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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『イクサラン』 後編
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『イクサラン』 後編
こんにちは! チーム「武蔵」の市川です。
今回は前回の続きとして、プロツアーに向けての大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。
0.ドラフト雑感
その前に恒例のドラフト雑感から。
今回のプロツアー『イクサラン』は最新エキスパンション発売から5週間後と、普段より遅いタイミングでの開催となります。
特にMagic Online(MO)リーグでの練習時間が潤沢に用意されていることから、出場者の環境把握は高くなり、より高度な戦略が求められることが予想されました。
『イクサラン』ドラフトでは《選定された助祭》や《ティロナーリの騎士》などの種族ボーナスのあるカードが一定数存在し、種族で寄せるアーキタイプがMOでは大変人気で、また私も3勝(MOリーグは3勝するか負けると終わりの方式)するデッキは種族に寄せ切ったデッキが多かったです。
優良アーキタイプ
トップアーキタイプは「白黒吸血鬼」。
《司教の兵士》や《流血の空渡り》などのただただ強いクリーチャーもいる他、前述した《選定された助祭》などのシナジーもあり、
オーラ戦略にも対応できる《崇高な阻止》、インスタントタイミングのナイス除去《弱者成敗》。
また、1マナの強力なコンバットトリックを《卑怯な行為》、《吸血鬼の士気》と2種類併せ持ち、
おまけに《軍団の飛び刃》からこれに繋げたら一生1/1絆魂トークンが沸いてくるんじゃないかと思う《薄暮の使徒、マーブレン・フェイン》、盤面が膠着し始めたかと思ったら急角度で相手を倒せる《聖域探究者》など、爆弾レアも完備。
カードパワー、シナジー、除去、コンバットトリック、爆弾レア。
リミテッドで必要な要素を全て併せ持つ「白黒吸血鬼」は、文句なしにトップアーキタイプとして認識されていました。
その他マーフォーク版《アブザンの魔除け》(は言い過ぎですが)な《川守りの恩恵》、マーフォーク版《ピーマの改革派、リシュカー》(これは言い過ぎではない)《蔦形成師の神秘家》を擁する「青緑マーフォーク」が次点。
環境最強装備品《海賊のカットラス》を最大限活かせる「青黒 or 黒赤 or 青赤海賊」。
2マナ3/3! 4マナ5/3トランプル! 調子が良ければ5マナは《突進するモンストロサウルス》! クレイジーマナレシオな「赤白恐竜」。
この辺りがMOでは3-0しやすい、もしくは対峙した時に負けやすいアーキタイプといった印象で、このあたりの中で卓内でやれるアーキタイプをやれば良いかなぁといった感想。
1.ドラフト合宿
そんなことをぼんやりと考えながら国内プロプレイヤー勢揃い(勢揃いではない)の恒例のドラフト合宿へ。
今回から同じチーム「武蔵」のメンバー、八十岡翔太さんもドラフト合宿に合流。
八十岡さんは構築能力もさることながらリミテッドへの造詣も深いので、今までよりもまたレベルの高い合宿になることだろうと常に参加者の爪の垢を煎じて飲んでいる筆者としては大歓迎。
思てたんと違う
「優良アーキタイプ4つのうちのどれかに入れればいいだろう」
と高をくくっていた私ですが、全然うまくいかず。
ドラフトリーグと通常のドラフトのギャップに頭を抱えることになります。
プレイアブルなカードが少ない
まず、ドラフトで使用に耐えうるカード、いわゆるプレイアブルなカードが少ないことが目につきました。
残り4~5手に何も無いことなんてザラ、なんなら剥いたパックの一周後の9手目からもう取るものが無かったり。
これはMOでのリーグと比べて卓のレベルが上がったこと、それによりパック内のカードがある程度点数順にピックされていくことによって発生します。
無駄なピックができない
卓内でカードが適正にピックされていく→プレイアブルなカードが少ない→デッキにならない
の方程式から導き出されるのは「無駄なピックができない」。
MOリーグでは《選定された助祭》や《自然形成師》などのアーキタイプの核となるカードを序盤にピックしておき、流れによってそのアーキタイプをやるのが基本的な戦略だったのですが、それをやるにはリアルのドラフトでは手順が足りない印象。
このように序盤にピックしておき、あとから流れによって「捨てる」、無駄ピックは3勝を目指すには2手まで、3手以上すると3勝は目指せないなと言ったところ。
ある程度決め打ち気味なプレイヤーが多くなる
とこんな流れになると得意意識のあるアーキタイプを決め打ちしてくるプレイヤーが多くなるのは必然で。
「こいついつも『白黒吸血鬼』やっているな」「彼見るたびに『赤白恐竜』プレイしているな」と感じることがこのレベルのドラフト合宿でも散見されるように。
ただ、プロツアー参加者内で強力アーキタイプとして認識されていて、卓で競合が予想されるアーキタイプを決め打つことは非常にギャンブル要素が強くなります。
これまでMOリーグしかやっていなかった私としては、卓で競合した場合、何人まで許容されるかをドラフト合宿でざっくり判断した感じ、
「白黒吸血鬼」と「青緑マーフォーク」は、2勝以上するには驚くことに卓で1人まで。
その上でこの2つのアーキタイプは人気があり、決め打ち気味に狙う人たちも多くいます。
よほど空いていないとこれらを目指すことはあり得ません。
各「海賊」デッキは《海賊のカットラス》のピック枚数次第といった様子で、1枚=1勝と言ったところ(そして2枚以上取れることは少ないです)。
「赤白恐竜」は《火炎砲発射》などをピックし、赤濃い目のピックが望ましく、赤の卓内での空き次第といったところ。
このように目星をつけていた4アーキタイプ、全てに黄信号が出る大誤算。
MOリーグとリアルドラフトのギャップを合宿で埋め、導き出した結論は......。
緑をやれ
ここまで話に全く登場して来なかった緑の恐竜たち。
これらを軸にピックすることが、最も安定して勝ちを狙えると判断しました。
《葉を食む鞭尾》、《巨大な戦慄大口》は緑らしいマナレシオに優れたクリーチャーたちで、《葉を食む鞭尾》は環境に存在するコモンの飛行クリーチャー及び、同マナ域の地上クリーチャーをシャットアウトするナイスブロッカー。
《巨大な戦慄大口》はコモンでありながら十分フィニッシャー足り得る、この環境で最も優れたコモンクリーチャーです。相手のお願いダブルブロックを《塁壁壊し》などで1回バックアップしてあげたら、相手のライフが0になるまで完走することもしばしば。
また、《新たな地平》を軸に多色化することも可能で、後半に出た/流れて来た他の色の強力カードをタッチすることも容易です。
《新たな地平》の+1/+1カウンターを置く能力も意外と侮れず、《イクサーリの卜占師》(探検で1/4になっていると仮定)を2/5にするだけで、5マナくらいまでの地上クリーチャーを止めてくれます。
この「緑多色」の相棒には青が最適で、《財力ある船乗り》や《裕福な海賊》など、比較的遅い巡目でピックできる宝物の出るカードでデッキを埋めることができます。
また青緑というカラーリングはマーフォークと同じカラーリングですから、序盤マーフォークに向かおうとピックしていて、マーフォークパーツが揃わずに崩れる形でこのデッキにすることも可能で、受けの広さが魅力的です。
次点で「緑白恐竜」も候補です。
《キンジャーリの呼び手》はマナを疑似的にジャンプアップする、他の色だと《大物群れの操り手》、《オテペクの猟匠》とアンコモンが求められるスロットをコモンで埋められることが長所です。
《キンジャーリの呼び手》は「赤白恐竜」のようなアグレッシブなデッキに入らないことから、卓に「緑白恐竜」が2人いなければ高い確率で一周してきます。
「緑白恐竜」は低マナをアグレッシブなカードで埋めなくて良いため、《キンジャーリの呼び手》の他に《イクサーリの卜占師》のような他のアーキタイプで優先してピックされないカードで、この環境で不足しがちな低マナ域を埋められる点も加点要素と言えるでしょう。
また、それらの序盤耐えうるカードに役割を持たせられる《包囲の搭、ドラン》くんこと《好戦的なブロントドン》を擁する「緑白恐竜」は、非常に理にかなったアーキタイプと言えます。
緑軸ピックは他のアーキタイプ、「白黒吸血鬼」「青緑マーフォーク」と同じように決め打ち気味のピックになることはなるのですが、他のプレイヤーがMOリーグでの練習を経て、3勝しづらい非マーフォークの緑をやりたがっていないところが私の着眼点で、他のプレイヤーが消極的なアーキタイプ、もしくはアーキタイプとして認識していないアーキタイプを決め打つ時に関しては決め打ちのデメリット(卓に同じ考えのプレイヤーが居てデッキにならないなど)は最小限に抑えられると考えました。
2.グランプリ・香港2017
17 基本土地
-土地(17)- 2 《岸の守り手》 1 《イクサーリの守り手》 1 《日の出の使者》 1 《キンジャーリの陽光翼》 1 《群棲する猛竜》 1 《財力ある船乗り》 1 《セイレーンの見張り番》 2 《輝くエアロサウルス》 1 《裕福な海賊》 1 《怒り狂う長剣歯》 1 《轟く棘背びれ》 -クリーチャー(13)- |
2 《恐竜との融和》 1 《襲撃》 2 《新たな地平》 1 《幻惑の旋律》 3 《座礁》 1 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -呪文(10)- |
14 基本土地 2 《氷河の城砦》 -土地(16)- 2 《キンジャーリの呼び手》 1 《覚醒の太陽の神官》 3 《イクサーリの卜占師》 1 《マーフォークの枝渡り》 1 《自然形成師》 1 《縄張り持ちの槌頭》 1 《葉を食む鞭尾》 1 《帝国のエアロサウルス》 2 《輝くエアロサウルス》 2 《巨大な戦慄大口》 1 《吠えるイージサウルス》 1 《好戦的なブロントドン》 -クリーチャー(17)- |
2 《恐竜との融和》 2 《襲撃》 1 《新たな地平》 2 《崇高な阻止》 -呪文(7)- |
これらの緑軸ピックをプロツアーの前哨戦であるグランプリ・香港2017で実践してみたところ2回とも2勝1敗と好調。
1回目は目を覆いたくなるようなとんでもないデッキでしたが、2回目の「緑白恐竜」は1パック目の2手目で流れて来た、「緑白恐竜」だと爆弾レアと言える《覚醒の太陽の神官》から一直線、低マナを前述した《キンジャーリの呼び手》、《イクサーリの卜占師》で埋め、最終的に《好戦的なブロントドン》で勝つという自分の考え通りのピックができ、手ごたえを感じます。
この方針を香港で確立させた私は、意気揚々とプロツアー『イクサラン』の舞台、アルバカーキに向かうのでした。
2.プロツアー
いよいよ本戦です。
例年シーズン最初のプロツアーは振るわないことが多く、そろそろジンクスを破りたいところ。
話は変わりますが、皆さんプロツアーでのフィーチャー卓がどのように知らされるかご存知ですか?
まず案内の紙を見て、ポッドを確認し、その卓まで移動します。
そうすると、まず、人がいないんですよ。
イヤだなイヤだなー、怖いな怖いなー。と思って卓を見ると。
そこにあるんですよ。白い紙が。
「ここはフィーチャーテーブルです。」
......この世のモノじゃない。
2日目、初日を上位で終えたならいざ知らず、初日のポッドでフィーチャーテーブル。
それすなわち、意訳するとこういうこと。
『強者集う地獄へようこそ!』
そう、今回のプロツアー。ファーストドラフトはフィーチャーテーブルだったのです。
「Genesis」のブラッド・ネルソン/Brad Nelsonさん、チーム「武蔵」のチームメイトでリミテッド巧者の行弘賢さん、プロツアー『テーロス』チャンピオンのジェレミー・デザーニ/Jeremy Desaniさん、殿堂表彰者でリミテッドのプロツアーで4回もトップ8(そのうち1回優勝)に入ったことがあるアントン・ヨンソン/Anton Jonssonさんなど。
まさに強者の集う地獄そのもの。
初日/1stドラフト
16 基本土地
-土地(16)- 2 《深海艦隊の扇動者》 1 《イクサーリの卜占師》 1 《イクサーリの守り手》 1 《オテペクの猟匠》 1 《アゾカンの射手》 1 《激情の猛竜》 1 《暴れ回るフェロキドン》 1 《群棲する猛竜》 1 《突進するモンストロサウルス》 1 《怒り狂う長剣歯》 1 《レギサウルスの頭目》 3 《太陽冠のハンター》 1 《轟く棘背びれ》 -クリーチャー(16)- |
2 《恐竜との融和》 2 《確実な一撃》 2 《火炎砲発射》 1 《決別の砲撃》 1 《継ぎ当ての翼》 -呪文(8)- |
できたデッキがこちらで、フィーチャーテーブルにはピック譜が見られるドラフトビューワーなるものがあります。
私のピック譜はこちらでご覧ください。
まず初手は下手なレアより強い、(2回殴った時に入れられるダメージ量的にも)10点カード《突進するモンストロサウルス》から。
2手目はめぼしいものも無く、赤黒海賊になった時のバリューを考えて《凶兆艦隊の船長》。
3手目は赤は少なくともやりそうなので、優良除去《火炎砲発射》と赤を軸にピックが進みます。
そして4手目がこのピックのターニングポイントと言えるでしょう。4手目で強力な多色カード《怒り狂う長剣歯》が流れてきました。
このパックで抜けているレアリティはアンコモン1枚、コモンが2枚。上家はレアリティの低いカードからピックしていて、赤緑恐竜で上家と被るリスクは低いと考えました。
黒の流れの悪さもあり、このあたりから「赤緑恐竜」へシフト。
その後の流れはピック譜でも追えますが、2パック目の2手目に《暴れ回るフェロキドン》、そして3パック目の3手目に《レギサウルスの頭目》とフィーバー!
両隣のブラッド・ネルソンさんとジェレミー・デザーニさんは「白黒吸血鬼」をピックしていたようで、位置取りに成功し、強力なデッキを組むことができました。
気になる結果は!?
- 第1回戦 白赤恐竜(アントン・ヨンソンさん) ○○
- 第2回戦 白黒吸血鬼(ジェレミー・デザーニさん) ○○
- 第3回戦 青黒海賊(松本友樹さん) ×○×
惜しくも3-0ならず。
松本友樹さんはグランプリ/プロツアーでのドラフト勝率がなんと7割越えと超好成績らしく、このドラフトでも見事なデッキを組み上げていました。
複数枚の《立ち枯れの守り手》から始まる飛行クリーチャーを軸に、《順風》まで採用している完成度の高さで、お互いにデッキの良いところを出し合う展開で惜敗。
余談になりますが、松本さんはなんと2日目のドラフトラウンドも全勝でドラフトラウンド6勝0敗!
いやー、彼のドラフト力を高めたことで有名な私ですが、こうも成長してくれると鼻が高いものです。もし彼が来年の世界選手権にドラフトマスターとして出るようなことがあればビデオレター、撮りたいですね。
残念とは言え、ファーストドラフト2勝1敗は上々の滑り出しと言ったところ。
構築ラウンドにも期待が持てます。
初日/構築ラウンド
使用デッキは「4色エネルギー」。
3 《森》 1 《島》 1 《山》 1 《沼》 4 《植物の聖域》 2 《隠れた茂み》 3 《根縛りの岩山》 3 《尖塔断の運河》 1 《水没した地下墓地》 4 《霊気拠点》 -土地(23)- 4 《牙長獣の仔》 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 4 《つむじ風の巨匠》 2 《スカラベの神》 -クリーチャー(18)- |
4 《霊気との調和》 2 《マグマのしぶき》 4 《蓄霊稲妻》 1 《削剥》 1 《本質の散乱》 2 《慮外な押収》 2 《霊気圏の収集艇》 2 《秘宝探究者、ヴラスカ》 1 《王神、ニコル・ボーラス》 -呪文(19)- |
2 《多面相の侍臣》 3 《チャンドラの敗北》 2 《強迫》 3 《否認》 3 《宝物の地図》 1 《アズカンタの探索》 1 《人工物への興味》 -サイドボード(15)- |
このリストはチーム「武蔵」の八十岡翔太さんがベースを作り、それをチームでチューンしていった形です。
最も特徴的な点は《逆毛ハイドラ》が不採用。
対「アブザン・トークン」、「エスパー・王神の贈り物」に弱く、サイドアウト率の高さが目立つ《逆毛ハイドラ》。コントロールも「青黒コントロール」から「青白・副陽の接近」になってきている動向で、対コントロールでも真価を発揮しないことも多々あります。また、エネルギー同型でも決め手に欠ける《逆毛ハイドラ》は不要と判断。
そのスロットに。対「ラムナプ・レッド」で強く、かつ「ティムール・エネルギー」の《栄光をもたらすもの》、《つむじ風の巨匠》に待ったを掛ける《霊気圏の収集艇》。
また、チームでの調整でエネルギーは《スカラベの神》、《秘宝探究者、ヴラスカ》を採用したタッチ黒型が主流になるという観点から、そこからさらにレイヤーを掘り下げる、つまりちょっと重くする形で同型に勝つアプローチを採りました。そのため《秘宝探究者、ヴラスカ》の上のマナ域をいく《王神、ニコル・ボーラス》を1枚採用。
サイドボードには《宝物の地図》を採用。
《牙長獣の仔》などへの対策としてクリーチャー除去を入れて来た相手に対してその思惑を外すように。メインがやや重めなこともありマナ加速にも意味があります。[-3]能力で宝物を生み出す《秘宝探究者、ヴラスカ》との相性は抜群!
《宝物の地図》→《スカラベの神》→《秘宝探究者、ヴラスカ》のラインは、最終的に没案となった行弘さんの《巻きつき蛇》を軸とした「4色エネルギー」から着想を得ています。
前回の記事で掲載していた自分が調整した「4色エネルギー」とは趣が大きく異なりますし、なんとアメリカへ出発する前日での大がかりな変更。
この構成にしてからはテストプレイも十分に行えておらず、不安はありましたが、八十岡さんを筆頭にエネルギー系デッキを使うと決めたチームメイトはこの形に満足している様子。
そのため、直前ではありますがチームメイトの提案に乗ることにしました。
最終的に没デッキにはなったものの、行弘さんのデッキからノウハウを吸い上げて構築したこの「4色エネルギー」はまさにチーム「武蔵」の知力の結集と言えます。
勝つぞ、プロツアー!
- 第4回戦 ラムナプ・レッド ○○
- 第5回戦 4色エネルギー(マイク・シグリストさん) ×○×
- 第6回戦 ティムール・エネルギー(ジョン・フィンケルさん) ○○
- 第7回戦 青黒コントロール ×○×
- 第8回戦 エスパー・王神の贈り物×○×
と意気込むものの結果は2勝3敗。ドラフトラウンドと併せて4勝4敗で2日目へ。
第5回戦のマイク・シグリスト/Mike Sigristとの同型対決はお互いにマナスクリューでゲームを落とし合った後に先手で《導路の召使い》、《反逆の先導者、チャンドラ》《自然に仕える者、ニッサ》《秘宝探究者、ヴラスカ》とプレインズウォーカー攻勢に敗北。
第7回戦は《宝物の地図》を置いて《強迫》をプレイしてゆっくりしようと思ったら《スカラベの神》がこんにちはして負け。
第8回戦は土地多めではあるけれどマッチのキーとなる《スカラベの神》があったのでキープしたら《ヴラスカの侮辱》でキレイに処理された後にマナフラッドしてバニラビートダウンを止められず負け。
と負け方もあまり良くない感じ。
調整チーム「武蔵」でこの形の「4色エネルギー」を使用したのは5人。
各人の構築成績を追ってみると、
- 八十岡翔太 3勝2敗
- 渡辺雄也 2勝2敗1分
- 原根健太 2勝2敗ドロップ
- 市川ユウキ 2勝3敗
- 行弘賢 0勝3敗
勝ち越しはわずかに八十岡さんのみと、このメンバーを鑑みると恐ろしく低い勝率。
「これって......もしかしてこのデッキ......。」
皆まで言うな、明日にはわかるさ。下ブレしているだけかもしれない。
と自分の気持ちを押し殺し初日を終えます。
2日目/2ndドラフト
初日4勝4敗ということもあり、マイルドな卓(これはマイルドな表現になります)を期待して行ってみると。
今年の世界選手権準優勝者のハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezさん、プロツアー『イニストラードを覆う影』優勝のスティーブ・ルービン/Steve Rubinさん、殿堂顕彰者のパトリック・チャピン/Patrick Chapinさんと強者うようよ。
こ、これが......これがプロツアーだ!!
16 基本土地
-土地(16)- 1 《這い回る心止虫》 1 《深根の戦士》 1 《大物群れの操り手》 1 《イクサーリの卜占師》 1 《イクサーリの守り手》 1 《帆凧の掠め盗り》 3 《ティシャーナの道探し》 1 《流血の空渡り》 1 《葉を食む鞭尾》 1 《レギサウルスの頭目》 1 《棘尾ケラトプス》 1 《巨大な戦慄大口》 1 《女王の工作員》 1 《古代ブロントドン》 -クリーチャー(16)- |
1 《卑怯な行為》 1 《川守りの恩恵》 2 《新たな地平》 1 《吸血鬼の印》 3 《依頼殺人》 -呪文(8)- |
そしてこれまた微妙な黒緑ノーシナジーの完成。
まず最初のパックから鬼門でした。
レアは《風雲船長ラネリー》、だが《ティロナーリの騎士》《猛竜の幼生》と赤のグッドカード+《空の恐怖》と赤白のカードもありあまり食指が伸びません。
ということでちょっと使い勝手は悪いがまぁ確定除去な《依頼殺人》をピック。パックに他に黒いカードが無いことも判断材料でした。
その後は赤いカードだけピックせず、黒軸で、あとは白、青、緑をつまむ感じでピック。
その後11手目ほどで緑のグッドカード《葉を食む鞭尾》が《好戦的なブロントドン》と共に流れてきました。
このタイミングで守る形の緑は卓にいなそうだなと踏み黒緑に。
黒緑はそもそもなかなか成立しづらい、サブアーキタイプといった感じで、《野茂み歩き》や《隠れ潜むチュパカブラ》を軸とした探検シナジーが売りです。
1パック目終了時点で探検はまぁまぁ取れているが、《野茂み歩き》や《隠れ潜むチュパカブラ》は見ていないといった状態で、でも卓に黒緑がいなければ流れて来るカードでもあるので、寝てても取れるだろう......。と考えていたら起きていても取れませんでした。
《新たな地平》、《依頼殺人》と色マナに困らない構成なのでタッチできる強カード、ドンと来い!といった受け入れ体制だったのですが、そんなカードはとんと来ず。
3パック目の初手で取った《レギサウルスの頭目》だけと寂しい感じに。
また、《巨大な戦慄大口》が1枚しか取れず、深刻なファッティ不足から《古代ブロントドン》を入れる始末。《依頼殺人》から6ターン目に出るし......と自分を説得しての投入。
- 第9回戦 青緑マーフォーク ××
- 第10回戦 白黒吸血鬼(パトリック・チャピンさん) ○○
- 第11回戦 赤白恐竜(ハビエル・ドミンゲスさん) ○○
と震え声ではありましたがなんと2勝1敗。
このデッキにしては僥倖な結果に。
1戦目は上家の「マーフォーク」。
2パック目で《自然形成師》2枚も流したわ......と真顔になっていたらそんなこと関係なく《見習い形成師》からの《水罠織り》ビートで瞬殺。
自分が喉から手が出るほど欲しかった《巨大な戦慄大口》も出されたりして精神的にもボコボコ。
次は「白黒吸血鬼」を駆るパトリック・チャピンさん。
ですが完成度は低く、飛行クリーチャーが全然出て来ません。
本人のテンションも見るからに「失敗デッキ組んでしまった......デッキ弱い......。」と言いたげな感じで、1ゲーム目、2ゲーム目ともに《帆凧の掠め盗り》に《吸血鬼の印》を付けて一生通り続けて勝利といった感じでした。
3戦目はこの間の世界選手権で準優勝だったハビエル・ドミンゲスさん。
《猛竜の相棒》や《身勝手な粗暴者》が複数枚入っているかなり前のめりな赤白ビート。
2/2、3/3どっちでも頼もしいブロッカー《ティシャーナの道探し》。
盤面を平らにした後に出て来る《女王の工作員》が頼もしく快勝。
「いやーこんな失敗デッキで2勝しちゃったよー」
とヘラヘラしていたら、
「いや、《依頼殺人》のような確定除去がしっかり取れているし、《吸血鬼の印》、《女王の工作員》などのライフを押し戻す手段があるから悪くないよ。地上で攻めてくるビートダウンにはまず勝てる。」
と八十岡さんの鋭い指摘が。確かに。
2日目/構築ラウンド
と、ここまででトータル6勝5敗。
構築ラウンドを4勝1敗以上で終えれれば、トータル10勝6敗とプロポイントの上乗せが期待できます。振るえ構築!
- 第12回戦 4色エネルギー ×○×
- 第13回戦 ティムールエネルギー ×○×
- 第14回戦 白単吸血鬼 ××
鼻血ブー!! 惜しくもなんともない0勝3敗。
トータル6勝8敗で、これから全勝してもプロポイントの上乗せがなくなってしまったの無念のドロップ。
3.まとめ
デッキが弱かった
歯に衣着せぬ物言いでいきますと、ぶっちゃけた話これに尽きます。
デッキ、弱かったです。
やはり、《逆毛ハイドラ》は必要でした。
ティムール同型での勝率の低さはここから来ています。
対戦相手の《逆毛ハイドラ》に対処できずに負けること多数。
《逆毛ハイドラ》への対応はこちらも《逆毛ハイドラ》で相打ちするのが最もスマートで、それができない以上対戦相手の《逆毛ハイドラ》は盤面の脅威となります。
MOで練習しているときも《逆毛ハイドラ》のありがたみを同型戦で感じていなかったのですが、《逆毛ハイドラ》同士のぶつかり合いがあった後の《スカラベの神》、《秘宝探究者、ヴラスカ》などの上のマナ域だなぁと考えさせられました。
4枚入れないにしても、メインサイド合わせて《逆毛ハイドラ》、《多面相の侍臣》トータルで5枚程度必要だったなという体感。
また、サイドの《宝物の地図》も非常に使い勝手が悪く、サイドスロットを圧迫しただけったなという感想。
常にマナを使い切る「4色エネルギー」にはあまり合っていないカードで、テンポを犠牲にしてマナを注いでいったとしても《削剥》や《慮外な押収》などされ、特に後者は負けに直結します。
トップデッキしても弱く、明確な失敗でした。
反省
出発前日に《逆毛ハイドラ》抜きの今回のリストを見せられ、《逆毛ハイドラ》入りのリストを調整していた私は《逆毛ハイドラ》の必要性を一度は周囲と議論しましたが、自分の中でも明確に理論付いておらず(特に同型戦)、決定打に欠けた点。
また自分の検証結果、感想なしに周りの評価を信じてしまい、自分が手ごたえを感じているリストを投げてしまった点。
周りに《逆毛ハイドラ》の有用性を説けなかったとしても、最悪自分を信じて「自分は自分が調整したリストで出るよ」といったような形にすれば良かったです。
プロツアーの調整はチームメイト以外との交流は基本的になくなり、MOでの実戦以外、ある種の閉鎖された中での調整となります。
そのため、さまざまな情報を精査して最適解を見出して結果を出して来た自分としてはプロツアーでのデッキ選びは苦手な分野で、冷静さに欠くタイミングも多く、今後の課題と言えるでしょう。
うだうだとネガティブなことを書き連ねても読者は面白くないと思うのでこのあたりでやめておくことにします。
次は自分の調整に自信を持ち、後悔のないデッキ選択をしたいですね!
と、いうことで相も変わらずシーズン最初のプロツアーは参加点の3点のみで終わってしまいました。
当面、ゴールド以上を目指して、地道なプロポイント獲得の旅が続きそうです。
次のプロツアーではドカンと勝って、皆さんに報告できるようにしたいですね!
今回の記事はいかがでしたでしょうか? また次の記事でお会いしましょう!
市川
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