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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:寄付

浅原 晃

 「敵に塩を送る」ということわざがあるじゃろう? これはのう、戦国時代、武田信玄が塩が手に入らずに困っておったときに、宿敵であるはずの上杉謙信が塩を送ったという逸話が元になっておるのじゃ。その塩を送った日が、1月11日と言われており、それが元になって、今日は塩の日でもあるわけじゃな。

 相手に何かを送るカードの先駆けと言えば……今日のカードは《寄付》じゃ。

 ちなみにここでの「塩」は有用なものを意味するのじゃが、塩には「傷口に塩を塗る」など、別の意味で使われることもあるんじゃが、今回はそういった意味ではないから勘違いしないように言っておくぞい。決して、ラヴニカのドラフトがやりたくて困っていた武田信玄に、上杉謙信から『フォールン・エンパイア』と『プロフェシー』が大量に送られてきたというわけではないのじゃ。

 さて、今日のカード、《寄付》は、相手に自分のカードのコントロール権をあげるという一風変わった効果を持っておる。こうした、一見使い道の無さそうなカードをどう使うかというのも、マジックの醍醐味のひとつというわけじゃ。

 「敵に塩を送る」という意味をそのまま適用すると、「くっ、クリーチャーが尽きてしまった……」「それならば、こちらの《セラの天使》を《寄付》でどうぞどうぞ」「いえいえ、すいませんねぇ」となるんじゃが、そんなことをしても、現実は《セラの天使》に殴り倒されるだけじゃからな、基本的には特定のコンボデッキで使われたんじゃ。

 一番有名なのは、《Illusions of Grandeur》とのコンボじゃのう。戦場に出たときにライフ20点を得て、戦場から離れたときにライフ20点を失うという、いわゆるライフを一時的に借りられるカードなのじゃが、戦場を離れる前に《寄付》すれば、ライフ20点の負債だけを相手に押し付けることができたのじゃ。累加アップキープでそのうち自動で戦場を離れるのも自己完結しておったのう。

 後に『異界月』で赤バージョンの《無害な申し出》といったカードも登場したが、こちらも《悪魔の契約》の最後の負債を背負わせるというものじゃった。マジックでは「敵に塩を送る」どころか、「敵に死を送る」カードだったわけじゃな。

 ふぉっふぉっふぉ、実は上杉謙信が塩を送った理由も単純に経済的に「おいしい」からといった説もあるんじゃ。何かをもらう時には逆に注意が必要というわけじゃな、特にただでもらえるようなものにはのう。

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