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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
イニストラード・チャンピオンシップ 前編
こんにちは! 市川です!
今回は半年ぶりの寄稿となります「マジックeスポーツ参戦記」といたしまして、「イニストラード・チャンピオンシップ」に向けての調整録、またトーナメントレポートになります。
よろしくお願いします。
目次
- 0.権利とチーム
- 1.強いぞ! 白単アグロ
- 2.攻略しろ! 白単アグロ
- 3.攻略しろ! イゼット天啓
- 4.攻略しろ! イゼット天啓(その2)
- 5.がんばれ! 緑単アグロ
- 6.決定! イゼット天啓
- 7.どうなんだ! ヒストリック
0.権利とチーム
1 《森》 3 《島》 1 《山》 1 《ケトリアのトライオーム》 1 《繁殖池》 1 《蒸気孔》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 2 《溢れかえる岸辺》 2 《樹木茂る山麓》 3 《宝石の洞窟》 -土地(24)- 4 《砕骨の巨人》 4 《厚かましい借り手》 4 《断片無き工作員》 4 《緻密》 -クリーチャー(16)- |
4 《衝撃の足音》 4 《否定の力》 4 《暴力的な突発》 3 《謎めいた命令》 4 《火 // 氷》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(20)- |
4 《神秘の論争》 3 《血染めの月》 1 《神々の憤怒》 3 《活性の力》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
前回参加した『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップでは8勝7敗と可もなく不可もない成績に終わり、次回のチャンピオンシップとなる「イニストラード・チャンピオンシップ」の権利を獲得できずに終わった筆者ですが、「2021 Magic Online Champions Showcase Season1 Finals」(大会の名前が長い)にて優勝しました。
構築フォーマットはモダンで~、当時は4色がメジャーだったカスケードデッキをティムール3色にまとめて《血染めの月》をサイドに取れるように~……などと書き出すとこの「マジックeスポーツ参戦記」が2021 Magic Online Champions Showcase Season1 Finals編になってしまいますし、半年くらい前の話になりますので割愛します。
この勝利により、優勝賞金2万ドルと「イニストラード・チャンピオンシップ」の権利を獲得。
前回の『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップもMagic OnlineのChampions Showcase絡みで獲得していましたし、Magic Onlineには足を向けて寝られません。Magic Onlineはアリーナに通ず。
今回も前回のチャンピオンシップと同様に佐藤レイさん、井川良彦さん、熊谷陸さん、高橋優太さん、原根健太さんのリーグプレイヤーをベースとした調整チームに参加することにしました。前回の『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップでは自分の成績自体は芳しくなかったものの、調整結果自体は良好でしたし、何より楽しく過ごせましたから、今回も断る理由はありませんでした。
また、日本選手権2021 SEASON2を優勝した廣澤遊太さん、こっそり予選を抜けていた殿堂顕彰者である津村健志さんのマジックおじさんコンビ。本当に恐ろしいことですが、私も含めてトリオの可能性も否定できません。
Team UNITE所属の齋藤徹さんと井上徹さん。書いてて気付きましたが、二人とも名前が徹なんですね。
「イニストラード・チャンピオンシップ」最後の予選となる、11月のMTGアリーナ・予選ウィークエンドを突破した、チーム内では若手の部類に入る小泉祐真さんと河野融さん。
以上の11人、私を含みますと総勢12人で調整チームが結成されました。
今回は前回のチャンピオンシップと同じくスタンダードとヒストリックのダブルフォーマット。
前回は先にスタンダード、数日空けてからヒストリックのデッキリストを提出する形だったので、調整チームメンバー全員でスタンダード、終わり次第ヒストリックを調整していました。ですが、今回はデッキリストの提出日がスタンダード、ヒストリックともに同日と少し勝手が異なります。
そのため12人をスタンダード、ヒストリックの担当に完全に分けてチーム調整を行うことになりました。
高橋さんは「イゼット・フェニックス」が得意だからヒストリックにしよう、原根さんは「イゼット天啓」について詳しいのでスタンダードで、小泉さんと河野さんは直近の予選ウィークエンドを「白緑人間」で突破しているのでヒストリックで、みたいな形で適正で担当を振ったり、Team UNITEの2人は職場が一緒で連動性が高いので同じフォーマットにしよう、井川さんと原根さんはマネージメントの役割も兼ねるので、原根さんがスタンダードなら井川さんはヒストリック、廣澤さんと市川は一緒にすると騒がしそうだから別にしようなど、パズルのように各人にフォーマットを当てはめていき、以下のような振り分けになりました。(敬称略)
スタンダード
- 原根
- 市川
- 井上
- 佐藤
- 熊谷
- 齋藤
ヒストリック
- 井川
- 高橋
- 津村
- 廣澤
- 河野
- 小泉
1.強いぞ! 白単アグロ
19 《冠雪の平地》 4 《不詳の安息地》 -土地(23)- 4 《石縛りの使い魔》 4 《堕ちたる者の案内者》 4 《剛胆な敵対者》 4 《光輝王の野心家》 4 《日金の歩哨》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《粗暴な聖戦士》 3 《スカイクレイブの亡霊》 2 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 2 《精鋭呪文縛り》 2 《傑士の神、レーデイン》 -クリーチャー(35)- |
2 《ポータブル・ホール》
-呪文(2)- |
2 《聖戦士の奇襲兵》 1 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 1 《傑士の神、レーデイン》 1 《スカイクレイブの亡霊》 4 《静寂の呪い》 3 《パラディン・クラス》 3 《スカイクレイブの大鎚》 -サイドボード(15)- |
『イニストラード:真紅の契り』の発売後、前環境の「イゼット天啓」「緑単アグロ」「白単アグロ」の三つ巴から最初に頭角を現したデッキは「白単アグロ」でした。
《スレイベンの守護者、サリア》は大幅なアップデートと言えるでしょう。
非クリーチャー呪文を主体とする「イゼット天啓」に劇的なのは明白ですし、「緑単アグロ」にも《レンジャー・クラス》や攻守の切り返しとなる《エシカの戦車》のプレイターンが遅れるなど、見た目より効果的な1枚です。
また、このリストには入っていませんが《勇敢な姿勢》もデッキのかゆいところに手が届く1枚です。
「イゼット天啓」のフィニッシャー、《溺神の信奉者、リーア》や《くすぶる卵》などを対処できる除去でありつつ、対戦相手の除去に対しての対策となります。
「イゼット天啓」のような、デッキに入っているクリーチャー自体は少ないながらも盤面に残ってしまうと敗北必至となるフィニッシャーが入っているデッキに対して、除去を何枚残すかは対応する側の悩みのタネですが、裏目の少ない《勇敢な姿勢》であれば4枚迷わず採用することができるでしょう。
「緑単アグロ」に対しても有効なカードです。
「緑単アグロ」は「白単アグロ」に対して手数で上回れない分、クリーチャーのサイズ感で盤面を優位にするプランを取ってきます。それらの大きいクリーチャーをテンポ良く除去できる《勇敢な姿勢》は「緑単アグロ」の逆転を許しません。
その他《精鋭呪文縛り》や《光輝王の野心家》などの優秀なクリーチャーもいまだ健在。
「イニストラード・チャンピオンシップ」の約3週間前に行われた「Red Bull Untapped 2021 International Stop IV」では、「白単アグロ」が快勝し、新環境スタンダードを定義するところから始まりました。
2.攻略しろ!白単アグロ
このままチャンピオンシップまで、バリバリ白単アグロ最強伝説が続く!!…… ワケではありませんでした。
《スレイベンの守護者、サリア》や《勇敢な姿勢》などの新戦力の加入はありましたが、《エシカの戦車》のような機体だったり、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のような強力なプレインズウォーカーがいるわけではなく、「白単アグロ」はただクリーチャーを展開して殴るだけ。
強力なデッキではありますが、攻め方が多角的ではなく一辺倒な分、対策がされやすいデッキです。
「Red Bull Untapped 2021 International Stop IV」では「白単アグロ」にボコボコだった「イゼット天啓」ですが、メインから1~2枚の《燃えがら地獄》を採用する形が増えてきていました。
氷雪土地を採用して《霜噛み》をプレイするアプローチも出現。
大量に氷雪土地を採用できるわけはないので序盤に3点で打つことは難しいですが、序盤はそもそも「白単アグロ」に対しては2点で十分でしょう。後半に《不詳の安息地》が攻撃に参加してくるころには3点で打てることが多く、なるほどよく考えられているなといった印象。
上記の例は元々存在するデッキに「白単アグロ」へのメタカードを採用してガードを上げる手法ですが、「白単アグロ」に強いデッキをイチから構築するプレイヤーも現れました。
7 《冠雪の沼》 4 《冠雪の平地》 4 《雪原の陥没孔》 4 《陽光昇りの小道》 4 《不詳の安息地》 1 《廃墟の地》 -土地(24)- 4 《ひきつり目》 4 《よろめく怪異》 4 《象徴学の教授》 2 《不吉なとげ刺し》 2 《スカルポートの商人》 3 《魅せられた花婿、エドガー》 -クリーチャー(19)- |
4 《消失の詩句》 3 《命取りの論争》 3 《雪上の血痕》 3 《食肉鉤虐殺事件》 4 《蜘蛛の女王、ロルス》 -呪文(17)- |
2 《強迫》 4 《真っ白》 2 《激しい恐怖》 2 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》 1 《環境科学》 1 《封印突破法》 1 《壊死放出法》 1 《害獣召喚学》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
メインから全体除去が6枚、《ひきつり目》や《よろめく怪異》などの「白単アグロ」のクリーチャーと相打ちつつボーナスが得られる小粒クリーチャーが満載と、「白単アグロ」の顔の形を変えるレベルでボコボコにする構成。
ここまで極端に白単に寄せたデッキまで現れるともうお手上げ。
「白単アグロ」をメインで調整していた、「白単アグロ」をこよなく愛する佐藤レイさんもさまざまな形の「白単アグロ」を組んでプレイテストしていましたが、「これだけ対策されていると白単アグロは使えない」と白旗を上げていました。白単だけにね。
3.攻略しろ! イゼット天啓
「オルゾフ・コントロール」のように盤面に触ることのみに特化したデッキが出てくるのであれば「イゼット天啓」のターン(《アールンドの天啓》だけに)でしょう。
『イニストラード:真紅の契り』の発売後は採用できるカードの多さから、デッキリストが定まらなかった「イゼット天啓」ですが、最終的にメインデッキは前環境通りの《感電の反復》と《アールンドの天啓》のコンボを主軸とした形に落ち着いてきました。
《棘平原の危険》も最初の方は4枚採用されていない構築も多かったのですが、《スレイベンの守護者、サリア》を対処することが必須なアーキタイプですので、4枚採用が普通になってきました。
「イゼット天啓」が「白単アグロ」を克服しはじめたことから、ラダーなどでも「イゼット天啓」が多くなってきました。それらに勝つために《強迫》や《眼識の収集》をメインからプレイしてくる「ディミーア・コントロール」のようなデッキも現れます。
ただ、《強迫》などの手札破壊をプレイしても「イゼット天啓」側は《表現の反復》で失ったリソースを取り戻せますし、「ディミーア・コントロール」側がリソースを得るためにプレイする《記憶の氾濫》に合わせて《予想外の授かり物》を通してマナ差を活かした戦い方も可能です。
「白単アグロ」に対しての「オルゾフ・コントロール」は2対8~3対7程度の相性差を感じましたが、「イゼット天啓」対「ディミーア・コントロール」は悪くて4対6、体感はほぼ五分くらいの印象で、いかに「イゼット天啓」が与しづらいデッキなのかわかります。
6 《島》 3 《山》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 -土地(19)- 4 《くすぶる卵》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(8)- |
4 《棘平原の危険》 1 《消えゆく希望》 4 《表現の反復》 3 《ドラゴンの火》 3 《ジュワー島の撹乱》 1 《燃えがら地獄》 1 《感電の反復》 4 《ゼロ除算》 1 《悪魔の稲妻》 1 《セレスタス》 4 《予想外の授かり物》 2 《記憶の氾濫》 3 《アールンドの天啓》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(33)- |
1 《砂漠滅ぼし、イムリス》 1 《船砕きの怪物》 3 《バーニング・ハンズ》 2 《感電の反復》 2 《才能の試験》 1 《燃えがら地獄》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《記憶の氾濫》 1 《環境科学》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
私は、ランクマッチでもその当時増えていて、「イゼット天啓」に強いと思われる「イゼット・ドラゴン」を主に調整していました。
デッキリストの提出ギリギリまで調整をしていましたが、イマイチ良いか悪いのかの感触を得られず他の人の感想も聞きたかったため、日本選手権に出場予定の廣澤さんにデッキを使ってもらったりしました。
ただ、回せば回すほど「イゼット天啓」と比べて利点の少なさ、弱点の多さを感じました。
まずはクリーチャーのラインナップ。
《くすぶる卵》と《黄金架のドラゴン》は一見してクリーチャー・タイプがドラゴンで揃っていてまとまりを感じるかと思いますが、その実、全く役割の違うクリーチャーです。
「白単アグロ」や「緑単アグロ」に対しては《くすぶる卵》が効果的な展開が多く、2ターン目にぜひプレイしたいクリーチャーなのですが、《黄金架のドラゴン》はブロッカーとしての性能が低く、ライフレースを先行されるマッチアップではあまりドローしたくないカードです。
逆に「イゼット天啓」に対しては《黄金架のドラゴン》は強力なクリーチャーなのですが、《くすぶる卵》は引けば引くほどに手札が痩せていってしまい、相手の《アールンドの天啓》+《感電の反復》コンボに無力になりがちです。
このようにデッキに4枚ずつ入っているゲームのキーとなるクリーチャーたちが向いている方向性が別々なため、「白単アグロ」に《黄金架のドラゴン》を3枚引いてしまったり、「イゼット天啓」とのトップ勝負で《くすぶる卵》が駆けつけたりと、安定性のなさを感じました。
「イゼット天啓」に強力なカードだと思われていた《黄金架のドラゴン》も、実は単体ではそこまで強くないという結論になりました。
《アールンドの天啓》+《感電の反復》をバックアップするために出てくる《黄金架のドラゴン》が強力なだけで、これらのパッケージを減らして《黄金架のドラゴン》を4枚採用している「イゼット・ドラゴン」の《黄金架のドラゴン》はそれの魅力を発揮できていません。
逆に4枚採用していると次のターンに《黄金架のドラゴン》が出てくるからと、対戦相手もゲームプランを作りやすく、《ゼロ除算》などでズラされたりします。
それらによってゲームレンジが長くなってくると《黄金架のドラゴン》のバリューも下がり、対戦相手の《アールンドの天啓》+《感電の反復》のターンになってくるため、「イゼット・ドラゴン」側は「イゼット天啓」に対してゲームをショートにする必要があります。
そのため対戦相手のターンエンドに唱えた《予想外の授かり物》を《ジュワー島の撹乱》されつつ、メインで《黄金架のドラゴン》を通すようなハイリスクなプレイが要求されます。
その《黄金架のドラゴン》を《轟く叱責》のようなカードで対処されるだけで敗北必至ですし、そもそも4枚しか採用できない《黄金架のドラゴン》をしっかり5ターン目にプレイできるかと言われると、そうでもないでしょう。
『デッキとしての安定性が低い』
『「イゼット天啓」に対してロングゲームになった瞬間に不利がつく』
この2点から私は「イゼット・ドラゴン」の調整を諦めました。
4.攻略しろ! イゼット天啓(その2)
「イゼット天啓」が本命でチャンピオンシップでも最多勢力になるだろう、この共通認識のもとに様々なデッキがチーム内で試されます。
《墓地の侵入者》や《過充電縫合体》が採用されている「ディミーア・ミッドレンジ」。
《不笑のソリン》や《砂漠滅ぼし、イムリス》をリソース手段とする、これまた「ディミーア・ミッドレンジ」。
《英雄たちの送り火》から《スカイクレイブの秘儀司祭、オラー》に繋げる「オルゾフ・クレリック」など。
さまざまな意欲作をチーム内に投じてきた熊谷さんでしたが、全てのデッキが「イゼット天啓」の担当たる原根さんに吹き飛ばされていました。
アグロデッキ好きな佐藤さんは本当に「イゼット天啓」を回したくなさそうで、「白単アグロ」に《蛇皮のヴェール》と《スカルドの決戦》をタッチしたような「ナヤ・アグロ」をどこからか引っ張ってきて調整していました。
……が、「そのデッキの《蛇皮のヴェール》、ケアしやすいですね」とこれまた「イゼット天啓」の担当の原根さんに一蹴されていました。
5.がんばれ! 緑単アグロ
最後に残された希望は「緑単アグロ」でした。
「緑単アグロ」担当だった井上さんはデッキリストサブミット直前まで「緑単アグロ」を調整していましたが、最終的には断念することになります。
まずは重要となる「イゼット天啓」との相性。
確かに「緑単アグロ」の方が有利にゲームを進める展開が多いですが、その相性差は大きくついているわけではなく、ほぼ五分といった印象を受けました。序盤からプレッシャーを掛け続けて相手の逆転の一手となる動きに対して《蛇皮のヴェール》を合わせる展開が理想的ですが、そう毎回上手くいくわけではありません。
テストプレイを見ていた感想としては、「緑単アグロ」が理想的な動きをできている時は「緑単アグロ」が勝ち、一回土地が詰まったりして展開がズレたり、手札に《蛇皮のヴェール》がなく相手の除去をズラせなったりすると「イゼット天啓」が勝つといった感じ。
一方、「白単アグロ」との相性は明確に悪いです。
《粗暴な聖戦士》や《スカイクレイブの亡霊》などに対処しづらいですし、《勇敢な姿勢》も含めてこちらの大型クリーチャーを対戦相手は苦にしません。
チーム内でのチャンピオンシップのメタゲーム予想は、「イゼット天啓」が3割から4割、「白単アグロ」が2割程度いる予想でした。そのため、「イゼット天啓」に五分からやや有利だったとしても、「白単アグロ」に対して明確な不利が付く「緑単アグロ」は選びづらいデッキとなってしまっていました。
6.決定! イゼット天啓
調整を行えば行うほど、明確な不利マッチアップが存在せず、ただただ強いデッキであることが浮き彫りになっていく「イゼット天啓」。
スタンダード調整グループの結論は、この環境は「イゼット天啓」一強、「イゼット天啓」以外のデッキをプレイすることはありえない。スタンダード調整グループ総出で攻略できなかったのですから、「イゼット天啓」を使う選択肢になるのはやむを得ません。
幸い、チームには「イゼット天啓」のスペシャリスト、原根さんがいました。リストの提出数日前にチームは使用デッキを「イゼット天啓」にロックします。
デッキのベースは原根さんの方で9割がたできていたので、若干の調整を加えてスタンダードは「イゼット天啓」でサブミットしました。
2 《島》 2 《山》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 3 《清水の小道》 4 《荒廃踏みの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 -土地(21)- 1 《黄金架のドラゴン》 1 《溺神の信奉者、リーア》 1 《船砕きの怪物》 -クリーチャー(3)- |
4 《棘平原の危険》 2 《消えゆく希望》 4 《表現の反復》 3 《感電の反復》 3 《ジュワー島の撹乱》 1 《削剥》 1 《燃えがら地獄》 1 《才能の試験》 1 《轟く叱責》 4 《ゼロ除算》 1 《悪魔の稲妻》 1 《セレスタス》 4 《予想外の授かり物》 2 《多元宇宙の警告》 1 《家の焼き払い》 3 《アールンドの天啓》 -呪文(36)- |
4 《くすぶる卵》 1 《溺神の信奉者、リーア》 1 《削剥》 1 《罠を探す》 1 《燃えがら地獄》 1 《才能の試験》 1 《轟く叱責》 1 《襲来の予測》 1 《家の焼き払い》 1 《環境科学》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
7.どうなんだ! ヒストリック
一方、ヒストリックです。
チーム調整のスケジュールとしては、まずデッキリスト提出の2日前となる土曜日夜に、調整グループの結論と選択肢を逆の調整グループに提案します。
そして、日曜日にそれらの選択肢となるデッキを逆側の調整グループにテストプレイしてもらって、デッキを選んでもらったり感想を言ってもらう形になっていました。
ヒストリック調整グループの結論をざっくりまとめると、
環境のトップは「白緑人間」と、
「イゼット・フェニックス」、
そして「ヘリオッド・カンパニー」。
選択肢は、それら上位3つと想定している全デッキに相性が良い「ゴルガリ・フード」と、
上位2つをなんとか攻略したらしいイゼット・フェニックス。
ちなみに、「ゴルガリ・フード」は「イゼット・フェニックス」に圧倒的に有利で、「イゼット・フェニックス」マスターの高橋さんですら「ゴルガリ・フード」が7対3の有利がついているとのこと。
……あれ?
読者のみなさんもお気づきでしょうか。
「これ、選択肢になっていなくない?」ってことに。
上位3つと思われるデッキに相性が良い「ゴルガリ・フード」と、それらになんとか有利を付けたが、「ゴルガリ・フード」との直対で圧倒的不利な「イゼット・フェニックス」。
この状況で「ゴルガリ・フード」を選ばない選択肢は果たしてあるのだろうか……とスタンダード調整グループ内では議論になりました。
スタンダード調整グループとしては、日曜日には確認として「ゴルガリ・フード」対「イゼット・フェニックス」をプレイテストし(しっかり「ゴルガリ・フード」が有利でした。)、共有されている情報的には少し手落ちになっている「青白親和」をプレイしてみたり(単純にデッキが弱い)しましたが、ヒストリック調整グループから提供された情報をアップデートできるような収穫は特になく、素直にヒストリック調整グループを信じて「ゴルガリ・フード」でサブミットすることにしました。
3 《沼》 1 《森》 4 《草むした墓》 4 《花盛りの湿地》 4 《闇孔の小道》 1 《目玉の暴君の住処》 3 《カルニの庭》 2 《ファイレクシアの塔》 -土地(22)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 4 《貪欲なるリス》 3 《よろめく怪異》 -クリーチャー(15)- |
4 《魔女のかまど》 2 《魂標ランタン》 4 《致命的な一押し》 1 《村の儀式》 4 《命取りの論争》 4 《パンくずの道標》 4 《食肉鉤虐殺事件》 -呪文(23)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 2 《辺境地の罠外し》 2 《魂標ランタン》 4 《思考囲い》 2 《神秘の撤回》 1 《骨の破片》 1 《大渦の脈動》 1 《定命の槍》 1 《戦慄衆の指揮》 -サイドボード(14)- |
と言ったところで前編は終了……ん?
!?
これはいったい!?
な、なんなんだうおおおお!!!!!
後編は使用デッキの各カードの解説を含むトーナメントレポートをお届けします。お楽しみに!
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