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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:春の鼓動

浅原 晃

 「春一番」が吹くかもしれん時期になってきたのう。その年、春の南風が初めて強く吹くことを春一番と呼ぶんじゃな。春一番は暖かい風として、春の訪れを予感させてくれるものじゃが、大抵の場合、突風を伴うため、小さくない被害をもたらすことでも知られておるからのう。

 かつて、安政6年2月13日は「春一番」の語源ともなった風が吹いたと言われておる。その時は多くの漁師たちが命を失ったそうじゃ。春一番は2月の中頃から、3月にかけて発生することが多いので注意が必要じゃな。

 さて、マジック界の春を感じるカード、ハルイチと言えば、このカード《春の鼓動》じゃな。

 元は《ほとばしる魔力》という赤いエンチャントじゃったが、緑としてリメイクされたのが、この《春の鼓動》じゃ。お互いのプレイヤーが1つの土地から2マナを生み出せるようになる、とんでもマナ加速じゃが、単純計算でも、3マナで出して、次に土地が4枚あれば、8マナが生み出せる計算になるからのう、まさに春の到来というやつじゃな。

 じゃが、ここのカードの問題はマナが相手も使えるという点でのう、普通に使うといわゆるごっつあん案件にもなってしまったのじゃな。例えば、今、このカードが使えたと仮定してもじゃ、相手に普通にターンを渡すと《運命のきずな》だったり、《ハイドロイド混成体》、《苦悩火》など、大量のマナで好き放題やられてしまうのは想像できるじゃろう? 昔もまあ、似たようなもんじゃが、そんな相手からの春問題を解決すべく、作られるデッキの構想が、こっちはもっととんでもないものを出せば良い理論と、出したターンに勝ってしまえばいい理論の2つじゃったんじゃな。

 例えば、このカードが使われた『神河物語』ブロック構築では、各種明神という神を出すデッキで使われたりしたんじゃ。《浄火明神》や《風見明神》など、マナ・コストが大きいがとんでもない効果を持つカードで相手をねじ伏せたのじゃ。大に勝つには、特大を出せば良いといった発想なんじゃな。もちろん、それだけで勝てない相手もおるから、そういった相手には《時間停止》などで対処したんじゃな。

 そして、もうひとつは戦場に出したターンに勝てばいい理論を採用し、コンボデッキとして使われたんじゃな。土地をアンタップできる《早摘み》で大量のマナを出し、《現し世の裏切り者、禍我》を相手にシュートするデッキが流行したとか。春一番で飛んでくるものとしてはちょっと物騒すぎるがのう。

 こう考えると、マジック界の春一番はとんでもないものが訪れる前兆のようなものじゃて、春一番が来そうな日には、家に引きこもってMTGアリーナの日本語化を待つのが良さそうじゃのう。

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