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原根健太の徹底解説!スタンダード・アナライズ
第10回:禁止制限改定と『神河:輝ける世界』のもたらした世界
皆さんこんにちは。スタンダード連載担当の原根(@jspd_)です。本連載も今回で10回目の掲載となりました。いつもご覧になっていただきありがとうございます。
前回記事より間があいてしまいました。皆さんご存じの通り、少し前のスタンダードは《アールンドの天啓》を核としたイゼット・デッキが環境を席巻しており、このカードがいかに環境を狭めているかを述べることしかできない状況が続いていたのです。先に開かれたイニストラード・チャンピオンシップでもトップ8のうち6名が同デッキを用いています。
スタンダードでは《運命のきずな》以来の収録となった追加ターン呪文。単一のカードとしてはそれなりの性能でしたが、《運命のきずな》が《荒野の再生》と合わさったように、《黄金架のドラゴン》や《感電の反復》といった相性抜群のカードと組み合わさることで、圧倒的な力を有したのです。追加ターン呪文のデザインは難しいですね。
最近ですとMTGアリーナのヒストリック・フォーマットでも《時間のねじれ》が追加され、そして速やかに禁止されていきましたから、優れた組み合わせが見つかるとすぐさま危険度が上がってしまいます。
結果、2022年1月25日の禁止制限告知にて、同カードを筆頭とした禁止カードが発表されました。
環境で猛威を奮っていた《アールンドの天啓》、その活躍を支えていた《ゼロ除算》、さらには対抗馬となる単色アグロの強みであった《不詳の安息地》の3枚が禁止カードに指定されています。この発表により、これまで環境の主力であったデッキはどれも軒並みパワーダウンを強いられましたから、環境の変化は必至です。
さらに、先日2月18日には新セットである『神河:輝ける世界』がリリースされました。
この2つの要因により、スタンダードは完全に生まれ変わりました。今回の記事では禁止制限改定および『神河:輝ける世界』追加後のスタンダード・フォーマットについてお話していきたいと思います。どうぞ最後までお付き合いください。
『神河:輝ける世界』リリース
実に17年ぶり(物語の中では約1,200年ぶり)に神河次元が描かれることとなりました。侍や忍者といった従来の神河フレーバーに加え、機体や換装といった最新式技術もありと、非常に独特な世界観が展開されています。実際のカードも様々なデザインが施されており、上記ギミック他、アーティファクト・クリーチャーとクリーチャー・エンチャントの共存、変身付き英雄譚(!)、混成ファイレクシア・マナ・シンボル(!!)など要素てんこ盛りです。
面白いカードがたくさん用意されている同セットですが、今回は連載の趣旨に沿ってスタンダード的注目カードを紹介していきましょう。
《放浪皇》
『灯争大戦』にて謎のプレインズウォーカーとして初登場し、その正体が注目されていましたが、神河の皇であることが判明しました。故郷を舞台に満を持しての登場となりましたが、期待を裏切ることのないスーパースペックとなっています。最近のプレインズウォーカーは性能的に惜しいものが多かったのですが、これは文句の付け所がありません。
3つの能力全てが実戦的で、アグロデッキからコントロールデッキまで幅広くフィットします。強いプレインズウォーカーにはいくつか条件があります。「プレイされたターンに何かしら盤面に影響を及ぼす」「自身を守る能力がある」「忠誠度を増やす能力がアドバンテージに繋がる」「単体で完結した動きができる」などが該当し、過去活躍してきたプレインズウォーカーのほとんどはいずれか複数に該当するのですが、《放浪皇》はそのほとんどを有しています! 今後、白いデッキならどんなデッキでも採用を検討できるレベルにあると言えるでしょう。
《漆月魁渡》
お次もプレインズウォーカーである《漆月魁渡》です。先に紹介した《放浪皇》とは幼馴染の関係にあります。非常に汎用的な効果を持つ彼女と比べるとある程度デッキを選んでしまう部分はありますが、適したデッキでプレイできれば十分活躍が見込めます。
《漆月魁渡》の特徴および強みとして、着地ターンにフェイズ・アウトする能力が挙げられます。プレインズウォーカーは着地ターンが最も脆く、クリーチャーの攻撃や除去呪文の的になってしまいやすいのですが、着地ターンをフェイズ・アウトでやり過ごすことにより、すべてのマナを使える万全の状態でサポートが可能になります。これは瞬速でプレイが可能な《放浪皇》にも同じことが言え、非常に強力なデザインです。プレインズウォーカーは可能な限り長く維持し、効果を使い続けることが理想なので、守りやすいデザインは評価の対象になります。
「魂力」土地サイクル
プレビュー時点で注目の話題となっていましたが、今回登場した「魂力」土地サイクルは非常に強力です。アンタップインの土地であるためデメリットが薄く、伝説であることを考慮しても色が合っているものは最低1枚採用し得です。ゲーム終盤、あと1手何かあればという状況で《島》なのか《天上都市、大田原》なのかは雲泥の差でしょう。
『ゼンディカーの夜明け』でモードを持つ両面土地カードが登場したあたりから、土地のバランスもあらゆるパターンが考えられるようになりました。現在、例えば赤マナの採用を考えるにしても《棘平原の危険》《髑髏砕きの一撃》《バグベアの居住地》、そして今回の《反逆のるつぼ、霜剣山》と無数に選択肢があります。《廃墟の地》や《耐え抜くもの、母聖樹》を考えれば基本土地である《山》にも価値がありますし、どれを何枚ぐらい採用するのがベストなのか、土地バランスを考えるだけでも頭を悩ませることになりそうです。
《轟く雷獣》
赤いビートダウンデッキにおける期待の新生が登場しました。高い打撃力を有しており、毎ターン「改善」する能力も強力です。赤いアグロデッキの4マナ域はこれまで《月の帳の執政》が使われることが多かったのですが、やはり赤と言えば速攻が売りです。実際アグロデッキが対戦相手を追い詰めていく過程で、余裕を持たせないというのは重要な要素となります。
今セットでは赤いビートダウンデッキで使えそうなカードが併せて追加されています。特に《兎電池》と《熊野と渇苛斬の対峙》は待望の1マナ域を埋めるクリーチャーです。ライフを攻め抜いてプレッシャーをかけるという側面において一貫性を持った構築ができるようになりました。最近不遇の時代が続いていた赤アグロの復権が期待できます。
『神河:輝ける世界』のカードは非常にパワフルで、上記で紹介したものはほんの一例です。ここからはそれらのカードが実際に使われた直近の大会結果を絡めつつ、その活躍についてお話ししようと思います。
日本選手権2021 FINAL
ちょうど先日、昨年開催されていた2021年シーズンの日本選手権の総決算である日本選手権FINALがスタンダードにて開催されました。結果は以下の通りです。
優勝 | 「白単アグロ」 |
準優勝 | 「エスパー・ミッドレンジ」 |
3位 | 「ボロス・アグロ」 |
4位 | 「白単アグロ」 |
5位 | 「ボロス・アグロ」 |
6位 | 「グルール・アグロ」 |
7位 | 「ゴルガリ・ミッドレンジ」 |
8位 | 「エスパー・ミッドレンジ」 |
優勝に輝いたのは白単アグロをプレイした中道大輔さんです。おめでとうございます!
ご覧の通り、中道さんを筆頭に白系のアグロデッキが上位を占めています。非クリーチャー呪文を多用するデッキが台頭しており、《スレイベンの守護者、サリア》は環境上非常に優れた存在でした。アグロの中でも白系のものが活躍した要因となっています。入賞デッキを順番に見ていきましょう。
「白単アグロ」
16 《平地》 3 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 2 《皇国の地、永岩城》 3 《這い回るやせ地》 -土地(24)- 4 《有望な信徒》 4 《堕ちたる者の案内者》 4 《剛胆な敵対者》 4 《光輝王の野心家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《精鋭呪文縛り》 3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 2 《傑士の神、レーデイン》 1 《軍団の天使》 -クリーチャー(30)- |
2 《勇敢な姿勢》 4 《放浪皇》 -呪文(6)- |
4 《粗暴な聖戦士》 3 《ガーディアン・オヴ・フェイス》 3 《スカイクレイブの亡霊》 3 《軍団の天使》 1 《冥途灯りの行進》 1 《勇敢な姿勢》 -サイドボード(15)- |
優勝と4位はリストが全く同じもので、揃ってトップ8に入賞。完全な勝ち組となっています。従来の古き良き「白単アグロ」の構造に《放浪皇》が追加されたことで強化されています。相手ターンでプレイし除去能力を起動したりトークンを生み出したりするのも強力ですが、アグロデッキの場合は戦闘フェイズに突然現れて+1/+1カウンターおよび先制攻撃付与の運用が非常に強力です。
また伝説のカードを4枚採用するのが気になるかもしれませんが、《放浪皇》は使い切りの運用も強力で、トークンを生み出しながらどんどん攻撃に向かわせ、使い切ったら新しいものを出し直すプレイに全く損がありません。これにより4枚という強気の枚数を設定でき、結果として高頻度のプレイに繋がりやすくなるのです。
冒頭でお話しした通り、これまで単色デッキの強みであった《不詳の安息地》は禁止カードとなってしまいましたので、代わるミシュラランド(クリーチャー化する土地)として《這い回るやせ地》が投入されています。単色デッキゆえ色マナの余裕はありますし、赤の本体火力のような後詰めの無い白単にとっては、ミシュラランドが置けているか否かで詰めの性能が大きく変わってきます。
「ボロス・アグロ」
8 《平地》 3 《山》 4 《怒静の交錯》 4 《針縁の小道》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 2 《バグベアの居住地》 -土地(22)- 4 《有望な信徒》 3 《兎電池》 4 《光輝王の野心家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《日金の歩哨》 4 《精鋭呪文縛り》 3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 2 《粗暴な聖戦士》 2 《傑士の神、レーデイン》 2 《軍団の天使》 -クリーチャー(30)- |
4 《熊野と渇苛斬の対峙》 2 《運命的不在》 1 《勇敢な姿勢》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(8)- |
1 《粗暴な聖戦士》 4 《スカイクレイブの亡霊》 1 《傑士の神、レーデイン》 2 《軍団の天使》 3 《ポータブル・ホール》 2 《勇敢な姿勢》 2 《スカルドの決戦》 -サイドボード(15)- |
8 《平地》 4 《山》 2 《日没の道》 4 《針縁の小道》 3 《バグベアの居住地》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(23)- 4 《有望な信徒》 4 《光輝王の野心家》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《血に飢えた敵対者》 4 《精鋭呪文縛り》 4 《無謀な嵐探し》 4 《轟く雷獣》 1 《軍団の天使》 -クリーチャー(28)- |
4 《熊野と渇苛斬の対峙》 3 《轟く叱責》 2 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(9)- |
2 《粗暴な聖戦士》 2 《傑士の神、レーデイン》 3 《軍団の天使》 4 《ポータブル・ホール》 3 《勇敢な姿勢》 1 《轟く叱責》 -サイドボード(15)- |
アーキタイプ的には同じですが、リストの構造は大きく異なっています。井川さんのリストは白単アグロに一部の赤いカードを少量追加しており、一方手塚さんのリストは完全に白赤のハイブリッドです。
井川さんのリストでは強力な1マナ域を求めて赤が使われています。「白単アグロ」は2~4マナまでは豊富な選択肢があり強力ですが、1マナは《命の恵みのアルセイド》《無私の救助犬》を失って以降元気がありません。《有望な信徒》は悪くありませんが、《堕ちたる者の案内者》は直近のメタゲームで人気の「エスパー・ミッドレンジ」に投入されている《よろめく怪異》や《ひきつり目》を考えると好ましい選択肢ではありません。
この点を、色を増やすことによる解決を目指しているわけですね。サイドボードに用意されている《スカルドの決戦》も長期戦を見据える上で素晴らしいツールです。
手塚さんのリストも同様に《堕ちたる者の案内者》を廃しつつ《熊野と渇苛斬の対峙》を用いています。さらに赤いアグロの強みである《無謀な嵐探し》、そして『神河:輝ける世界』注目の新戦力である《轟く雷獣》が採用されています。《有望な信徒》《熊野と渇苛斬の対峙》《光輝王の野心家》といった具合に改善ギミックも搭載されており、自身による改善も含めれば相当なパンチ力が期待できます。
「白単アグロ」および「ボロス・アグロ」は合わせての使用者が5名しかいなかったにも関わらず4名がトップ8に入賞しており、今大会最も優れた戦略であったと言えます。
「エスパー・ミッドレンジ」
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 2 《さびれた浜》 4 《砕かれた聖域》 2 《難破船の湿地》 3 《連門の小道》 4 《陽光昇りの小道》 4 《清水の小道》 2 《目玉の暴君の住処》 -土地(24)- 4 《ひきつり目》 4 《神憑く相棒》 2 《心悪しき隠遁者》 -クリーチャー(10)- |
3 《忘却の儀式》 3 《消失の詩句》 1 《軽蔑的な一撃》 4 《婚礼の発表》 1 《魂の粉砕》 1 《ハグラの噛み殺し》 1 《エメリアの呼び声》 3 《食肉鉤虐殺事件》 2 《不笑のソリン》 3 《漆月魁渡》 2 《放浪皇》 2 《蜘蛛の女王、ロルス》 -呪文(26)- |
1 《沈黙の蜘蛛、琴瀬》 2 《罠を探す》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《才能の試験》 2 《危難の道》 1 《魂の粉砕》 1 《告別》 1 《過去対面法》 1 《環境科学》 1 《壊死放出法》 1 《害獣召喚学》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
1 《平地》 1 《沼》 2 《砕かれた聖域》 4 《さびれた浜》 2 《難破船の湿地》 4 《陽光昇りの小道》 3 《連門の小道》 2 《清水の小道》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《目玉の暴君の住処》 -土地(24)- 4 《ひきつり目》 2 《よろめく怪異》 4 《光輝王の野心家》 -クリーチャー(10)- |
4 《命取りの論争》 3 《軽蔑的な一撃》 3 《消失の詩句》 2 《忘却の儀式》 1 《否認》 4 《婚礼の発表》 1 《食肉鉤虐殺事件》 2 《不笑のソリン》 3 《漆月魁渡》 2 《放浪皇》 1 《蜘蛛の女王、ロルス》 -呪文(26)- |
2 《エメリアのアルコン》 2 《パワー・ワード・キル》 1 《否認》 2 《真っ白》 1 《ドゥームスカール》 1 《食肉鉤虐殺事件》 1 《過去対面法》 1 《環境科学》 1 《壊死放出法》 1 《害獣召喚学》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
大会が始まる前の時点では1番人気と思われていたのがこの「エスパー・ミッドレンジ」です。日本選手権FINALよりも前に開かれた大会において非常に活躍したデッキでした。
蓋を開けてみれば3名しか使用者がおらず、大会参加者のほとんどが存在を認知しつつも「倒す側」に回った結果であると言えます。それでも、うち2名がトップ8に残っていますので、デッキパワーは疑う余地がないでしょう。
このデッキはエスパーカラーの3色をふんだんに用いたデッキであり、デッキの中核を成すのは新セットの看板プレインズウォーカーである《漆月魁渡》と《放浪皇》です。両プレインズウォーカーの能力を駆使し、戦場・手札を潤沢に取り揃え、対戦相手を蹂躙します。このような生粋のミッドレンジ・デッキはこれまで《アールンドの天啓》に虐げられてきたため、ようやく活躍が望めるようになりました。
プレインズウォーカーを筆頭とする豊富なリソース獲得手段に加え、全体除去、パーマネント除去、打ち消し呪文など潤沢な選択肢を持ち、非常に対応力の高いデッキです。意識する対象次第でデッキ構築を変化させ、今後も長らく活躍するタイプのデッキだと思います。
「グルール・アグロ」
4 《森》 4 《山》 4 《落石の谷間》 4 《岩山被りの小道》 3 《ハイドラの巣》 1 《バグベアの居住地》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(23)- 2 《群れのシャンブラー》 4 《蜂起軍の無法者》 4 《オラン=リーフの軟泥》 2 《髑髏砕きの突撃者》 4 《轟く雷獣》 2 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(18)- |
4 《熊野と渇苛斬の対峙》 3 《神の火炎》 3 《レンジャー・クラス》 3 《活力の温泉》 2 《髑髏砕きの一撃》 4 《エシカの戦車》 -呪文(19)- |
2 《辺境地の罠外し》 2 《タミヨウの保管》 2 《バーニング・ハンズ》 2 《燃えがら地獄》 1 《神の火炎》 2 《勢団の銀行破り》 2 《勝負服纏い、チャンドラ》 2 《群れの希望、アーリン》 -サイドボード(15)- |
《蜂起軍の無法者》《活力の温泉》《轟く雷獣》など改善ギミックに寄せて構築された「グルール・アグロ」です。
非常にユニークな構成で、本大会でも使用者はたった1名、その1名がトップ8入賞を遂げています。旧セットと新セットのカードが絶妙なバランスで融和しており、個人的には今大会で最も感銘を受けたリストです。
《群れのシャンブラー》は始めから改善済みのクリーチャーであり、後続のカウンター搭載クリーチャーに除去耐性を付与します。《オラン=リーフの軟泥》も改善クリーチャーを作り出しつつ強化、《髑髏砕きの突撃者》はキッカー・コストが不要になるなど、面白いギミックがてんこ盛りで、リストを見ているだけでも楽しくなってきますね。
「ゴルガリ・ミッドレンジ」
6 《沼》 5 《森》 2 《死天狗茸の林間地》 4 《闇孔の小道》 2 《目玉の暴君の住処》 2 《ハイドラの巣》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(24)- 3 《隠し幕》 3 《穢れた敵対者》 4 《茨橋の追跡者》 1 《戦慄宴の悪魔》 -クリーチャー(11)- |
2 《掘り起こし》 1 《血の長の渇き》 4 《創発的配列》 2 《冥府の掌握》 1 《魂の粉砕》 1 《魂転移》 3 《激しい恐怖》 2 《古き神々への拘束》 4 《エシカの戦車》 4 《レンと七番》 1 《蜘蛛の女王、ロルス》 -呪文(25)- |
3 《スカイクレイブの影》 3 《強迫》 1 《血の長の渇き》 1 《冥府の掌握》 2 《真っ白》 1 《魂の粉砕》 1 《選別の儀式》 2 《影の評決》 1 《収穫祭の襲撃》 -サイドボード(15)- |
新セットのカードはほとんど含まれていませんが、非常にユニークな「ゴルガリ・ミッドレンジ」です。使用者の二俣さんは《アールンドの天啓》期スタンダードの頃からずっとこのデッキを使ってきており、スペシャリストです。
緑の骨太なクリーチャー陣に黒の除去と手札破壊を合わせる、伝統的なミッドレンジ戦略ですね。「エスパー・ミッドレンジ」に然り、現在のスタンダードはミッドレンジデッキに脚光が当たり始めています。最近では見掛ける頻度が落ちていましたが、《エシカの戦車》と《レンと七番》のシナジーの力強さは健在ですね。
《レンと七番》の[+1]能力によって回収できる土地に厚みが出たのは『神河:輝ける世界』における収穫でしょう。《見捨てられたぬかるみ、竹沼》も《耐え抜くもの、母聖樹》もアドバンテージとしては十分なものです。
トップ8入賞デッキだけでも多種多様なデッキが存在しますが、環境はじめということもあり、現在のスタンダードはまだまだデッキが存在します。『神河:輝ける世界』のカードは可能性のあるカードがたくさんありますので、本大会の中からいくつかをザックリと紹介します。
「ラクドス・サクリファイス」
1 《沼》 1 《山》 4 《憑依された峰》 4 《荒廃踏みの小道》 4 《陽光昇りの小道》 2 《針縁の小道》 2 《目玉の暴君の住処》 2 《バグベアの居住地》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(21)- 4 《ヴォルダーレンの美食家》 4 《税血の収穫者》 4 《霜剣山の製錬者》 -クリーチャー(12)- |
4 《実験統合機》 4 《電圧のうねり》 2 《血の泉》 4 《命取りの論争》 4 《鬼流の金床》 3 《食肉鉤虐殺事件》 2 《髑髏砕きの一撃》 3 《不笑のソリン》 1 《蜘蛛の女王、ロルス》 -呪文(27)- |
2 《墓地の侵入者》 4 《強迫》 2 《血の長の渇き》 2 《消失の詩句》 1 《削剥》 1 《パワー・ワード・キル》 1 《魂の粉砕》 2 《スカルドの決戦》 -サイドボード(15)- |
惜しくも9位でトップ8を逃した八十岡さんの新作です。《鬼流の金床》《霜剣山の製錬者》という2種のサクリファイス・エンジンを軸に、血・トークンや宝物・トークンのような多様なアーテイファクトを組み合わせることで、巧みにギミックを構築しています。
このデッキの《実験統合機》は非常に強力なアドバンテージソースとして機能します。マナ・コストの低いカードが多いですが、持久力が高く、粘り強いデッキです。
「バント・コントロール」
3 《平地》 3 《草茂る農地》 1 《さびれた浜》 4 《夢根の滝》 4 《枝重なる小道》 4 《連門の小道》 4 《樹皮路の小道》 1 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 -土地(26)- 4 《樹海の幻想家、しげ樹》 4 《巨大な空亀》 -クリーチャー(8)- |
4 《運命的不在》 2 《ジュワー島の撹乱》 2 《冥途灯りの行進》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《記憶の宝球》 1 《否認》 3 《永岩城の修繕》 1 《バーラ・ゲドの復活》 1 《襲来の予測》 1 《ドゥームスカール》 3 《告別》 2 《勢団の銀行破り》 3 《放浪皇》 1 《レンと七番》 -呪文(26)- |
1 《聖戦士の奇襲兵》 1 《フランフ》 3 《ポータブル・ホール》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《レイ・オヴ・フロスト》 1 《記憶の氾濫》 2 《ドゥームスカール》 1 《勢団の銀行破り》 1 《放浪皇》 -サイドボード(15)- |
私、原根が本大会で使用したバントカラーのコントロールデッキです。《樹海の幻想家、しげ樹》で《巨大な空亀》を回収し、《巨大な空亀》で《樹海の幻想家、しげ樹》を回収することでループが発生します。《樹海の幻想家、しげ樹》の魂力能力をX=2以上でプレイすればその分だけ手札が増えていくので、ゲーム後半は無限のリソースを手にすることができます。
環境上強力な《告別》のために白を選択していますが、他の強みが必要ならティムールやスゥルタイでも構築できるので、今後の拡張性も高いギミックです。
「ナヤ・ルーン」
4 《草茂る農地》 2 《日没の道》 1 《落石の谷間》 4 《枝重なる小道》 4 《針縁の小道》 4 《岩山被りの小道》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 1 《ハイドラの巣》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(22)- 4 《気前のいい訪問者》 4 《樹海の自然主義者》 3 《無常の神》 4 《ルーン鍛えの勇者》 1 《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》 -クリーチャー(16)- |
4 《強力のルーン》 4 《速度のルーン》 2 《持続のルーン》 2 《魅知子の真理の支配》 1 《セジーリの防護》 1 《勇敢な姿勢》 1 《仮初めの時間》 4 《スカルドの決戦》 2 《神聖なる憑依》 1 《エメリアの呼び声》 -呪文(22)- |
4 《精鋭呪文縛り》 2 《スカイクレイブの亡霊》 3 《監禁の円環》 3 《レンジャー・クラス》 2 《勇敢な姿勢》 1 《放浪皇》 -サイドボード(15)- |
『神河:輝ける世界』にてエンチャント系のギミックが一気に強化されたことで登場したアーキタイプです。
《樹海の自然主義者》と《ルーン鍛えの勇者》が並ぶと0マナで各種ルーンを唱えられるようになり、《気前のいい訪問者》《無常の神》《神聖なる憑依》《スカルドの決戦》(Ⅱ章・Ⅲ章中)らと強力にシナジーします。
非常にパワフルなデッキで、本大会では1番人気のアーキタイプでしたが、強力さゆえ意識の対象となり思ったより活躍できませんでした。今後他のデッキに意識が向き、メタゲーム上のポジションが改善されれば活躍の芽が出てきそうです。
《黄金架のドラゴン》デッキ
1 《島》 1 《山》 4 《嵐削りの海岸》 1 《さびれた浜》 4 《河川滑りの小道》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 1 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 -土地(20)- 3 《くすぶる卵》 4 《黄金架のドラゴン》 3 《溺神の信奉者、リーア》 -クリーチャー(10)- |
3 《消えゆく希望》 3 《棘平原の危険》 4 《表現の反復》 3 《感電の反復》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《ドラゴンの火》 2 《セジーリの防護》 2 《勇敢な姿勢》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《錬金術師の計略》 1 《悪魔の稲妻》 1 《プリズマリの命令》 4 《予想外の授かり物》 -呪文(30)- |
2 《心悪しき隠遁者》 1 《くすぶる卵》 1 《船砕きの怪物》 1 《消えゆく希望》 2 《才能の試験》 1 《バーニング・ハンズ》 1 《燃えがら地獄》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《勇敢な姿勢》 1 《地震波》 2 《多元宇宙の警告》 1 《記憶の氾濫》 -サイドボード(15)- |
4 《島》 4 《山》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 2 《天上都市、大田原》 -土地(20)- 4 《黄金架のドラゴン》 2 《船砕きの怪物》 -クリーチャー(6)- |
4 《棘平原の危険》 2 《消えゆく希望》 4 《ドラゴンの火》 4 《表現の反復》 4 《ジュワー島の撹乱》 2 《削剥》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 2 《襲来の予測》 1 《プリズマリの命令》 3 《予想外の授かり物》 2 《多元宇宙の警告》 2 《記憶の氾濫》 1 《家の焼き払い》 1 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(34)- |
2 《心悪しき隠遁者》 2 《くすぶる卵》 1 《炎恵みの稲妻》 3 《バーニング・ハンズ》 2 《燃えがら地獄》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《才能の試験》 1 《白熱する議論》 1 《プリズマリの命令》 -サイドボード(15)- |
2 《山》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 4 《針縁の小道》 3 《連門の小道》 1 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1 《天上都市、大田原》 -土地(19)- 4 《黄金架のドラゴン》 2 《溺神の信奉者、リーア》 -クリーチャー(6)- |
4 《棘平原の危険》 3 《炎恵みの稲妻》 4 《表現の反復》 4 《ジュワー島の撹乱》 3 《セジーリの防護》 2 《感電の反復》 2 《否認》 2 《自身の誇示》 3 《プリズマリの命令》 2 《錬金術師の計略》 4 《予想外の授かり物》 2 《多元宇宙の警告》 -呪文(35)- |
4 《くすぶる卵》 1 《船砕きの怪物》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《勇敢な姿勢》 1 《削剥》 1 《轟く叱責》 1 《襲来の予測》 1 《地震波》 2 《多元宇宙の警告》 -サイドボード(15)- |
最高のパートナーだった《アールンドの天啓》を失いつつも、《黄金架のドラゴン》のカードパワーは健在であり、最も優れた組み合わせを求めてさまざまなアプローチが試されています。
環境初期は《暁冠の日向》と《マグマ・オパス》のダイナミックなコンボが注目されていましたが、大振りゆえ隙が大きく、手札事故の問題などもあり、徐々に数を減らし現実的なチューンに落ち着いてきました。
《感電の反復》と《予想外の授かり物》の組み合わせは相変わらず強力であるため、《感電の反復》の組み合わせ先として《アールンドの天啓》の代わりに《錬金術師の計略》を用いたものや、豊富なマナを活かして《船砕きの怪物》をフィニッシャーに据えたタイプが一般的です。
また非常に特殊なタイプとして、《自身の誇示》を使ったコンボ特化のリストもあります。軽い火力呪文を《黄金架のドラゴン》に差し向けてインスタント&ソーサリーのプレイ回数およびマナを稼ぎ出し、《感電の反復》と《錬金術師の計略》のコンボに繋げます。
本大会ではどのタイプも結果を残すことができませんでしたが、《黄金架のドラゴン》のパワーは本物ですので、今後も有効なアプローチが模索されていくことでしょう。
いかがでしたでしょうか? ご覧いただいたように、『神河:輝ける世界』のカードは環境に絶大な影響を与えており、多種多様なデッキが混在するメタゲームとなっています。実力者ばかりの日本選手権2021FINALにおいて、参加者36名の中で17ものアーキタイプがプレイされたのは環境の多様性を物語っています。現在のスタンダードは非常に面白く、可能性に満ちています。
そして現在「日本選手権2022」予選シーズンなどの各種イベントもスタンダードにて進行中です。なるべく多くのデッキを紹介させていただきましたので、本記事を参考に自分の好みに合ったデッキを手に取ってぜひプレイしてみてください!
それではまた次回。
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- 射場本正巳の「統率者(2016年版)のススメ」
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