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週刊デッキ構築劇場
第64回:井川良彦のデッキ構築劇場・最強生物の進化過程
読み物
週刊デッキ構築劇場
2012.06.11
第64回:井川良彦のデッキ構築劇場・最強生物の進化過程
演者紹介:井川 良彦
2007年の横浜でプロツアーに初参加、「初の海外旅行は、マジックのプロツアーで行きたい」という自身の言葉を2010年のプロツアー・サンディエゴで実現、海外緒戦にしてトップ8入賞を決めてみせた「驚嘆の男(ザ・ワンダーリング・ワン)」。
その後も、伊藤 敦・高橋 純也と組んだ調整チーム『神様へのブラフ』で切磋琢磨し、日本選手権2011で4位に入賞するなど、多忙な日々にあってもフォーマットを問わずマジックに取り組む、情熱あふれるプレイヤー・ライターである。
どうも、井川です。
6月は祝日こそありませんが、マジック的にはプロツアー予選、 ワールド・マジック・カップ予選、グランプリ・横浜とイベント盛り沢山の一ヶ月ですね。
グランプリ・横浜は日本初のカードショップ主催のグランプリということで、メインイベントはもちろん、併催イベントもこれまで以上に非常に充実したものになりそうです。
一人のプレイヤーとしても、グランプリ本戦が楽しみで楽しみで仕方ありません!
ということで、今回の構築劇場は「グランプリ・横浜直前号!!」と銘打ち、少しだけ真面目に(?)モダンのデッキを紹介していきたいと思います!
まずは、『アヴァシンの帰還』がモダンにどのような影響をもたらしたのかチェックしてみましょう。
◎青白ノーカウ
4 《島》 1 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《地盤の際》 4 《金属海の沿岸》 3 《沸騰する小湖》 2 《神聖なる泉》 1 《幽霊街》 1 《乾燥台地》 1 《永岩城》 1 《ムーアランドの憑依地》 -土地(26)- 4 《瞬唱の魔道士》 4 《聖トラフトの霊》 2 《台所の嫌がらせ屋》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 4 《修復の天使》 -クリーチャー(16)- |
4 《流刑への道》 4 《呪文嵌め》 2 《蒸気の絡みつき》 4 《差し戻し》 2 《四肢切断》 2 《謎めいた命令》 -呪文(18)- |
4 《呪文貫き》 2 《大祖始の遺産》 1 《解呪》 1 《否認》 2 《不忠の糸》 1 《台所の嫌がらせ屋》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《袖の下》 2 《太陽のタイタン》 -サイドボード(15)- |
昨年のスタンダードを席巻し、現在のモダンでも活躍をしている「Caw-Blade」。
そのデッキ名にも冠せられていた《戦隊の鷹》を押しのけてまで4枚採用されているのが、『アヴァシンの帰還』のエース、《修復の天使》!
《瞬唱の魔道士》《聖トラフトの霊》との組み合わせは、スタンダードでもすでにお馴染みですね。
「頑強」後の《台所の嫌がらせ屋》を「明滅」させるのもGood。
カウンターを構える動きと「瞬速」という能力が非常にマッチしていますし、《稲妻》が基本除去であり、《血編み髪のエルフ》《台所の嫌がらせ屋》《昆虫の逸脱者》など《タルモゴイフ》を除けばほぼ全てのクリーチャーが「3/3」以下なので、「3/4」というサイズも魅力的です。
今スタンダードで活躍しているように、今後モダンでも白の入ったあらゆるデッキで使われる可能性のある一枚と言えるでしょう。
◎《出産の殻》
2 《平地》 1 《森》 1 《山》 4 《銅線の地溝》 4 《霧深い雨林》 3 《踏み鳴らされる地》 2 《寺院の庭》 2 《新緑の地下墓地》 2 《ガヴォニーの居住区》 1 《繁殖池》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 3 《貴族の教主》 4 《前兆の壁》 2 《根の壁》 1 《森のレインジャー》 4 《台所の嫌がらせ屋》 1 《ウッド・エルフ》 1 《詐欺師の総督》 4 《修復の天使》 2 《残忍なレッドキャップ》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《なだれ乗り》 2 《鏡割りのキキジキ》 1 《酸のスライム》 1 《業火のタイタン》 -クリーチャー(32)- |
4 《出産の殻》 2 《情け知らずのガラク》 -呪文(6)- |
3 《アメジストのとげ》 3 《古えの遺恨》 2 《稲妻のらせん》 2 《大爆発の魔道士》 2 《内にいる獣》 2 《強情なベイロス》 1 《なだれ乗り》 -サイドボード(15)- |
3 《森》 2 《沼》 1 《平地》 4 《新緑の地下墓地》 2 《偶像の石塚》 2 《湿地の干潟》 1 《樹上の村》 1 《ガヴォニーの居住区》 1 《つぶやき林》 1 《聖なる鋳造所》 1 《神無き祭殿》 1 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 1 《血の墓所》 1 《踏み鳴らされる地》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 2 《臓物の予見者》 4 《根の壁》 2 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《呪文滑り》 4 《台所の嫌がらせ屋》 1 《永遠の証人》 1 《オルゾフの司教》 2 《修復の天使》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《高原の狩りの達人》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《鏡割りのキキジキ》 1 《目覚ましヒバリ》 1 《鷺群れのシガルダ》 1 《不浄なる者、ミケウス》 -クリーチャー(29)- |
3 《召喚の調べ》 1 《爆破基地》 4 《出産の殻》 -呪文(8)- |
3 《強迫》 2 《自然の要求》 2 《忌むべき者のかがり火》 1 《ブレンタンの炉の世話人》 1 《罪 // 罰》 1 《古えの遺恨》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《静寂の守り手、リンヴァーラ》 1 《高原の狩りの達人》 1 《修復の天使》 1 《鏡割りのキキジキ》 -サイドボード(15)- |
先日、板橋で行われたグランプリトライアルでは、2つのタイプの《出産の殻》デッキが結果を残しました。
どちらのリストにも《修復の天使》が使われていますが、《出産の殻》デッキは元々戦場に出た時の誘発型能力を持つクリーチャーを多く採用していますので、その「明滅」能力を存分に活かせそうですね。
そして何より、上記のリストは2つとも、《修復の天使》の『秘奥義』、「無限コンボ」が搭載されています!!
《修復の天使》の「戦場に出たとき」の能力と、《鏡割りのキキジキ》の起動型能力を組み合わせると、《詐欺師の総督》《やっかい児》+《欠片の双子》《鏡割りのキキジキ》のいわゆる「双子コンボ」同様、いくらでもトークンを生み出すことができるのです!!
《修復の天使》は《詐欺師の総督》《やっかい児》と異なり単体のカードパワーが高いため、コンボパーツとして認識されづらく、無警戒のまま無限コンボを決めて勝った試合もきっと少なくなかったでしょう。
ちなみに、《士気溢れる徴集兵》も《修復の天使》同様、《鏡割りのキキジキ》《欠片の双子》とコンボになります。
《士気溢れる徴集兵》を見かけたときも、《鏡割りのキキジキ》を意識してみるといいかもしれませんね。
また、Nagamiさんのデッキには《修復の天使》以外にも、メインに《鷺群れのシガルダ》、サイドボードに《忌むべき者のかがり火》が採用されていますね。
《鷺群れのシガルダ》は対ジャンドに絶大な力を発揮しますし、《忌むべき者のかがり火》は同系や対親和、ジャンドのようなクリーチャー戦で大活躍しそうですね。《臓物の予見者》で積み込んでニヤリ。
実際にトーナメントで見かけた『アヴァシンの帰還』のカードとして、上記以外ですと《火柱》《末裔の道》《僻地の灯台》《魂の洞窟》《終末》《時間の熟達》などが挙げられます。
双子デッキが不要な土地を《僻地の灯台》で活用していたり、《魂の洞窟》で打ち消されない《呪文づまりのスプライト》《霧縛りの徒党》を出したりと、モダンならではの活躍を見ることができました。
上で紹介したデッキ以外にも、現在のモダン環境は多くの種類のデッキタイプが存在しており、その種類の多さは従来のエクステンデッド等をはるかに凌駕しているといえるかもしれません。
主なデッキタイプだけでも、「ジャンド」「双子」「メリーラ」「トロン」「Delver」「親和」「ストーム」「バーン」などが挙げられますし、また、トロンやDelverはかなり大雑把な分類であり、色が違えば全くデッキの構成も異なるのが一般的です。
非常に多くのデッキタイプが存在しているということは、すなわち、「特定のデッキだけに強いデッキは勝ちづらい」ということが挙げられます。
グランプリはおおよそ一日目9回戦+二日目6回戦(+決勝トーナメント)という長丁場。分布上である程度多いデッキはもちろん存在するでしょうが、どんなデッキと何回当たるかは予想できませんよね。
周りなんて関係無い。対戦相手は統計や確率ではなく、目の前に座った相手ただ一人。
つまり、何と当たるか分からないなら、やりたいことやったもん勝ち!
さぁ今こそ、Going My Way!!!
というわけで、真面目路線はここまで。
第56回に引き続き、「今週の《引き裂かれし永劫、エムラクール》特集」いってみましょう!!!!!!
2《島》 1《山》 4《闇滑りの岸》 4《沸騰する小湖》 4《霧深い雨林》 2《湿った墓》 1《血の墓所》 1《蒸気孔》 1《繁殖池》 -土地(20)- 4《飛び地の暗号術士》 4《グリセルブランド》 4《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(12)- |
4《思考囲い》 4《信仰無き物あさり》 4《御霊の復讐》 4《五元のプリズム》 4《留まらぬ発想》 4《裂け目の突破》 4《この世界にあらず》 -呪文(28)- |
2《すべてを護るもの、母聖樹》 3《倦怠の宝珠》 3《古えの遺恨》 3《紅蓮地獄》 4《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
ふはははー! スゴイぞー! かっこいいぞー!!!
今回ご紹介しますのは、第56回でご紹介しました「Love Emrakul!」のアッパーバージョン、「No Sneak No Show」です!
『アヴァシンの帰還』大型新人、《グリセルブランド》が新加入!!
それに合わせて、多少動きが大振りだった《太陽の拳》コンボが抜け、デッキがグッと引き締まりました!
基本的、そして唯一の動き方は、ドローで手札を整える→《裂け目の突破》or《御霊の復讐》で《引き裂かれし永劫、エムラクール》or《グリセルブランド》を投げつけて勝利!!という非常にシンプルなもの。
《グリセルブランド》は《引き裂かれし永劫、エムラクール》と違って即死ではないため、その「絆魂」と7枚引く能力を使って、さらなる《裂け目の突破》《御霊の復讐》を探しに行くことになります。
これまで《引き裂かれし永劫、エムラクール》一辺倒でしたが、このカードの加入によりデッキの動きがかなりスムーズになりました。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》とは違い、《御霊の復讐》がプレイできない時にも気軽に墓地に置いておけるので、《信仰無き物あさり》だけでなく《留まらぬ発想》や《飛び地の暗号術士》も採用できるように。
《留まらぬ発想》は、かつての「発掘」デッキでの強さには及びませんが、《裂け目の突破》《御霊の復讐》といったキーカードを探しながら《グリセルブランド》を墓地に送るという、非常に大事な役割を果たしてくれます。
そして《グリセルブランド》加入により導き出された最高のカウンター呪文が、この《この世界にあらず》です。
《この世界にあらず》の正確なテキストを知らない人が99%だと思いますので、まずはそのテキストを見てみましょう。
《全ては塵》の代用カードとして長く愛用していた僕も、正しい能力は調べるまでは知りませんでした(笑)。
{7}
部族インスタント ― エルドラージ
あなたがコントロールするパーマネントを対象とする、呪文1つか能力1つを対象とし、それを打ち消す。
この世界にあらずは、それが対象としている呪文や能力があなたがコントロールするパワーが7以上のクリーチャーを対象としている場合、それを唱えるためのコストが{7}少なくなる。
部族インスタント-エルドラージ・・・! そう、この呪文は《ウギンの目》で{2}マナも軽くなるんだよ!!
な、なんだってー!!?
...という冗談はさておき、要するに《引き裂かれし永劫、エムラクール》《グリセルブランド》を守るためのカウンターです。
両者ともパワーは7以上なので、唱えるコストは{0}になります。
「《グリセルブランド》を《御霊の復讐》したけど《流刑への道》されちゃった...」
なんて悲劇も、対応して《グリセルブランド》の7ドローで《この世界にあらず》を探せば簡単解決!
無事戦闘ダメージが解決したら、さらにドローをして、追加の《裂け目の突破》《御霊の復讐》を探しに行きましょう! もう勝利はすぐそこです!!
0マナでプレイできることの他に、もう一つ重要な点があります。それは、能力も打ち消せるという点です。
呪文だけではなく能力も打ち消せると、一体何が違うのか。答えはこちらです。
そう、《裂け目の突破》《御霊の復讐》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》のコンボを、天敵である《詐欺師の総督》《やっかい児》から防ぐことができるのです!!!!
これまで双子コンボと対戦するときは、相手に3マナ立ってるだけで《引き裂かれし永劫、エムラクール》を走らせることができませんでしたが、これからはもう大丈夫!
ドヤ顔で「その《引き裂かれし永劫、エムラクール》をタップします」と言ってくる対戦相手に、《この世界にあらず》でドヤ顔返しをしてみせましょう!!!
相手のパーマネントも、ライフも、これまで信じてきた定石も常識も。その全てを、「滅殺」!
サイドボードも前回よりかなり洗練されました。
苦手としているハンデスやストームコンボに強い《神聖の力線》。
双子コンボや《シルヴォクののけ者、メリーラ》に強い《倦怠の宝珠》。親和対策である《古えの遺恨》。
《紅蓮地獄》はクリーチャーデッキ全般に強いですが、特に一番倒したいクリーチャーは《スレイベンの守護者、サリア》でしょう。
最後に、カウンター対策として《すべてを護るもの、母聖樹》。緑単のウルザトロンで使われていたのが懐かしいですね。
このデッキは僕も調整途上であり、まだまだ荒い部分は多いと思います。
しかし、《詐欺師の総督》を無視して《引き裂かれし永劫、エムラクール》を走らせることができる点は、従来のデッキに比べて優れていると言えるのではないでしょうか。
《引き裂かれし永劫、エムラクール》ファンの方は、是非一度試してみて下さい!
今回の「グランプリ・横浜直前号!」はここまでとなります。お楽しみ頂けたでしょうか。
それでは、次回の記事で、そしてグランプリ・横浜でお会いしましょう!
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