の標、チャンドラ》を出してから夢の《多元宇宙の突破》ダブルもありますし、《多元宇宙の突破》で釣り上げるカードとしても《希望の標、チャンドラ》は優秀です。
対ラクドス・ミッドレンジだけ若干の課題が残るものの、それ以外には特に隙がなく不満もありません。
チームでは前環境からグリクシス・ミッドレンジをプレイしていて使い慣れている森山さんを筆頭に5人が使用。
1 《島》 1 《地底の大河》 1 《ラノワールの荒原》 2 《嵐削りの海岸》 2 《沼》 1 《硫黄泉》 2 《日没の道》 1 《コイロスの洞窟》 2 《落石の谷間》 4 《黒割れの崖》 2 《闇滑りの岸》 2 《シヴの浅瀬》 4 《ザンダーの居室》 1 《難破船の湿地》 -土地(26)- 4 《偉大なる統一者、アトラクサ》 4 《死体鑑定士》 4 《税血の収穫者》 -クリーチャー(12)- |
4 《鏡割りの寓話》 3 《勢団の銀行破り》 4 《ギックスの残虐》 1 《兄弟仲の終焉》 2 《強迫》 1 《否認》 3 《喉首狙い》 1 《かき消し》 3 《削剥》 -呪文(22)- |
2 《黙示録、シェオルドレッド》 3 《剃刀鞭の人体改造機》 1 《石術の連射》 1 《強迫》 1 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《喉首狙い》 3 《切り崩し》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
私はというとグリクシス・ミッドレンジをプレイしてきた経験もなく、それには消極的でした。グリクシス・ミッドレンジと交互にプレイし、最終的にグリクシス・リアニメイトをプレイすることを選択しました。
このデッキ、驚くことにメインは『機械兵団の進軍』産のカードが入っていないだけではなく、呪文の構成も地域チャンピオンシップに出場した際のリストとまったく同じです。
4 《ザンダーの居室》 4 《黒割れの崖》 3 《闇滑りの岸》 3 《シヴの浅瀬》 3 《日没の道》 2 《地底の大河》 2 《死天狗茸の林間地》 1 《嵐削りの海岸》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《落石の谷間》 1 《硫黄泉》 -土地(26)- 4 《死体鑑定士》 4 《税血の収穫者》 4 《偉大なる統一者、アトラクサ》 -クリーチャー(12)- |
3 《勢団の銀行破り》 4 《鏡割りの寓話》 4 《ギックスの残虐》 2 《強迫》 1 《兄弟仲の終焉》 3 《喉首狙い》 3 《削剥》 1 《かき消し》 1 《否認》 -呪文(22)- |
4 《切り崩し》 2 《未認可霊柩車》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 2 《強迫》 1 《喉首狙い》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《兄弟仲の終焉》 1 《勢団の銀行破り》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
エスパー・レジェンズの流行から《切り崩し》をメインに入れてみたり、ラクドス・リアニメイトからの輸入で《燃え立つ空、軋賜》を試してみたりしましたが、すべて廃案になり2ヶ月前のリストに戻ってきました。
メインはマナベースだけ少し変更。《ラノワールの荒原》などの非グリクシスのダメージランドを採用してみたり、《闇滑りの岸》を少なくして後半のタップインを減らしてみたりなど。
基本土地も若干採用しました。黒赤ミッドレンジ系がサイドボード後投入してくる《剃刀鞭の人体改造機》に対して1枚でも基本土地を引けていると戦線への復帰の時間を稼いでくれますし、白単ミッドレンジが複数枚の《廃墟の地》を採用していることが多かったですからね。
地域チャンピオンシップのときからの大きな変更はサイドボードの《剃刀鞭の人体改造機》の採用です。課題としているグリクシス・ミッドレンジには大きく形を変えて、《剃刀鞭の人体改造機》を含む軽量クリーチャーでビシバシ殴ります。
これはチームのグリクシス・ミッドレンジの、対リアニメイトのサイドボード後のイメージです。
《税血の収穫者》を残すかなど諸説あると思いますが、他のプロツアープレイヤーも《多元宇宙の突破》などのスケールカードと《軽蔑的な一撃》のようなカウンター呪文をサイドインすることは同一かと思います。この形に対して《ギックスの残虐》や《偉大なる統一者、アトラクサ》を通しに行くプランは無謀、というか無理です。
なのでサイドボード後はこんな感じ。《ギックスの残虐》と《偉大なる統一者、アトラクサ》パッケージをすべて抜いて相手のカウンター呪文やスケールカードからハズしたサイドボーディングです。
見た目《絶望招来》抜きグリクシス・ミッドレンジというと寂しい感じもありますが、実際にグリクシス・ミッドレンジとサイド後をプレイしてみて好感触。ゲーム3でアジャストされることを考慮するとトータルで有利とはいえませんが、それでもゲーム2は奇襲となりえます。
また、そもそもこのマッチアップにプランが存在しなかった地域チャンピオンシップのときと比べたらまだ希望が見えます。地域チャンピオンシップでもトップ8に入り、グリクシス・リアニメイトのマスターである原根さんを筆頭に4人が使用。
実際にはここまで練習で数多のデッキをプレイしてきたんですが、外から見ると「全然練習しないで地域チャンピオンシップのデッキで出る人」みたいだな、みたいな冗談を言いながらグリクシス・リアニメイトでサブミットしました。
……と、いったところで前編は終わり。
後編はドラフト環境の考察から、使用デッキの各カードの解説を含むトーナメントレポートをお届けします。お楽しみに!
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