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原根健太の徹底解説!スタンダード・アナライズ

第20回:『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』と世界選手権を経て
皆さんこんにちは。原根健太(@jspd_)です。
この連載もついに第20回の掲載となりました。いつもご愛読誠にありがとうございます。今後もスタンダードシーンの紹介を行ってまいりますのでよろしくお願いします。
3年ローテーションが定着した現在のスタンダードではデッキの種類が非常に豊富で、今回お届けしたい情報も盛りだくさんです。早速本題に入って行きましょう。
直近のスタンダード環境
現在のスタンダードシーンを追う上で知る必要のある2つの背景をお話します。
禁止カードの制定
1つは《迷える黒魔道士、ビビ》《プロフトの映像記憶》《叫ぶ宿敵》の禁止です。
2025年11月10日、上記3種が禁止カードに指定されました。主にビビ大釜と呼ばれる《アガサの魂の大釜》とのコンボデッキがスタンダードで大暴れしたことが由来となりますが、同デッキで同じく中核を担っていた《プロフトの映像記憶》も合わせて禁止カード指定を受けました。
また《叫ぶ宿敵》も禁止となり、これにより赤アグロは2025年6月30日の《心火の英雄》《巨怪の怒り》に続き3枚目の禁止カードを輩出。これが決定打となり赤アグロは衰退、大きくポジションを低下させることになりました。
結果として、上記2種のデッキが存在していた頃から環境に存在し、シェアも高かったデッキ群が相対的にポジションを上げることが予想されていました。
『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』リリース
2つ目は最新セットである『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』のリリースです。本エキスパンションは非常に強力で、環境に大きな影響を与えました。
新デッキの成立から既存デッキの強化まで幅広いアップデートが行われ、スタンダードのメタゲームは激動しました。その結果、禁止改定後中心を担うと思われていた残存勢力も環境の一部に収まってしまうほどの変化が生じたのです。
第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
2025年12月、マジックにおける最高峰のトーナメント「第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」が今年を締めくくるイベントとして開催されました。本大会のフォーマットにはスタンダードが採用されており、トッププレイヤー達が持ち込んだデッキは現在のシーンを紐解くに相応しいものだと言えるでしょう。この結果を基に今回は分析を行っていきたいと思います。
メタゲームブレイクダウン
今大会参加者の使用デッキ内訳は以下の通りです。

「イゼット講義」「ティムール・カワウソ」「バント気の技」がトップ3に名を連ねており、これらのデッキはいずれも最新セットである『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』により強化されたデッキ群です。
イゼット講義
| 1 《アグナ・ケラ》 7 《島》 2 《山》 4 《マルチバースへの通り道》 4 《リバーパイアーの境界》 4 《尖塔断の運河》 -土地(22)- 4 《ばあば》 -クリーチャー(4)- |
3 《愛着を捨てる》 4 《積み重ねられた叡智》 4 《美術家の才能》 3 《ブーメランの基礎》 4 《爆裂の技》 4 《火の技の修行》 3 《アイローの表演》 1 《飲めば潤う!》 4 《忍耐の記念碑》 4 《嵐追いの才能》 -呪文(34)- |
1 《愛着を捨てる》 1 《削剥》 1 《無効》 1 《舷側砲の一斉射撃》 1 《アイローの表演》 1 《飲めば潤う!》 2 《否認》 1 《紅蓮地獄》 2 《量子の謎かけ屋》 2 《魂標ランタン》 1 《呪文貫き》 1 《塔の点火》 -サイドボード(15)- |
今大会で最も人気を博し、そして世界一となったデッキ、それがイゼット講義です。デッキ内に採用された38枚の呪文のうち26枚、実に全体の7割近くが『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』のカードで構成された完全新規デッキです。講義カードはゲームが進むごとに強化され、《ばあば》は非クリーチャー呪文のコストを軽減し、《爆裂の技》はダメージが増加し、《積み重ねられた叡智》は伝説の呪文である《Ancestral Recall》と同等の効果となります!
講義カードは盤面の対処およびアドバンテージ能力に優れる一方、ゲームの勝利に繋がるカードはありません。残りの限られたスロットにはフィニッシャーを採用する必要があります。その中で最も汎用的かつ効果的なのが《嵐追いの才能》です。大量の非クリーチャー呪文を採用していることからカワウソ・トークンの持つ果敢能力をフルに活かせますし、レベル2の呪文回収対象も豊富、レベル3も十分なフィニッシュ手段になり得ます。
そして何より目を見張るのが《ブーメランの基礎》とのコンボです。この講義呪文で《嵐追いの才能》を手札に戻すことでわずか2マナでカワウソ・トークンを再生成でき、果敢も誘発、ドローのおまけまであります。レベル2効果を使って《ブーメランの基礎》を回収すればループが発生し、わずか2枚のカードでマナに応じたカワウソ・トークンとドローを無限に獲得できてしまいます。禁止カードとなった《この町は狭すぎる》を彷彿とさせる動きですね。
今回結果を残したリストには《美術家の才能》と《忍耐の記念碑》のコンボが取り込まれています。前述の通り講義呪文はそれ単体では勝利に繋がりませんが、これらのパーマネントを場に配せば講義をプレイするだけで手札/マナ/ダメージソースの全てを手に入れることができ、デッキに足りなかった要素を完璧に満たすことができるのです。
ティムール・カワウソ
| 4 《植物の聖域》 4 《繁殖池》 1 《森》 2 《島》 1 《山》 2 《マルチバースへの通り道》 2 《リバーパイアーの境界》 4 《踏み鳴らされる地》 1 《ウィローラッシュの境界》 -土地(21)- 3 《アナグマモグラの仔》 4 《永劫の活力》 3 《稲妻罠の教練者》 2 《渓間の洪水呼び》 -クリーチャー(12)- |
2 《花粉の分析》 4 《ブーメランの基礎》 3 《薮打ち》 2 《轟く機知、ラル》 2 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》 2 《トーテンタンズの歌》 4 《食糧補充》 4 《嵐追いの才能》 4 《塔の点火》 -呪文(27)- |
1 《無効》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《炎魔法》 1 《降霜断崖の包囲》 2 《除霊用掃除機》 1 《アイローの表演》 1 《否認》 3 《脚当ての陣形》 2 《紅蓮地獄》 1 《倦怠の宝珠》 1 《渓間の洪水呼び》 -サイドボード(15)- |
このデッキタイプ自体は『ダスクモーン:戦慄の館』で《永劫の活力》が登場して以降成立しており、それこそ1年前の第30回世界選手権でも活躍したデッキでした。
デッキの詳細な動きに関しては第17回の連載で紹介しておりますので、そちらをご参照ください。
この頃から《この町は狭すぎる》が禁止となり徐々に勢いを失っていましたが、上記で紹介した《嵐追いの才能》と《ブーメランの基礎》のコンボを獲得したことで代替手段を手にし、再び台頭し始めました。
そしてデッキの活躍に欠かせないのが《アナグマモグラの仔》の登場です。このカードと《永劫の活力》を組み合わせることで爆発的なマナを生み出すようになり、コンボの成功率が飛躍的に上昇しています。
バント気の技
| 2 《植物の聖域》 4 《繁殖池》 4 《フラッドファームの境界》 4 《ハッシュウッドの境界》 4 《マルチバースへの通り道》 4 《始まりの町》 -土地(22)- 3 《岐路に立つアン》 4 《素早き救済者、アン》 4 《不動の守護者、アッパ》 1 《エイヴンの阻む者》 4 《アナグマモグラの仔》 4 《木苺の使い魔》 4 《灰毛の天才、オーロック博士》 3 《遺伝子送粉機》 4 《ラノワールのエルフ》 -クリーチャー(31)- |
3 《自然の律動》 3 《縫い目破り》 1 《冬夜の物語》 -呪文(7)- |
1 《忌まわしき眼魔》 1 《アブソリュートヴァーチュー》 1 《アバターの怒り》 1 《エイヴンの阻む者》 1 《魂の洞窟》 2 《脚当ての陣形》 3 《量子の謎かけ屋》 1 《縫い目破り》 2 《スパイダーセンス》 2 《冬夜の物語》 -サイドボード(15)- |
このデッキもイゼット講義同様『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』のリリースによって成立した完全新規デッキです。本連載では初紹介となりますので、コンボの概要を紹介します。
①《素早き救済者、アン》《不動の守護者、アッパ》《灰毛の天才、オーロック博士》の3種を戦場に揃える。
②アンでアッパを気の技して追放する。
③追放領域からアッパをプレイ。この時オーロック博士により気の技のプレイコストが0になっている。
④アッパでアンを気の技して追放する。
⑤追放領域からアンをプレイ。同様にプレイコストは0。さらにアッパの能力により同盟者トークンが生成される。
②~⑤を繰り返すことで、同盟者・トークンが無限に生成されます。これだけでも対処手段を持たないデッキを完封しますが、さらに戦場に《岐路に立つアン》がいればアッパでこれも合わせて気の技することでデッキ内の4マナ以下の全てのクリーチャーを場に出すことが可能です。《アナグマモグラの仔》で土の技を無限に行って無限パワーのクリーチャーを生成したり、《素早き救済者、アン》で無限に気の技して相手のパーマネントを排除するなどやりたい放題のアクションとなります。
このコンボ自体はセットリリース直後から注目されており、比較的早い段階から研究が進められてきました。《倦怠の宝珠》のようなヘイトカードや、イゼット講義のようなクリーチャーコンボに対して滅法強いデッキの台頭が起こり、世界選手権におけるポジションを悪くした要因となっています。
ここまででシェアトップ3について紹介してきましたが、うち2つのデッキは《嵐追いの才能》と《ブーメランの基礎》をデッキの柱としています。今大会に最も影響を与えたカードはおそらく《ブーメランの基礎》であり、なんとトップ8のデッキのうち7つが上記ギミックを採用しています。
| 順位 | デッキ名 |
|---|---|
| 優勝 | イゼット講義 |
| 準優勝 | イゼット講義 |
| トップ4 | イゼット講義 |
| トップ4 | ティムール・カワウソ |
| トップ8 | イゼット講義 |
| トップ8 | イゼット・ルーティング |
| トップ8 | ティムール・カワウソ |
| トップ8 | スゥルタイ・リアニメイト |
メタゲームブレイクダウン上でも全体の50%以上のプレイヤーが《嵐追いの才能》と《ブーメランの基礎》のギミックを採用しており、その影響がどれほどのものであったかを示しています。
同ギミックを採用したデッキの異なるバリエーションを紹介していきます。
イゼット・ルーティング
| 9 《島》 2 《山》 4 《マルチバースへの通り道》 4 《リバーパイアーの境界》 4 《尖塔断の運河》 -土地(23)- 4 《精神の決闘者》 4 《逸失への恐怖》 4 《量子の謎かけ屋》 2 《トラアザラシ》 -クリーチャー(14)- |
1 《削剥》 4 《ブーメランの基礎》 2 《降霜断崖の包囲》 2 《洪水の大口へ》 1 《紅蓮地獄》 2 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》 4 《嵐追いの才能》 4 《塔の点火》 3 《冬夜の物語》 -呪文(23)- |
2 《無効》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《炎魔法》 2 《今のうちに出よう》 1 《除霊用掃除機》 1 《液状の重罪犯、ハイドロマン》 1 《アイローの表演》 1 《紅蓮地獄》 1 《壊滅的猛威》 2 《呪文貫き》 2 《スパイダーセンス》 -サイドボード(15)- |
ドロー&ディスカード要素に特化したアグロ~中速のデッキです。新セットからは《トラアザラシ》を獲得しています。コンセプト的には《プロフトの映像記憶》を是非とも採用したかったところですが、それなしでも十分に戦えています。
《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》や《降霜断崖の包囲》といったカードを採用することで中長期戦での戦いも得意とし、《プロフトの映像記憶》に変わるカードで進化を遂げています。包囲は《量子の謎かけ屋》のワープを5点火力に変換することが可能で、デッキと非常にマッチした1枚です。
イゼット・ブリンク
| 7 《島》 1 《轟音の滝》 2 《山》 4 《マルチバースへの通り道》 4 《リバーパイアーの境界》 4 《尖塔断の運河》 -土地(22)- 4 《稲妻罠の教練者》 4 《量子の謎かけ屋》 -クリーチャー(8)- |
2 《選択》 3 《今のうちに出よう》 4 《嵐追いの才能》 1 《噴出の稲妻》 1 《轟く機知、ラル》 4 《塔の点火》 4 《ブーメランの基礎》 3 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》 1 《抹消する稲妻》 2 《食糧補充》 4 《水飛沫の門》 1 《炎魔法》 -呪文(30)- |
1 《軽蔑的な一撃》 2 《金屑の嵐》 1 《ティシャーナの潮縛り》 1 《除霊用掃除機》 1 《キヨシ島の大ウナギ》 2 《無効》 2 《スパイダーセンス》 1 《紅蓮地獄》 1 《魂標ランタン》 1 《炎魔法》 1 《呪文貫き》 1 《舷側砲の一斉射撃》 -サイドボード(15)- |
イゼットカラーのデッキの強みとして《量子の謎かけ屋》を強力に使用できる点がありますが、イゼット・ブリンクは《水飛沫の門》を用いることで最速3ターン目の定着を狙ったデッキタイプになります。《水飛沫の門》は《稲妻罠の教練者》とも相性が良く、1ドローと効果の再利用で強力なアドバンテージを発生させます。
イゼット・ルーティングは攻撃に寄り、イゼット・ブリンクは守備に寄ったデッキ構造をしています。同じカラーリングで同じようなカードを使っているにも関わらず方向性が180度異なるのはデッキ構築の妙というか、醍醐味を感じますよね。どちらのデッキも今大会で結果を残していますので、自身の好みに合ったリストを選択してみてください。
続いて、今大会で最も苦戦を強いられた《ウロボロイド》デッキについてです。
ウロボロイド系デッキ
| 4 《植物の聖域》 4 《繁殖池》 5 《森》 4 《マルチバースへの通り道》 1 《眠らずの蔓茎》 4 《ウィローラッシュの境界》 -土地(22)- 4 《アナグマモグラの仔》 4 《遺伝子送粉機》 4 《天才遺伝学者、ジャッカル》 4 《ラノワールのエルフ》 2 《マネドリ》 4 《ウロボロイド》 4 《脚当ての補充兵》 2 《ティシャーナの潮縛り》 2 《猛打者、タイヴァー》 -クリーチャー(30)- |
4 《亭主の才能》 2 《自然の律動》 2 《スパイダーセンス》 -呪文(8)- |
2 《軽蔑的な一撃》 1 《腹黒茸》 2 《洪水の大口へ》 2 《鋭い目の管理者》 1 《量子の謎かけ屋》 2 《ルクサの体現、サブ=スネン》 1 《スパイダーセンス》 1 《ティシャーナの潮縛り》 3 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
| 4 《花盛りの湿地》 5 《森》 4 《マルチバースへの通り道》 2 《始まりの町》 3 《沼》 4 《ウェイストウッドの境界》 -土地(22)- 4 《アナグマモグラの仔》 1 《被害対策の作業員》 2 《大洞窟のコウモリ》 1 《フォーン忌みのトロール》 4 《遺伝子送粉機》 1 《鋭い目の管理者》 1 《顔泥棒、コー》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《ウロボロイド》 3 《ベイルマークの大主》 3 《蜘蛛の顕現》 1 《猛打者、タイヴァー》 -クリーチャー(29)- |
2 《陽気な哀歌》 4 《自然の律動》 3 《保安官を撃て》 -呪文(9)- |
1 《バーシンセー》 1 《狡猾な怪盗、ブラックキャット》 1 《門衛のスラル》 3 《強迫》 1 《ガスタルの略奪者》 3 《脅迫戦術》 1 《ベイルマークの大主》 1 《脚当ての陣形》 1 《召喚:フェンリル》 2 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
マナクリーチャーを筆頭に序盤数ターンでクリーチャーを大量展開し、それらを《ウロボロイド》で強化するアグロデッキです。《アナグマモグラの仔》で展開力が一気に向上し、飛躍的に強化されました。リリース直後のイベントであるジャパンスタンダードカップ:『アバター 伝説の少年アン』などでは好成績を収めています。
その結果、環境デッキの筆頭として認識されるやいなや、低スタッツのクリーチャーを大量展開するというデッキの特性を狙われるケースが増え始めました。この点は他の《アナグマモグラの仔》デッキと共通しており、狙われやすいポイントです。
各デッキのメインデッキ・サイドボードの全体除去の枚数は目に見えて増えています。少なくとも対抗策を持たないデッキは現在の環境に存在しないでしょう。
そしてウロボロイドデッキの最も問題とされている点は、同じ《アナグマモグラの仔》を使用するデッキ同士の対戦で劣勢を強いられやすいことです。デッキ内に大量のクリーチャーを採用し、真っすぐに責め立てるデッキ構造のためコンボデッキへの対策が難しく、他の《アナグマモグラの仔》デッキは2種がコンボデッキの構造を取っています。
《アナグマモグラの仔》デッキ同士の対戦で苦戦を強いられ、他デッキからも強く対策されるなど、現状のウロボロイドデッキはかなり厳しい立場にあると言えるかもしれません。
ジェスカイ・コントロール
| 1 《コーリ山の僧院》 2 《優雅な談話室》 4 《フラッドファームの境界》 4 《行き届いた書庫》 1 《湧霧の村》 1 《山》 1 《マルチバースへの通り道》 1 《平地》 4 《リバーパイアーの境界》 4 《聖なる鋳造所》 2 《サンビロウの境界》 2 《轟音の滝》 -土地(27)- 3 《マラング川の執政》 3 《道の体現者、シィコ》 -クリーチャー(6)- |
3 《審判の日》 2 《払拭の吐息》 1 《炎魔法》 4 《失せろ》 2 《ジェスカイの啓示》 4 《稲妻のらせん》 1 《喝破》 1 《お別れの突風》 3 《道の再発見》 1 《焦熱の竜火》 1 《縫い目破り》 4 《食糧補充》 -呪文(27)- |
1 《悪魔祓い》 1 《炎魔法》 1 《除霊用掃除機》 1 《クチルの側衛》 1 《否認》 1 《抹消する稲妻》 2 《ミストムーアの大主》 1 《紅蓮地獄》 1 《焦熱の竜火》 2 《魂標ランタン》 3 《勝利の楽士》 -サイドボード(15)- |
《アナグマモグラの仔》デッキを食い物にする筆頭として存在するのがジェスカイコントロールです。《稲妻のらせん》のような単体除去で序盤の足回りを崩し、《審判の日》をはじめとした全体除去で致命的な被害を与えます。
クリーチャーデッキに滅法強く、明確にターゲットを定めたデッキと言えます。禁止改定直後は次期環境の筆頭候補の一つと目されていましたが、今回目立った活躍には至りませんでした。この背景には「イゼット講義」の活躍があり、特に《美術家の才能》と《忍耐の記念碑》を使ったタイプの構築には苦戦を強いられたと思われます。
ディミーア・ミッドレンジ
| 4 《グルームレイクの境界》 4 《島》 4 《マルチバースへの通り道》 2 《不穏な浅瀬》 3 《魂石の聖域》 4 《沼》 4 《湿った墓》 -土地(25)- 4 《大洞窟のコウモリ》 4 《永劫の好奇心》 4 《フラッドピットの溺れさせ》 4 《分派の説教者》 4 《遠眼鏡のセイレーン》 -クリーチャー(20)- |
1 《苦々しい勝利》 2 《脅迫戦術》 3 《悪夢滅ぼし、魁渡》 1 《逃げ場なし》 2 《幻影の干渉》 3 《保安官を撃て》 1 《突き刺し》 2 《悲劇の軌跡》 -呪文(15)- |
4 《黒い太陽の日》 2 《強迫》 1 《悪夢滅ぼし、魁渡》 2 《スパイダーセンス》 1 《突き刺し》 2 《ティシャーナの潮縛り》 1 《悲劇の軌跡》 2 《情け知らずのヴレン》 -サイドボード(15)- |
ジェスカイ・コントロールと並び、禁止改定直後の筆頭候補として数えられていたのがディミーアミッドレンジです。《悪夢滅ぼし、魁渡》と《永劫の好奇心》のアドバンテージ能力は健在で、トーナメントシーンでも根強い人気を誇っています。
現在のスタンダード環境はアグロ/コントロール/コンボといった多種多様なデッキが混在しており、様々なデッキタイプとの対戦を求められます。ミッドレンジは対応型のデッキとしての立ち回りを求められることも多く、環境に存在するデッキの種類が増えれば増えるほど対応の要求値が増していきます。
ここまで紹介してきた通り現在の環境にはあらゆる狙いを持ったデッキが存在しており、そのすべてに対応するのは非常に難しいです。
しかし対処に必要な手段自体は用意されており、対策自体は可能です。今回の世界選手権の結果を基にメタゲームが整理され倒すべき相手が定まれば、再びメタゲームの上位に顔を出す可能性も高いと言えるでしょう。
スゥルタイ・リアニメイト
| 3 《花盛りの湿地》 4 《繁殖池》 1 《魂の洞窟》 1 《迷路庭園》 1 《島》 1 《マルチバースへの通り道》 1 《沼》 1 《地底街の下水道》 2 《地底の遺体安置所》 3 《ウェイストウッドの境界》 3 《湿った墓》 2 《ウィローラッシュの境界》 -土地(23)- 3 《簒奪者、アーデン》 4 《最後の贈り物の運び手》 4 《繁殖蜘蛛》 2 《苦難の収穫者》 4 《不注意な読書家》 4 《ベイルマークの大主》 4 《スーペリア・スパイダーマン》 1 《峰の恐怖》 -クリーチャー(26)- |
3 《花粉の分析》 4 《誉れある死者の目覚め》 4 《苦々しい勝利》 -呪文(11)- |
1 《魂の洞窟》 3 《大洞窟のコウモリ》 1 《破壊の嵐孵り》 2 《災厄の占い師、グラルブ》 4 《脅迫戦術》 2 《魂標ランタン》 1 《緊急の検死》 1 《網撃の精鋭》 -サイドボード(15)- |
最後にご紹介するのが、今回唯一《嵐追いの才能》パッケージなしでトップ8入賞を果たしたデッキ、スゥルタイ・リアニメイトです。《最後の贈り物の運び手》は超強力な効果を持つ大型のクリーチャーですが、《ゾンビ化》などのリアニメイト呪文でインチキができないように「唱えていた場合」の一文が記されています。しかしこの一文を無視できてしまうのが《スーペリア・スパイダーマン》で、能力をコピーしたスパイーダマンを「唱えている」ため、運び手の制約を無視してわずか4マナで踏み倒せてしまうのです。
このデッキは『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』のカードが一切採用されておらず、なぜこのタイミングで浮上してきたのか不思議に思う方もいらっしゃるかと思います。
これはいわゆるメタゲームの産物で、《アナグマモグラの仔》を使ったクリーチャーデッキが増え、それに対応するために各デッキが序盤に使える除去カードをふんだんにデッキに取り入れ始めましたが、スゥルタイ・リアニメイトはそれらを一切意に介しません。淡々と墓地を肥やし、突然の一撃で対戦相手を葬ってしまうのです。
環境が定まった後、それに有利な選択肢として浮上するいわば後出しじゃんけんのような手ですが、これがセット発売から2週間の速度感で行われているのは近年のメタゲームの高速化を感じますね。
ちなみに先日Magic Online上で開催されたStandard Showcase Qualifierというハイレベルなトーナメントでは既にメインデッキから墓地対策が採用されており、これはスゥルタイ・リアニメイトおよびイゼット講義という墓地を活用するデッキが世界選手権で活躍した事を受けてのチューンです。凄まじいスピードでメタゲームが展開されていますね。
| 2 《山》 4 《リバーパイアーの境界》 8 《島》 4 《尖塔断の運河》 4 《マルチバースへの通り道》 -土地(22)- 4 《稲妻罠の教練者》 4 《量子の謎かけ屋》 -クリーチャー(8)- |
2 《今のうちに出よう》 1 《炎魔法》 4 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》 4 《水飛沫の門》 4 《ブーメランの基礎》 4 《嵐追いの才能》 4 《塔の点火》 1 《削剥》 2 《除霊用掃除機》 1 《降霜断崖の包囲》 2 《選択》 1 《轟く機知、ラル》 -呪文(30)- |
2 《無効》 1 《呪文貫き》 2 《魂標ランタン》 2 《雷魔法》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《紅蓮地獄》 1 《轟く機知、ラル》 1 《炎魔法》 2 《クルクの伝説》 1 《降霜断崖の包囲》 1 《舷側砲の一斉射撃》 -サイドボード(15)- |
| 1 《コーリ山の僧院》 4 《フラッドファームの境界》 1 《優雅な談話室》 1 《島》 4 《行き届いた書庫》 2 《湧霧の村》 1 《山》 1 《平地》 3 《リバーパイアーの境界》 4 《聖なる鋳造所》 2 《サンビロウの境界》 2 《轟音の滝》 -土地(26)- 2 《マラング川の執政》 1 《司書、ワン・シー・トン》 -クリーチャー(3)- |
4 《失せろ》 4 《星間航路の助言》 3 《審判の日》 2 《ジェスカイの啓示》 4 《稲妻のらせん》 4 《喝破》 1 《呪われた録画》 3 《食糧補充》 2 《三歩先》 2 《削剥》 2 《安らかなる眠り》 -呪文(31)- |
2 《無効》 3 《跳ねる春、ベーザ》 2 《炎魔法》 1 《否認》 1 《クチルの側衛》 3 《勝利の楽士》 1 《安らかなる眠り》 2 《ティシャーナの潮縛り》 -サイドボード(15)- |
今回の記事は以上になります。
第31回世界選手権はセス・マンフィールド選手の駆る「イゼット講義」が制しました。『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』発売から1週間程度で同セットのカードをふんだんに採用したデッキでの優勝は見事の一言に尽きます。また準優勝を遂げた日本人プレイヤーの芝田 輝良さんも同デッキを使用されており、このデッキは間違いなくこの日最強のデッキでした。
しかしながら既にメタゲームには動きがあり、上記で紹介した通りメインデッキから墓地対策が用いられだすなど環境に適応しようとする動きが出始めています。現スタンダードはまだまだ始まったばかりです。ご自分の好みに合ったデッキを手に、「スタンダード・ショーダウン」や「プレインズウォーカー・シリーズ:競技」、「チャンピオンズカップ予選」等のスタンダードイベントに臨んでみてください!
それではまた次回。
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