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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:ドラゴンの嵐

浅原 晃

 むかしむかし、冬の時期に世界選手権が行われておった時期があってな、今とは違い多くのプレイヤーが参加できるイベントじゃった。そこで師走恒例、ガフ提督・冬の世界選手権語りの始まりじゃ!

 最初を飾るのは世界選手権2006じゃな。世界選手権2006はフランスはパリ、ルーヴル美術館と豪華な場所で行われたんじゃ。優勝したのは後の殿堂プレイヤー、三原槙仁でな。《ドラゴンの嵐》デッキを使い、伝説のトップデッキを経て優勝したのじゃよ、ふぉっふぉっふぉ、伝説のトップデッキが気になるとな? そうじゃろう、そうじゃろう。

 まず、《ドラゴンの嵐》の説明が必要じゃろう。《ドラゴンの嵐》は9マナのロマンあふれるソーサリーじゃ。本来はファンカードなのじゃが、《ボガーダンのヘルカイト》の登場で激変、恐怖の瞬殺コンボを取り入れ、一気にトーナメントレベルのデッキへと浮上したのじゃ。

 当時あったマナ加速の《炎の儀式》、《煮えたぎる歌》から、流れるように《ドラゴンの嵐》を使うじゃろ? ストームでコピーが生まれ、《ボガーダンのヘルカイト》×4=相手は死ぬ、という子どもでも分かる勝利の方程式が誕生したのじゃ。

 そして、このデッキを使用した三原槙仁の準々決勝、2-2の瀬戸際で迎えた最終戦で事件は起こったのじゃ。《炎の儀式》をトップデッキした三原は、2枚の《炎の儀式》のうち1枚を喜び勇んで使った……のじゃが、そこで気づいたのじゃな。1マナ、2マナ、3マナ、……8マナ。……1マナ足りない、と。これによって、顔面蒼白、絶体絶命のピンチへと陥ってしまうのじゃ。

 しかし、そんなピンチを乗り切るのがその日の主人公なのかもしれんのう。《炎の儀式》を1枚使った後に《撤廃》をX=1で使い、カードを1枚引くと、なんと、デッキのトップには3枚目の《炎の儀式》があったのじゃ。そして、9マナへとたどり着くと《ドラゴンの嵐》で勝利し、そのままの勢いで優勝を果たしたのじゃ。ふぉっふぉっふぉ、それが、2006年12月3日のことなのじゃな。

 これが無ければ、世界選手権の優勝どころか、ルーヴル美術館に出没する1マナ足りなーいの地縛霊になってた可能性すらあったからのう。ふぉっふぉっふぉ、人生とマジックは先が分からないから面白いんじゃな。

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