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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:Chaos Orb

浅原 晃

 とんちという言葉を知っておるかな? とんちとは「頓智」「頓知」と書き、とっさの場合に働く知恵のことを指すのじゃ。日本のとんち話では一休さんが一番、有名じゃろうな。そして、1月9日は語呂合わせで一休さんにちなんだ日じゃから、マジック界に伝わるとんち話を1つ紹介していこうかのう。

 今日、紹介するカードは……古典的とんちカードの1つ《Chaos Orb》じゃ。

 古くは1993年の『アンリミテッド』まで収録されていた《Chaos Orb》はそれはもう、ふぁんきーな効果を持ったカードじゃ。簡単に言うとじゃ、2マナのアーティファクトで、1マナで起動すると、1フィート上、だいたい30センチくらいじゃな。そこから、このカードを弾いて戦場に落として、重なっていたすべてのカードを破壊するというものじゃ。ふぉっふぉっふぉ、カードゲームなのに突然フィジカルな要素が入ってくるのは面白いじゃろ?

 作った人もプレイした人も最初はそう感じたじゃろうな。そんな効果を持つカードの対策で最初に考えるのはどんなことじゃろうか? アーティファクト破壊を入れる? ふぉっふぉっふぉ、そう考えたおぬしは、とんち勝負では苦戦するぞい。

 まず考えられるのは、「自分のパーマネントをカード1枚分以上離して置く」じゃな、そうすることで、2枚以上の損害を被らないようにしたわけじゃ。だが、マジックとんち大全によるとじゃ、その対策として、《Chaos Orb》を起動とともにビリビリに破いて、花吹雪のように降らせたプレイヤーもいたとか、当時のルールでは「カードを破いてはいけない」とは書かれていないというわけじゃな。さらに破くプレイヤー対策に画鋲でパーマネントを壁に張るといったこともあったそうじゃが、こうしたとんち合戦を考慮してか、「そもそもマジックはそういうゲームじゃない」と気づいたのか、ほどなく禁止カードに制定されてしまったのじゃな。

 ちなみに今のトーナメントをとんちで勝とうとするのはオススメできぬぞい。「手札1枚ならば、この2枚のカードに対処できまい……何、いつの間に手札が2枚に!?」「いえいえ、簡単ですよ、1枚の分割カードを半分に割って2枚にしたのです」などが考えられるかもしれんが、大抵の場合、ジャッジが来てぽくぽくぽくぽく、ちーんじゃな。一休さんどころかD休さんになってしまうのじゃ。ふぉっふぉっふぉ、まあ、それはそれで、後世にとんち話として語り継がれるかもしれんがのう。

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