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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ 後編
こんにちは! 市川です!
今回は前回記事の続きとして、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップの大会レポートを綴っていこうと思います。
目次
- 0.イベント概要と目標
- 1.DAY1/ヒストリックラウンド
- 2.DAY1/スタンダードラウンド
- 3.DAY2/ヒストリックラウンド
- 4.DAY2/スタンダードラウンド
- 5.デッキリスト解説/ヒストリック
- 6.デッキリスト解説/スタンダード
- 7.まとめ
0.イベント概要と目標
セットチャンピオンシップは、旧プロツアーおよびプレイヤーズツアーに代替される招待制の大会です。
MPL、ライバルズリーグのリーグプレイヤーと、私のように予選を勝ち抜いたプレイヤー、通称チャレンジャーで構成されます。プロツアーと違い、ドラフトラウンドがありません。
スタンダードとヒストリックの構築2フォーマットで行われ、2日間合わせてスイスラウンド全15回戦をこなし、上位8名のプレイヤーがダブルエリミネーションである3日目に進出します。
リーグメンバーは勝数に応じてリーグに残留するために必要なポイントが加算されます。私たちチャレンジャーも勝数に応じてチャレンジャー・ガントレットというリーグプレイヤーになりうる入れ替え戦に組み込まれたり、次回のチャンピオンシップの権利を獲得できます。そのため、リーグプレイヤーになるべくここを勝ち上がろうと息を巻いていたのですが……。
唐突な来シーズン(2021-2022シーズン)での、プロリーグ終了の報。
来シーズンはリーグ・ウィークエンドやガントレットは存在せず、次なるシーズンではなく世界選手権の席を懸けた戦いになるのだとか。代わりに今回のようなセットチャンピオンシップはこのまま維持、むしろ賞金を増額する方向にシフトするとのこと。
リーグプレイヤーであればおおよそ来シーズンのセットチャンピオンシップに招待されるだろうという見込み(あくまで見込みです)で、つまるところ、このチャンピオンシップは次なるチャンピオンシップの権利を得るためのトーナメントとなりました。
リーグ戦の評価や、プロリーグ自体が目指すプレイヤーにとってあまりに「遠い」存在だったことも踏まえると……今回の制度変更に私は賛成です。また段階的にプレイヤーがステップを踏めるシステムになってくれると、さまざまなレベルのプレイヤーが競技マジックを楽しめるようになると思うので、次の制度に期待しています。
とりあえず今回の目標は「エンジョイ」。まだ来シーズンの具体的な構想が発表されてない以上、目指すところがありません。
また、実は初めてのチャンピオンシップで不慣れな点も多いと思うので、とりあえず2日間の完走=初日抜けを目標に据えることにしました。
1.DAY1/ヒストリックラウンド
DAY1はヒストリック3回戦、スタンダード4回戦の計7回戦。トータル4勝3敗以上で2日目に進出できます。
使用デッキは前回の記事にもある通り、トップメタの「イゼット・フェニックス」です。
3 《島》 3 《山》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 4 《河川滑りの小道》 3 《寓話の小道》 -土地(21)- 4 《スプライトのドラゴン》 4 《弧光のフェニックス》 2 《弾けるドレイク》 3 《嵐翼の精体》 2 《アゴナスの雄牛》 -クリーチャー(15)- |
4 《渦まく知識》 4 《信仰無き物あさり》 4 《選択》 4 《火柱》 2 《稲妻の斧》 4 《表現の反復》 1 《約束の終焉》 1 《神秘の論争》 -呪文(24)- |
2 《厚かましい借り手》 2 《魂標ランタン》 2 《丸焼き》 2 《溶岩コイル》 2 《否認》 1 《霊気の疾風》 2 《神々の憤怒》 1 《神秘の論争》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
- 第1回戦:アゾリウス・オーラ ×○○
- 第2回戦:ジェスカイ・ターン ××
- 第3回戦:無色ランプ ×○○
9 《平地》 3 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 1 《連門の小道》 -土地(21)- 4 《無私の救助犬》 3 《命の恵みのアルセイド》 4 《アダントの先兵》 4 《コーの精霊の踊り手》 3 《上級建設官、スラム》 -クリーチャー(18)- |
4 《秘儀での飛行》 4 《結束のカルトーシュ》 3 《歩哨の目》 2 《呪文貫き》 4 《圧倒的洞察》 3 《きらきらするすべて》 1 《霊気トンネル》 -呪文(21)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 4 《浄光の使徒》 4 《紺碧のドレイク》 1 《呪文貫き》 3 《ドビンの拒否権》 2 《石の宣告》 -サイドボード(14)- |
「アゾリウス・オーラ」は対「イゼット・フェニックス」に焦点を合わせたデッキです。
除去を火力に頼る「イゼット・フェニックス」は、《アダントの先兵》やオーラで強化されたクリーチャーへの対応に手を焼きます。サイドボード後の《紺碧のドレイク》はオーラのつけ先として良し、ブロッカーとして良しで攻防一体です。
「イゼット・フェニックス」の1マナ火力で《ショック》が廃され、《火柱》に寄っているのも「アゾリウス・オーラ」には追い風です。
ミラーマッチの《弧光のフェニックス》を考えると《火柱》が重視されるのは当然の構築ですが、ソーサリータイミングの除去であれば「アゾリウス・オーラ」側からすればケアするのは容易です。
練習でも相性は悪そうで、第1ゲームをあっさり取られる立ち上がりでしたが、第2ゲーム第3ゲームは相手のマリガンが重なり、初動が悪く、逆にこちらは《嵐翼の精体》をしっかりドローできていて《紺碧のドレイク》に対して攻勢を掛けられたりと、かなりツイていましたね。
6 《山》 4 《ドワーフの鉱山》 2 《島》 4 《蒸気孔》 4 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ケトリアのトライオーム》 3 《寓話の小道》 -土地(25)- 2 《ヴェロマカス・ロアホールド》 -クリーチャー(2)- |
4 《渦まく知識》 1 《唱え損ね》 4 《記憶の欠落》 2 《表現の反復》 2 《火の予言》 1 《焦熱の竜火》 3 《プリズマリの命令》 4 《不屈の独創力》 4 《ミジックスの熟達》 4 《時間のねじれ》 4 《マグマ・オパス》 -呪文(33)- |
2 《霊気の疾風》 2 《丸焼き》 1 《焦熱の竜火》 3 《神秘の論争》 1 《神々の憤怒》 4 《サメ台風》 2 《原初の潮流、ネザール》 -サイドボード(15)- |
第2回戦の相手は、ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasなどがチームで持ち込んだ「ジェスカイ・ターン」。
サイドボードに2枚《原初の潮流、ネザール》が入っているのが特徴的なリストで、これにより、サイドボード後《丸焼き》や《霊気の疾風》などの汎用的な除去呪文、果ては《魂標ランタン》などの墓地対策カードまで当たってしまい脆弱な《ヴェロマカス・ロアホールド》とフィニッシャーを完全にスイッチできます。
サイドボードの4枚の《サメ台風》と2枚の《原初の潮流、ネザール》、これによってチーム内で「ジェスカイ・ターン」の弱点だと考えていたサイドボード後の勝率が担保されていて、この革新的な「ジェスカイ・ターン」は本チャンピオンシップにおけるベストヒストリックデッキでした。
正直その完成度の高さに、マッチアップ時にデッキリストを見た瞬間に「負けたかな」と思いましたね。
2 《沼》 4 《イフニルの死界》 4 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 1 《大瀑布》 1 《ちらつき蛾の生息地》 4 《光輝の泉》 1 《オラーズカの拱門》 1 《屍肉あさりの地》 1 《爆発域》 1 《這い回るやせ地》 -土地(24)- 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《不屈の巡礼者、ゴロス》 -クリーチャー(3)- |
4 《守護像》 4 《精神石》 2 《冷鉄の心臓》 2 《精神迷わせの秘本》 4 《衰滅》 3 《面晶体の記録庫》 3 《見捨てられた碑》 4 《大いなる創造者、カーン》 2 《ウルザの後継、カーン》 2 《人知を超えるもの、ウギン》 3 《精霊龍、ウギン》 -呪文(33)- |
1 《隕石ゴーレム》 1 《白金の天使》 1 《トーモッドの墓所》 1 《墓掘りの檻》 1 《大祖始の遺産》 2 《魔術遠眼鏡》 2 《絶滅の契機》 1 《神秘の炉》 1 《見捨てられた碑》 3 《思考のひずみ》 1 《王神の立像》 -サイドボード(15)- |
第3回戦の相手はまさかの「無色ランプ」。
少し前のヒストリック環境では対「ジャンド」での勝率を評価されて、少数ながらも使用者がいましたが、今大会は使用者1人。
初戦は《大いなる創造者、カーン》からの《トーモッドの墓所》、《墓掘りの檻》からの《精霊龍、ウギン》で負け。
サイドボードの《削剥》を切ってしまったのが裏目に出たなぁと思いながらも、サイドボード後は《否認》などの打ち消し呪文で相手のヘビーパンチをカウンターしながら《アゴナスの雄牛》でリソース勝負に持ち込み寄り切り。
お互い残り5分を切る熱戦でした。
2.DAY1/スタンダードラウンド
3 《島》 3 《山》 4 《河川滑りの小道》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 4 《ラウグリンのトライオーム》 -土地(22)- 4 《伝承のドラッキス》 4 《雷の頂点、ヴァドロック》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(12)- |
3 《棘平原の危険》 1 《果敢な一撃》 4 《表現の反復》 4 《非実体化》 2 《火の予言》 2 《セジーリの防護》 1 《真実の視認》 4 《戦利品奪取》 3 《プリズマリの命令》 2 《神秘の論争》 -呪文(26)- |
3 《赦免のアルコン》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《精神迷わせの秘本》 2 《引き裂き》 1 《燃えがら地獄》 1 《否認》 2 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
使用デッキは「ジェスカイ変容」。
- 第4回戦:サイクリング ○×○
- 第5回戦:ティムール・アドベンチャー ××
- 第6回戦:ジェスカイ変容 ○○
- 第7回戦:マグダ・グルール ○××
4 《ラウグリンのトライオーム》 4 《連門の小道》 1 《陽光昇りの小道》 4 《針縁の小道》 1 《清水の小道》 4 《河川滑りの小道》 1 《荒廃踏みの小道》 -土地(19)- 4 《繁栄の狐》 4 《ドラニスの刺突者》 4 《雄々しい救出者》 4 《アイレンクラッグの紅蓮術師》 -クリーチャー(16)- |
4 《型破りな協力》 4 《驚くべき発育》 3 《血の希求》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《記憶漏出》 4 《天頂の閃光》 4 《願い与えの加護》 -呪文(25)- |
2 《常智のリエール》 3 《レッドキャップの乱闘》 1 《魂標ランタン》 2 《ガラスの棺》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《引き裂き》 2 《プリズマリの命令》 1 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
「サイクリング」は環境でもトップの相性の良さだと考えています。
対戦相手の展開してくるパーマネントで重要なのは最序盤の《繁栄の狐》のみで、それ以外は基本的に放置しておいても問題ありません。
こちらの《黄金架のドラゴン》に対しての対応カードも《軽蔑的な一撃》と《天頂の閃光》と乏しく、ケアして動くことも可能な範囲です。
第2ゲームを計算間違えで落とす凡ミスをするも、第3ゲームは危なげなく勝利。
スタンダードラウンドを勝ちで始められてホッと一安心。
2 《森》 2 《島》 1 《山》 4 《樹皮路の小道》 4 《岩山被りの小道》 4 《河川滑りの小道》 3 《ケトリアのトライオーム》 1 《神託者の広間》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《クアンドリクスの初学者》 2 《願いのフェイ》 4 《砕骨の巨人》 4 《厚かましい借り手》 4 《恋煩いの野獣》 3 《秘密を知るもの、トスキ》 -クリーチャー(25)- |
4 《否認》 3 《火の予言》 3 《サメ台風》 -呪文(10)- |
3 《鎖巣網のアラクニル》 2 《運命の神、クローティス》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《猛火の斉射》 1 《魂標ランタン》 2 《鴉変化》 1 《神秘の論争》 1 《襲来の予測》 1 《嵐の怒り》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
2戦目の「ティムール・アドベンチャー」はかなり独特な構成でした。
メインからなんと《否認》が4枚入っていて、《サメ台風》も3枚。《秘密を知るもの、トスキ》もメインから3枚と、対アグロ対策を減らして「スゥルタイ根本原理」や「イゼット・ドラゴン」に対してのメインを重く見た構成になっています。
私はというと、《恋煩いの野獣》3連打からの《否認》2連打などのクロックパーミッションプランにハマりサクっと負け。
3 《島》 3 《山》 4 《河川滑りの小道》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 4 《ラウグリンのトライオーム》 -土地(22)- 4 《伝承のドラッキス》 4 《雷の頂点、ヴァドロック》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(12)- |
3 《棘平原の危険》 1 《果敢な一撃》 4 《表現の反復》 4 《非実体化》 2 《火の予言》 2 《セジーリの防護》 1 《真実の視認》 4 《戦利品奪取》 3 《プリズマリの命令》 2 《神秘の論争》 -呪文(26)- |
3 《赦免のアルコン》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《精神迷わせの秘本》 2 《引き裂き》 1 《燃えがら地獄》 1 《否認》 2 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
第6回戦は75枚ミラーマッチ、チームメイトである松本さんとマッチアップ。
ミラーマッチは平たく言うとかなりの引きゲーで、《黄金架のドラゴン》のプレイに対してメインは1枚の《神秘の論争》しか当たらず、《非実体化》では時間稼ぎにしかならず、それなら《黄金架のドラゴン》をプレイした方が良い=ぶっぱゲーという認識。
メインはまさにその認識通りのゲーム展開で、《黄金架のドラゴン》をプレイし続ける松本さんと《黄金架のドラゴン》をドローできず《非実体化》で時間稼ぎをするだけの私といった展開。
こちらの《非実体化》もいよいよ枯れてしまい、松本さんの《黄金架のドラゴン》が通ってしまいますが、手札事情がそこまで良くなかったようで、相手の変容ループに対して打ち消せるタイミングで《神秘の論争》を挟むとターンが返ってきます。
返しのターンに《黄金架のドラゴン》をトップデックし、こちらはループに入りまさかの勝利。
サイドボード後はお互いに《精神迷わせの秘本》を入れてゆっくりとしたゲーム展開になりますが、こちらが《表現の反復》を多く引いていた関係から手札が充実し、総力戦になり勝利。
第2ゲーム以降は《軽蔑的な一撃》や《レッドキャップの乱闘》など《黄金架のドラゴン》に対応出来るカードがお互いに増えるので、アドバンテージを獲得できる《表現の反復》が強力です。
ヒストリックラウンドと合わせて4勝2敗。
DAY2進出の最低条件が4勝3敗ですから、この時点で進出が確定しました。
10 《森》 4 《山》 4 《岩山被りの小道》 1 《神託者の広間》 -土地(19)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《ヤスペラの歩哨》 4 《厚顔の無法者、マグダ》 4 《リムロックの騎士》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 1 《探索する獣》 3 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(28)- |
1 《カズールの憤怒》 1 《歌狂いの裏切り》 4 《髑髏砕きの一撃》 4 《エシカの戦車》 3 《エンバレスの宝剣》 -呪文(13)- |
2 《仮面の蛮人》 1 《運命の神、クローティス》 2 《長老ガーガロス》 2 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《乱動する渦》 2 《アクロス戦争》 2 《パーフォロスの介入》 1 《怪物の代言者、ビビアン》 -サイドボード(15)- |
DAY1最終戦はマグダ・グルールとマッチアップ。
お互いに良い回りをしあい、第3ゲームにもつれますが私の凡ミスで負け。
相手に《恋煩いの野獣》2体と、1/1トークン。
残りライフ13で《黄金架のドラゴン》をプレイし攻撃、出た宝物で《伝承のドラッキス》を《黄金架のドラゴン》に変容。墓地にプレイしていた《引き裂き》と《レッドキャップの乱闘》で、あろうことか《引き裂き》を回収してゴー。
返しにプレイされる《黄金架のドラゴン》。5+5+1+4=15点で死亡。《レッドキャップの乱闘》が赤いクリーチャー以外にも撃てることを完全に失念していました。
もし《レッドキャップの乱闘》を拾えていたら、相手の1/1トークンにプレイして相手の《恋煩いの野獣》が攻撃に行けず、かつ相手の手札に《レッドキャップの乱闘》がなければこちらの《黄金架のドラゴン》を対処できませんから、全くもってチャンスがありました。
スタンダードラウンドが始まったのは日本時間で朝の5時。ジェスカイ変容は楽しいデッキではありますが、計算が多く、難しいデッキでもあります。チャンピオンシップという強者とマッチアップするプレッシャーも含めて、最後は完全に集中力が切れてましたね。
ってな感じで、DAY1の終わりはむなしく4勝3敗で終了。
チャレンジャー・ガントレット入りにはDAY2を7勝1敗、来シーズンのeスポーツイベントの権利を獲得するには6勝2敗と、相当なボーダーになってしまったので、当初の目標通り、エンジョイ。
プライズが変動しない・目なしにならない=完走を目指します。
3.DAY2/ヒストリックラウンド
- 第8回戦:ジェスカイ・ターン ○○
- 第9回戦:イゼット・フェニックス ×○○
- 第10回戦:ディミーア・コントロール ××
- 第11回戦:ジェスカイ・コントロール ××
DAY2のヒストリックラウンドは2連勝ののちの2連敗。6勝5敗でスタンダードラウンドへ。
4 《島》 3 《沼》 4 《湿った墓》 3 《水没した地下墓地》 3 《清水の小道》 1 《ヴァントレス城》 1 《ロークスワイン城》 3 《寓話の小道》 3 《廃墟の地》 1 《爆発域》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
4 《渦まく知識》 3 《致命的な一押し》 3 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 1 《塵へのしがみつき》 4 《記憶の欠落》 2 《湖での水難》 1 《無情な行動》 1 《アズカンタの探索》 1 《襲来の予測》 1 《悪意の熟達》 1 《絶滅の契機》 1 《影の評決》 3 《サメ台風》 1 《暗記 // 記憶》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(34)- |
1 《致命的な一押し》 1 《思考囲い》 3 《霊気の疾風》 1 《垣間見た自由》 1 《否認》 2 《神秘の論争》 1 《悪意の熟達》 1 《衰滅》 1 《永遠神の投入》 1 《影の評決》 1 《サメ台風》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
第10回戦は使用者1人の「ディミーア・コントロール」。
メインデッキは1枚の《塵へのしがみつき》を効果的にプレイされて敗北。
手札が《アゴナスの雄牛》、《嵐翼の精体》の占術2で5枚目の土地を上に乗せた返しに《思考囲い》をトップデックされ、墓地の《塵へのしがみつき》と合わせて《アゴナスの雄牛》を対処された時は腰が砕けました。
サイドボード後も相手の完璧な回りになすすべなく。
第2ゲームは日本の独自フィーチャーマッチで配信されていたので見返したのですが、ロマオさんはまさかの1ランドキープ! ライブラリートップ4枚が土地で対戦中の私は全く気付きませんでした。
精神衛生に悪いので、これからは自分のフィーチャーマッチを大会中に見に行くのはやめとうと決めました。
ヒストリックラウンドはこれにて終了でトータル4勝3敗でした。
「イゼット・フェニックス」ミラーを見据えた構築にしたのですが、マッチングしたのはわずかに1回。メタゲームブレイクダウンを見るに「イゼット・フェニックス」は35%はいましたから、あと1~2回はマッチングしたかったですね。
今回のチャンピオンシップのヒストリック部門で明確な勝ち組となったのは、「ジェスカイ・ターン」でした。《原初の潮流、ネザール》をサイドボードに2枚取ったチームを筆頭に多数の「ジェスカイ・ターン」が上位入賞を果たしています。
「ジェスカイ・ターン」は前回の記事にある通り、チーム調整で早々に切ったデッキでしたので悔しさもあります。
今回はサイドボード後の脆弱さでしたが、基本的に明確な弱点を感じた時はそれの克服を目指すより調整デッキから切ったほうが効率を考えると良いことのほうが多いです。
「このデッキをもっと調整すれば良かった」より「このデッキの可能性に掛け過ぎて無為に時間を使いすぎたな」となることの方が圧倒的に多いもの。
特に「ジェスカイ・ターン」は環境に存在したデッキで、世界的に試行回数が重ねられているデッキですから、そこでさらに革新的なサイドボードを考えるというのは本当に凄いことだと思います。
4.DAY2/スタンダードラウンド
- 第12回戦:赤単アグロ ×○○
- 第13回戦:サイクリング ○××
- 第14回戦:ナヤ・アドベンチャー ○○
- 第15回戦:イゼット・ドラゴン ○××
スタンダードも2勝2敗。
トータル8勝7敗で73位、750ドルもらってフィニッシュとなりました。
1 《平地》 1 《島》 1 《山》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 4 《河川滑りの小道》 4 《ラウグリンのトライオーム》 -土地(19)- 4 《繁栄の狐》 4 《ドラニスの刺突者》 4 《雄々しい救出者》 4 《アイレンクラッグの紅蓮術師》 -クリーチャー(16)- |
4 《踏み穴のクレーター》 4 《血の希求》 4 《型破りな協力》 4 《驚くべき発育》 4 《天頂の閃光》 1 《霜帳の奇襲》 4 《願い与えの加護》 -呪文(25)- |
3 《レッドキャップの乱闘》 1 《魂標ランタン》 3 《ガラスの棺》 3 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《切り裂かれた帆》 1 《才能の試験》 2 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
第13回戦でマッチアップした「サイクリング」。対戦相手はコーリー・バークハート/Corey Burkhart、ライバルズ所属プレイヤーです。
彼は「サイクリング」を様々な大会で使用しているサイクリングマスターでもあります。
第1ゲームからコーリーは《ドラニスの刺突者》を早々にプレイしたり、このマッチアップで重要である「クロックを掛ける」を理解した立ち回りで、第2ターンから「さすがライバルズプレイヤー」と1人で感心していました。
サイドボード後も青・赤・白の3枚の土地から敢えて唯一の赤マナを寝かして《レッドキャップの乱闘》がない=《黄金架のドラゴン》のプレイをこちらに誘導して来て、1枚の《軽蔑的な一撃》に当てさせようという実践的なテクニックも用いてきます。
その後も《切り裂かれた帆》でこちらの宝物・トークンを破壊し、次のターンに3マナ浮きで《黄金架のドラゴン》が出てこない=《神秘の論争》で打ち消せる状態を作るなど、今までマッチングして来たサイクリングプレイヤーとは全く異なる立ち回りでした。
最終的にはこちらのバッドドローも伴いながらの敗北でしたが、コーリーの適切なプレイなしではこのゲーム展開にはならず、敗北こそしましたが大会を通して最も楽しいマッチアップでした。
対戦相手の上手さを感じたときほどマジックの面白さを感じますし、チャンピオンシップに出て良かったと思いました。
6 《冠雪の島》 5 《冠雪の山》 4 《河川滑りの小道》 4 《移り変わるフィヨルド》 4 《寓話の小道》 3 《不詳の安息地》 -土地(26)- 4 《砕骨の巨人》 4 《厚かましい借り手》 3 《ガラゼス・プリズマリ》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(15)- |
4 《霜噛み》 4 《精神迷わせの秘本》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《本質の散乱》 1 《否認》 3 《襲来の予測》 1 《神秘の論争》 4 《アールンドの天啓》 -呪文(19)- |
3 《燃えがら地獄》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《本質の散乱》 1 《否認》 2 《神秘の論争》 2 《魂焦がし》 1 《アクロス戦争》 4 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
「イゼット・ドラゴン」は実は相性の悪いマッチアップです。
環境で2番手に位置すると考えていた(そしてその考察は当たる)「イゼット・ドラゴン」に相性が悪いデッキを使うなんて!と思われるかもしれませんが、これは想定外でした。
と、いうのもランクマッチではそれなりに勝っていたからです。ですが、この勝利も相手の力量、「ジェスカイ変容」への理解の低さから来ているのは感じていました。
基本的には早いターンの《砕骨の巨人》、もしくは《精神迷わせの秘本》から打ち消し呪文をひたすら構えられる展開だけで負けるマッチアップです。
ただランクマッチでは、相手が5ターン目などの打ち消しを1枚しか構えられていないタイミングでの《砕骨の巨人》、こちらは《神秘の論争》のバックアップ込みでの《黄金架のドラゴン》でそれを突破→《非実体化》、《伝承のドラッキス》を絡めたマウント……のようなこちらに都合の良い展開が多く、これはチャンピオンシップでは起きないだろうなと思っていました。
デッキリスト登録後に「イゼット・ドラゴン」への相性の悪さが発覚し、チーム内は戦々恐々でしたね。チーム内でバッドデッキとした「イゼット・ドラゴン」への知見の低さが仇となった格好です。
ただ、これも難しい問題で、使う予定のないデッキを調整したり、スパーリング相手としてチーム内でチームメイトに使わせたりするのもその人の時間効率を考えるとなかなかに厳しく、自己犠牲の精神が必要になってきます。
特に提出直前でまだデッキが決まっていないタイミングなどは私含むチームメンバー全員に余裕がありませんから、なかなか「『イゼット・ドラゴン』とのマッチアップが気になるから、デッキ決まっていないところ悪いんだけど俺の『ジェスカイ変容』とスパーリングしてみてよ」とは言いづらいです。
5.デッキリスト解説/ヒストリック
前編では細かく解説していなかったので、ここでデッキリストの細かい解説をしようかと思います。
3 《島》 3 《山》 4 《蒸気孔》 4 《硫黄の滝》 4 《河川滑りの小道》 3 《寓話の小道》 -土地(21)- 4 《スプライトのドラゴン》 4 《弧光のフェニックス》 2 《弾けるドレイク》 3 《嵐翼の精体》 2 《アゴナスの雄牛》 -クリーチャー(15)- |
4 《渦まく知識》 4 《信仰無き物あさり》 4 《選択》 4 《火柱》 2 《稲妻の斧》 4 《表現の反復》 1 《約束の終焉》 1 《神秘の論争》 -呪文(24)- |
2 《厚かましい借り手》 2 《魂標ランタン》 2 《丸焼き》 2 《溶岩コイル》 2 《否認》 1 《霊気の疾風》 2 《神々の憤怒》 1 《神秘の論争》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
大きく他のリストと差分があるとすればマナベースです。私たちのチームの「イゼット・フェニックス」は《尖塔断の運河》を採用していません。
「イゼット・フェニックス」は実は序盤、具体的には1~2ターン目は相手がアグロでなければ基本的に動きません。《選択》や《渦まく知識》のような1マナのドロー呪文は《弧光のフェニックス》の誘発のために《信仰無き物あさり》と一緒に3ターン目までキープしたいですからね。
逆にターンを経れば経るほどにフルタップで動く傾向にあります。
4ターン目の《弾けるドレイク》もそうですが、《表現の反復》、《選択》、《火柱》のように動いて《弧光のフェニックス》を戦場に戻すには4マナが必要になります。
《表現の反復》で土地がめくれれば2+1+1で《弧光のフェニックス》が2体帰ってくる!みたいな展開は往々にして多く、そこで《尖塔断の運河》の枚数分受け入れが減るのは許容し難いです。
その他5ターン目以降も《信仰無き物あさり》のフラッシュバックや《アゴナスの雄牛》の脱出など、マナをフルで使う展開が多く、序盤強く、4ターン目以降デッキの構造上タップインが致命的になる《尖塔断の運河》はデッキにマッチしていないという結論になりました。
この変更には満足しています。
アグロデッキが増えて1ターン目の赤マナのアンタップインの需要が上がるならば《尖塔断の運河》が必要になるかもしれませんが、現在のメタゲームであれば《尖塔断の運河》を廃したマナベースが良いと考えています。
メインデッキに採用した《アゴナスの雄牛》も良かった変更の1つです。
ミラーマッチで強いのはもちろん、「ジェスカイ・コントロール」などにもリソース勝負で強く、対「ジェスカイ・ターン」はメインデッキこそ弱いものの、サイドボード後は相手も《サメ台風》などを入れてコントロールデッキ然とした立ち回りになるので強力なカードになります。
唯一デッキリストで反省があるとすれば、サイドボードの《反逆の先導者、チャンドラ》です。
対「ジェスカイ・コントロール」でのインアウトを考えると、このスロットはコントロールに強いカードが良い、という結論になり《反逆の先導者、チャンドラ》を採用しましたが、そもそも対「ジェスカイ・コントロール」であまり良いサイドカードではなかったです。
相手が《覆いを割く者、ナーセット》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》でコントロールする展開に無力ですし、サイドボード後は《サメ台風》や《パルン、ニヴ=ミゼット》で軸をズラしてくることが多いため戦闘で落とされてしまうこともしばしばありました。
「グルール」や「黒単」のようなアグロにもサイドインできる併用サイドとして考えていましたが、それらには除去としては4マナと取り回しが悪く、帯に短し襷に長しな格好に。
ここは単純に《神秘の論争》や《否認》の追加や、提出前は検討すらしていませんでしたが、対「ジェスカイ・コントロール」だけを見るなら《目覚めた猛火、チャンドラ》なんかも良いかなと思いました。
打ち消されない重大なパーマネントですし、《パルン、ニヴ=ミゼット》のようなアグレッシヴサイドに対しての対応ともなります。
どうせ早いターンに勝つのは難しいですし、ドロー呪文を重ねてデッキを掘り進めるので、1枚入れておく効用は高そうです。
6.デッキリスト解説/スタンダード
3 《島》 3 《山》 4 《河川滑りの小道》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 4 《ラウグリンのトライオーム》 -土地(22)- 4 《伝承のドラッキス》 4 《雷の頂点、ヴァドロック》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(12)- |
3 《棘平原の危険》 1 《果敢な一撃》 4 《表現の反復》 4 《非実体化》 2 《火の予言》 2 《セジーリの防護》 1 《真実の視認》 4 《戦利品奪取》 3 《プリズマリの命令》 2 《神秘の論争》 -呪文(26)- |
3 《赦免のアルコン》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《精神迷わせの秘本》 2 《引き裂き》 1 《燃えがら地獄》 1 《否認》 2 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
今回使用した「ジェスカイ変容」は、基本的にチームメイトである増田さんが調整したデッキですので、「ここをこうした」みたいな感想はありません。
ただ、私も調整期間中に100マッチを超えるプレイテストをしていましたので、それなりにデッキを理解しているつもりです。
私なりのカードチョイスの解説をしようと思います。
マナベースは《寓話の小道》を廃して《ラウグリンのトライオーム》に揃えました。
このデッキは基本的に白マナを必要としません。
《雷の頂点、ヴァドロック》は基本的に変容コストでプレイしますから白マナは使わなくても問題ありませんし、《セジーリの防護》は《黄金架のドラゴン》に除去が飛んできた際にプレイしますから宝物・トークンで事足ります。
白マナを要求される展開は《雷の頂点、ヴァドロック》をやむなく通常プレイするか、サイドボード後の《引き裂き》程度で、なかなかのレアケースです。
それらのレアケースに対して《平地》を入れたくありません。
序盤に《平地》を《寓話の小道》から持ってくると土地を置く前に《表現の反復》をプレイできなかったり、《伝承のドラッキス》の変容で弊害が出たりします。
このデッキは3ターン目に宝物・トークンを出すアクション、4ターン目に《非実体化》や《セジーリの防護》を構えて《黄金架のドラゴン》をプレイする動きが、相手の展開に左右されず強力な動きになります。
また、《黄金架のドラゴン》を実際に手札に持っていなかったとしても、対戦相手も次のターンに《黄金架のドラゴン》から《非実体化》を構えられてしまうと負けてしまうため、《無情な行動》のような除去を持っていた場合《耕作》などの能動的な動きを放棄して構えざるを得ず、相手の行動を縛ることが可能です。
そのため《戦利品奪取》と《プリズマリの命令》を各4枚、合計8枚から調整をスタートしました。
《プリズマリの命令》は複数枚引いてしまうと対「スゥルタイ根本原理」、「イゼット・ドラゴン」に対してアドバンテージ損が響く印象で、一方《戦利品奪取》は3ターン目のアクションとして最も強力で、かつ《黄金架のドラゴン》をプレイした次のターンであっても《黄金架のドラゴン》の能力で実質1マナで手札を入れ替えられる呪文となり、《黄金架のドラゴン》をプレイする前後でデッキの動きに貢献します。
また《黄金架のドラゴン》に《雷の頂点、ヴァドロック》を変容した際に最も墓地に落ちていてほしいスペルであり、複数枚引いても腐らないカードであることから4枚採用される運びとなりました。
打ち消しに弱いのは玉に瑕ですが、青でない呪文であることから《神秘の論争》に対しては通りが良いこと、「スゥルタイ根本原理」の《ジュワー島の撹乱》がチラつくこともありますが、その場合は1ターン回し打てば良いだけで、ケアできる範囲です。
唯一「イゼット・ドラゴン」の《襲来の予測》だけ当たってしまいますが、対「イゼット・ドラゴン」はとにかくこちらの《黄金架のドラゴン》が通らないとゲームが始まらないので、《襲来の予測》でカウンターされる分には《黄金架のドラゴン》に対しての打ち消しの総数が減るという点で悪くないトレードだと思います。
サイドボード後は《否認》などの《戦利品奪取》に当たり、《黄金架のドラゴン》に当たらないカードが増量されますが、サイドボード後は減らせば良いだけですし、相手も《戦利品奪取》はぜひ打ち消したいカードだと思うので、逆に《神秘の論争》と合わせて相手の打ち消しを引き出させるカードとして運用することもできます。
4 《島》 2 《山》 4 《河川滑りの小道》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 4 《ラウグリンのトライオーム》 -土地(22)- 4 《伝承のドラッキス》 4 《雷の頂点、ヴァドロック》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(12)- |
4 《棘平原の危険》 4 《表現の反復》 4 《非実体化》 2 《火の予言》 2 《否認》 1 《本質の散乱》 1 《焦熱の竜火》 1 《セジーリの防護》 3 《プリズマリの命令》 3 《戦利品奪取》 1 《神秘の論争》 -呪文(26)- |
2 《灰のフェニックス》 3 《レッドキャップの乱闘》 1 《希望の光》 3 《精神迷わせの秘本》 2 《燃えがら地獄》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《ガラスの棺》 2 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
今回、私たち以外に「ジェスカイ変容」を持ち込んだチームがもう1つありました。
デッキリストを見ると共通点が多数あり、興味深く感じました。
まず、《スカルドの決戦》や《栄光の探索》のようなノイジーなスロットがカットされている点。《スカルドの決戦》は単純にデッキに合っていません。
デッキ内に入っているカードは多くがドロー呪文で、《スカルドの決戦》でめくれた大量のドロースペルを消化することは難しいですし、リソースを獲得するのであれば《表現の反復》の方が優れています。
サイドボード後であれば《精神迷わせの秘本》の方が有用です。
《栄光の探索》は《雷の頂点、ヴァドロック》が絡む無限ループに貢献しますが、ただそれだけです。日本勢、海外勢のリストに共通する点ですが、この2つのリストは《雷の頂点、ヴァドロック》の無限ループに拘っていません。
《黄金架のドラゴン》に《伝承のドラッキス》を重ねて《非実体化》や《神秘の論争》などを構えるだけで十分で、スタンダードにおいてそのマウントをひっくり返せるデッキが存在しないからです。
《栄光の探索》は無限ループの成功率を90%から95%に引き上げるようなカードですが、それ以外のタイミングで常に弱く、トータルの勝率を下げる要因です。
マティ・クイスマ/Matti Kuismaなどが使用した「ジェスカイ変容」は、メインに《否認》が採用されており、「無限ループに拘らない」を色濃く打ち出した構築で感銘を受けました。
《非実体化》だけだとターンを渡した場合《砕骨の巨人》の《踏みつけ》に対して打ち消せないことが多く、《否認》さえ入っていればライフが2を下回っていても相手にターンを渡すことにリスクがなくなります。
サイドボードも対「イゼット・ドラゴン」の相性の悪さを鑑みて《精神迷わせの秘本》が3枚採用されています。私たちのリストの《サメ台風》2枚は中途半端でした。
4枚採用しているなら連打することによってプランとなりますが、2枚だと《厚かましい借り手》や《砕骨の巨人》でテンポ良く対処されやすく、《サメ台風》は4枚採用するか、しないかの二択だったように思えます。
《赦免のアルコン》の採用の有無は面白い差分です。
私たちは「白単アグロ」に「ジェスカイ変容」は不利だと考えていました。
《歴戦の神聖刃》や《光輝王の野心家》などからはじまる強力なクロック、《精鋭呪文縛り》や《ドラニスの判事》などのヘイトベアー戦略は《無私の救助犬》のバックアップも含めてこちらの《雷の頂点、ヴァドロック》、《伝承のドラッキス》を絡めた除去プラン、および《黄金架のドラゴン》から始まる無限ループプランを完璧にシャットアウトしてしまいます。
そこに対して1枚でプランとなる《赦免のアルコン》は「白単アグロ」に勝つのであれば必要だと考えていました。
実際私は大会を通して「白単アグロ」とマッチアップしませんでしたが、チームメイトは「白単アグロ」と6回マッチアップし全勝。一方《赦免のアルコン》を採用していない海外勢は2回マッチアップして全敗。
これはどちらの構築のほうが正しいというより、対「白単アグロ」に勝ちたいと考えるか、否かだと思います。
スタンダードのメタゲームブレイクダウンを見るに、「白単アグロ」は私たちの予想していた割合より少ないものでした。彼らはこれを見越して《赦免のアルコン》を採用していなかったのかもしれませんね。
総合すると、海外勢の方がデッキリストが優れていました。ここは私の反省点だと考えています。
私はデッキを選ぶ能力はチーム内でも高いと自負しています。
デッキを調整したのは増田さんですが、事実私に呼応するようにチームメイトが「ジェスカイ変容」に乗ってきました。
そのため、あと数日、1日でも早く私が「ジェスカイ変容」に乗るべきでした。
そうすればデッキリストの提出前にチーム総出で「ジェスカイ変容」を検討するターンが作れ、デッキリストへの疑問だったり、対「イゼット・ドラゴン」への相性の悪さなどが顕在化され、あと一歩だった部分がブラッシュアップされた可能性があります。
ただ、もちろん私たちのリストも非常に完成度は高く、ほぼ1人で調整された増田さんの調整能力の高さに敬意を表します。増田さんは凄い!
7.まとめ
自分の結果は8勝7敗と可もなく不可もない結果に終わりましたが、チームとしての結果は上々でした。
4勝3敗で初日抜けと厳しいボーダーながら9人中7人が初日を抜けましたし、佐藤さん、熊谷さんの11勝4敗を筆頭にチームメンバーが多数好成績を挙げました。
私自身、チームで調整をしたのは久しぶりでしたし、このチームで調整するのは初めてでしたが、とても楽しくできて良かったです。
特にDiscordを介してのオンライン主体の調整は初めてで不安がありましたが、はじまってしまえば笑い過ぎで喋れないような状態になってしまったりと毎日楽しく過ごさせてもらって、調整の日々が充実していました。
やはり勝手知った友人と、大会に向けて研鑽を重ねるのは最高ですね。
私の成績はそこまででしたが、現在の実力的には妥当だなという感想と、MTGアリーナでの深夜からはじまる大会に慣れておらず、集中していなかったなという反省。
はじめてのチャンピオンシップでしたし、この結果には満足しています。
この辺りは次に権利を獲得出来るまでにアジャストしておきたい要素ですね。
……と、いったところで後編もこれにて終了!
次回はいったいいつになるかわかりませんが、また機会を頂けたら書きたいと考えています。
では、またどこかでお会いしましょう~!
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