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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
第28回マジック世界選手権 後編
こんにちは! 市川です!
今回は前回記事の続きとして、『団結のドミナリア』のドラフト所感と、世界選手権の大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。
0.『団結のドミナリア』ドラフト
『団結のドミナリア』ドラフトは大別すると4種類のアーキタイプがあります。私がやりたいと思っていたアーキタイプ順に羅列していきます。
まずは《トレイリアの恐怖》を軸とした青ベースのスペルデッキです。《トレイリアの恐怖》はコモンでありながら、レアなどを含めても相当なフィニッシャーの資格を持っています。
また《トレイリアの噴出》や《本質の散乱》などの優秀な呪文も青のコモンに存在し、バックアップする用意があります。
補色として最も優れているのは赤です。トップコモンの一角である《稲妻の一撃》や、《流動石の注入》などの軽量除去は青にはない魅力です。
また、アンコモンを見渡しても《戦闘魔道士の隊長、バルモア》や《静電式歩兵》などスペルデッキに相性の良いものが多くスペルデッキの最大値は青赤であることに疑いはありません。
次点で青黒です。《アーボーグへの貢納》はキッカーでのプレイも含めると範囲の広い除去であり、スペルデッキでこそ真価を発揮します。
《アーボーグの奪還》は環境屈指のリソースカードで、《憑依されたぬかるみ》や《水晶の岩屋》などをピックしておきタッチするのが理想です。攻めっ気が強い青赤と比べると少しコントロール気味な形になります。
青いスペルデッキはコモンだけで成立して、かつ出来上がった時の最大値も高いです。
練習でも最も高い勝率を出したアーキタイプで、参入するチャンスがあれば積極的に狙っていこうと考えていました。
次に版図デッキです。ただ、アリーナのランクマッチドラフトなどで出来上がる5色版図というイメージではなく、私が狙っていたのはスゥルタイ(黒緑青)カラーをベースとしたミッドレンジデッキという形でした。
色を絞る理由としては、強者が集う卓ドラフトにおいて2色土地は点数が高く、早めに取られてしまうからです。
体感として、5色版図は2色土地が一周してくるような流れでないと組めないなと感じました。
そのため《エイヴィーゾアの空士、ナエル》のような基本土地タイプ5つを要求してくるようなカードだったり、《メリアの先導》のようなスゥルタイ・ベースのデッキに入れづらい赤いカードなどは敬遠する方針でデッキを組むことにしました。
赤絡みや白絡みの2色土地は拾うことは拾いますが、《属地のマロー》や《ガリ骨のボータック》など基本土地タイプが多いことによってボーナスになる程度のカードと組み合わせて運用するイメージです。
基本的に緑黒ベースでタッチ青という形が理想ですが、青緑ベースでタッチ黒でも問題ないです。
緑がベースになることは確実で、2色目は流れてくるカードによって決めます。具体的には《光の消滅》と《タラスの見張り》です。これらはダブルシンボル、かつ強力なコモンなので、指針になりやすいです。
3つ目は白軸のビートダウンです。
チーム内での意見交換ではその中でも白黒が最も評価の高いカラーリングでした。
《サマイトの薬草医》や《ベナリアの信仰繋ぎ》のようなあまりパッとしない2マナ域のコモンクリーチャーたちの中で《ベナリアの潜伏工作員》は後半も一際輝く存在です。
《激しい闘いの祝福》も優れたコンバットトリックで、《盾、構え》と合わせてデッキに入っていると対戦相手は不自由な二択を前に裏目のあるプレイが強いられます。
白黒は多色のアンコモンも強力です。どちらもゲームを優位にさせたり決定付け得るスペックを有していて、卓に白黒が1人となればそれらのカードが流れてくる可能性は十二分にあります。
コモンだけでもある程度成立する、アンコモンなどが絡んだ時の爆発力もあると、有力なアーキタイプの条件を有しているように思います。
その他白赤、白緑でも十分プレイアブルなアーキタイプで、チーム内ではここで挙げた3つのアーキタイプの中で一番優先してピックすると考えている人も多かったように感じます。
ただ、私としては練習で白軸のビートダウンが上手くピックできませんでした。
得意としていたプレイヤーに意見を聞いたりなどしていましたが、どうにも肌に合いませんでした。
練習でピックしていた感想としては、《市民の拘束》や《アルガイヴの騎兵》などの優良コモンなどから参入すると卓で混んでいて手痛い結果に終わっていたので、自分の方針としてはやらないわけではないけれど、《怒りの大天使》や《新ベナリアの守護者》などのゲームを決めうるレアが初手にあった場合に限ると、ルールとして決めていました。
最後に《翼套の司祭》を軸とした壁デッキです。このアーキタイプに関しては、狙う狙わない以前の問題としてアンコモンである《翼套の司祭》が卓に出るか、そして流れてくるかでしかないので《翼套の司祭》が出たらやるという方針です。
カードのカットが正当化される卓ドラフトにおいて、専用カードを必要とする壁デッキはどうなんだろうなと思っていたのですが、練習をした感じだと『団結のドミナリア』ドラフトでは他のアーキタイプのプレイヤーも2色土地を拾ったりサイドカードを抑えたりとカットに使う手番がそこまでなく感じたので、《盾壁の歩哨》などのような専用カードを一周後にピックすることは他の環境と比較して可能な印象でした。
ここまでをまとめます。
青スペル、積極的にやる。
版図デッキ、フル版図は目指さないスゥルタイベースイメージでやる。
白ビート、苦手なのでレアが出たときだけやる。
壁、《翼套の司祭》が見えたときはやる。
以上の方針でドラフトピックを進めることにしました。
1.現地到着/ドラフトピック
そんなこんなでラスベガスに出発!
コロナ禍になってからは初めての海外で、記事を参照するに「2019ミシックチャンピオンシップⅤ」(当時の記事)以来の海外なのでおよそ3年ぶりということになります。
久しぶりすぎてパスポートを更新したり、ESTA(2年間有効なアメリカの簡易ビザみたいなやつです)を更新したりと諸々と準備しました。
今回は世界選手権ということもあり、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストがホテルを手配してくれるというVIP待遇。
今回泊まったホテルもそうでしたが、ラスベガスのホテルは基本的に1階がロビー兼カジノになっていることが多く夜に下に降りていってもいつも賑やかでこれがラスベガスか!といったところ
自分の部屋からは大画面のテレビが見られるプールみたいなものが見えました。謎すぎる。
6 《島》 5 《沼》 2 《山》 2 《憑依されたぬかるみ》 1 《溶鉄の支流》 1 《水晶の岩屋》 -土地(17)- 1 《消えない想像体》 1 《ファイレクシアの生体解剖者》 1 《跳ね散らすゴブリン》 2 《飛翔するドレイク》 1 《不気味な魂の守護者》 1 《ファイレクシアの憤怒鬼》 1 《ヴォーデイリアの精神詠い》 1 《微小術師》 1 《シェオルドレッドの心酔者、ローナ》 2 《嵐の走者、ナジャル》 1 《トレイリアの恐怖》 -クリーチャー(13)- |
2 《機を見た干渉》 3 《衝動》 1 《アーボーグへの貢納》 1 《強引な妨害》 1 《ファイレクシア流諜報術》 1 《トレイリアの噴出》 1 《光の消滅》 -呪文(10)- |
1 《ピクシーの幻術師》 3 《否認》 1 《有毒の嫌悪者》 1 《潮廻しのヴォルシェ》 1 《自動司書》 1 《囈語のバリケード》 1 《呪詛消しの亀》 1 《メサの騎兵》 1 《荒野の偵察》 1 《怪物的戦ヒル》 1 《潮溜まりの亀》 1 《エルフェイムのワーム》 1 《センギアの鑑定者》 -サイドボード(15)- |
世界選手権ではピックを前日に行い、当日はプレイからはじまります。
初手は《微小術師》から。強力なレアからスタートしたかったのはやまやまですが、《微小術師》もアンコモンの中では上から数えたほうが早いくらいには優れたカードです。
その後は特に高いレアリティの優れたカードが流れてくるわけもなく、《トレイリアの噴出》や《ファイレクシアの憤怒鬼》でお茶を濁す展開に。
その中で、4手目にトップコモンの一角である《アーボーグへの貢納》が流れてきたこともあり青黒路線でピックを進めます。
最終的に11手目付近で《シェオルドレッドの心酔者、ローナ》が一周してきたこともありほぼ青黒にデッキをロック。
《シェオルドレッドの心酔者、ローナ》自体はそこまで優れたカードではありませんが、青黒をピックしているプレイヤーがいたら拾う程度ではあること。また《シェオルドレッドの心酔者、ローナ》があったパックで青と黒で優れたカードがなかったこと、それらを総合すると青黒のカラーリングでピックしている人は現段階でいないだろうという判断になりました。
ただ、最終的にはお世辞にも完成度の高いデッキにはなりませんでした。
《嵐の走者、ナジャル》をタッチしたりと厳しい台所事情が見て取れます。《アーボーグの奪還》を1回も見なかったこともかなり厳しかったです。
《微小術師》があるので1枚でも取れた場合のバリューは高かったと思うんですが、なかなかどうして上手くいかず。
3パック目に上から《ヴォーデイリアの精神詠い》が流れてきてなんとかレア0のデッキは避けられたと胸をなでおろしていました。
評価的には2-1と1-2の間で1-2寄りといった印象で、なんとかツイて2-1したいなといったところ。
2.初日/ドラフトラウンド
- 第1回戦:青赤(宮野雄大) ××
- 第2回戦:白黒(マイク・シグリスト) ○○
- 第3回戦:5色(イーライ・カシス) ××
環境屈指のボムレア《晴天のスフィンクス》を筆頭に強力なレア4枚の宮野さんに一瞬で負けたり、
《翼套の司祭》が2枚入っていて2枚連打されてイーライさんに負けたりしつつ1-2。
遅めのデッキを組むとどうしても相手のボムレアや相手のデッキ全体と戦うことになるので、こういう展開が目立ちますね。
勝ったシグリストさんのデッキも1-1《ギックスの残虐》、2-1《ギックスの残虐》(?)で相当強力なデッキでしたが、《否認》を3枚ピックしておいたことが功を奏しました。
7 《山》 7 《平地》 2 《聖なる峰》 -土地(16)- 1 《ゴブリンのがらくた拾い》 1 《柏槙教団の樹根織り》 1 《ファイレクシアの宣教師》 1 《サマイトの薬草医》 1 《シヴの壊滅者》 1 《芽吹くゴブリン》 1 《ヤヴィマヤの鋼潰し》 3 《アルガイヴの騎兵》 1 《バルデュヴィアの狂戦士》 1 《ケルドの急襲隊》 3 《連合の戦暴者》 1 《庇護のグリフィン》 1 《憤怒の乗り手、アヴナントのトーリ》 1 《アルガイヴの密集軍》 1 《溶鉄の大怪物》 -クリーチャー(19)- |
2 《邪悪を打ち砕く》 1 《猛然たる怒声》 1 《稲妻の一撃》 1 《完成化したウェザーライト》 -呪文(5)- |
1 《機械仕掛けの跳ね橋》 1 《ガイアの力》 1 《槌手》 1 《機を見た干渉》 1 《アーボーグの奪還》 1 《ベナリアの信仰繋ぎ》 1 《ヨーティアの宣戦布告》 2 《時間稼ぎ》 1 《爪のライヴァズ》 1 《未発見の脅威》 1 《奈落のとりこ》 1 《ぼろぼろの亡霊》 1 《シャライの侍者》 2 《溶鉄の大怪物》 -サイドボード(16)- |
8 《森》 5 《平地》 1 《沼》 1 《憑依されたぬかるみ》 1 《日向の湿地》 1 《理想的な浜方》 -土地(17)- 3 《日光浴するルートワラ》 1 《ベナリアの潜伏工作員》 1 《柏槙教団の樹根織り》 1 《ファイレクシアの宣教師》 2 《沼アナグマ》 2 《メサの騎兵》 1 《アルガイヴの騎兵》 2 《マグニゴスの歩哨》 1 《戦線破りのベイロス》 1 《アルガイヴの密集軍》 -クリーチャー(15)- |
2 《尾の強打》 1 《ガイアの力》 1 《連合の力》 1 《盾、構え》 1 《ウェザーシード盟約》 1 《束縛の祈り手》 1 《群れの渡り》 -呪文(8)- |
4 《山》 4 《沼》 3 《島》 1 《平地》 1 《槌手》 2 《噛み締め》 1 《壮大な成長》 1 《英雄の家宝》 1 《塵と化す》 1 《蔦形成師の神童》 1 《強引な妨害》 1 《流動石のカヴー》 1 《呪詛消しの亀》 1 《ハールーンの戦賛歌》 1 《樹皮織りの破壊者》 1 《庇護のグリフィン》 1 《盾壁の歩哨》 1 《エルフェイムのワーム》 1 《ヤヴィマヤの滞留者》 -サイドボード(28)- |
上のトリスタンさんは白赤、下の斉藤さんは緑白と私の青黒と2色とも被っておらずポジション的には良いところについたかなといった印象でした。
が、上下含めて序盤に《トレイリアの恐怖》や《アーボーグの奪還》などのグッドコモンが出なかったこと、上下ではないけれども単純に青と黒をやっているプレイヤーが卓全体に多くカードの一周が期待できなかったことがデッキの完成度を下げた要因でした。
正直相手のデッキリストを見るに0-3も考えられるマッチングだったので、1-2はむしろ耐えたなといった印象でしたね。
3.初日/スタンダード
続いてスタンダード・ラウンドです。メタゲームブレイクダウンが前日に発表されたのですが、まさかの「エスパー・ミッドレンジ」使用者22名の驚異の68%超え!
チーム調整では最も堅い選択肢として選ぶ結果となりましたが、他のチームも概ねそうなったようです。
- 第4回戦:エスパー・ミッドレンジ(宮野雄大) ○○
- 第5回戦:エスパー・ミッドレンジ(赤池庸)○××
- 第6回戦:エスパー・ミッドレンジ(ルーカス・ホネイ) ×○×
- 第7回戦:ジャンド・リアニメイト(リード・デューク)××
- 第8回戦:エスパー・ミッドレンジ(ザック・ダン)×○○
22人もいたらこうなるよね、といった当たり方。
エスパーのミラーマッチ祭りで2-3、トータル3-5で二日目へ。
エスパーミラーは基本先手ゲームで、後に噛み合いのゲーム。
相手が先手で《勢団の銀行破り》は出してきたものの《策謀の予見者、ラフィーン》絡めた攻め手のある手札をキープできていて勝てたり、
相手のタップアウト《黙示録、シェオルドレッド》を除去できずに《英雄の公有地》がアンタップ状態になってしまい《黙示録、シェオルドレッド》1枚にまくられたり。逆もしかりです。
21 《島》 1 《天上都市、大田原》 -土地(22)- 4 《傲慢なジン》 4 《トレイリアの恐怖》 -クリーチャー(8)- |
4 《考慮》 4 《消えゆく希望》 3 《とんずら》 2 《呪文貫き》 4 《本質の散乱》 4 《衝動》 3 《否認》 2 《かき消し》 4 《発見への渇望》 -呪文(30)- |
1 《天上都市、大田原》 3 《怪しげな密航者》 2 《真髄の針》 2 《証人保護》 1 《否認》 1 《散らかった思考》 3 《嵐風招来》 2 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
10 《島》 2 《山》 1 《ザンダーの居室》 4 《シヴの浅瀬》 4 《嵐削りの海岸》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(23)- 4 《傲慢なジン》 2 《墓所の照光者》 1 《溺神の信奉者、リーア》 -クリーチャー(7)- |
4 《考慮》 2 《消えゆく希望》 2 《下支え》 2 《絞殺》 4 《衝動》 3 《かき消し》 3 《否認》 1 《削剥》 4 《鏡割りの寓話》 2 《引き裂く炎》 1 《巨竜戦争》 2 《嵐風招来》 -呪文(30)- |
1 《墓所の照光者》 1 《溺神の信奉者、リーア》 2 《トレイリアの恐怖》 1 《消えゆく希望》 1 《呪文貫き》 2 《削剥》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《勝利の炎》 2 《発見への渇望》 1 《巨竜戦争》 1 《家の焼き払い》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
そんな感情を揺さぶられるようなマッチアップを私が繰り返している間に上位は《傲慢なジン》デッキが席巻していたようです。
《傲慢なジン》デッキは黒系ミッドレンジのサイドボード後の《強迫》や《未認可霊柩車》が厳しいというのがチーム評価でしたが、環境的にそれらのカードが減っていて台風の目となった模様。
《傲慢なジン》デッキの評価はチーム内でも正当にできていたと感じていて、《強迫》や《未認可霊柩車》が厳しいのであればそれらが減るメタゲームではいいポジションに付く可能性は理解できていたはずです。
エスパーやグリクシスを調整していくにあたってそれらのカードが減っていっていたので、アンテナを高く持っていれば《傲慢なジン》デッキをもう少し調整しようとなっていてもおかしくない流れでした。
世界選手権のメタゲームが物語っているように、大多数のプレイヤーが「エスパー・ミッドレンジ」を攻略できなかったのは間違いなく、そこで他のチームと比べて劣っている結果になったとは思ってはいません。が、分岐となる発想はあったと思うのでそれを上手く活かしたかったですね。
4.2日目/エクスプローラー
- 第9回戦:ジャンド・ミッドレンジ(八十岡翔太)○○
- 第10回戦:ラクドス・サクリファイス(ザカリー・キューネ)××
- 第11回戦:オルゾフ・ミッドレンジ(ドリュー・ベイカー)○×○
- 第12回戦:青単スピリット(マイク・シグリスト)××
- 第13回戦:アブザン脂牙(斉藤徹)××
- 第14回戦:ティムール異形化(マティ・クイスマ)×○×
2日目のエクスプローラーは2-4。トータル5-9で私の世界選手権は終わりました。
1 《島》 4 《ケトリアのトライオーム》 4 《蒸気孔》 3 《シヴの浅瀬》 4 《河川滑りの小道》 3 《繁殖池》 4 《樹皮路の小道》 3 《踏み鳴らされる地》 1 《落石の谷間》 4 《岩山被りの小道》 1 《ハイドラの巣》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(35)- 3 《産業のタイタン》 -クリーチャー(3)- |
3 《呪文貫き》 1 《電圧のうねり》 4 《火の予言》 4 《海の神のお告げ》 3 《かき消し》 2 《削剥》 4 《入念な栽培》 4 《鏡割りの寓話》 4 《異形化》 2 《アクロス戦争》 4 《サメ台風》 4 《エシカの戦車》 3 《銅纏いののけ者、ルーカ》 -呪文(42)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 2 《女王スズメバチ》 2 《魂標ランタン》 2 《霊気の疾風》 1 《削剥》 1 《丸焼き》 2 《神秘の論争》 2 《魂焦がし》 1 《アクロス戦争》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(14)- |
エクスプローラーのトピックはまずカール・サラップさんをトップ4に押し上げたチームデッキ、ティムール異形化の台頭。
《異形化》から《産業のタイタン》というスケールを持ちつつ、従来の赤緑2色ではなく青を絡めることによって打ち消し呪文や《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒にしていて「ラクドス・ミッドレンジ」とタフに戦うことが可能です。
「アブザン脂牙」目線で言うと、《かき消し》などの打ち消し呪文の他に《火の予言》や《削剥》などの《大牙勢団の総長、脂牙》にしっかり対処できる除去呪文も含まれていて、かつゲームが長くなってしまうと《異形化》から《産業のタイタン》コンボを決める余裕ができてしまって、「アブザン脂牙」も対策してきているなといった印象でした。
19 《冠雪の島》 2 《不詳の安息地》 -土地(21)- 4 《隆盛するスピリット》 4 《霊廟の放浪者》 4 《幽体の船乗り》 4 《鎖鳴らし》 4 《至高の幻影》 1 《鎖霊》 1 《幽体の敵対者》 1 《厚かましい借り手》 1 《墓所の照光者》 -クリーチャー(24)- |
4 《執着的探訪》 2 《呪文貫き》 1 《戦闘研究》 4 《高尚な否定》 4 《霊灯の罠》 -呪文(15)- |
1 《継ぎ接ぎの槍馬》 2 《厚かましい借り手》 2 《とんずら》 1 《証人保護》 4 《帳簿裂き》 1 《霊気の疾風》 4 《発火の力線》 -サイドボード(15)- |
もうひとつのトピックは「青単スピリット」の躍進です。
私たちのチームでは「青単スピリット」は「ラクドス・ミッドレンジ」に勝てないことが最大のネックで、「ラクドス・ミッドレンジ」に勝つことがデッキ選択の前提条件だったので、まさかチームで「青単スピリット」を持ってくるところがあるとはと、非常に驚きました。
ただ、その選択は針の穴を通すようなものでした。
環境トップと考えていた「ラクドス・ミッドレンジ」はまさかの使用者1人と、気付いたら環境から退場している格好に。
これは世界選手権というハイレベルでミニマムなトーナメントの性質が色濃く出たなと感じましたね。
多分ですが、従来のプロツアーやMTGアリーナでのセット・チャンピオンシップのような200~400名程度が出場するトーナメントでは、「ラクドス・ミッドレンジ」は30%程度いてトップメタだったと思っています。
そこを見抜いて「青単スピリット」を持ち込んだチームはあまりにもお見事。
特に今回は私たちのチームの「アブザン脂牙」やカールさんたちの「ティムール異形化」などに有利に立ち回れるデッキで圧倒的に勝ち組デッキとなりました。
さらに言うと《発火の力線》がサイドボードに4枚入っているのも素晴らしかったです。
これは「ラクドス・サクリファイス」の《波乱の悪魔》を見据えたカード選択となっています。「青単スピリット」は《波乱の悪魔》さえ対応できれば「ラクドス・サクリファイス」とのライフレースには制せるような構築になっているので、ピンポイントな対策となっています。
大きな大会などの結果がないのにも関わらず、「ラクドス・サクリファイス」が環境にそれなりにいると考えきっちり対策をする、といったアプローチが行われていて、イーライさんたちのデッキ選択は明らかに一歩上を行っていました。
私が「アブザン脂牙」をプレイしたことに関しては後悔はありません。持てる選択肢の中で最良の選択をしたと思います。
問題とするならば、最初に設定した「ラクドス・ミッドレンジに勝てる」というデッキ選択のボーダーを再設定できたか、という点だと考えています。
ただ、チーム内評価としては「ラクドス・ミッドレンジ」自体そこまで弱いデッキではない、まさか使用者が1人に留まるとは露程も思いませんでした。
ここを最適に評価することがデッキ選択において非常に重要な要素となった大会でした。
5.まとめ
最終的に世界選手権は弱冠20歳、超新星のネイサン・ストイアさんが優勝。
ネイサンさんはMagic Online Champions Showcase (MOCS)も4回出場、2回優勝という意味不明なくらいの結果をMagic Onlineで残していて、界隈では「MOの王」と評されていたのですが、ただ「マジック:ザ・ギャザリングの王」だったようです。
4 《沼》 4 《ザンダーの居室》 4 《硫黄泉》 4 《憑依された峰》 4 《難破船の湿地》 4 《シヴの浅瀬》 2 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 4 《死体鑑定士》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(11)- |
2 《切り崩し》 2 《強迫》 3 《冥府の掌握》 3 《かき消し》 2 《削剥》 4 《鏡割りの寓話》 4 《絶望招来》 2 《勢団の銀行破り》 1 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(23)- |
2 《燃え立つ空、軋賜》 2 《ローナの渦》 1 《切り崩し》 1 《強迫》 2 《削剥》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《冥府の掌握》 2 《勢団の銀行破り》 1 《漆月魁渡》 -サイドボード(15)- |
スタンダード・ラウンドで記した青単と青赤の《傲慢なジン》デッキを使ったプレイヤーがトップ4に残らず、他のプレイヤーが「エスパー・ミッドレンジ」だったことがネイサンさんの勝利を約束付けた気がしましたね。
《傲慢なジン》デッキをプレイした2人のプレイヤーはエクスプローラー・ラウンドでトップから転がり落ちてしまって、構築のダブルフォーマットの難しさを改めて感じました。
ネイサンさんは、たまたま世界選手権のプレイする席が隣で大会の合間でちょくちょくと話しかけてくれたりプレイを見ていたりしたんですが、そのマジックへの情熱に完全に市川34歳、心を打たれました。
集中力もある、思考力も高い、こんなに若い子がこれほどまでにマジックに懸けているのに自分が懸けなくてどうやって勝つんだと、しみじみ思いました。
やはりマジックは情熱。
私のマジック人生の目標を世界選手権優勝と、はっきりと定めることにしました。
何歳になっても夢を追いかけていたいですね。
最終日にマローが会場をウロウロしていたので一緒に写真を撮ってもらいました、嬉しい!
ということで私の久しぶりの世界選手権自体は5勝9敗と惨憺たる結果に終わりましたが、やはり最高の相手との最高のトーナメントは最高です!
次はいつになるかわかりませんが、世界選手権出場、また優勝を目指して競技マジックを全力で楽しんでいきたいと思います!
後編もこれにて終了! またどこかでお会いしましょう~!!
市川
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