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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『霊気紛争』 後編
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『霊気紛争』 後編
こんにちは! Team Cygames所属の市川です。
今回は、前回の続きとしてプロツアーに向けての大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします。
0.ドラフト雑感
大会レポートの前に恒例のドラフト雑感です。
またこれも恒例となっている私が所属するプロチーム、Team Cygamesで合宿を行いました。Cygamesさんいつもありがとうございます!
■環境最強色は赤
『霊気紛争』参入後の環境最強色は赤。
《霊気追跡者》は2マナ2/1先制攻撃とこの時点でコモンとしてのスペックを満たしているにも関わらず、(大体)1/1のアーティファクトクリーチャーがお供に付いてきます。
それにより《搾取工区の喧嘩屋》などの新キーワード能力「即席」と無理なくシナジーすることができ、スペック良し、シナジーあり、何枚取っても良しの3枚看板で全色見渡しても環境のトップコモンと言えるでしょう。
相手の手札によっては除去+《時間のねじれ》となり得る優良除去《チャンドラの革命》、フィニッシュブローとなりつつアーティファクト除去としても使える《破壊的細工》。
一周が期待できるラインのカードでも《正確な一撃》や《ラスヌーの帆背びれ》などのプレイに値するカードがあったりと、コモンの最大値、平均値ともに最高と言えます。
その他、これに《巨大化》系スペルを打つだけで勝ててしまう《屑鉄会の勇者》や、適当に5マナくらいで出しても強い(3マナくらいで出せたらもっと強い)《怒れる巨人》など、アンコモンも充実。
■次点は白
次点は白、環境最強色の赤ほどではないですが、プチ《踏み荒らし》+警戒でライフレースを一気に有利にする《暁羽の鷲》やコンバットトリック、除去回避、こちらも新キーワード能力である「紛争」をさせやすくしてなんとも便利な《路地への回避》だったり、
また、『霊気紛争』のコモンの中で唯一、2マナでパワー3を有している《大胆な潜入者》が個人的には《暁羽の鷲》を抑えて白のトップコモンです。
アーティファクト・クリーチャーにブロックされないことによって、タフネス1であることのデメリットはかなり軽減されていますし、何より貧乏アグロデッキの味方、《鉄装破壊車》に1人で乗れるのは素晴らしい。
また1ターン目セブンイレブンこと《領事府の弩級艦》、2ターン目《大胆な潜入者》と動くと、3ターン目に適当なパワー3を出すだけで《領事府の弩級艦》が3ターン目から殴り出せます。
その他《飛空士の提督》や、ピーナッツこと(アーモンドだろという意見もあります)《浮遊化改造》など、機体をバックアップするカードが多く、白は機体を絡めた構築が期待されます。なんちって。
■紛争してライバルと差をつけろ!緑
次は緑、《たかり猫猿》は紛争して良し、相手の場を見てアタッカーにカウンターを載せて有利にコンバットを進めるも良しと、《霊気追跡者》に次ぐ強コモン。
ただ、逆に《たかり猫猿》から緑をつまみ出す人もいるので、卓に少数になることもあまりないのが玉にキズ。
環境の《巨大化》系スペルがほとんど+2/+2以下であることを考慮すると《高峰の注入》は希有な存在。
『霊気紛争』には『カラデシュ』と違い適当にエネルギーを生み出すカードが少ない関係から、《高峰の注入》で得られるエネルギーはサバンナにあるオアシス級や~!
ここまで聞くと良いことづくめに聞こえますが、今回の「市川的想像より大したことなかった大賞」をダブル受賞してしまった《僧帽地帯のドルイド》、《捕食》があることから3番手に。
《僧帽地帯のドルイド》はマナフラッドに対する受けを作り辛い環境であることから、2ターン目にプレイできなかった時のリスクが普通のドラフト環境より強く感じます。
また《捕食》は、カラーリング毎にクリーチャーのサイズ差があまりなく、また2/3サイズが多いためプレイしづらいことが多いです。
場によっては《新緑の機械巨人》より強いことも多々ある《起伏鱗の大牙獣》、適当に打ってもニコイチ、ちゃんと打つと《砂塵破》になる《巨怪の猛攻》。
緑多色まで含めると構築でも大活躍中の《巻きつき蛇》、適当に2マナ域を相打ちした後に出てくると血反吐が出る《改革派の結集者》など強力なアンコモンが多いので、緑は卓のシグナルを読み取ってアンコモンから参入したいところ。
ここまでの赤、白、緑は優劣こそあれどコモン、アンコモンが充実していますので、レアが無くても3-0するチャンスがあります。つまり......
■レアがないと勝てません!青
青のコモンは《霊気急襲者》がダントツ。
スペックは2マナ1/2飛行と並オブ並ですが、赤の《霊気追跡者》と似たような役割を持つことができます。
ただ、それに次ぐコモンが《内陸のドレイク》となんともパッとしない感じ。
使用に耐えうるクリーチャーが少なく、メインカラーにはなりづらい。
かといって除去も癖のある《凍り付け》だったり、悪くはないけど重さが気になって複数枚の採用はためらわれる《置き去り》だったりと何とも微妙。
《発火器具》、《悪意器具》などの各種「器具」と併せて(肝心な青の器具、《検査器具》が3マナと重いのがイラッとさせます)「即席」デッキにするのが理想ですが、競合するプレイヤーが卓に1人でもいると完成度が低くなってしまい......。
やはり出したら勝つ《霊気海嘯の鯨》や、打ったら勝つ《バラルの巧技》などから入らないと、青には食指が動きません。
■コモンの弱さ際立つ黒
青とかなり(低いレベルで)競っていますが、およそ私の中では黒が最弱色。
《霊気毒殺者》がトップコモンですが、《霊気追跡者》、《霊気急襲者》と比べて「序盤は回避能力や先制攻撃で止まらないのでエネルギーがあれば1/1を2~3体出せる可能性がある」みたいなことがなく、ただただ相手の適当な2マナ域と相打つので見た目ほどのスペックではありません。
その他、ダブルシンボルがキツい確定除去《果敢な爆破》が次点で、その次はというと
使い辛い《ナントゥーコの鞘虫》、そして絶妙に「即席」と噛んでいない《強気な回収者》。「なんでタフネスの方が3やねん」部門受賞の《路地の絞殺者》などなど、もう取りたいコモンがない!
アンコモンまで見渡しても、見た目強いけど大体3マナパワー3と相打つ《才気ある霊基体》、構築ほど強くない《致命的な一押し》など他の色と比べて陰キャ感が否めません。
実は青と違って1枚で勝てるレアカードは霊気紛争では《艱苦の伝令》くらいしかおらず、煮てダメ、焼いてダメ、レアもダメな黒。
■ピック方針
ここまでズラズラと各色の感想を書きましたが、私のピック方針は「赤白緑の中から2色がベスト。青と黒に行く時は爆弾レアからのみ」となりました。
ドラフト合宿中の3-0デッキは《改革派の結集者》や《改革派の車輪職人》のようなマルチカラーのアンコモンを早い巡目でピックして、その2色に舵を切る手法が一番うまく行っていたように思えたので、それも意識。
また、レアなしコモンデッキの鉄則として「《鉄装破壊車》1枚、《アラダラ急行》1枚、あとパワー3と《巨大化》系呪文」が私の中ででき上がっていたので、上記機体2枚も意識してピックすることにしました。
1.プロツアー
いよいよプロツアー本戦です。
今回からチームシリーズというものが始まりました。
チームメイトは同じスポンサードで元からチームメイトである渡辺雄也さん、山本賢太郎さん、覚前輝也さんと私のTeam Cygamesを中心に、
Dig.cards所属で、昨シーズンプロツアー『異界月』でトップ8入賞、悲願のゴールドレベル復帰を果たしノっている行弘賢さん、
そしてHareruya Pros所属で、前回のプロツアー『カラデシュ』で見事優勝された八十岡翔太さん二人を誘って結成、まさに日本最強チームと言わんばかりの顔ぶれ。
特に八十岡さんは晴れる屋メンバーでチームを組むからダメだろうなと思いながら聞いてみたら(Team Cygamesの動画収録の帰りでした)、「良いけど」の二つ返事で承諾されて、とても嬉しかったですね。
ともあれ、自分の勝利はチームの勝利に。
自分の敗北はチームの敗北に。と、自分だけの問題では済まなくなったプロツアー。
チームのためにも負けられないぞ!
1日目/ドラフト
9 《沼》 7 《山》 -土地(16)- 1 《霊気追跡者》 1 《領事府の空船口》 1 《鋳造所のスズメバチ》 1 《襲拳会の部隊》 1 《楕円競走の無謀者》 1 《怒れる巨人》 2 《バリケード破り》 2 《湿原の運び屋》 -クリーチャー(10)- |
1 《発火器具》 1 《鎮定工作機》 1 《ショック》 3 《悪意器具》 1 《炎鍛冶の組細工》 1 《金属紡績工の組細工》 1 《活力の奔出》 1 《残酷な決断》 1 《改革派の逃亡》 1 《チャンドラの革命》 1 《ヤヘンニの巧技》 1 《当然の結論》 -呪文(14)- |
何、この紙束......。
ピック最中はアドレナリンが分泌していて全く気付きませんでしたが(無我夢中で《悪意器具》をピックしていたため)、この並べた時のヴィジュアルの悪さ。
2マナ以下のクリーチャーが全然いないし(置物はたくさんある)、というかそもそもクリーチャー全然いないし、なのに7マナのクリーチャー4枚入っているし。
と、頭がクラクラするデッキが爆誕。
チームメイト......すまん......先に(初日落ちへ)逝くぞ......!!
- 第1回戦 白赤(玉田遼一) ○○
- 第2回戦 赤緑 ○×○
- 第3回戦 青黒緑 ○○
ナ、ナンダッテー!!
組んだ本人もびっくり、望外の3-0スタート。
およそ卓に出ていたカードが弱かったようで対戦相手のデッキも微妙&相手の事故も多く、総じて幸運でした。
《バリケード破り》はこれだけアーティファクトが入っていると安定して4ターン目に出て、《活力の奔出》《改革派の逃亡》と組み合わせて相手が死ぬまで殴り切る《バリケード破り》君完走状態が多く、デッキのエースでした。
また、《ヤヘンニの巧技》はデッキの出足の悪さ(というか序盤何もしない)をカバーしていて、デッキに非常に噛み合っていました。《炎鍛冶の組細工》や《残酷な決断》と組み合わせて大物も倒したりなんか上手くなった気分。
ドラフトには無限の可能性があるなぁ......とか考えながら最高のスタートで構築ラウンドへ。
1日目/構築
使用デッキは4色機体。
3 《平地》 1 《沼》 4 《秘密の中庭》 4 《感動的な眺望所》 4 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 -土地(24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《歩行バリスタ》 3 《ピア・ナラー》 3 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(20)- |
4 《致命的な一押し》 4 《キランの真意号》 4 《無許可の分解》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(16)- |
1 《断片化》 1 《ショック》 1 《蓄霊稲妻》 4 《熱病の幻視》 4 《金属の叱責》 2 《空鯨捕りの一撃》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
「緑黒にも《サヒーリ・ライ》にも勝てる」
とアグロデッキを好んで使う覚前さんがチーム調整に持ち込んだのは、《致命的な一押し》入りの4色機体でした。
私も構築合宿までの間に機体デッキも調整しましたが感触は良くありませんでした。
《巻きつき蛇》や《残忍な剥ぎ取り》などの致命的な2マナクリーチャーに対して、2マナの除去《蓄霊稲妻》や《石の宣告》をプレイしていたらこちらはクリーチャーを展開できず、いずれ《精神壊しの悪魔》や《新緑の機械巨人》などの高マナ域のクリーチャーが出てきて押し込まれる。そんな展開が続いていたからです。
しかし、その除去のスロットが《致命的な一押し》、1マナのカードになると話は変わります。
例えば先攻であれば1ターン目《模範的な造り手》、2ターン目《キランの真意号》、返しに相手《巻きつき蛇》、3ターン目《屑鉄場のたかり屋》を展開しながら《致命的な一押し》をプレイしてしまえば、手数の差で緑黒側にはもう巻き返す術はほぼありません。
また、《サヒーリ・ライ》コンボにも機体デッキはデッキの構成上有利です。
《サヒーリ・ライ》コンボを止めるには、
- 殴るデッキであること(3ターン目に唱えられた《サヒーリ・ライ》が戦場に定着しないこと)
- インスタントタイミングの確定除去があること
- 上記2つ以外の妨害要素があること
の3つがデッキに組み込まれていることが望ましいです。
1は言わずもがな、2も《無許可の分解》(《致命的な一押し》も手掛かり・トークンや《ピア・ナラー》の起動型能力で紛争して《守護フェリダー》を触れるようになることも多いです)が入っているためクリアー。3も《異端聖戦士、サリア》に《歩行バリスタ》と《サヒーリ・ライ》コンボが多い日も安心!
この4色機体は構築合宿で緑黒アグロと、《サヒーリ・ライ》コンボをバッタバッタと倒し、調整チームメンバー7人はこのデッキを調整して持ち込むことに決めました。
このデッキ構成には《産業の塔》によりマナベースが強くなったことが影響しています。
2マナ以下のアーティファクトカウントのカードが《スレイベンの検査官》《キランの真意号》《屑鉄場のたかり屋》《歩行バリスタ》と14枚入っていますので、3ターン目には高い確率で《産業の塔》は色マナとして機能します。
そのため、サイドボードには4色から強力なサイドカードを選択することができます。
苦手なマッチアップである緑黒「昂揚」(《墓後家蜘蛛、イシュカナ》や《最後の望み、リリアナ》が入っているようなロングレンジな形を想定しています。)に強力な《金属の叱責》。
また、《電招の塔》を軸とする青黒系コントロールも調整過程で相性が悪いと感じたのでクリティカルに刺さる《熱病の幻視》をサイドに取ることに。
前週、前々週のSCG Openで機体は全くといって勝っていなかったことから、ガードも低いだろうと立ち位置もバッチリ!
もらったこのプロツアー!
- 第4回戦 4色機体(Jon Finkel) ○××
- 第5回戦 緑黒カウンター ○○
- 第6回戦 緑白トークン ×○×
- 第7回戦 ジェスカイ・サヒーリ ××
- 第8回戦 4色機体(Rich Hoaen)○○
と思ったらガーン。
構築2勝3敗、合わせて5勝3敗で2日目へ。
第6回戦の緑白トークン戦は第3ゲーム相手先手《ラムホルトの平和主義者》、《ピーマの改革派、リシュカー》から、
4ターン目《大天使アヴァシン》、《歩行バリスタ》X=0で《大天使アヴァシン》変身に対し、《無許可の分解》を持っておらず負け。
第7回戦は練習では一度も負けなかったジェスカイ・サヒーリ相手に土地8:呪文2を引いた後に土地2:呪文8と来てしまい敗北。
マリガンも多く、不運な負け続きに完全に参ってしまっていましたが、最終戦はRich HoaenとのミラーマッチでRichが盛大に2ゲーム事故って辛くも明日に繋がりました。
しかし機体デッキの多いこと。
どこのチームも同じことを考えていたようで、ふたを開けてみるとなんと機体デッキは22.4%と堂々のトップメタに。
私たちが最終的にデッキに入れなかった《霊気圏の収集艇》をメインから取っているリストも多く確認され、またそれがミラーマッチで絶大な影響があることから、明日はミラーマッチやりたくないなぁと考えながら帰路へ。
2日目/ドラフト
そんなこんなで2ndドラフトです。
初日のドラフト卓は日本人は玉田遼一さんだけでしたが、今回のドラフト卓には清水直樹さん、松本友樹さん、そして殿堂プレイヤーで久しぶりにプロツアーに来られている藤田剛史さんと、なんと日本人が私を含めて総勢4人!
写真ではみんな楽しそうですが、私としては単純に日本人プレイヤーはドラフトが平均して強い傾向にあるので日本人多い=厳しい戦いになりそうだ......となっていてちょっとテンションダウン。
7 《森》 7 《山》 1 《沼》 1 《霊気拠点》 -土地(16)- 2 《僧帽地帯のドルイド》 1 《霊気追跡者》 1 《牙長獣の仔》 1 《溶接自動機械》 1 《歯車組立工》 1 《ピア・ナラー》 1 《無謀なレーサー》 1 《霊気運用者》 1 《財宝の守り手》 3 《怒れる巨人》 1 《バリケード破り》 -クリーチャー(14)- |
1 《霊気との調和》 1 《発火器具》 1 《獰猛器具》 1 《橋上の戦い》 1 《放射篭手》 1 《人工物への興味》 1 《飲み込む炎》 1 《弱者狩り》 1 《鉄装破壊車》 1 《アラダラ急行》 -呪文(10)- |
う~ん、これまた微妙な......。
クリーチャーも《僧帽地帯のドルイド》が2枚入っていたり、ちょっと物足りなさも感じますし、
一番の問題点はコンバットトリックが一切取れていないこと。
序盤は赤いカードしかピックしておらず、緑を確定させたのが3パック目の初手の《牙長獣の仔》だったので、序盤に流れていた《高峰の注入》を拾えていなかったことが致命的でした。
3パック目3手目で《撃砕確約》を見たのですが、《橋上の戦い》をタッチする関係から《霊気拠点》が是が非でも欲しく、そっちを取ったらついぞコンバットトリックを見ず。
よく考えたら緑が絡んでいるなら《霊気との調和》があるし代用も効くので、素直に《撃砕確約》をピックした方が良かったかもしれません。
- 第9回戦 赤黒 ○○
- 第10回戦 白黒(松本友樹) ×○○
- 第11回戦 青黒赤(清水直樹) ○○
え、えー!!
とまたも望外に3-0。
第10回戦の松本さんの白黒は《秘密の備蓄品》がなんと3枚も入っていて(私が1枚カットしているにも関わらず!)、それを中心に《銛撃ちの名手》や《復讐に燃えた反逆者》などの「紛争」カードとシナジーする強力なデッキ。
ただ、トランプルを持っている《怒れる巨人》、威迫持ちの《アラダラ急行》でなんとか寄り切り。
第3ゲームは相手のマリガン後のもたつき+こちらのブン回りもあり相当悔しかったのか、終わったあと「フリープレイしませんか?」とプロツアーで初めて聞かれました。(断りました。)
第11回戦の清水さんは《策謀家テゼレット》、《バラルの巧技》とレアてんこ盛りの強力デッキ。
ただ即席デッキゆえ、ちょっと痩せていたので、赤緑特有の線の太さを見せつけて勝ち。
総じてコンバットトリックが入っていない関係でデッキに入れた《放射篭手》が良く働いてくれました。
即席によって《怒れる巨人》を早く出すことにも貢献してくれますし、《霊気追跡者》や《無謀なレーサー》などの先制攻撃持ちとも相性が良い、マナフラッドにも強いと良いことずくめ。
と、いうことでドラフトラウンドは当初に定めていたピック方針がガッチリはまって?見事に6-0!
ちなみにプロツアーで6-0したプレイヤーは全体で4人だったのですが、そのうちの私、三原槙仁さん、廣澤遊太さんはなんとTeam Cygamesドラフト合宿勢! ドラフト合宿の成果が見事に出たプロツアーでした。
2日目/構築
最高の状態で構築ラウンドへ。
4連勝すると最後ID(合意による引き分け)でトップ8も狙えます。
また、3勝2敗以上でも当初目的としていたゴールドレベル到達ライン=11勝5敗をクリアーすることができます。頑張るぞー!!
- 第12回戦 4色機体(Owen Turtenwald) ○××
が......駄目っ......!! 目の前に現れるは最強Owenッ......!! 一分の隙もない......!! 圧倒的敗北っ......!!
- 第13回戦 ジェスカイ・サヒーリ ×○○
- 第14回戦 4色機体(Matthew Costa) ○××
何とも早い5敗目。あと2ラウンド、なんとか2連勝で終わりたい......。
- 第15回戦 緑黒昂揚 ○×○
- 第16回戦 緑黒アグロ ○○
と念仏のように唱えていたら願いが叶ったのか何とか2連勝、最終11勝5敗でフィニッシュ。
構築ラウンド中は終始勝ちは辛勝、負けは事故の展開が多く、フラストレーションは溜まるわ心臓に悪いわで全ラウンド終わった後は疲労でグッタリでした。
2.反省
今回はドラフトラウンドが6-0と最高の成績を叩き出したものの、構築ラウンドが5-5と足を引っ張り、平々凡々なスコアで終わってしまいました。
機体デッキを使ったことに後悔はありません。
ふたを開けてみればトップ8に機体デッキはマルドゥ、4色含む6つが入賞。
2日目のメタゲーム・ブレイクダウンを見ても、2日目進出率は75.8%と、緑黒アグロ、《サヒーリ・ライ》コンボ、機体の三すくみの中ではトップで、明確に今大会では勝ち組だったでしょう。
数ある選択肢の中から機体デッキをチョイスしたこと、これは正しかったことだと思います。
ただ、私たちが使った4色機体の構築はベストではありませんでした。
特に《歩行バリスタ》のスロットです。
《致命的な一押し》を入れている関係からマナベースの都合上、《経験豊富な操縦者》が出しづらい、単純にカードパワーが低い(とされていた)という結論で採用に至りませんでしたが、これは大きな間違いでした。
機体デッキはマナフラッドもマナスクリューも許容できないデッキです。
3ターン目に3枚目の土地を置けなかったがために《ピア・ナラー》がプレイできない、呪文3土地4でキープしたら3連続で土地を引いてしまったり、そのような引きムラが勝敗に直結します。
そのような引きムラを回避してくれる《経験豊富な操縦者》は、カードパワーが低いとかそういう議論以前に、デッキに必要なカードだったとプロツアーが終わった今は感じています。
他の調整チームは《霊気拠点》を2~3枚に減らして《鋭い突端》、《乱脈な気孔》などの2色土地を採用するなどしてマナベースの強化に努め、《経験豊富な操縦者》を出しやすい構造にしていました。
機体デッキ同型に0勝3敗で、全て1ゲームは取れていることから、この安定性の差が明暗を分けたなと考えています。
また、私たちが想定していたより青いコントロールデッキが環境にいなかったこと。
これにより、サイドのスロットを4枚取っている《熱病の幻視》がほぼ無駄カードとなってしまったことが誤算でした。
他の調整チームは同型を見据えてメインから《霊気圏の収集艇》を採用していたり、サイドボードに《大天使アヴァシン》や《領事の旗艦、スカイソブリン》、また《グレムリン解放》などの重たくて盤面に影響を与えるカードを多く取っていて、メタゲームの読みでも少しのフォーカスのズレがありました。
ただ、私たちのメインの構成だと《経験豊富な操縦者》を取っていない関係から5マナ以上のカードをサイドに取ることに裏目が発生するので、やはり《経験豊富な操縦者》を取っていないことが全ての歯車を......と長くなるのでこの辺でやめておきましょう。
ただ、良いこともありました。
なんとチーム「武蔵」、12勝4敗でプロポイント15点を獲得した行弘賢を筆頭に高アベレージを叩き出し、チームシリーズ暫定1位タイに!
最終ラウンドが始まる前にチームメイトと「全員が最終ラウンド勝つとプロポイント49点で多分1位だね」と冗談で言い合っていたのですが、まさか本当に全員勝つとは。
あとプロツアーは残すところ2つありますが、チーム「武蔵」、最良のスタートを切ったのではないでしょうか。なんとしても6人で決勝の椅子に座りたいですね!
3.おわりに
なんにせよ11勝5敗で獲得プロポイント10点、賞金2000ドルを獲得。
持っていたプロポイントと合わせて29点で来期のゴールドレベルを確定させました。
この進捗状況は私がプロツアーに出始めてから最速で、2年ぶりのプラチナレベル復帰も目指せます。
次に出る大会は「グランプリ・静岡2017春」!
フォーマットはスタンダードで、今回の構築成績のリベンジにもなりますし、グランプリキャップの関係もあってできるだけ大きくプロポイントを取りたいところ。
それでは静岡で、もしくは次の連載でお会いしましょう!
市川
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