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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
プロツアー・ファイレクシア 後編
こんにちは! 市川です。
今回は前回の続きとして、「プロツアー・ファイレクシア」の大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。
0.ドラフト雑感
まずは『ファイレクシア:完全なる統一』ドラフトの雑感から。
まず、前提として超アーキタイプドラフト環境であること。2色の組み合わせに対してアーキタイプが設定してあり、それらに沿ったピックが求められます。
コモンでもアーキタイプドラフトを推奨するようなカードが数多く用意されています。《刃継ぎの有貌体》や《カルドーサの哄笑者》が良い例ですね。
どちらも赤の3マナのコモンクリーチャーですが、《刃継ぎの有貌体》は赤白装備で、《カルドーサの哄笑者》は赤緑油で真価を発揮します。単色のカードでありながら実質的に2色のカードと言えます。
ですから、まずは空いているアーキタイプをドラフトすることが大事です……が、これが曲者で、各アーキタイプの強弱の落差が凄い環境でもあります。
そのため、弱いアーキタイプのカードがドシドシ流れてきて渋々やるも、当然弱いアーキタイプのため、同程度の完成度を持つ強いアーキタイプには負けてしまいます。ただ、混んでいる認識のある強いアーキタイプに居座り続けてももちろんデッキが弱くなってしまう……。
そういう展開になってしまった場合、進むも地獄退くも地獄。3-0は難しいので、2-1を目指すドラフトになります。
ここからはアーキタイプ解説です。
オススメ度★★★★★(是非やりたい)
・赤緑油
環境最強アーキ。
最強色の赤と次点の緑を使った贅沢極まりないカラーリングです。《伝染病のヴォラック》や《呪い金の斬撃》などのただ強グッドコモンも採用しつつ、《カルドーサの哄笑者》や《ウラブラスクの選定師》などの赤緑でしか運用できないカードも優れています。
・赤白装備
赤緑油と同列のアーキタイプ。
ほぼ《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》……というかちょっと超えてる《刃砦の戦鞭》。
ただ強い《逆棘の叩拳》を効率良く装備できる《刃継ぎの有貌体》、《レオニンの光もたらす者》も中々です。この2種類のコモンクリーチャーが安くピックでき、また強く運用できるのが赤白の魅力ですね。
現環境の赤白の良さは継戦能力に優れていること。普通の環境の赤白はクリーチャーの線の細さから終盤はクリーチャーがビタ止まりであと数点を削ることができないこともままありますが、ミラディンのために!があればそんなこともありません。
《逆棘の叩拳》、《ヴァルショクの割り斧》、《ミラディンのバルディッシュ》とコモンで優れたミラディンのために!装備品が揃っており終盤はこれらを軽いクリーチャーに付けて順次発射していくだけで戦線を突破していけます。
赤緑油と赤白装備。この2つのアーキタイプはMagic Online/MTGアリーナともに勝率が高く、またテーブルトップでチームメイトと集まってプレイした印象も同じでした。
空いていて参入できれば2-1以上は堅いアーキタイプですが、そこに自分の技術は介入しないので、アンテナだけ張っておいて可能ならやるだけです。
オススメ度★★★☆☆(やっても良い)
・青黒増殖
最弱カラーの青、次に弱い黒という2弱カラーで構成される青黒ですが、2色になると専用のカードが多く意外とデッキになります。
《実験的占い》や《生体解剖医の見識》などの安いカードでデッキを埋められるのが利点です。
ただ、上2つのアーキと比べると明確に一段落ちる印象。
そのため《青の太陽の黄昏》や《完成化した精神、ジェイス》などのただ強いレアから参入しつつ、《かき鳴らし鳥》や《タミヨウの固定器》などの優良アンコモンが流れてきて固める展開が理想です。
・白黒毒
白は流れてくるけど赤が流れてこなくて赤白にならない、白黒はそういうときになるカラーリングです。
白黒は赤白と比べて《信念堅い決闘者》や《肉剥ぎの猛禽》などのプレミアムなコモンが求められるのが悩みのタネです。
ミラディンのために!装備品も赤白と比べると乏しく、《巨大化》系スペルで盤面をこじ開けていく形になります。総じて赤白の下位互換という印象で、赤白を目指した結果の受け入れのカラーリングという立ち位置です。
このあたりはしっかりと空いている前提ではありますが、強力なレアを1枚程度貰えれば3-0できるデッキ強度があります。
特に青黒は練習で最もプレイした得意なアーキタイプであり、他の人より苦手意識が低いカラーリングです。
人によっては初手に《死体傀儡、ヴェンセール》があったとしても青黒の細部を詰めきれる自信がないから流すと言っている人もいたりで、青黒が得意であることは今回の自分の長所だと認識していました。
オススメ度★★☆☆☆(やりたくはない)
・赤黒サクリファイス
赤は油、黒は毒性の方向を向いていてふんわりしがち。
むしろどちらかに寄せようとするとカードの噛み合いが悪くなって弱くなるのでグッドスタッフ気味に組む感覚。
一応生け贄シナジーがアーキタイプの華らしいですが、アンコモンを要求して来るのでほとんどその方向性にデッキが育ちません。
・白緑毒
白は流れてくるけど赤にも黒にもいけなくてなる色。《殺戮の歌い手》が複数枚取れてほぼ白単気味になるのが理想です。
白緑は毒性に寄った構築になるので、緑のトップコモンである《伝染病のヴォラック》が上手く使えないのが難点ですね。
このあたりから流れで渋々やるカラーリングです。シナジーが薄かったり、動きがチグハグになることが多くレアがあっても中々3-0出来ません。
オススメ度★☆☆☆☆(ほぼならない)
・青赤油
最強カラーの青と最弱カラーの赤の組み合わせ、ほとんどなりません。
まず赤が空いているなら相方のカラーは緑と白を筆頭にいくらでも強いアーキタイプがあります。最弱カラーの青も黒と合わせたときに相互作用が強くなるカードが多いため、わざわざ赤と組み合わせることは少ないです。
《謎のゴライアス、オヴィカ》のような2色の強いレア縛りのようなデッキ。
・黒緑毒
毒性に寄せると《伝染させる吸血者》や《枝枯らしの忍び寄り》などの《危険な爆風》が吹いたら吹っ飛びそうな奴らでビートダウンしなければならないので、こちらも赤黒同様グッドスタッフ気味に組むことになります。
このカラーリングはマルチアンコモンの《屍気の腐敗僧》が弱いのが致命的です。上記のように毒性に寄せるのは推奨されないんですが、そうすると《屍気の腐敗僧》の能力を上手く活かせません、ほぼ壁です。
黒緑も青赤と同様レアがなければ絶対にならないアーキタイプと言えます。
レアがあってもやらないと公言しているチームメイトも多くいて、《グリッサ・サンスレイヤー》が初手にあった場合、ピックするのか、果たして流すのかはプロツアー前に話題になりました。半々くらいが流すと言っていたような気がします。
私は決めかねていたので本番で剥いてしまったら困っていました。
オススメ度☆☆☆☆☆(なんでなるのかわからない)
・白青アーティファクト
白は空いてるけど~でおなじみの展開ですが、その流れでやる中で最低のアーキタイプ、それが白青です。
《マルカトールの眼》や《頭足類の歩哨》などの白青専用のコモンカードが、白でとりあえずピックする《信念堅い決闘者》や《次元の撹乱》と相性がすこぶる悪いのが大問題です。
かといってアーティファクトシナジーに寄せていくと、《逃亡した実験体》や《金属のうろつくもの》といった痩せたアーティファクト・クリーチャーが入っていくので八方塞がりです。
マルチカラーのレアもそこまで強くないのが致命的。《純潔の監視者、マルカトール》、色々書いてあって凄そうですが、2つ目の能力はほとんど誘発しないので実は3マナの《煙突の扇動者》。つまりアンコモンくらいのカードです。
・緑青増殖毒
マルチカラーのアンコモンだけ気を吐くアーキタイプ、それが緑青です。
その実《非道なティラナックス》を《有貌体の向上》で飛ばして殴る痩せアグロの極地。《非道なティラナックス》は《呪い金の斬撃》で焼いて嬉しいカードランキング堂々の1位。普通5マナのソーサリータイミングのカードを1マナインスタントで弾かれたら負けます。
緑青は練習していてもどうやってなるのか本当に不明でした。《沈黙を破る者、スラーン》などから緑だけ固めたピックをしていたら2パック目で《青の太陽の黄昏》が出た。みたいなレア&レアという稀なケースでしか起こり得ないといった考察です。
大筋のピック方針は赤緑、赤白が出来たらもちろん最良。
できなかった場合はティアー/Tierの高い方から空いているカラーリングに滑り込んでいく。その中でも☆0と☆1は極力向かわない。
1.出発
いよいよ出発です。
前回の世界選手権で久しぶりにアメリカに移動/滞在したのですが、自分の老いを痛感しました。私ももう執筆時には35歳、私が初めてプロツアーに出たのが25歳でしたが、その時はアメリカへの移動、滞在で特に問題を感じていませんでした……が、それも今や昔です。
飛行機の中の騒音、乾燥などに対抗すべくアイマスク、耳栓、濡れマスク、のど飴。滞在中はまたも部屋が日本と比べて乾燥するので小型の加湿器。前回滞在したホテルになかったのでお茶やコーヒーを飲むために小型の電気ケトル。移動や大会後に身体が《凍結》するのでマッサージガンなど……ミラディン軍よろしくフル装備で向かいました。
その甲斐あってか、今回の滞在中は特段体調を崩すことなく元気に過ごせました。もちろん荷物は多くなってしまいますが、スーツケースが大きくなるだけですし、それらを持って移動する時間は微々たるものなのでリターンも多いかなと思います。
この辺を若い時は全然気にしていなかったのでこれからもアップデートしていきたい要素です。体調管理もマジックの一部!
今回はカナダのトロントを経由してプロツアー会場のあるアメリカはフィラデルフィアへ。初めてカナダを経由してアメリカに入ったのですが、入国審査などスムーズで凄く快適でした。
アメリカの入国審査はメチャクチャ混雑する印象なので、カナダを経由した方が日本→アメリカ→アメリカと乗り継ぐよりテンポが良いんじゃないかなとすら思いました。トロントの空港はとても綺麗で快適でしたが、特に写真を撮っていないので私とペンギンの2ショットだけ貼っておきます。
フライトの遅延などもありましたが、なんだかんだフィラデルフィアに到着。フィラデルフィアは私は初めて来ましたが、私が滞在した周りはとてもキレイな街並みで感動しました。
気になって調べてみましたがフィラデルフィアは18世紀に首都だったこともあり、その当時の街並みが多く残っているようでした。日本でいう京都みたいな立ち位置でしょうか。
2.前日
貴重なプロの前日練習ドラフトの様子 pic.twitter.com/hmVzf5lLpb
— Ryuji Murae (@era0405) 2023年2月16日
前日はチームメイトたちが貸し切りで泊まっている一軒家にお呼ばれして久しぶりにテーブルトップドラフトを練習。前日ということもあり、本番さながらのドラフトコールもしてもらいました。
2回ドラフトして両方青黒。
3-0/2-1と本番前に弾みをつけました。どちらも青黒をやり込んでいる自分的には合格点をつけられる構成です。本番でも同じくらい青黒が空いていたらこれほど良いことはないなと期待を寄せます。
夕方になると前日受付の時間です。
会場まで歩いて30分くらいだから歩いていこうと言われて歩いていったら、73分掛かって《憤怒の頂点》に達していましたが大人なので黙っていました。怒ってはいました。
建物はMagicCon: Philadelphiaと同じですが、プロツアー会場自体は一つのフロアで借りていてMagicConとは別になっていました。
併設だと楽しめる要素も多くなりますし、会場が別だとプロツアー特有の静けさ、熱さみたいなのも楽しめるのでパーフェクト!これからもこんな感じでやって欲しいです。
フィーチャーテーブル。前日は本番最初のドラフト用にセットされていました。フィーチャーテーブルに座るのはマジックプレイヤーの夢のひとつではありますが、フィーチャーポッドは別です。
プロツアー参加者の中でも選りすぐりの強者溢れる卓がフィーチャーポッドに選ばれるので、それは実質「今回のプロツアーの最強卓に貴方いますよ~」といった危険信号でもあります。
2日目は好成績を残していればやむを得ない話ではありますが、正直初日のフィーチャーポッドには選ばれたくありません。
レジストも無事完了。
記念の《精神を刻む者、ジェイス》。これは通常仕様ですが、プロツアーでトップ16に入ると更にフォイル仕様のカードを貰えます。今シーズン全3回のプロツアーで貰えることが決まっていて、フォイル版は世界に48枚しか存在しないことになります。これは無類の《精神を刻む者、ジェイス》好きとしては見逃せません!
その他リュックサックにブースターパックやSecret Lairが入っていたりと、過去にない大盤振る舞い。今回のプロツアーは今までと比べて招待枠が約半分と参加すること自体が難しくなってしまいましたから、こういうのは非常に嬉しいですね。
3.初日/ドラフト
8 《山》 8 《平地》 -土地(16)- 1 《頂点の記録者》 1 《最初の黄金守護、ジョー・カディーン》 1 《切歯の滑空機》 1 《肉剥ぎの猛禽》 1 《レオニンの光もたらす者》 1 《刃砦の戦鞭》 2 《鍛冶鎚の百長》 1 《ウラブラスクの選定師》 1 《ヴァルショクの割り斧》 1 《焼炉の徘徊者》 1 《機械の母、エリシュ・ノーン》 1 《レジスタンスの空番》 1 《聖堂の導き手》 -クリーチャー(14)- |
1 《肉体からの解放》 4 《次元の撹乱》 1 《ダニの突撃》 1 《猛火の最高潮》 1 《一斉蜂起》 1 《危険な爆風》 1 《聖堂の頭蓋爆弾》 -呪文(10)- |
-サイドボード(0)- |
第1回戦:vs白青赤 ××
第2回戦:vs白黒 ××
第3回戦:vs赤緑 ○○
1勝2敗。
ピックは最初がピークでした。
初手は《機械の母、エリシュ・ノーン》。4/7警戒とスタッツも優秀ですし、自分のミラディンのために!でトークンが2体、一方相手は0体と能力もかなり強力です。
2手目は《最初の黄金守護、ジョー・カディーン》。
強力ではありますが、2色のレアな為初手で取り辛いとは思うので流れてくるのは理解できます。ですが、初手が《機械の母、エリシュ・ノーン》で白に入りたい私としては好都合です。
次の手も《次元の撹乱》と、白はやらせてくれそうな流れに見えました。
ただ、一周すると《刃継ぎの有貌体》や《レオニンの光もたらす者》など、赤白専用のカードたちが軒並み消えていて、暗雲が立ち込めてきます。
一周後に《油喰らいのトロール》が4枚も流れてきたのでとりあえずピックしておきました。ただ、赤が取れているなら赤緑油の渡りになると思いますが、取れているのが白いカードが中心だったので、《油喰らいのトロール》を取っていても具体的な道筋は見えていませんでした。
半信半疑ながら赤白路線で2パック目もピックしていると、なんと4手目で最強アンコモンの一角である《刃砦の戦鞭》が流れてきます。
ここで赤白に決めた私ですが……そこからの流れは芳しく無く、クオリティの低いデッキになってしまいました。
この環境で珍しくプレイしてはいけない赤いクリーチャーたる《鍛冶鎚の百長》が堂々2枚。ダメージを飛ばす見立てがないのでほぼ《ヴァルショクの割り斧》の下位互換の《ウラブラスクの選定師》など、「このデッキを作ったのは誰だあっ!」と海◯雄山にデッキを投げられそうな見た目です。
流れから察するに、上下は赤白ではなさそうですが卓に相当数の赤白および赤と白をピックしているプレイヤーがいそうでした。序盤の数手の流れは良いんですが、それ以降パタリとなくなる感じがそれを表しています。
流れてくる《次元の撹乱》で食いついてしまったんですが、2マナの優秀なクリーチャーたちが流れてこなかった関係から、他のプレイヤーは除去より2マナクリーチャーから優先してピックしていたようです。
クリーチャーのラインナップも弱く、リソースも取れない……正直0-3も覚悟していました。
ゲームカウント0-4で0-2した時には走馬灯のようにフィラデルフィアに来るまでの記憶が蘇ってきていましたが、0-2対決で同じくらい失敗している赤緑になんとか勝利。構築ラウンドに望みを繋げました。
4.初日/構築
使用デッキは前回にも書いた通り緑単信心。
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 2 《ハイドラの巣》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 13 《森》 -土地(21)- 4 《茨の騎兵》 4 《老樹林のトロール》 1 《森の女人像》 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 -クリーチャー(17)- |
1 《龍神、ニコル・ボーラス》 4 《大いなる創造者、カーン》 4 《ビヒモスを招く者、キオーラ》 4 《収穫祭の襲撃》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 4 《狼柳の安息所》 4 《ニッサの誓い》 -呪文(22)- |
1 《森呼び自動機械》 1 《街並みの地ならし屋》 1 《機能不全ダニ》 1 《死に至る大釜》 1 《王神の立像》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《マイトストーンとウィークストーン》 1 《鎖のヴェール》 1 《異形化するワンド》 1 《減衰球》 1 《石の脳》 1 《キランの真意号》 1 《真髄の針》 1 《トーモッドの墓所》 1 《ダークスティールの城塞》 -サイドボード(15)- |
第4回戦:vs アブザン脂牙 ○××
第5回戦:vs ラクドス・ミッドレンジ ○○
第6回戦:vs 緑単信心 ○××
第7回戦:vs ラクドス・ミッドレンジ ○×○
第8回戦:vs イゼット独創力 ○○
3勝2敗。ドラフトラウンドと合わせて4勝4敗でギリギリ二日目へ。
アブザン脂牙にマリガンしても《大いなる創造者、カーン》を引けない。相手は毎回3ターン目に《パルヘリオンⅡ》が突っ込んできて1勝3敗になったり。
緑単信心のミラーマッチで自分も120km/hくらいのスピード感で回っているも相手は200km/h、アメリカの警察も真っ青のカーチェイスで振り切られ2勝4敗までいって気絶しかけましたが、なんとか二日目に繋げました。
ターニングポイントは7ラウンド目のラクドス・ミッドレンジ。
3ゲーム目でお互いのライフは残り少ないものの、こちらの戦場の《領事の旗艦、スカイソブリン》は《真髄の針》で指定されていて動きません。一方相手の場は《死の飢えのタイタン、クロクサ》、《税血の徴収者》、裏返った《鏡割りの寓話》と、今にも暴徒たちが私に襲いかかって来そうな盤面。
初日落ちかぁ……と思いながらラストターンにドローをすると引いてきたのは《大いなる創造者、カーン》!
プラス能力で《真髄の針》に刺されている《領事の旗艦、スカイソブリン》を起こし、ゲームを決めてくれました。流石カーン、パイロットとしても一流です。
ドラフトラウンド0勝2敗から常に負けが先行する展開でメンタルに来ていましたが、気持ちを切り替え切り替え、なんとか二日目にいけたのは大きな進歩です。
前編でも書きましたが現在のシステム上、二日目に行けるかどうかは世界選手権出場を目指す上で明暗を分けます。
5.二日目/ドラフト
2 《ドロス窟》 1 《自律焼炉》 1 《黒割れの崖》 6 《沼》 7 《山》 -土地(17)- 3 《アクシオムの彫版師》 2 《腐り腹のネズミ》 1 《肉なし剣闘士》 1 《殺しの百長》 1 《炭鍛冶》 2 《ヴァルショクの割り斧》 1 《シェオルドレッドの首狩り》 1 《屍賊起こしの聖騎士》 1 《竜翼の滑空者》 1 《アージェンタムのマスティコア》 1 《残虐の陰皇》 -クリーチャー(15)- |
1 《ドロスの囁き》 1 《焼炉の頭蓋爆弾》 1 《完成化のタブレット》 1 《不死性の提供》 1 《シェオルドレッドの勅令》 1 《伝染性尋問》 1 《溶鉄の咎め》 1 《滅殺の眼差し》 -呪文(8)- |
-サイドボード(0)- |
第9回戦 :vs赤白 ○○
第10回戦:vs黒緑 ×○×
第11回戦:vs赤緑 ×○○
2勝1敗。トータル6勝5敗で構築ラウンドへ。
今回の初手は《耐え忍ぶカー、ケンバ》。カード自体に文句はないですが、初日の印象としては赤と白は異常に混むので複雑な気持ちです。
その後、数手は白いカードを取ってみますが……やはり予感は的中。白いカードの気配が消えていきます。おそらく卓で過剰に出た《アクシオムの彫版師》を拾いつつ、7手目の《炭鍛冶》で白を切って赤黒にシフトします。
2パック目の初手で《アージェンタムのマスティコア》、3パック目の初手で《竜翼の滑空者》とラッキーな初手が続きつつ、なんとかデッキになりました。
白を摘んている間に2枚流した《苦痛ある選定》が効いていて、2パック目終了時点で取れている除去が《ドロスの囁き》のみでしたが、3パック目で《溶鉄の咎め》などの除去が取れたのもツイていました。《苦痛ある選定》や《呪い金の斬撃》などと比べると1段落ちる除去呪文たちですが、ないよりはマシです。
二日目のドラフト卓は4勝4敗、しかも0勝2敗スタートなのでタイブレークでも最下位の卓ですが、囲むプレイヤーたちは強力でした。殿堂プレイヤーのルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasさんとセス・マンフィールド/Seth Manfieldさん、元ライバルズメンバーのローガン・ネトルズ/Logan Nettlesさんとイカつい奴らです。
その中でルイスさんとローガンさんにマッチングし、ローガンさんに順当に敗北。
とはいえ2勝1敗、二日目の出だしとして悪くないスタートです。
残りの構築ラウンドを3勝2敗以上でトータル9勝7敗、当初の目標であるプロツアーチェインに達します。
6.二日目/構築
第12回戦:vs グルール機体 ○××
第13回戦:vs エニグマ・ファイアーズ ×○○
第14回戦:vs グルール機体 ×○○
第15回戦:vs ラクドス・サクリファイス ○○
第16回戦:vs アゾリウス・コントロール ××
構築を3勝2敗、トータル9勝7敗でプロツアーチェイン!
なんとか首の皮一枚繋ぎました。
7.まとめ
ドラフトラウンドについて
ドラフトラウンドで得意な青黒に参入できなったのは残念ですが、視点を変えれば得意なアーキタイプではあるものの、練習での成功体験を引きずらずフラットに卓の流れを見れていたとも考えられます。(それにしては1回目の赤白は見るも無惨な構成でしたが)
これからも各環境で得意な引き出しは持ちつつも、総合的なドラフトテクニックを磨いていきたいところです。
構築ラウンドについて
まず、緑単信心をプレイしたことについてですが特に後悔はないです。どちらかというと練習内容、自分がしっくり来るデッキが作れなかったことのほうが問題だったと感じています。
チームデッキに納得して使用できるデッキがない、パイオニアで得意なデッキを持ち合わせているわけではないという絶望的な状況の中で選んだ、10マッチしかプレイしていない緑単信心。
それでパイオニアの予選を潜り抜けてきた猛者相手に6勝4敗はむしろ上出来です。取れる選択肢の中で最良を選んだ自信はあります。
2日目の終わりに一緒にピザを食べた、本大会のトップ8に入った松浦さんと八十岡さんの2人をパシャリ。
八十岡さんにポーズを強要したら、アリーナ予選のプレイインに出ていたらしくこれのせいで負けたと怒っていました。ごめんね。
それにしてもやはりプロツアーは良い!ドラフトラウンド前の静けさ、初日落ち/抜けラインのヒリヒリ具合。2日目もその熱さは加速します、俺たちのプロツアーが帰って来た!それが本当に嬉しいです。これからもプロツアーに出続けたいと思いました。
次は5月の「プロツアー2」!それに向けて精進していくつもりです!
今回のプロツアー参戦記は以上です。
いかがだったでしょうか、それではまた、次回の記事でお会いしましょう!
市川
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