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原根健太の徹底解説!スタンダード・アナライズ
第1回:禁止改定後の環境を見据えて
こんにちは。
今回からスタンダード・フォーマットの解説記事を担当させていただくことなりました原根 健太(@jspd_)です。自身のブログでも環境分析や大会レポートを掲載していましたが、有難いことに公式連載のお声掛けがあり、此度の運びとなりました。
私のことをご存じない方も多くいらっしゃることかと思いますので、まずは軽く自己紹介をさせてください。私原根は、マジックのプロプレイヤーをしています。直近ではプレイヤーズツアー・名古屋2020で優勝し、この功績から来期のマジック・ライバルズ・リーグへの招待を受けています。
当該の大会はパイオニア・フォーマットでの開催でしたが、普段はスタンダード・フォーマットを得意としています。私のこれまでの実績のほとんどもスタンダード・フォーマットによって築かれたものです。環境ごとに徹底した情報収集・分析をこなすスタイルを取っており、この連載ではそうした培ってきたノウハウを発揮し、わかりやすさをモットーに、スタンダード・フォーマットの最新事情をお伝えしていきたいと思っています。今後、よろしくお願いします。
さて、私のことはこれぐらいにして、早速スタンダードの話をしていきましょう。
スタンダードシーンは直近で大きな変化がありました。今回はそれらの状況をまとめつつ、今週末から来週末にかけて開催される「プレイヤーズツアー2020シリーズ2」(参考)に向けて新環境の注目デッキを紹介します。
ではまず、現在のスタンダード・フォーマットの概要からお話します。
スタンダード・フォーマット概要
現在のスタンダードで使用できるカードセットは以下の7セットです。
- 『ラヴニカのギルド』
- 『ラヴニカの献身』
- 『灯争大戦』
- 『基本セット2020』
- 『エルドレインの王権』
- 『テーロス還魂記』
- 『イコリア:巨獣の棲処』
7セット、というのはスタンダードのカードプールとしては比較的多い数字です。
そして使用可能なセットが多いということは、その分使用できるカードの量が多く、それはつまり各デッキのデッキパワーが高くなりやすいことを意味します。
さらに、カードの組み合わせのバリエーションが増えるので、環境に存在するデッキタイプも増加しやすい傾向があります。(一部のデッキが強すぎて他のデッキが淘汰されてしまうような例外もあります。)
またセットの内容にもよりけりですが、スタンダードは基本的に最新セットの影響を色濃く受けます。
セット内に強力なカードが多ければ、既存デッキは強化され、新しいデッキが生み出されるなどして大きく変化します。強力なカードが少数であった場合も、それらを用いたデッキがシェアを広げることで、そのデッキに対する有利・不利の要因によりシェア率が変化し、メタゲームに動きが出ます。
例として、『テーロス還魂記』では《空の粉砕》《エルズペス、死に打ち勝つ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の影響力が一際大きく、これらを中心にメタゲームに変化が起きていました。
直近のスタンダード事情
最新セットである『イコリア:巨獣の棲処』もスタンダードシーンに大きな影響を与えました。
新たに導入された「相棒」メカニズムはあらゆるフォーマットで猛威を奮い、スタンダード・フォーマットも例外ではありませんでした。
リリース以後開催されたイベントにおいて、相棒入りデッキはそのポテンシャルを遺憾なく発揮してきました。
スタンダード環境においては「ジェスカイ・ルーカ」が特に圧倒的で、トーナメントシーンを席捲。
3 《平地》 2 《島》 2 《山》 4 《神聖なる泉》 4 《聖なる鋳造所》 4 《蒸気孔》 4 《ラウグリンのトライオーム》 1 《啓蒙の神殿》 2 《天啓の神殿》 4 《アーデンベイル城》 2 《ヴァントレス城》 4 《寓話の小道》 -土地(36)- 4 《裏切りの工作員》 -クリーチャー(4)- |
4 《海の神のお告げ》 4 《メレティス誕生》 4 《太陽の神のお告げ》 4 《創案の火》 4 《空の粉砕》 4 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《サメ台風》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《時を解す者、テフェリー》 4 《銅纏いののけ者、ルーカ》 -呪文(40)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 4 《ドビンの拒否権》 4 《ガラスの棺》 4 《神秘の論争》 2 《轟音のクラリオン》 -サイドボード(14)- |
マジックにおいて「初手時点で確定するカード」の存在は非常に大きく、構築に制限こそ設けられるものの、「実質8枚の手札からゲームがスタート」し、「確定しているカードの存在を前提にデッキを構築できる」という2点において、革新的かつ優れた存在です。
アグロからコントロールまで幅広く採用され、前述の通り、スタンダードに限らずあらゆるフォーマットにおいて高い影響力を発揮し続けました。
相棒ルールの変更
その結果、相棒ルールには大きな変更が加わることになりました。
各ゲーム中に1度だけ、あなたはソーサリーを唱えられるとき(あなたのメイン・フェイズの間でスタックが空であるとき) に{3}を支払うことでサイドボードからあなたの相棒をあなたの手札に加えることができる。これは特別な処理であり、起動型能力ではない。
端的に言うならば、カードのマナ・コストが増加しました。分割して支払うこともできますが、《夢の巣のルールス》であれば6マナ、《獲物貫き、オボシュ》や《空を放浪するもの、ヨーリオン》であれば8マナが最終的に必要になります。1マナ違うだけでもカード評価が大きく異なるマジックにおいて、3マナの増加は大きすぎる変更です。
ある程度プレイターンを固定していた相棒にとっては特に痛手であり、アグロデッキのようなテンポが重視されるデッキの相棒は厳しい立場に立たされました。《孤児護り、カヒーラ》は3マナ目に、《集めるもの、ウモーリ》は4マナ目に、《獲物貫き、オボシュ》は5マナ目にぜひともプレイしたいカード。そしてアグロデッキにおいて、適正ターンより前にあらかじめ3マナを支払っておくのは非常に困難です。その分展開が弱くなってしまいますからね。
一方で、コントロールデッキやコンボデッキにおいては少し事情が異なります。
コントロールデッキはアグロデッキと違い長くゲームをすることを狙いとしていますから、3マナを支払う機会を設けやすく、コントロール成立後のフィニッシャーをゲーム開始時点から確保しておける強みは健在です。
また《深海の破滅、ジャイルーダ》のようなコンボデッキにおけるキーカードを「確実に手札に加えられる」という強みも健在であり、これにも3マナを支払う価値はあると言えます。
禁止カードの追加
さらに、相棒ルールの変更と合わせて2種類の禁止カードも発表されました。《創案の火》と《裏切りの工作員》です。
これらは改定前の環境を席捲していた「ジェスカイ・ルーカ」のキーカードです。《裏切りの工作員》を使い倒すことを目的に構築されたデッキであるため、コンセプトを失ったことからこのデッキは退場を余儀なくされています。
今回の改定は直接的には「ジェスカイ・ルーカ」に対する処置ですが、これら禁止カードは他いくつかのアーキタイプでも中核として使用されていたカードで、「ジェスカイ・ファイアーズ」「グルール・ファイアーズ」「4色ウィノータ」といったデッキ群は著しいパワーダウンないし退場に追い込まれてしまう格好となりました。
今後のスタンダードシーン~注目デッキ紹介~
相棒ルールの変更と禁止カード追加という2つの変更が加わったことで、スタンダード・フォーマットは大きく変化します。今後予想される動きは以下2点。
1.変更の影響が少なかった、前環境残存勢力の躍進
2.相棒や《創案の火》《裏切りの工作員》によって環境から押し出されていた勢力の浮上
先日早速、新環境初の大型イベントが開催されました。
- Red Bull Untapped 2020 スペイン予選(英語/スペイン語)
- Red Bull Untapped 2020 ドイツ予選(英語/ドイツ語)
- Magic Online Standard Showcase Challenge(英語)
これらの観点・結果をもとにいくつか注目デッキを紹介します。
変更による影響が少なかった残存勢力
「ジャンド・サクリファイス」
3 《沼》 3 《森》 1 《山》 4 《草むした墓》 4 《血の墓所》 4 《踏み鳴らされる地》 1 《奔放の神殿》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 4 《忘れられた神々の僧侶》 4 《波乱の悪魔》 4 《悲哀の徘徊者》 -クリーチャー(20)- |
4 《初子さらい》 4 《魔女のかまど》 4 《パンくずの道標》 3 《ボーラスの城塞》 -呪文(15)- |
1 《真夜中の死神》 3 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 2 《魂標ランタン》 3 《強迫》 2 《燃えがら蔦》 2 《溶岩コイル》 1 《アングラスの暴力》 1 《自然への回帰》 -サイドボード(15)- |
生け贄(サクリファイス)シナジーを中心に構築されたミッドレンジデッキ。《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》が登場した『エルドレインの王権』リリース以降、常に一定の評価を得ています。
生け贄シナジー自体は赤と黒のカラーリングのみでも成立し、当該の2色に絞った「ラクドス・サクリファイス」というデッキも存在していますが、現在はジャンドのカラーリングが人気を博しています。緑を加えることの利点は、《パンくずの道標》や《フェイに呪われた王、コルヴォルド》といった強力なアドバンテージソースを使用できる点にあります。
ここ最近はフィニッシュ手段に《ボーラスの城塞》を据えるのが一般的です。トークンを生成するカードが多く採用されているため「{T}, 土地でないパーマネント10個を生け贄に捧げる:各対戦相手はそれぞれ10点のライフを失う。」の能力起動も容易いものです。またその際《波乱の悪魔》をコントロールしていれば一挙20点のダメージを叩き打ことができ、《波乱の悪魔》自身も《ボーラスの城塞》で探し出すことが可能。豪快なコンボデッキの側面も持ち合わせています。
「ティムール再生」
2 《島》 1 《森》 1 《山》 4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《ケトリアのトライオーム》 1 《神秘の神殿》 1 《天啓の神殿》 1 《奔放の神殿》 3 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 -土地(28)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 -クリーチャー(3)- |
4 《選択》 4 《成長のらせん》 3 《焦熱の竜火》 4 《神秘の論争》 1 《炎の一掃》 4 《荒野の再生》 4 《サメ台風》 4 《発展 // 発破》 1 《タッサの介入》 -呪文(29)- |
1 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《夜群れの伏兵》 4 《否認》 3 《霊気の疾風》 1 《焦熱の竜火》 3 《炎の一掃》 1 《薬術師の眼識》 -サイドボード(15)- |
《荒野の再生》から生み出される大量のマナを利用し、巨大な《発展 // 発破》を放つコンボ・コントロールデッキです。
このコンボ自体は『ラヴニカの献身』リリース時点で成立しており、スタンダードデッキの中でも長命のデッキですが、『テーロス還魂記』では《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を、『イコリア:巨獣の棲処』では《サメ台風》を獲得し、徐々に進化を遂げています。
相棒環境においても、相棒なしでそれらと渡り合う高いデッキパワーを示しており、今回の改定では一切の影響を受けませんでした。今回参考にしたトーナメント3つのうち2つで優勝しており、新環境における本命デッキであると言えます。
「アゾリウス・コントロール」
9 《島》 5 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 1 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 3 《アーデンベイル城》 4 《寓話の小道》 2 《爆発域》 -土地(34)- 4 《厚かましい借り手》 1 《夢さらい》 -クリーチャー(5)- |
4 《海の神のお告げ》 3 《メレティス誕生》 2 《ドビンの拒否権》 2 《ガラスの棺》 2 《物語の終わり》 4 《中和》 3 《神秘の論争》 2 《意味の渇望》 4 《空の粉砕》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《サメ台風》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(41)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 3 《太陽の恵みの執政官》 3 《霊気の疾風》 2 《ドビンの拒否権》 2 《ガラスの棺》 1 《物語の終わり》 1 《ヘリオッドの介入》 1 《神秘の論争》 1 《エルズペス、死に打ち勝つ》 -サイドボード(14)- |
既存デッキの多くは相棒なしのデッキリストに回帰していますが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》はまだまだ使われています。上記で解説したように、コントロールデッキにおける相棒は3マナを支払う機会を設けやすく、4/5飛行というフィニッシャーとして十分なサイズと、《海の神のお告げ》や《覆いを割く者、ナーセット》を能力の対象に取ることで得られるアドバンテージ力は代えがたいものです。
アゾリウス・コントロールというデッキタイプ自体も、前環境では王者「ジェスカイ・ルーカ」を抑え込んで優勝を遂げるなど、高いポテンシャルを有しています。
9 《島》 6 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 2 《ヴァントレス城》 3 《アーデンベイル城》 4 《寓話の小道》 1 《廃墟の地》 -土地(33)- 4 《厚かましい借り手》 2 《夢さらい》 -クリーチャー(6)- |
4 《海の神のお告げ》 3 《メレティス誕生》 2 《ドビンの拒否権》 2 《ガラスの棺》 4 《神秘の論争》 4 《吸収》 1 《払拭の光》 4 《空の粉砕》 3 《薬術師の眼識》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《サメ台風》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 -呪文(41)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 3 《太陽の恵みの執政官》 3 《霊気の疾風》 2 《ドビンの拒否権》 2 《物語の終わり》 1 《ガラスの棺》 3 《太陽の神のお告げ》 -サイドボード(14)- |
新ルールにおける相棒の真価を図る意味合いでも、今後注目のデッキです。
「ボロス・サイクリング」
9 《平地》 5 《山》 4 《聖なる鋳造所》 -土地(18)- 4 《繁栄の狐》 4 《ドラニスの癒し手》 4 《ドラニスの刺突者》 4 《雄々しい救出者》 -クリーチャー(16)- |
4 《踏み穴のクレーター》 4 《血の希求》 4 《驚くべき発育》 4 《記憶漏出》 4 《天頂の閃光》 2 《霜帳の奇襲》 4 《願い与えの加護》 -呪文(26)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 1 《浄光の使徒》 2 《墓掘りの檻》 1 《魂標ランタン》 2 《一心同体》 1 《希望の光》 2 《丸焼き》 1 《敬虔な命令》 1 《焦熱の竜火》 1 《切り裂かれた帆》 2 《轟音のクラリオン》 -サイドボード(14)- |
新環境は『テーロス還魂記』期環境がベースになっていますが、その当時存在しなかったデッキもあります。
『イコリア:巨獣の棲処』からの新勢力であるサイクリングデッキがそれに該当します。《繁栄の狐》《雄々しい救出者》といったクリーチャー陣でダメージを与えていき、《天頂の閃光》でフィニッシュを狙うデッキです。
このデッキも相棒である《夢の巣のルールス》を続投しているデッキです。しかしデッキのテーマであるサイクリングは基本的に盤面に干渉せずマナを費やす行動であるため、これに加えての3マナの支払いはいささか悠長です。相棒としての《夢の巣のルールス》も魅力的ではありますが、今後はこれを諦めて3マナ以上のカードに足を延ばしていく方法も考えられます。
例えば、《アイレンクラッグの紅蓮術師》などはサイクリング能力とも高相性で、対戦相手のライフを狙っていくゲームプランとも合致しています。今後はこうした変化も予想されます。
変更により浮上する勢力
「バント・ランプ」
2 《森》 2 《平地》 2 《島》 4 《寺院の庭》 4 《繁殖池》 4 《神聖なる泉》 1 《ケトリアのトライオーム》 1 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《豊潤の神殿》 2 《啓蒙の神殿》 4 《寓話の小道》 1 《爆発域》 -土地(29)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 1 《厚かましい借り手》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(7)- |
4 《霊気の疾風》 4 《成長のらせん》 3 《空の粉砕》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《時を解す者、テフェリー》 2 《伝承の収集者、タミヨウ》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(24)- |
2 《秋の騎士》 1 《厚かましい借り手》 4 《ガラスの棺》 2 《ドビンの拒否権》 4 《神秘の論争》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
《時を解す者、テフェリー》《世界を揺るがす者、ニッサ》という『灯争大戦』を代表する強力なプレインズウォーカーを用いたランプデッキ。マナブーストからパワーカードを連打し、対戦相手を圧倒します。
『テーロス還魂記』にて《空の粉砕》《エルズペス、死に打ち勝つ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を獲得し一気にデッキが強化されましたが、強力なパーマネントを逆手に取られてしまう《裏切りの工作員》を苦手としており、前環境は「ジェスカイ・ルーカ」に押し出される格好でトーナメントシーンから退いていました。同デッキの撤退を受け、復権が期待されています。
採用できるカードはどれも非常にパワフルで、デッキ構築の際は贅沢な悩みを持つことでしょう。最適なバランスを見つけるのが難しく、環境の事情に合わせての変化も求められるため、これから徐々に精査されていくタイプのデッキと言えます。
「赤単アグロ」
17 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(21)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 4 《義賊》 4 《遁走する蒸気族》 2 《リムロックの騎士》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(29)- |
2 《ショック》 4 《舞台照らし》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(10)- |
3 《解き放たれた狂戦士》 2 《猛火の斉射》 2 《レッドキャップの乱闘》 3 《溶岩コイル》 2 《実験の狂乱》 3 《無頼な扇動者、ティボルト》 -サイドボード(15)- |
いつの時代も高い人気を誇る赤単アグロ。『イコリア:巨獣の棲処』リリース後は《獲物貫き、オボシュ》を相棒に据えたタイプが主流となっていましたが、前述の通りアグロデッキにとっては新たな相棒ルールの「3マナの支払い」が重くのしかかるため、新環境においては《朱地洞の族長、トーブラン》《エンバレスの宝剣》を用いる構築が主流です。
またMagic Online Showcase Challengeにおいては《災厄の行進》を用いたタイプが優勝するなど、同じ赤単アグロの中でも研究が進んでいます。
18 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(22)- 4 《熱烈な勇者》 4 《不気味な修練者》 4 《焦がし吐き》 4 《ブリキ通りの身かわし》 4 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(20)- |
4 《災厄の行進》 4 《禁じられた友情》 4 《心火》 4 《炎の侍祭、チャンドラ》 2 《無頼な扇動者、ティボルト》 -呪文(18)- |
4 《エンバレスの盾割り》 4 《猛火の斉射》 2 《レッドキャップの乱闘》 4 《焦熱の竜火》 1 《無頼な扇動者、ティボルト》 -サイドボード(15)- |
コントロールやミッドレンジデッキが環境の主力となりつつある現在のスタンダードシーンにおいて、高速のアグロデッキは抑止力であり脅威です。
「グルール・アグロ」
9 《森》 7 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《エンバレス城》 2 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《生皮収集家》 4 《リムロックの騎士》 3 《楽園のドルイド》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 3 《グルールの呪文砕き》 4 《探索する獣》 -クリーチャー(30)- |
2 《ドムリの待ち伏せ》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(6)- |
4 《エンバレスの盾割り》 4 《変容するケラトプス》 2 《魂標ランタン》 3 《焦熱の竜火》 2 《ドムリの待ち伏せ》 -サイドボード(15)- |
同じくアグロデッキ群からもうひとつ、グルール・アグロを紹介。
基本的な思想は赤単アグロと同じで、1マナから順次クリーチャーを繰り出しプレッシャーをかけ、《エンバレスの宝剣》でのフィニッシュを想定しています。
赤単アグロとの差別化のポイントはクリーチャーごとの単体の強さで、アグロデッキのミラーマッチにおいてはそのサイズ差が活きますし、その他のデッキとの戦いでは、アグロ対策として用いられやすい軽量除去の一部を受け付けなかったり、全体除去後も屈強な速攻クリーチャーで速やかに戦線を再構築したり、単色では出せない力強さがあります。
アグロデッキのへ対抗策が赤単アグロを想定した《炎の一掃》や《敬虔な命令》に偏った際には、色を追加するアプローチがより効果的に働きます。同じアグロデッキをプレイする場合でも、主流デッキが「どんな対策を用いているか」に注目する必要があります。
総括
禁止改定後の新環境は基本的に「影響の少なかった前環境の強デッキ」が台頭しやすく、その点で現在は「ジャンド・サクリファイス」「ティムール再生」の2種残存勢力が環境のトップとも言えるポジションを確立しています。そして、そうした仮想敵が出てきたことで各デッキは対策を講じ始め、ここから徐々にメタゲームにも変化が生じていくことでしょう。サイドボードにそれらの対策を用意したり、あるいはメインデッキから無理なく対策カードを使用できるデッキが登場することが考えられます。
先に紹介した「グルール・アグロ」も、《水晶壊し》や《運命の神、クローティス》をメインに採用したタイプのものがすでに結果を残しています。
8 《森》 8 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《奔放の神殿》 -土地(24)- 4 《生皮収集家》 4 《ザル=ターのゴブリン》 4 《砕骨の巨人》 4 《グルールの呪文砕き》 2 《運命の神、クローティス》 4 《探索する獣》 3 《水晶壊し》 1 《さまよう怪物、イダーロ》 2 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(28)- |
2 《ドムリの待ち伏せ》 3 《エンバレスの宝剣》 1 《アーク弓のレインジャー、ビビアン》 1 《銅纏いののけ者、ルーカ》 1 《怪物の代言者、ビビアン》 -呪文(8)- |
4 《変容するケラトプス》 1 《魂標ランタン》 2 《レッドキャップの乱闘》 3 《燃えがら蔦》 2 《溶岩コイル》 3 《炎の一掃》 -サイドボード(15)- |
環境の変化を追い、自分なりの答えを導き出すこともトーナメントマジックの醍醐味の一つですね。
今週末開催の「2020プレイヤーズツアー・オンライン」では世界トップレベルのプレイヤー達による最先端の戦いが繰り広げられます。あなたならこのスタンダードをどう攻略しますか? ぜひ予想してみてください。
今回はここまでです。ご覧いただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。
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