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原根健太の徹底解説!スタンダード・アナライズ
第14回:『カルロフ邸殺人事件』環境と墓地利用デッキの隆盛
皆さんこんにちは!原根健太(@jspd_)です!『カルロフ邸殺人事件』リリース後のスタンダード、楽しんでいますでしょうか?
スタンダードのローテーションが2年から3年に変更となったことで、スタンダードフォーマットにおけるカードプールは大きく広がりを見せ、セットリリース毎に構築可能なデッキがドンドン増えています。
現在のスタンダードは環境で長く活躍するデッキもあれば、新セットによって目覚ましく強化され一躍台頭してきたものなど、多種多様なデッキで溢れています。今回の記事では直近開催されたイベントとそこで成果を上げたデッキを紹介しながら、現在のスタンダード環境を追っていきたいと思います。
それでは早速行ってみましょう!
2月11・12日:ジャパンスタンダードカップ
最初にご紹介したいのが、セットリリース直後にプレイヤーズコンベンション横浜2024内で開催された「ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』」(Meleeページはこちら)。448名ものプレイヤーが参加しました。
『カルロフ邸殺人事件』のリリースは2月9日でしたから、そこからわずか2日(!)で開催されたイベントになります。もちろん同セットのカードは使用可能です。発売から間もない日程での開催ということもあり、『カルロフ邸殺人事件』のカードは既存の主流デッキの強化に使われることが多かった印象です。
順位 | デッキ名 |
---|---|
優勝 | エスパー・ミッドレンジ |
準優勝 | ドメイン・ランプ |
トップ4 | ラクドス発見 |
トップ4 | アゾリウス・ミッドレンジ |
トップ8 | ディミーア・ミッドレンジ |
トップ8 | エスパー・ミッドレンジ |
トップ8 | スゥルタイ・リアニメイト |
トップ8 | エスパー・レジェンズ |
見事優勝を飾ったのはエスパー・ミッドレンジを用いた佐藤 啓輔さん。今大会でも人気のアーキタイプだったエスパー・ミッドレンジを『カルロフ邸殺人事件』のカードを用いアップデートし、見事優勝を掴み取りました。
エスパー・ミッドレンジ
3 《コイロスの洞窟》 4 《闇滑りの岸》 1 《さびれた浜》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《平地》 2 《ラフィーンの塔》 3 《不穏な投錨地》 2 《金属海の沿岸》 3 《砕かれた聖域》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2 《地底の大河》 1 《英雄の公有地》 1 《難破船の湿地》 -土地(26)- 4 《大洞窟のコウモリ》 3 《敬虔な新米、デニック》 1 《捜査の達人、アルキスト・プロフト》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 1 《華やかな支配者、テイサ》 -クリーチャー(16)- |
2 《切り崩し》 1 《長い別れ》 3 《喉首狙い》 2 《かき消し》 3 《忠義の徳目》 4 《婚礼の発表》 2 《放浪皇》 1 《謎めいた外套》 -呪文(18)- |
2 《切り崩し》 2 《邪悪を打ち砕く》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《第三の道のロラン》 2 《危難の道》 3 《ティシャーナの潮縛り》 1 《ギックスの命令》 1 《漆月魁渡》 -サイドボード(15)- |
スタンダードで長きに渡り活躍を続けているエスパー・ミッドレンジに新カードを数種採用しています。アドバンテージ獲得能力に優れるラインナップであり、同じミッドレンジデッキ同士の対戦を優位に戦うことができます。
また伝説のクリーチャーは魂力土地や《英雄の公有地》と相性が良く、伝説のクリーチャーが並べば並ぶほど有利に働くため、伝説のクリーチャーの種類を散らして採用することにも価値があります。
ドメイン・ランプ
1 《耐え抜くもの、母聖樹》 4 《魂の洞窟》 3 《森》 1 《島》 4 《ジェトミアの庭》 1 《山》 3 《平地》 4 《スパーラの本部》 1 《沼》 4 《ジアトラの試練場》 -土地(26)- 4 《怒りの大天使》 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 4 《装飾庭園を踏み歩くもの》 1 《機械の母、エリシュ・ノーン》 -クリーチャー(12)- |
1 《集団失踪》 4 《群れの渡り》 3 《ゼンディカーへの侵攻》 4 《力線の束縛》 1 《向上した精霊信者、ニッサ》 4 《太陽降下》 4 《豆の木をのぼれ》 1 《一時的封鎖》 -呪文(22)- |
2 《金属の徒党の種子鮫》 2 《痛烈な一撃》 1 《強情なベイロス》 2 《一時的封鎖》 2 《温厚な襞背》 2 《放浪皇》 2 《石術の連射》 2 《否認》 -サイドボード(15)- |
惜しくも決勝で敗れ2位となったドメイン・ランプ。既存のカードで完成されているデッキであり、新セットのカードは採用されませんでした。前セットである『イクサラン:失われし洞窟』にて獲得した《魂の洞窟》がラストピースとなった印象ですね。苦手だった打ち消し戦略を克服し、トップメタとして君臨しています。非常にパワフルなデッキで目立った弱点もなく、今後も活躍し続けると思われます。
ラクドス発見
5 《沼》 4 《黒割れの崖》 4 《憑依された峰》 4 《不穏な火道》 3 《魂の洞窟》 2 《山》 2 《硫黄泉》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 4 《大洞窟のコウモリ》 4 《地質鑑定士》 4 《分派の説教者》 4 《嘶くカルノサウルス》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 1 《ヨーグモスの法務官、ギックス》 -クリーチャー(25)- |
3 《ギックスの残虐》 3 《切り崩し》 2 《喉首狙い》 1 《苦痛ある選定》 -呪文(9)- |
2 《兄弟仲の終焉》 2 《強迫》 2 《真実の抽出》 1 《削剥》 1 《苦痛ある選定》 1 《多元宇宙の突破》 1 《切り崩し》 1 《ギックスの命令》 1 《喉首狙い》 1 《無法の仮面舞踏会》 1 《危難の道》 1 《碑出告が全てを貪る》 -サイドボード(15)- |
『イクサラン:失われし洞窟』によって成立したデッキとしてラクドス発見もあります。ラクドスカラーのミッドレンジデッキといえば《鏡割りの寓話》がちらつきますが、スタンダードでは禁止カードに指定されています。それでも近年のラクドスデッキにはアドバンテージソースが豊富に存在し、デッキ名を冠する発見クリーチャーたちはプレイするだけでリソースを確定させる良質なクリーチャーです。
それ以外にも《大洞窟のコウモリ》や《分派の説教者》などリソース獲得力に優れるクリーチャーを多く内包し、デッキ全体がパワフルに構成された、ザ・ミッドレンジを感じさせるデッキです。
アゾリウス・ミッドレンジ
ディミーア・ミッドレンジ
4 《アダーカー荒原》 4 《さびれた浜》 1 《皇国の地、永岩城》 3 《島》 1 《ミレックス》 1 《天上都市、大田原》 4 《平地》 4 《不穏な投錨地》 4 《金属海の沿岸》 -土地(26)- 3 《敬虔な新米、デニック》 4 《門衛のスラル》 3 《フェアリーの黒幕》 1 《魅惑の悪漢、マルコム》 3 《遠眼鏡のセイレーン》 -クリーチャー(14)- |
1 《邪悪を打ち砕く》 3 《失せろ》 4 《喝破》 4 《放浪皇》 4 《忠義の徳目》 4 《婚礼の発表》 -呪文(20)- |
2 《聖戦士の奇襲兵》 1 《邪悪を打ち砕く》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《エルズペスの強打》 2 《痛烈な一撃》 2 《否認》 1 《太陽降下》 3 《一時的封鎖》 -サイドボード(15)- |
4 《難破船の湿地》 4 《地底の大河》 4 《闇滑りの岸》 4 《沼》 3 《島》 2 《不穏な浅瀬》 2 《ミレックス》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《天上都市、大田原》 -土地(25)- 4 《フェアリーの黒幕》 4 《大洞窟のコウモリ》 3 《ヨーグモスの法務官、ギックス》 3 《分派の説教者》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《復活したアーテイ》 1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 4 《遠眼鏡のセイレーン》 -クリーチャー(22)- |
4 《喉首狙い》 3 《アモンケットへの侵攻》 2 《かき消し》 2 《地底のスクーナー船》 2 《切り崩し》 -呪文(13)- |
2 《強迫》 2 《否認》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《寄生性掌握》 1 《苦痛ある選定》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《切り崩し》 1 《ティシャーナの潮縛り》 2 《夜の棍棒使い》 2 《ギックスの命令》 -サイドボード(15)- |
青系のミッドレンジデッキが2種入賞。組み合わせの対象となっている白と黒には各々利点があります。
白は《忠義の徳目》《婚礼の発表》《放浪皇》ら定番のトークンギミックが使用可能で、単体で強力な上、組み合わさった際に相乗効果が生まれる強力なパッケージです。
黒は《大洞窟のコウモリ》という優秀な低マナクリーチャーを利用でき、そして強力なフィニッシャーである《黙示録、シェオルドレッド》、汎用除去カードである《喉首狙い》と万能なラインナップを取り揃えています。
そして今回優勝したエスパー・ミッドレンジは後半のタップインやダメージといった土地周りのリスクと引き換えに、両者のいいとこ取りを行っているイメージですね。
アゾリウス・ミッドレンジには新カードである《門衛のスラル》と《喝破》の採用が見られます。《喝破》は《かき消し》と入れ替わる形で採用、《門衛のスラル》はここまでで名前の挙がっている《大洞窟のコウモリ》、《怒りの大天使》、《偉大なる統一者、アトラクサ》、発見クリーチャーなど無力化できる対象は多くあります。瞬速を持っているのが非常に嫌らしく、前もって除去しておくのも難しい厄介なクリーチャーです。
先ほどのディミーア・ミッドレンジには新カードは採用されていませんが、《顔を繕う者、ラザーヴ》は見込みがあるクリーチャーで、採用しているリストも存在します。攻撃時の誘発型能力はどんなカードを追放しても手掛かりトークンを生成してくれるので、序盤から後半にかけてリソース獲得の機会が生じる良質なクリーチャーです。
エスパー・レジェンズ
3 《砕かれた聖域》 4 《コイロスの洞窟》 2 《天上都市、大田原》 2 《皇国の地、永岩城》 4 《英雄の公有地》 4 《金属海の沿岸》 1 《地底の大河》 4 《闇滑りの岸》 1 《島》 1 《沼》 -土地(26)- 4 《離反ダニ、スクレルヴ》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《ヨーグモスの法務官、ギックス》 1 《復活したアーテイ》 2 《魅惑の悪漢、マルコム》 1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 4 《大洞窟のコウモリ》 2 《敬虔な新米、デニック》 2 《顔を繕う者、ラザーヴ》 -クリーチャー(29)- |
4 《喉首狙い》 1 《呪文貫き》 -呪文(5)- |
3 《切り崩し》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《第三の道のロラン》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《フェアリーの黒幕》 1 《ティシャーナの潮縛り》 2 《一時的封鎖》 2 《長い別れ》 -サイドボード(15)- |
既にエスパー・ミッドレンジを紹介しましたが、カラーリングを同じにしつつも方向性の異なるデッキタイプとしてエスパー・レジェンズがあります。こちらのデッキには《顔を繕う者、ラザーヴ》が採用されており、伝説のクリーチャーが追加される毎に進化していますね。
昨年開催の第29回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権優勝デッキでありますが、当時から《魅惑の悪漢、マルコム》《大洞窟のコウモリ》が追加され、序盤の動きが強化されています。フィニッシャーとして《最深の裏切り、アクロゾズ》も追加されており、セットが追加される毎に目覚ましい進化を遂げるデッキだと感じています。
スゥルタイ・リアニメイト
1 《島》 2 《夢根の滝》 1 《天上都市、大田原》 1 《地底の大河》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《闇滑りの岸》 3 《難破船の湿地》 2 《死天狗茸の林間地》 1 《ラノワールの荒原》 1 《スパーラの本部》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《不穏な浅瀬》 2 《地底の遺体安置所》 1 《迷路庭園》 2 《地底街の下水道》 -土地(24)- 3 《ファラジの考古学者》 2 《大嵐の雄鹿》 2 《産業のタイタン》 1 《発展の暴君、ジン=ギタクシアス》 4 《錠前破りのいたずら屋》 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 -クリーチャー(15)- |
1 《多元宇宙と共に》 4 《第三の道の創設》 3 《異世界の凝視》 2 《ファイレクシアへの門》 4 《もがく出現》 4 《苦々しい勝利》 1 《恐怖の潮流》 2 《ギックスの残虐》 -呪文(21)- |
2 《危難の道》 2 《悪意ある覆い隠し》 1 《喉首狙い》 1 《夜の棍棒使い》 2 《羅利骨灰》 2 《強迫》 1 《溺神の信奉者、リーア》 2 《執念の徳目》 2 《否認》 -サイドボード(15)- |
こちらはここまでのデッキと一線を画した墓地活用のコンボデッキ、スゥルタイ・リアニメイトです。各種ライブラリーを掘り下げるカードから《もがく出現》を探し出し、《多元宇宙と共に》をはじめとした大型のパーマネントを吊り上げるダイナミックなデッキです。
《もがく出現》を見つけるためにライブラリーを掘り進めるカードには様々なものがあります。《錠前破りのいたずら屋》は4枚掘りつつブロッカーとなり、《ファラジの考古学者》は3枚しか掘れませんが《錠前破りのいたずら屋》と異なり唱えなおす必要がなく、《第三の道の創設》は第3章効果を状況に応じて対象を分けられるなど、それぞれの利点があります。どれも一長一短で、《錠前破りのいたずら屋》や《ファラジの考古学者》のヒット率の関係でクリーチャーを多くし過ぎてしまうことは問題があったりするので、散らして採用するのがベターでしょう。
ボロス召集
4 《戦場の鍛冶場》 2 《魂の洞窟》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《ミレックス》 3 《山》 3 《平地》 2 《反逆のるつぼ、霜剣山》 3 《日没の道》 3 《スランの門》 -土地(22)- 4 《イモデーンの徴募兵》 4 《イーオスの遍歴の騎士》 4 《ひよっこ捜査員》 4 《毅然たる援軍》 4 《ヴォルダーレンの美食家》 4 《内なる空の管理人》 3 《ヨーティアの前線兵》 -クリーチャー(27)- |
4 《上機嫌の解体》 4 《戦導者の号令》 3 《魔女跡追いの激情》 -呪文(11)- |
2 《邪悪を打ち砕く》 2 《ゴバカーンへの侵攻》 1 《ランタンのきらめき》 2 《稲妻のらせん》 2 《石術の連射》 2 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《婚礼の発表》 -サイドボード(15)- |
またトップ8入賞こそなりませんでしたが、多くの好成績者を輩出し、大会での使用率が最も高かったのがボロス召集です。1~2マナの低コスト呪文で複数体のクリーチャーを展開し、《イーオスの遍歴の騎士》の召集や《イモデーンの徴募兵》の面攻めで対戦相手を圧倒します。
『カルロフ邸殺人事件』からは《ひよっこ捜査員》《戦導者の号令》といったデッキに完璧にフィットしたカードが追加され、わかりやすく強化され、新環境最強デッキ候補の筆頭でした。
しかしながら、あまりにわかりやすく強化されたため他デッキから厳しいマークに合い、ここまでに紹介したどのデッキもサイドボードには全体除去をしっかりと採用していました。本大会はトップ8に入賞するためには全10回戦で8勝1敗1分以上の成績が求められており、2敗した時点で脱落となります。わかりやすい弱点を持ったデッキでオープンイベントを勝ち切るのは条件が厳しいのかもしれません。
とは言え8勝2敗ラインにはボロス召集がずらりと並んでおり、安定した成績を出せる良いデッキであるのは間違いないと言えます。対策を乗り越えるプランの開発が今後に期待されます。
2月24日:Chicago 75K Standard Open
こちらはプロツアー『カルロフ邸殺人事件』も開催されたMagicCon:Chicagoにて併催のスタンダードオープンイベント(Meleeページはこちら)で、511名のプレイヤーが参加しています。新セットリリースから時間が経過したことで、『カルロフ邸殺人事件』のカードを軸にしたデッキなども登場するようになりました。
順位 | デッキ名 |
---|---|
優勝 | スゥルタイ土地コンボ |
準優勝 | アゾリウス・コントロール |
トップ4 | アゾリウス・コントロール |
トップ4 | スゥルタイ・リアニメイト |
トップ8 | ディミーア・ミッドレンジ |
トップ8 | エスパー・ミッドレンジ |
トップ8 | エスパー・ミッドレンジ |
トップ8 | ドメイン・ランプ |
前述のジャパンスタンダードカップで見慣れたデッキタイプが並びますが、その中でも一際目を引くのがスゥルタイ土地コンボ。このデッキを駆り優勝を飾ったcftsocさんはあらゆるフォーマットで独創的なデッキを開発・プレイし続けるデッキビルダーです。彼はこのトーナメントで第1回戦に負けた後、1回のIDを挟む怒涛の15連勝で優勝トロフィーを掴みました。
スゥルタイ土地コンボ
3 《天上都市、大田原》 4 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《平地》 3 《島》 3 《沼》 5 《森》 4 《斡旋屋一家の潜伏先》 4 《常夜会一家の店先》 4 《土建組一家の監督所》 2 《残響する深淵》 2 《地底の遺体安置所》 1 《迷路庭園》 -土地(36)- 3 《大スライム、スローグルク》 4 《事件現場の分析者》 4 《復活した精霊信者、ニッサ》 1 《復活したアーテイ》 2 《偉大なる統一者、アトラクサ》 -クリーチャー(14)- |
2 《完成化した精神、ジェイス》 3 《見事な再生》 2 《切り崩し》 2 《恐怖の潮流》 4 《記憶の氾濫》 1 《危難の道》 2 《喉首狙い》 2 《セレスタス》 -呪文(18)- |
3 《強迫》 1 《完成化した精神、ジェイス》 3 《鋼と油の夢》 2 《切り崩し》 2 《危難の道》 1 《恐怖の潮流》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《復活したアーテイ》 -サイドボード(15)- |
非常に特殊なコンボデッキですので、ザックリと概要をお伝えします。
キーカードである《事件現場の分析者》《復活した精霊信者、ニッサ》《大スライム、スローグルク》《見捨てられたぬかるみ、竹沼》、墓地に大量の土地が揃うことでコンボがスタートします。
《事件現場の分析者》を生け贄に捧げることで、墓地の土地カードをすべて戦場に戻します。
この時、《復活した精霊信者、ニッサ》によって戻した土地カードの枚数分マナが出ます。また《斡旋屋一家の潜伏先》のような土地は自身の効果で生け贄となり、追加の土地カードをサーチすることで更にマナが出ます。
そうして生け贄になった土地カードに反応して《大スライム、スローグルク》にカウンターが乗り、墓地の土地カードを手札に戻せるようになります。
これで《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を戻し、最初に生け贄に捧げた《事件現場の分析者》を回収できるようになります。《見捨てられたぬかるみ、竹沼》は伝説の土地なので《事件現場の分析者》で場に戻ってしまっても2枚目以降を墓地に落とせるので問題ありません。
《事件現場の分析者》のプレイで2マナ、効果の起動で4マナ、《大スライム、スローグルク》のプレイで3マナ、《復活した精霊信者、ニッサ》と《大スライム、スローグルク》でコスト軽減された《見捨てられたぬかるみ、竹沼》の起動で2マナ、計11マナが一連の流れに必要なマナです。
つまり、《事件現場の分析者》で12枚以上の土地カードを墓地から戻すことができれば、この動きを繰り返すことでマナが増えていき、最終的に無限マナを生成できるようになります。自分のライブラリーを空にするまで掘り下げることができ、墓地のカードは回収可能なので実質無限ドローでもあります。
そうして最後には《完成化した精神、ジェイス》を《見捨てられたぬかるみ、竹沼》で使い回し、対戦相手をライブラリーアウトさせ勝利となります。
コンボに必要なカードの枚数は多いですが、関連するパーツが全てクリーチャーなので《見捨てられたぬかるみ、竹沼》で回収可能で、山札を掘り進める中で見つけることが可能です。《記憶の氾濫》のフラッシュバックはコンボ成立に大きく貢献してくれます。
面白いのが、《事件現場の分析者》はエルフなので《復活した精霊信者、ニッサ》の効果で探し出せるという点です。コンボパーツがコンボパーツを呼んでくる、美しい構造ですね。
さらに特徴的な点として、このデッキはコンボのために大量のフェッチランドを採用する必要があるのですが、併せて基本土地を採用するとデッキの中身が土地だらけになってしまいます。この問題を解消するために、なんとデッキ枚数が68枚に設定されています。衝撃的な方法でデッキの問題点を解消しています。
非常に複雑なコンボデッキですが、一度流れを理解すると感動を覚えますね。どうやったらこんなデッキを考えられるようになるのでしょうか!
アゾリウス・コントロール
2 《アダーカー荒原》 4 《さびれた浜》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《廃墟の地》 4 《島》 2 《行き届いた書庫》 1 《天上都市、大田原》 4 《平地》 4 《不穏な投錨地》 1 《ミレックス》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
4 《推理》 2 《集団失踪》 2 《攪乱プロトコル》 3 《失せろ》 3 《冥途灯りの行進》 4 《記憶の氾濫》 4 《喝破》 3 《太陽降下》 4 《一時的封鎖》 4 《放浪皇》 -呪文(33)- |
2 《金属の徒党の種子鮫》 2 《敬虔な新米、デニック》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《エルズペスの強打》 3 《痛烈な一撃》 3 《否認》 2 《ティシャーナの潮縛り》 1 《船砕きの怪物》 -サイドボード(15)- |
上記スゥルタイ土地コンボのインパクトが強過ぎる本大会ですが、このアゾリウス・コントロールの台頭の方が大会全体を通してのトピックと言えるかもしれません。トップ8に2名を輩出し、これ以降の大会でも上位入賞を繰り返しています。打ち消し呪文と除去呪文で対戦相手の攻めをいなし、ドロー呪文で手札を補充、壊滅した対戦相手を最低限の戦力で介錯する、古き良きアゾリウス・コントロールの形式に沿ったデッキリストです。
新セットからは《推理》と《喝破》が追加され、細かなアクションが整備されました。コントロールデッキはダブルアクションと言われる1ターンの複数回行動が肝となることが多く、こうした地味ながら堅実な強化がデッキ成立の鍵になることは往々にしてあります。これらの追加により「打ち消し呪文を唱えながらドロー」や「全体除去を打ちながら返しの呪文を打ち消し」といった行動が可能となり、コントロールデッキとしての質が明確に向上しました。
マナ要求型の打ち消し呪文である《喝破》はゲーム後半になると機能しづらい1枚で、打ち消し呪文をこれだけに任せてしまうのはいささか心許ないものです。今回のリストには追加の打ち消し呪文として《攪乱プロトコル》が採用されており、これは今回新たに採用されている《推理》から生み出される手掛かりトークンと組み合わせることで、さながら《対抗呪文》としてプレイすることができます。
まとめ
本当に多種多様なデッキが活躍していて良い環境だと感じます。アグロ/ミッドレンジ/コントロール/ランプ/コンボなどあらゆるデッキタイプの活躍が見られ、非常にバランスの取れた状態だと思います。
対応力を高めたり、押し付けを徹底したり、各デッキの持ち味を徹底的に磨いてぶつかり合っている様子がとてもいいですね。結果を見ているだけでもワクワクしますし、プレイしたいデッキも多くあります。
さて、そんなデッキ群の中でも少し目立った存在があります。それが墓地を使ったコンボデッキです。スゥルタイ・土地コンボのインパクトが強いですが、スゥルタイ・リアニメイトも2つの大会で共にトップ8に入賞しており、共通して墓地を使うデッキとなっています。
これらのデッキがパフォーマンスを発揮した要因として、環境のデッキの墓地に対する意識が下がっていることが挙げられます。どのデッキを見渡しても墓地対策は少なめです。前述したボロス召集は多量の全体除去で強く意識されていますが、そちらに意識が傾いた結果、墓地デッキが活躍しやすい土壌が整っていた訳です。サイドボードは15枚の枠の中で構築する必要がありますから、何かにガードを上げれば、当然下がる部分も出てくる訳ですね。今後は墓地対策も欠かすことのできない要素となりそうです。
となれば、サイドボード枠の関係で全体除去の枚数は減っていくと予想され、ボロス召集にもチャンスが生じます。墓地対策をはじめ、青系のミッドレンジやランプなど対策が必要な相手は多くいますから、1種類のデッキに絞ったカードを多量には採用しづらくなります。
個人的に注目しているのが《敬虔な新米、デニック》です。このカードはメインデッキで無理なく採用できる墓地対策カードであり、《もがく出現》や《大スライム、スローグルク》など墓地活用デッキの軸を止めることができます。このカードを積極的に採用できるアゾリウスやエスパーカラーのミッドレンジデッキは安定した活躍を見せていそうだなと予想しています。
以上になります。あらゆるデッキにチャンスのある環境だと思うので、自分の気に入ったデッキを手に取って現スタンダード環境をエンジョイしてみてください!
それではまた次回。
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