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週刊デッキ構築劇場
第66回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・パオーン!ドシーン!
読み物
週刊デッキ構築劇場
2012.06.25
第66回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・パオーン!ドシーン!
演者紹介:塚本 樹詩
独創的なデッキ構築と記事展開で知られるデッキビルダー・ライター。玉石混淆アイディア先行のデッキを数多く試すことや、多くの人に笑いもしくは失笑を与える語り口から『試行落語(トライ&テーラー)』として、畏怖されている。
プロツアー・ホノルル2009にて初のプロツアー出場を果たし、《破門》マスターとして恐れられた。また2009年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの渡辺 雄也は自宅アパートの二軒隣に住んでいる関係から非常に親交が深く、「渡辺の三次元の嫁」「〈渡辺の信奉者〉」と呼ばれることも。
代表作は、栗原 伸豪が危うくプロツアーで使う所だった《ルーン炎の罠》入り新型ハウリングオウルや、渡辺大絶賛の《山賊の頭の間》バーンなどだが、むしろ今後の代表作に期待したい逸材。
グランプリ・横浜お疲れさまでした!
僕は2日間裏方として会場の裏手で作業していましたが、隣の会場からの重低音とシンクロしてノリノリで作業していました。
ということで、今日からが僕にとっての「ぐらんぷりよこはま」の始まりです!
僕が使おうと思っているデッキの候補、「すぺしある」なデッキを語っていきましょう!
既知でポピュラーなアーキタイプとして、「双子」デッキがあります。
デッキの構成はおおむね「コンボパーツ」+「ドロースペル」+「防御カード」になっていて、カードを引き増しつつ相手の攻撃をいなして、コンボを達成させる動きをします。
ただデッキの本質がクリーチャーを母体としたコンボなので、対抗手段もあらゆる角度から撃たれてしまうデメリットがあります。
そのため、それを未然に防ぐ手札破壊や、対抗手段を打ち消したり、軸をずらしたりと、たくさんのアプローチが生まれました。
「防御カード」の部分を手札破壊に寄せたり、相性の良い別のコンボを加えたりと形は様々。今回のグランプリでは《鏡割りのキキジキ》を4枚採用した《出産の殻》デッキとハイブリッドしたような形のデッキが勝ち組となっていました。
僕の選択した「防御カード」の役割にあたるカードはこちら。
《堂々たる撤廃者》がいれば、安全に《詐欺師の総督》や《やっかい児》に《欠片の双子》を付けることができるのです。
相手がそれを嫌がり《堂々たる撤廃者》を除去したとしても、そこで相手の対策カードを1枚使わせているのでコンボが決まりやすくなります。役割が似ていて一般的に採用されている《呪文滑り》と合わせて使えば、強力な「対策の対策」になります。
反面、強烈なアンシナジーもあって、《堂々たる撤廃者》は「双子」デッキのメインカラーである青でも赤でもない色のダブルシンボルなのです。《欠片の双子》の{R}{R}と《堂々たる撤廃者》の{W}{W}を揃えつつ青マナのドロースペルを刻むのは現実的にはとても厳しいお話。
しかし、それを実現するヒントが《呪文滑り》にありました。
そう、2つのクリーチャーのマナコストはどちらも2マナということなのです!
《霊気の薬瓶》をデッキの核にすることによって色マナの問題を解消するだけでなく、クリーチャーが擬似「打ち消し不可」「瞬速」としてプレイできるようになるのです。
弱点を補ってなお余りある効果、これは...きたぞ...きたぞ!
相手のターンエンドに《堂々たる撤廃者》を出して、相手に選択を迫れる。相手が「双子」のコンボを阻害するタイミングで《呪文滑り》を出すのも非常に有効。
しかも蓄積カウンターを2個で留めておく以外の選択肢も用意されている。
3個カウンターが乗っていると《ウラブラスクの僧侶》が火を吹く。このカードによって、デッキの赤いダブルシンボル以上のカードが一気にプレイしやすくなる。
一つのパーマネントをタップするだけでいきなり{R}{R}{R}が出るのだ。《金粉の水蓮》は重く、《ソンバーワルドの賢者》はクリーチャー限定で、《Mishra's Workshop》はアーティーファクト限定であった。自由に使える3マナはまさに《Black Lotus》と同じ爆発力ではないだろうか?
コンボパーツである《やっかい児》や《詐欺師の総督》を出せば《霊気の薬瓶》をアンタップできる。《ウラブラスクの僧侶》のマナで《鏡割りのキキジキ》に繋げることさえ朝飯前だ。
そう、これが《霊気の薬瓶》「双子」デッキの全容である。
3 《島》 2 《蒸気孔》 1 《滝の断崖》 1 《神聖なる泉》 4 《金属海の沿岸》 1 《繁殖池》 1 《岩だらけの大草原》 4 《沸騰する小湖》 4 《霧深い雨林》 1 《僻地の灯台》 -土地(22)- 4 《呪文滑り》 3 《堂々たる撤廃者》 4 《詐欺師の総督》 4 《やっかい児》 3 《ウラブラスクの僧侶》 2 《鏡割りのキキジキ》 -クリーチャー(22)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《信仰無き物あさり》 4 《手練》 4 《欠片の双子》 -呪文(16)- |
4 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 2 《サッフィー・エリクスドッター》 3 《エレンドラ谷の大魔導師》 4 《日々を食うもの》 1 《突撃のストロボ》 -サイドボード(15)- |
このデッキを使用するにあたって、必ずぶつかる壁がある。
コンボデッキは対策カードに頭を悩まされるのが世の宿命なのだが、どのデッキを使っているかによって悩みの種は様々だ。それがこのデッキとっては《倦怠の宝珠》と《焼却》である。
しかし、そんなカードを逆手にとった劇的なクリーチャーを発見してしまった。
それがこのカードだ。
相手は「《欠片の双子》」を見ると親の敵のように《倦怠の宝珠》を置いてくる。
そこで《日々を食うもの》だ。
相手はタダ取りできるはずの2ターンを悔やみながら、2ターン後に絶命してしまうのだ。
それをサポートするカードが《サッフィー・エリクスドッター》と《エレンドラ谷の大魔導師》だ。
この2枚はどちらも《倦怠の宝珠》の影響を受けず、自分の大事なクリーチャーを守れる。グランプリ・横浜でも活躍した《シルヴォクののけ者、メリーラ》と《エレンドラ谷の大魔導師》の組み合わせ、元々青が濃いこのデッキなら無類の強さを発揮するであろう。
これらのクリーチャーも無論、《霊気の薬瓶》との相性は抜群だ。
パーマネント対策には《クァーサルの群れ魔道士》を採用している。これに関してはクリーチャーであることの他に、《日々を食うもの》が「賛美」によってパワー10になることも頭の隅に入れておいていいだろう。
《突撃のストロボ》は趣味だ。
モダン環境という広大なカードプールなら一定条件下で絶大な効果を発揮するカードを探求するのも面白いのではないだろうか?
そんなモダンの可能性を探求したデッキを最後に紹介しよう。
6 《山》 2 《血の墓所》 4 《黒割れの崖》 4 《沸騰する小湖》 4 《乾燥台地》 -土地(21)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《苛立たしい小悪魔》 -クリーチャー(8)- |
4 《稲妻》 4 《夜の衝突》 4 《溶岩の撃ち込み》 4 《信仰無き物あさり》 4 《マグマの噴流》 3 《焼尽の猛火》 4 《癇しゃく》 4 《轟く怒り》 -呪文(31)- |
4 《血の長の昇天》 4 《精神クランク》 1 《焼尽の猛火》 3 《焼却》 3 《粉々》 -サイドボード(15)- |
あのねーこのデッキはねー、
すごいの!
きせき?とかいうので5てーん!って4回やればかてるんだよ!
てふだにあるときもね、2枚ひいて2枚すてるときにすれられるからこまらないんだぞ。
そのときにね、いっしょに「まっどねす」するとね、どーん!ってなるんだよ!すごいね。
あいてがらいふ、100000000000000000点あってもね、ちのおさ?の?なんとかと、せーしんくらんくがあれば、ね!いけるんだよ!
でもね、ふたごさんにはよわいから、しょーきゃくはわすれないでね! やくそくだよ。
※翻訳
「1マナ3点ダメージ」のカードの多さが、モダンの魅力です。
さらに、振れ幅は大きいものの、少ないマナでより大きいダメージを与えられるカードもできるだけ入れています。
特に 《轟く怒り》は1マナで5点、《苛立たしい小悪魔》は1マナで4点と、マナ効率は素晴らしいものです。
ただ、適正ターンを過ぎると機能しにくくなります。
ならば《信仰無き物あさり》で捨ててしまえばいいのです。ついでに《癇しゃく》を捨ててしまえば 、これも《稲妻》に早変わり!
《マグマの噴流》はただのバーンデッキでは敬遠されがちですが、1枚1枚の比重をあげたこの形では有効に作用するかもしれません。
サイドボードの《血の長の昇天》と《精神クランク》は、前者が条件を満たした状態になれば、ライフを失う→《精神クランク》でライブラリーが削れる→《血の長の昇天》でライフを失う→・・・というループになり、ライフかライブラリーを吹き飛ばすことができます。
何より、僕はこのデッキが好きなのでこのデッキが最強!
という理論が昨日ついに成されました!
「好き」も突き詰めれば最強になれるのです!
デッキを作るのに大切なのは「愛」。それが一番というわけではないにしろ、一つの正解なのかもしれませんね。
それはともかく、飲み屋で思いついたようなデッキでも楽しめるのがマジック!なので、皆さんも自分なりの「楽しい」と「強い」のハイブリッドを探求してみるのはどうでしょうか!
それでは今回はここまで!
次回はちょっといつもとは違ったフォーマットを攻める!予定!
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