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原根健太の徹底解説!スタンダード・アナライズ
第13回:『イクサラン:失われし洞窟』が敷く、スタンダードの新たなフィールド
皆さんこんにちは。原根健太です。
前回の『エルドレインの森』に引き続き、新セットリリースに合わせたスタンダードアナライズのお時間です。今回は『イクサラン:失われし洞窟』によるスタンダードの変化をお届けしたいと思います。よろしくお願いします!
『イクサラン:失われし洞窟』
前回セットのエルドレインは4年ぶりの再訪でしたが、今回のイクサランは6年ぶり。おとぎ話の世界から海賊や恐竜らを主役とした冒険の世界へと舞台を変えています。今回の『イクサラン:失われし洞窟』では地下に広がる地底世界の探検をテーマとしており、その世界観に合った能力が多数登場しています。
墓地にパーマネント・カードが置かれたことを条件に発動する「落魄」、墓地にあるパーマネント・カードの枚数を参照する「落魄X」。
条件を満たすことでアーティファクトが変身する「作製」。
前回『イクサラン』より引き続き採用されている「探検」、そして「探検」を行う効果を持つトークンを生み出す「地図・トークン」の生成。
さらに、かつての超強力キーワード能力であった「続唱」を彷彿とさせる「発見」があります。こちらはつい先日パイオニアにて開催された「チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1」でも話題になっていましたね。
「発見」能力の登場でパイオニアには大きな変化が生まれましたが、スタンダードは「発見」の影響は少なかったようです。しかしながら『イクサラン:失われし洞窟』には強力なカードが多数収録されており、様々なデッキが登場し、既存デッキもアップデートされています。
前述のチャンピオンズカップファイナルと併催されたスタンダードオープンにてそういったデッキを「発見」しましたので、今回はこちらの結果を元に新スタンダード環境を分析していきたいと思います!
プレイヤーズコンベンション愛知 2023 スタンダードオープン
引用元はこちら。
優勝 エスパー・ミッドレンジ | |
準優勝 アゾリウス・フラッシュ | |
トップ4 エスパー・ミッドレンジ | |
トップ4 白単ミッドレンジ | |
トップ8 アゾリウス・ミッドレンジ | |
トップ8 アゾリウス・ミッドレンジ | |
トップ8 バント・コントロール | |
トップ8 バント・ポイズン |
なんとトップ8に入賞した全てのプレイヤーが白をプレイしています!さらにもっと言えば……。
9位 ボロス・アグロ | |
10位 版図ランプ | |
11位 ボロス召集 | |
12位 ボロス・アグロ | |
13位 エスパー・コントロール | |
14位 エスパー・ミッドレンジ | |
15位 エスパー・ミッドレンジ | |
16位 版図ランプ |
白、白、白!版図ランプは《怒りの大天使》や《太陽降下》により現在は白を中心とした構成になっているため、なんと16位までその枠を広げてみても全員が白をプレイしていることになります!白一強時代?!
ただし、よく見てみると同じ白といっても皆が皆同じカードをプレイしている訳ではなく、様々なタイプが存在していることが分かります。
まずは前環境からよく見られた《忠義の徳目》《婚礼の発表》《放浪皇》のトークン軸ミッドレンジ戦略です。ここに青を添えて《かき消し》などの打ち消し呪文を用い、対戦相手を押さえ込んでいくやり方は相変わらず強力です。
コントロールデッキは《太陽降下》や《力線の束縛》といった優良除去呪文を用い、それらと相性の良い《豆の木をのぼれ》を組み合わせる形を取っています。
アグレッシブな白も存在しており、このデッキタイプは前2つの白デッキと使用するカードが大きく異なります。
アグロ・コントロール・ミッドレンジのそれぞれのデッキタイプが白の範囲だけで全て存在しています。現在のスタンダードにおける白のラインナップが非常に豊富かつ強力であることが分かりますね。
ここからは上記のデッキをもう少し掘り下げつつ、『イクサラン:失われし洞窟』の新カードがどのように使われているのかを見ていきたいと思います。
エスパー・ミッドレンジ
1 《アダーカー荒原》 2 《金属海の沿岸》 1 《コイロスの洞窟》 2 《さびれた浜》 4 《砕かれた聖域》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 3 《ラフィーンの塔》 2 《英雄の公有地》 2 《地底の大河》 4 《闇滑りの岸》 1 《平地》 1 《不穏な投錨地》 -土地(26)- 2 《敬虔な新米、デニック》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 1 《復活したアーテイ》 2 《フェアリーの黒幕》 1 《下水王、駆け抜け侯》 4 《大洞窟のコウモリ》 -クリーチャー(14)- |
3 《喉首狙い》 4 《婚礼の発表》 2 《放浪皇》 2 《かき消し》 2 《切り崩し》 4 《忠義の徳目》 1 《呪文貫き》 2 《地底のスクーナー船》 -呪文(20)- |
3 《軽蔑的な一撃》 2 《強迫》 2 《危難の道》 2 《邪悪を打ち砕く》 1 《漆月魁渡》 1 《痛烈な一撃》 1 《第三の道のロラン》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《苦痛ある選定》 -サイドボード(15)- |
1 《アダーカー荒原》 2 《地底の大河》 2 《金属海の沿岸》 2 《さびれた浜》 4 《砕かれた聖域》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 3 《ラフィーンの塔》 1 《コイロスの洞窟》 2 《英雄の公有地》 4 《闇滑りの岸》 1 《平地》 1 《不穏な投錨地》 -土地(26)- 2 《敬虔な新米、デニック》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 2 《復活したアーテイ》 2 《フェアリーの黒幕》 1 《最深の紀元、オヘル・パクパテク》 4 《大洞窟のコウモリ》 -クリーチャー(15)- |
4 《婚礼の発表》 2 《放浪皇》 2 《かき消し》 2 《切り崩し》 2 《喉首狙い》 4 《忠義の徳目》 1 《失せろ》 2 《地底のスクーナー船》 -呪文(19)- |
3 《軽蔑的な一撃》 1 《危難の道》 1 《放浪皇》 1 《痛烈な一撃》 2 《邪悪を打ち砕く》 1 《切り崩し》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《苦痛ある選定》 2 《強迫》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
まずは今大会、見事優勝の成績を収めたエスパー・ミッドレンジから。前環境からメタの大本命であり、今大会においても最も使用者の多かったデッキタイプです。《策謀の予見者、ラフィーン》を主軸とした安定感と、豊富な除去やカウンターから成る対応力の高さが魅力のデッキです。
こちらのデッキには新カードとして《地底のスクーナー船》《大洞窟のコウモリ》《魅惑の悪漢、マルコム》などが採用されています。2マナ域の追加ですが、これは非常に大きな強化ポイントです。
エスパー・ミッドレンジは元々強力なデッキで非常に隙の少ないデッキでしたが、僅かながらに問題点がありました。それは「2マナ域の幅の無さ」です。特に《敬虔な新米、デニック》は強力なカードではあるものの伝説のクリーチャーという点がネックで、伝説被りが展開に支障をきたしてしまうことは珍しくありませんでした。効果的でない相手もそれなりに存在しており、かといってそれ以上に優れた2マナ域がいなかったのです。
今回登場した《地底のスクーナー船》と《大洞窟のコウモリ》は追加の2マナ域として申し分なく、特に《大洞窟のコウモリ》は本命である3マナの《婚礼の発表》や《策謀の予見者、ラフィーン》を通す前の梅雨払い役として最適な存在です。相手の除去呪文や打ち消し呪文を事前に取り払うことができ、そのままラフィーンに繋がれば飛行・絆魂の能力を持つ謀議役を担うなど、完璧すぎる噛み合いを見せています。
アゾリウス・ミッドレンジ/アゾリウス・フラッシュ
2 《平地》 2 《島》 4 《ミレックス》 4 《不穏な投錨地》 1 《天上都市、大田原》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《アダーカー荒原》 4 《さびれた浜》 4 《金属海の沿岸》 -土地(26)- 4 《遠眼鏡のセイレーン》 3 《敬虔な新米、デニック》 2 《内なる空の管理人》 4 《ティシャーナの潮縛り》 -クリーチャー(13)- |
4 《かき消し》 4 《地底のスクーナー船》 4 《忠義の徳目》 4 《婚礼の発表》 3 《放浪皇》 2 《邪悪を打ち砕く》 -呪文(21)- |
1 《痛烈な一撃》 2 《ゴバカーンへの侵攻》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 2 《失せろ》 2 《エルズペスの強打》 2 《太陽降下》 2 《トカシアの歓待》 -サイドボード(15)- |
3 《アダーカー荒原》 3 《さびれた浜》 1 《皇国の地、永岩城》 3 《島》 3 《ミレックス》 1 《天上都市、大田原》 4 《平地》 4 《不穏な投錨地》 4 《金属海の沿岸》 -土地(26)- 2 《有望な信徒》 4 《遠眼鏡のセイレーン》 3 《敬虔な新米、デニック》 2 《ティシャーナの潮縛り》 2 《大変成家、アンクタス》 1 《過充電縫合体》 -クリーチャー(14)- |
2 《邪悪を打ち砕く》 1 《魂の仕切り》 2 《かき消し》 4 《婚礼の発表》 4 《忠義の徳目》 4 《地底のスクーナー船》 3 《放浪皇》 -呪文(20)- |
2 《エルズペスの強打》 1 《邪悪を打ち砕く》 2 《ゴバカーンへの侵攻》 1 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 2 《痛烈な一撃》 1 《第三の道のロラン》 1 《機械の母、エリシュ・ノーン》 1 《太陽降下》 2 《大群退治》 -サイドボード(15)- |
エスパー・ミッドレンジと比較して、白と青のカラーリング、それにいくつかのカードを共有しつつも、少し経路が異なるデッキとしてアゾリウス・ミッドレンジがあります。こちらは黒を用いるエスパーと比べ対応力が下がるものの、テンポ戦略に重きを置いており、1マナの《遠眼鏡のセイレーン》に代表されるように、再序盤から積極的な展開が可能です。
このデッキは今セット注目カードの1枚である《地底のスクーナー船》をおそらく最も上手く使っているデッキであり、除去カードを使わない代わりにクリーチャー比率が高くなっていることから搭乗員に事欠きません。
《ティシャーナの潮縛り》はクリーチャーでありながら対戦相手の脅威に対する干渉手段も兼ねており、テンポ良くクリーチャーを展開しながら盤面を押していく、デッキの戦略に非常にマッチした1枚です。
《地底のスクーナー船》は搭乗コストの軽さやリソース獲得能力など見た目の強さに加え、環境事情として《切り崩し》《喉首狙い》の2大主流除去カードが当たらないという利点があります。これによりそれらの除去カードは信頼性を下げたと言えます。機体はその性質上《太陽降下》のような除去呪文が当たらず、インスタントタイミングのカードでの対処に絞られるのですが、その中でもさらに制約を強いることができ、非常に優秀な戦力です。今現在青が絡むあらゆるデッキでプレイされていますね。
また今セットにて登場した有効色ミシュラランドの中でも《不穏な投錨地》は一際強力で、白青というカラーリングはその点でも優遇されています。今大会では全体的に白と青のカラーリングが人気を博しましたが、その一翼を担う要素であることは間違いありません。軽い起動コスト、飛行、アドバンテージ、ブロックにも回れる高タフネス。言うことなしの高性能土地です。
またカラーリングや基本的な構造は同じながらも少しコンセプトが異なるデッキとしてアゾリウス・フラッシュがあります。
6 《島》 5 《平地》 1 《天上都市、大田原》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《金属海の沿岸》 4 《アダーカー荒原》 4 《不穏な投錨地》 -土地(25)- 4 《遠眼鏡のセイレーン》 3 《フェアリーの黒幕》 4 《ティシャーナの潮縛り》 4 《エラントとジアーダ》 3 《人狐のボディガード》 2 《鉱夫の導鳥》 1 《聖戦士の奇襲兵》 -クリーチャー(21)- |
4 《かき消し》 4 《地底のスクーナー船》 4 《放浪皇》 2 《忠義の徳目》 -呪文(14)- |
2 《ゴバカーンへの侵攻》 2 《邪悪を打ち砕く》 3 《エルズペスの強打》 2 《否認》 1 《第三の道のロラン》 1 《聖戦士の奇襲兵》 3 《敬虔な新米、デニック》 1 《人狐のボディガード》 -サイドボード(15)- |
こちらは《エラントとジアーダ》をフィーチャーした構築となっており、デッキ内のほとんどのカードが飛行、あるいは瞬速持ちで構成され、多数のアドバンテージ獲得機会が存在します。
他のアゾリウスデッキではあまり見かけないクリーチャーが多数採用されており、非常にユニークな構成となっています。
版図ランプ/バント・コントロール
3 《ジアトラの試練場》 4 《ジェトミアの庭》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《沼》 2 《魂の洞窟》 1 《島》 2 《平地》 4 《スパーラの本部》 4 《森》 1 《山》 1 《ラフィーンの塔》 1 《ミレックス》 -土地(26)- 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 4 《怒りの大天使》 2 《装飾庭園を踏み歩くもの》 -クリーチャー(9)- |
3 《ゼンディカーへの侵攻》 4 《群れの渡り》 4 《執念の徳目》 4 《太陽降下》 4 《力線の束縛》 4 《豆の木をのぼれ》 2 《洞窟探検》 -呪文(25)- |
4 《強迫》 1 《邪悪を打ち砕く》 1 《エルズペスの強打》 2 《強情なベイロス》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《完成化した精神、ジェイス》 1 《集団失踪》 2 《痛烈な一撃》 -サイドボード(15)- |
1 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《夢根の滝》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《島》 2 《ジェトミアの庭》 2 《ミレックス》 1 《天上都市、大田原》 6 《平地》 3 《ラフィーンの塔》 4 《スパーラの本部》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(26)- 2 《有角の湖鯨》 -クリーチャー(2)- |
4 《失せろ》 4 《軍備放棄》 4 《力線の束縛》 2 《冥途灯りの行進》 1 《向上した精霊信者、ニッサ》 1 《銀の精査》 4 《太陽降下》 3 《中略》 1 《セレスタス》 4 《放浪皇》 4 《豆の木をのぼれ》 -呪文(32)- |
3 《金属の徒党の種子鮫》 1 《星界の再誕》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《エルズペスの強打》 1 《船砕きの怪物》 2 《痛烈な一撃》 2 《強情なベイロス》 2 《一時的封鎖》 -サイドボード(15)- |
エスパー・ミッドレンジと並び前環境からの本命である版図系のコントロールデッキです。《力線の束縛》による単体除去、《太陽降下》による全体除去、《豆の木をのぼれ》によるリソース獲得と、コントロールデッキが求める要素を一通り有しています。
版図ランプとバント・コントロールの大きな違いはフィニッシュ手段にあり、《群れの渡り》や《偉大なる統一者、アトラクサ》といった大味な切り返しを図るのが版図ランプで、圧倒的なフィニッシュ力はないものの、除去としても運用できフィニッシャーにもなる《放浪皇》や《有角の湖鯨》を用いるのがバント・コントロールとなっています。
新カードに目を向けると、バント・コントロールには《失せろ》が採用されており、除去能力が向上しています。このインスタント除去呪文は現在の環境を定義する1枚でもある《地底のスクーナー船》に触れることのできる貴重な手段となっています。
版図ランプには《洞窟探検》と《魂の洞窟》の2種類が採用されています。《洞窟探検》は非常に興味深い選択で、マナブースト手段でもある他、1枚設置できれば後続の3色サイクリング土地が全てアンタップでプレイできるようになるため、見かけ以上にゲームへの影響度が高いように思います。
そして《魂の洞窟》もまたゲームへの影響度が非常に高い1枚です。版図ランプへの対策として《軽蔑的な一撃》がよく使われており、青いデッキは大型呪文のほとんどをこれで対処していました。しかしながら、この強力な土地は打ち消し呪文による対処を否定してしまうため、《偉大なる統一者、アトラクサ》のような強力なクリーチャーを押し通すことが可能になっています。《怒りの大天使》と天使の種族が共通しており、マナベースとしてもしっかり機能している点もポイントです。
ボロス・アグロ/ボロス召集
1 《皇国の地、永岩城》 1 《ミシュラの鋳造所》 4 《閑静な中庭》 4 《戦場の鍛冶場》 4 《魂の洞窟》 4 《低木林地》 4 《剃刀境の茂み》 -土地(22)- 2 《内なる空の管理人》 4 《徴兵士官》 4 《有望な信徒》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《勇敢な旅人、ケラン》 3 《太陽の執事長、インティ》 4 《銅纏いの先兵》 3 《粗暴な聖戦士》 3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 3 《千番目の月、アニム・パカル》 2 《月皇の古参兵》 -クリーチャー(34)- |
4 《失せろ》
-呪文(4)- |
3 《救出専門家》 3 《選定された平和の番人》 3 《邪悪を打ち砕く》 3 《痛烈な一撃》 3 《ランタンのきらめき》 -サイドボード(15)- |
3 《日没の道》 4 《戦場の鍛冶場》 3 《魂の洞窟》 2 《眠らずの露営》 1 《ミレックス》 3 《山》 3 《平地》 2 《皇国の地、永岩城》 2 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(23)- 4 《内なる空の管理人》 4 《ヨーティアの前線兵》 4 《ヴォルダーレンの美食家》 3 《威厳あるバニコーン》 1 《太陽の執事長、インティ》 4 《毅然たる援軍》 3 《血滾りの福音者》 4 《イモデーンの徴募兵》 4 《イーオスの遍歴の騎士》 -クリーチャー(31)- |
4 《上機嫌の解体》 2 《魔女跡追いの激情》 -呪文(6)- |
2 《石術の連射》 2 《ランタンのきらめき》 4 《婚礼の発表》 2 《邪悪を打ち砕く》 1 《失せろ》 1 《月皇の古参兵》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 -サイドボード(15)- |
アグロデッキはボロスカラーの2種類をご紹介。種族を人間に寄せることで《銅纏いの先兵》や《魂の洞窟》を活用するタイプのものと、《イーオスの遍歴の騎士》を中心に据えた召集戦略を取るタイプがあります。
どちらのデッキも1ターン目から順々にクリーチャーを繰り出し、素早いプレッシャーで対戦相手を圧倒する構成になっていますが、共通して採用されているのが《内なる空の管理人》。はじめは1マナ1/2の標準的なスタッツですが、持っている能力がいずれも優秀。飛行・警戒・サイズアップの3点はゲーム後半にまで活きてくる能力で、このカードだけでゲームに勝つ光景もしばしば見受けられます。
人間軸のリストでは新カードが目白押し。アグロの新規戦力として注目されていたカード郡が早速活躍しており、ボロスカラーを選択することの明確な利点となっているでしょう。《千番目の月、アニム・パカル》はよく《輝かしい聖戦士、エーデリン》と比較されますが、両方使えばいい!伝説のクリーチャーなので分けて採用することに価値がありますし、合理的で好感の持てるリストです。《勇敢な旅人、ケラン》《太陽の執事長、インティ》は能力も優秀ですがスタッツ面でも優れており、《内なる空の管理人》然り、低マナ域のクリーチャーでありながらゲーム後半でも活きてくる効果のお陰で、持久戦も十分戦える構造になっています。
そしてここにも《失せろ》。早くアグレッシブなデッキの方が、対戦相手が地図・トークンを起動している余裕を与えないので強く使えることが多いです。これもまたデッキにマッチした1枚です。
召集タイプのリストには《血滾りの福音者》が採用されています。1枚で複数体のクリーチャーが並ぶ性質に加え、喊声の能力もデッキにフィットしており、《イモデーンの徴募兵》以外にも全体強化手段を手に入れました。クリーチャーなので《イーオスの遍歴の騎士》で探すことができますし、見た目の枚数以上に大きな強化です。
白単ミッドレンジ
1 《皇国の地、永岩城》 4 《廃墟の地》 16 《平地》 4 《道路脇の聖遺》 2 《解体爆破場》 -土地(27)- 4 《野心的な農場労働者》 4 《ギラプールの守護者》 2 《第三の道のロラン》 3 《セラの模範》 -クリーチャー(13)- |
4 《軍備放棄》 2 《太陽降下》 2 《骨化》 1 《忠義の徳目》 4 《婚礼の発表》 4 《キャンディーの道標》 4 《窯焼きの煉瓦》 2 《マイトストーンとウィークストーン》 3 《放浪皇》 2 《永遠の放浪者》 1 《侵略樹、次元壊し》 2 《失せろ》 1 《華やいだエルズペス》 -呪文(32)- |
1 《失せろ》 2 《侵略樹、次元壊し》 2 《第三の道のロラン》 1 《一時的封鎖》 1 《骨化》 1 《永遠の放浪者》 2 《告別》 2 《魂の洞窟》 2 《解体爆破場》 1 《放浪皇》 -サイドボード(15)- |
白単ミッドレンジというデッキタイプ自体は少し前の環境で流行しましたが、ここにきてもまだ存在感を示しています。この川崎さんという方、僕の知る限りでも白単ミッドレンジでの大型公式大会入賞はこれで3度目で、いわゆるマスターです。構成も独特なものとなっていますので、しっかりと見ていきたいと思います。
まず新カードの定番として《失せろ》があり、白を使うデッキでは今後もよく見かけることは間違いないでしょう。《魂の洞窟》はサイドボードでの採用となっており、白単ミッドレンジも版図ランプ同様《軽蔑的な一撃》で対策されやすいデッキでしたが、このカードにより《セラの模範》のようなインパクトの出せるカードを通しやすくなっています。
そして個人的に面白いと思ったのが《窯焼きの煉瓦》の採用で、これまでの白単ミッドレンジは《野心的な農場労働者》が使われていましたが、このリストでは《野心的な農場労働者》に追加する形で《窯焼きの煉瓦》が採用されており、まさかの8枚体制!
しかしこれだけ《平地》をサーチするカードばかり採用してしまうと、手札がマナ関連のカードで占められマナフラッドしてしまうのではないかと思われたのですが、よく見るとデッキ枚数が72枚となっており、間接的にその問題発生が解消されていました。
これは非常に面白く斬新なアプローチで、白単色のカラーリングにおいて貴重なリソース獲得源をなるべく多く採用し、《ギラプールの守護者》《セラの模範》の価値を高め、かつマナフラッドの発生確率を抑えるという立体的な考え方が適用されています。一つのデッキタイプを長く研究しているからこそ導き出される考えだと思いますし、その上で結果を残されている点は本当に凄いです。
《キャンディーの道標》でゲーム後半の作製による変身も無駄なく行えますので、非常に美しい構成となっています。
バント・ポイズン
3 《ミレックス》 4 《種子中枢》 4 《金属海の沿岸》 3 《剃刀境の茂み》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《アダーカー荒原》 1 《さびれた浜》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 -土地(22)- 4 《離反ダニ、スクレルヴ》 4 《敬慕される腐敗僧》 4 《這い回る合唱者》 4 《顎骨の決闘者》 4 《別館の歩哨》 -クリーチャー(20)- |
3 《消えゆく希望》 4 《実験的占い》 3 《スクレルヴの巣》 4 《血清の罠》 4 《渦巻く霧の行進》 -呪文(18)- |
4 《痛烈な一撃》 3 《否認》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《完全化の杖》 2 《ダニの突撃》 2 《邪悪を打ち砕く》 1 《スクレルヴの巣》 -サイドボード(15)- |
最後にご紹介するのはバントカラーの毒デッキ。こちら新カードは採用されていませんが、ここに来て成果を挙げて来ています。非常に珍しいデッキで、使用者は会場でわずか2人。(セレズニアを含めても3人)
《敬慕される腐敗僧》と《渦巻く霧の行進》のコンボによる殺傷力の高さが有名ですが、《渦巻く霧の行進》は単なるコンボパーツではなく、対戦相手のクリーチャーに打ち込んで攻撃を押し通すのにも使える他、この手のアグロデッキが天敵とする《太陽降下》を回避するなどの使い方も有用で、攻守共デッキに適した1枚です。
フェイズ・アウトの能力が非常に便利で、一度追放したりしないのでダニ・トークンなども逃がすことができますし、実は《別館の歩哨》をフェイズ・アウトさせても追放しているクリーチャーは相手に戻りません。これはフェイズ・アウトが「戦場に存在していないかのように扱う」だけで、歩哨が「戦場から離れた」わけではないからです。とんちだ!
各カード間に細かなシナジーがあり、《スクレルヴの巣》と《ミレックス》によって持久力もあったりと、テクニカルで楽しいデッキです。毒性のカードは今後なかなか増えないかもしれませんが、隙を見てメタゲームに食い入ってくる可能性は十分あると言えるでしょう。
今回は以上です!白の使用率が目立つ環境ではありますが、使われているカードは様々でデッキの方向性も異なるものばかり。プレイヤーの考え方も多種多様で、面白い環境だと思いました。ここ最近は新セットのカードがしっかりと環境に影響を与えることが多く、プレイヤーとしても研究し甲斐があります。
今回のスタンダードオープンの結果で言えば白青系のミッドレンジデッキが成功を勝ち取ったようですが、新環境はまだまだ始まったばかりですので、この結果をもとにまた新しいデッキやカードが注目される可能性は十分にあります。自分なりのアプローチで攻略に励みつつ、新環境を遊びつくしましょう!
それではまた次回。
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