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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『ゲートウォッチの誓い』 前編
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『ゲートウォッチの誓い』 前編
こんにちは!Team Cygames所属の市川です。
今回もプロツアーに向けての調整記/大会レポートを綴って行こうと思います。
今回は2月5日~7日にかけて行われましたプロツアー『ゲートウォッチの誓い』に向けての調整記をお送りします。よろしくお願いします。
0.モダンフォーマットの印象
禁止改定を受けて
モダンプロツアーと言えば禁止改定。
モダンフォーマットはスタンダードのようなローテーションが存在しないため、禁止/解禁で環境をコントロールします。
前回は《出産の殻》《時を越えた探索》《宝船の巡航》が禁止になり、環境が激変しましたが今回は......?
ガ、ガビ~ン!(昭和生まれ特有のリアクション)
《花盛りの夏》は《精力の護符》デッキがプロツアー『運命再編』以降各グランプリでブイブイ言わせていて、《精力の護符》と《花盛りの夏》の織り成すそのアンフェアな動きからデッキのパーツのどれかが禁止になるだろうというのは前評判通りでした。
しかし、《欠片の双子》が禁止になろうとは......まったく想像に及ばず。
確かに《欠片の双子》デッキはプロツアーで2回優勝していますし、グランプリなどでも毎回トップ8にいるのではないかと言うほどの安定ぶり。
構築も非常に柔軟で、固定パーツは《詐欺師の総督》と《欠片の双子》のみで、それらすらも4枚固定ではなく2~4枚の間で構成されています。
純正の青赤2色が基本とされていますが、《タルモゴイフ》を足した青赤緑、《黄金牙、タシグル》や《終止》をタッチしたグリクシス(青赤黒)などその構成は千差万別。
その柔軟性とプロツアー、グランプリなどの成績を鑑みて禁止になった《出産の殻》と比べても見劣りせず、その点では合点がいきます。
ただ、《欠片の双子》デッキは環境の抑止力と考えられていました。
モダンフォーマットは攻め手側のカードが強く、相手の動きに干渉せず自分の動きだけにオールインするようなデッキはいくらでも作れましたが、それを3ターン目《詐欺師の総督》、4ターン目《欠片の双子》コンボが咎めていたからです。
それゆえ、《欠片の双子》が禁止になったモダン環境はスピード勝負必至。
《欠片の双子》コンボに苦汁を舐めされられていたオールインデッキが台頭するのは容易に想像が付きました。
4 《島》 1 《山》 3 《蒸気孔》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 4 《硫黄の滝》 1 《魂の洞窟》 2 《僻地の灯台》 -土地(23)- 4 《瞬唱の魔道士》 2 《若き紅蓮術士》 4 《詐欺師の総督》 2 《やっかい児》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(14)- |
4 《稲妻》 4 《血清の幻視》 2 《払拭》 2 《呪文嵌め》 4 《差し戻し》 1 《収穫の火》 1 《電解》 4 《欠片の双子》 1 《謎めいた命令》 -呪文(23)- |
2 《渋面の溶岩使い》 2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 1 《嵐の神、ケラノス》 1 《払拭》 1 《大祖始の遺産》 1 《引き裂く流弾》 1 《汚損破》 2 《焙り焼き》 3 《溶鉄の雨》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
ちなみに筆者は、禁止改定までせっせと《欠片の双子》デッキを調整していました......。
オーマイガー
1.メタゲームの考察
愚痴を言っていてもしようがないでしょう。
モダンは禁止改定があったとしても地続きのフォーマットですので、環境に存在するデッキはある程度推察できます。
そこからどのようなデッキを使うか、逆に対策するかを考えます。
バーン
4 《山》 2 《聖なる鋳造所》 2 《踏み鳴らされる地》 4 《乾燥台地》 2 《樹木茂る山麓》 4 《沸騰する小湖》 1 《血染めのぬかるみ》 -土地(19)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《僧院の速槍》 4 《野生のナカティル》 2 《渋面の溶岩使い》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(18)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 4 《ボロスの魔除け》 3 《アタルカの命令》 2 《稲妻のらせん》 1 《焼尽の猛火》 1 《頭蓋割り》 4 《裂け目の稲妻》 -呪文(23)- |
2 《コーの火歩き》 2 《流刑への道》 1 《引き裂く流弾》 3 《破壊的な享楽》 3 《頭蓋割り》 2 《跳ね返す掌》 1 《稲妻のらせん》 1 《焼尽の猛火》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『運命再編』での活躍以後、トップメタに君臨するバーン。
相性の悪い《精力の護符》デッキが退場したことは言うに及ばず、若干相性の悪かった《欠片の双子》デッキも退場したとなると、プロツアーでは最大勢力になることが考えられました。
この《野生のナカティル》入りのナヤバーンは、1ターン目に出せる1マナクロックが《渋面の溶岩使い》を除いても12枚と豊富で、バーンデッキの理想の動きである「1~2ターン目にクリーチャーを出して、あとは火力呪文で押し切る。」が高確率で行えます。
また、『タルキール龍紀伝』で加入した《アタルカの命令》もクリーチャーが横に並べば威力満点!
安定性も高く、『バーンに勝てないデッキは持ち込まない』が私のボーダーでしたし、常に『もしかしたらプロツアーで使うかも......』と使用候補のデッキでした。
親和
1 《山》 4 《ちらつき蛾の生息地》 4 《墨蛾の生息地》 4 《ダークスティールの城塞》 4 《空僻地》 -土地(17)- 4 《羽ばたき飛行機械》 2 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《電結の荒廃者》 4 《大霊堂のスカージ》 3 《鋼の監視者》 2 《搭載歩行機械》 1 《呪文滑り》 2 《エーテリウムの達人》 1 《刻まれた勇者》 -クリーチャー(27)- |
4 《オパールのモックス》 4 《感電破》 4 《バネ葉の太鼓》 4 《頭蓋囲い》 -呪文(16)- |
1 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《刻まれた勇者》 2 《思考囲い》 1 《呪文貫き》 2 《古えの遺恨》 2 《鞭打ち炎》 1 《天啓の光》 1 《呪文滑り》 2 《血染めの月》 1 《ギラプールの霊気格子》 -サイドボード(15)- |
私が2番手に予想したデッキは、こちらも《欠片の双子》デッキに締め上げられていたデッキの一つ、親和デッキです。
元々のデッキパワーも折り紙つきですが、環境で増加傾向にあったバーンデッキ、トロンデッキにも相性が良いことも加点材料でしょう。
《オパールのモックス》や《バネ葉の太鼓》などのマナアーティファクトから高速に展開される《頭蓋囲い》や《エーテリウムの達人》の打点は凄まじく、また《電結の荒廃者》や《ちらつき蛾の生息地》など対処しづらいパーマネントも多く、想像よりもやりづらいデッキです。
環境から《欠片の双子》デッキが退場したことから戦場に干渉する《感電破》の枚数が減ることが考えられ、また後述する「エルドラージ」デッキを考えると3マナ域のクリーチャーは《刻まれた勇者》ではなく《エーテリウムの達人》になることが考えられました。
ジャンド
2 《沼》 1 《森》 2 《草むした墓》 1 《血の墓所》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《新緑の地下墓地》 3 《血染めのぬかるみ》 2 《樹木茂る山麓》 4 《黒割れの崖》 2 《怒り狂う山峡》 2 《幽霊街》 -土地(24)- 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 2 《漁る軟泥》 1 《台所の嫌がらせ屋》 1 《高原の狩りの達人》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(13)- |
4 《稲妻》 3 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 3 《終止》 2 《突然の衰微》 2 《破滅の刃》 2 《コラガンの命令》 1 《大渦の脈動》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(23)- |
1 《渋面の溶岩使い》 2 《台所の嫌がらせ屋》 1 《強情なベイロス》 1 《オリヴィア・ヴォルダーレン》 1 《強迫》 2 《古えの遺恨》 1 《突然の衰微》 1 《紅蓮地獄》 1 《神々の憤怒》 1 《塵への崩壊》 1 《滅び》 1 《粉砕の嵐》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
逆に減少傾向になるだろうと考えていたのはジャンドを代表とする黒緑系デッキ。
ジャンドデッキの存在理由として《欠片の双子》デッキに有利であることがありました。
《思考囲い》などの各種手札破壊呪文、《突然の衰微》を代表とするインスタントタイミングでの除去呪文、《タルモゴイフ》などの軽量な高クロックを前に《欠片の双子》デッキは主導権を取れなかったからです。
ただ、そもそも環境に《欠片の双子》デッキが存在しないわけですから、そんな強みも雲散霧消。逆に台頭して来ているのはジャンドデッキが苦手としているバーンや親和、トロンといった有様。
モダンフォーマットが始まって以来、筆者も何かと手に取って思い入れのあるジャンドデッキですが、ひいき目に見ても風向きが悪く、今回は使う気になれませんでした。
2.新カード考察
エルドラージデッキの想像
何もモダンは禁止/解禁だけではありません。
他の構築フォーマット同様、新セット加入によって環境が変化することがあります。
『アヴァシンの帰還』の時の《修復の天使》しかり、『ラヴニカへの回帰』の時の《死儀礼のシャーマン》しかり。
プロツアーにおいて勝利するのはえてしてそういうブレイクスルーであり、それを見つけ出すために準備期間があると言っても過言ではないでしょう。
しかし今回はブレイクスルーと言うにはいささか見え過ぎている、誰の目にも明らかな新顔たちでした。
デカ《ヴェンディリオン三人衆》と呼ぶにはあまりにも暴力的な《難題の予見者》。
《エルドラージの寺院》と《ウギンの目》、もしくはもう1枚の《エルドラージの寺院》を組み合わせることにより2ターン目に唱えることも可能です。
4マナ4/4というボディーもモダンフォーマットでは極めて優秀。
環境の標準除去である《稲妻》や《突然の衰微》が効かないわけですから、除去耐性を持つと表現しても差し支えないでしょう。
《現実を砕くもの》もエルドラージデッキが持てる《雷口のヘルカイト》のようなカードです。
トランプルが《未練ある魂》などでのチャンプブロックを許しませんし、速攻を持っているのでエルドラージデッキに対してライフを《現実を砕くもの》圏内に落とすこと自体がリスクになります。
3 《沼》 2 《山》 2 《血の墓所》 2 《血染めのぬかるみ》 4 《黒割れの崖》 4 《エルドラージの寺院》 2 《ウギンの目》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《魂の洞窟》 -土地(24)- 4 《不毛の地の絞殺者》 4 《荒廃を招くもの》 4 《忘却蒔き》 1 《破滅の伝導者》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(15)- |
1 《殺戮の契約》 4 《稲妻》 4 《大祖始の遺産》 3 《コジレックの審問》 2 《マグマのしぶき》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《思考囲い》 2 《喉首狙い》 1 《全ては塵》 -呪文(21)- |
2 《呪文滑り》 2 《強迫》 1 《外科的摘出》 1 《吸血の絆》 2 《神々の憤怒》 2 《塵への崩壊》 2 《滅び》 2 《粉砕の嵐》 1 《殺戮遊戯》 -サイドボード(15)- |
『ゲートウォッチの誓い』登場の少し前から黒タッチ何かのエルドラージが活躍していたこともあり、新しいカードを試してエルドラージデッキを試すことは必然でしょう。ところが......。
親和に勝てない!
1 《沼》 4 《コイロスの洞窟》 2 《悪臭の荒野》 4 《氷の橋、天戸》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 3 《幽霊街》 4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 4 《エルドラージのミミック》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《果てしなきもの》 -クリーチャー(20)- |
4 《コジレックの審問》 4 《思考囲い》 2 《四肢切断》 4 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(14)- |
1 《幽霊街》 3 《大祖始の遺産》 2 《見栄え損ない》 4 《石のような静寂》 3 《機を見た援軍》 2 《滅び》 -サイドボード(15)- |
私たち日本勢の中ではエルドラージデッキは『スケールの大きい黒緑デッキ』という解釈だったので、それに沿うデッキ構築をしていました。
従来の《探検の地図》や《大始祖の遺産》を絡めた昇華者シナジーは排し、《難題の予見者》と《現実を砕くもの》を軸にしたビートダウンにする構築。
そうしたら黒緑デッキと同じ轍を踏む、親和デッキが苦手なのは当然のこと。
このようにサイドから《石のような静寂》をタッチして相性を改善しようと試したりしていましたが、そもそも無色土地が大量に入る関係から2色目をタッチすることが厳しく、なかなか安定して唱えられません。
これ以外にもタッチ緑で《古きものの活性》を入れるなどの構築も試してみましたが、どれも『マナベースがキツい』という感想を脱せませんでした。
そのためエルドラージデッキはこのようなモデルで仮想敵として想定はするが、自分たちで使うクオリティには達さないという判断に。
3.デッキ調整/決定
そんなこんなでプロツアーのもう数週間前。
プロツアーの前週にグランプリ・名古屋があることを考えると、構築のデッキは早めにあてをつけておきたいところです。
そう思う筆者が日課としているMagic Onlineのデッキリスト閲覧をしていると......?
kogamo=津村健志の天啓
2 《島》 1 《沼》 1 《山》 2 《湿った墓》 2 《蒸気孔》 1 《血の墓所》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《忍び寄るタール坑》 1 《闇滑りの岸》 -土地(20)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《猿人の指導霊》 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(16)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《血清の幻視》 3 《呪文貫き》 4 《御霊の復讐》 4 《イゼットの魔除け》 1 《差し戻し》 4 《裂け目の突破》 -呪文(24)- |
3 《稲妻》 2 《払拭》 2 《汚損破》 1 《コジレックの審問》 3 《早霜》 2 《神々の憤怒》 2 《すべてを護るもの、母聖樹》 -サイドボード(15)- |
Wow!これはクールなデッキリスト!
《ヴリンの神童、ジェイス》と《御霊の復讐》の相性の良さは前々から評判にはなっていましたが、それをキレイにデッキに落とし込んでいるように思えます。
従来の《滋養の群れ》入りのグリセルシュートは、《グリセルブランド》を出したターンに勝てるのが強みですが、その分デッキ構築に制限が多く、また《グリセルブランド》を引かなかった場合のことを考えると安定性に欠けます。
その点、この構成であれば《グリセルブランド》、《引き裂かれし永劫、エムラクール》どちらでもフィニッシャーたりえますし、《ヴリンの神童、ジェイス》や《イゼットの魔除け》などの汎用性の高いカードをデッキに組み込むことができます。
早速Magic Onlineで組んで回してみると非常に感触が良く、本腰を入れて調整しようと決意。
流石殿堂プレイヤー津村健志!エムラクールソークールツムラクール!
などと考えていたかは記憶にございませんが、そんなタイミングで同じTeam Cygamesのチームメイト、山本賢太郎さんから連絡が。
なんとタイミングの良い!と言うことで今回はデッキ製作者の津村さんを軸にモダンの使用デッキを構築することになりました。
使用デッキ/各パーツの解説
1 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《湿った墓》 1 《蒸気孔》 1 《血の墓所》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 2 《血染めのぬかるみ》 2 《忍び寄るタール坑》 1 《闇滑りの岸》 1 《黒割れの崖》 -土地(20)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《猿人の指導霊》 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(16)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《血清の幻視》 3 《思考囲い》 1 《稲妻》 4 《御霊の復讐》 4 《イゼットの魔除け》 4 《裂け目の突破》 -呪文(24)- |
1 《すべてを護るもの、母聖樹》 4 《汚損破》 3 《稲妻》 2 《払拭》 1 《苦い真理》 4 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
元のデッキリストと比べて大きな変更はありません。
デッキ構築の時に考えたことをざっくり解説します。
《思考囲い》
能動的なアクションかつ、自分の手札の《グリセルブランド》や《引き裂かれし永劫、エムラクール》を捨ててコンボを決める補助カードにもなります。
ライフ損失が痛いため、ギルドランドを最小限にし、《黒割れの崖》などの『ミラディンの傷跡』土地を多めに採用しています。
《忍び寄るタール坑》
このデッキは前述した通り《滋養の群れ》などの《グリセルブランド》から繋がるコンボパーツを搭載していないため、真っ当に(なのかは定かではありませんが)《引き裂かれし永劫、エムラクール》で殴って勝つことを目的としています。
先に《グリセルブランド》でアタック→引き増しして後続の《引き裂かれし永劫、エムラクール》で勝つのが理想の動きではありますが、《グリセルブランド》を引けず《引き裂かれし永劫、エムラクール》が初弾となることも多々あります。
モダン環境なので相手が1~5点程度土地からダメージを食らっていることも多いので、《引き裂かれし永劫、エムラクール》の1回のアタックで勝てれば良いのですが、ライフが3前後残ることもしばしば。
そういう時は《忍び寄るタール坑》の出番です。
相手の場が《引き裂かれし永劫、エムラクール》の滅殺能力で壊滅しているので除去されることもほぼ無く、信頼性の高いフィニッシャーとなります。
その他序盤に除去として使用した《稲妻》を《ヴリンの神童、ジェイス》で使いまわして削り切ったり、もしくは手札に余った《猿人の指導霊》を唱えたりなど、デッキの大味な動きの陰にひっそりとしたフィニッシュがあったりします。
《稲妻》はメイン/サイド合わせて4枚
これは私が強く推奨したことです。
サイドボードの除去スロットが《紅蓮地獄》に差し変わったことも調整過程でありましたが、《稲妻》に最終的に収束しました。
理由は、バーンを意識した場合《紅蓮地獄》では信頼性に欠けるからです。
特に後手番だと《野生のナカティル》が3/3になってしまっていたり、1ターン目に出てきた《ゴブリンの先達》を《紅蓮地獄》で捌いたとしても既に4点食らってしまっていたりと、《紅蓮地獄》はバーンに有効的なカードではありません。
《神聖の力線》をサイドに4枚
これは同じくTeam Cygames所属の渡辺雄也さんの提言によるもの。
バーンに効くのは言わずもがな。
サイド後《稲妻》を4枚入れて相手のクロックを潰すプランと合っていますし、《神聖の力線》さえ出せれば《御霊の復讐》ルートでなく《裂け目の突破》でも十分に間に合う速度となります。
またテストプレイではメインで若干苦手としていた黒単エルドラージに有効的なサイドカード。
《難題の予見者》や《思考囲い》などの手札破壊呪文から身を守ることができますし、《ヴェールのリリアナ》で《ヴリンの神童、ジェイス》を除去されるなどの噛み合いも防ぐことができます。
またデッキに《信仰無き物あさり》、《ヴリンの神童、ジェイス》、《イゼットの魔除け》など、後半引いてきてしまった《神聖の力線》を捨てられるカードが豊富にある関係から、4枚フルで投入することもそこまでデメリットにはなりません。
また、こういうコンボデッキはどれだけマークされるかが結果に大きく影響を与えますが、幸運にもプロツアーまでの大きなモダントーナメントでは「グリセルシュート」系は勝っていませんでした。
ともなれば墓地対策も薄く、台風の目となるのが私たちなのは必然!
一緒に調整し、使用する4人は自信満々でアトランタの地に赴いたのでした。
続く
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