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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:死の隷従

浅原 晃

 6月の第1月曜日は「寄席の日」と制定されておるんじゃな。寄席は落語を主流として、いろんな話や芸を披露する歴史ある場なのじゃ。そうじゃな、今日はわしがマジックのやっちまった小噺、「何かインスタント使う?」を話してみるぞい。

 マジックプレイヤーならば、血の気が引くプレイミスを誰でも経験しておるじゃろう? これは血の気の引く優先権に関わる話じゃ、マジックは優先権をやりとりしながら進めるゲームじゃ。優先権がある方がカードが使えるのじゃが、自分のターンでも、相手はインスタントを使えるからな。「ターンエンドです」、「戦闘フェイズに入ります」、「優先権放棄します」、「ふぉっふぉっふぉ?」、など相手に優先権の放棄を伝える必要があるわけじゃ。

 その言葉1つが大きなミスへと繋がったのが1996年のプロツアー・アトランタの準々決勝での話じゃ。あるプレイヤーは戦闘フェイズに入り、全軍で攻撃し、《死の隷従》でブロックされなかったクリーチャーを強化すれば勝ちという局面じゃったのじゃ。

 そして、攻撃し、ブロックされたところで、そのプレイヤーはなぜか相手に聞いてしまったのじゃよ、「何かインスタントを使う?」と。

 ふぉっふぉっふぉ、これはもちろん、優先権の放棄と同意義なのじゃが、意図せずについこれを言ってしまったのじゃ。これを聞いたジャッジは優先権を放棄したと見なして、そのプレイヤーはプレイしたかった《死の隷従》をプレイできず、そのままマッチを落としてしまったのじゃ。プロツアーの決勝トーナメントの場でつい出てしまった一言、とても高く付いてしまったのじゃな。石橋を叩いて渡るつもりが石橋を壊してしまう、まさにやっちまったというやつじゃな。

 しかし、咄嗟に出る言葉はクセみたいなもんじゃからのう。対応できるカードがあるのに呪文や能力を通してしまい、やっちまったと思ってる人は多かろう。時折、わしの話を思い出して、落ち着いて考えるクセを付けると良いと思うぞい。うむ、そうじゃ、とりあえず困ったら「何かインスタント使う?」って相手に聞くんじゃぞ……って話を聞いてないんかい! わしの小噺、ターンエンドじゃ! 何か対応ありますか!

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