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週刊デッキ構築劇場
第62回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・僕と恐竜とマンモス
読み物
週刊デッキ構築劇場
2012.05.21
第62回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・僕と恐竜とマンモス
演者紹介:塚本 樹詩
独創的なデッキ構築と記事展開で知られるデッキビルダー・ライター。玉石混淆アイディア先行のデッキを数多く試すことや、多くの人に笑いもしくは失笑を与える語り口から『試行落語(トライ&テーラー)』として、畏怖されている。
プロツアー・ホノルル2009にて初のプロツアー出場を果たし、《破門》マスターとして恐れられた。また2009年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの渡辺 雄也は自宅アパートの二軒隣に住んでいる関係から非常に親交が深く、「渡辺の三次元の嫁」「〈渡辺の信奉者〉」と呼ばれることも。
代表作は、栗原 伸豪が危うくプロツアーで使う所だった《ルーン炎の罠》入り新型ハウリングオウルや、渡辺大絶賛の《山賊の頭の間》バーンなどだが、むしろ今後の代表作に期待したい逸材。
ははは、こんにちわ僕ですよ!
いつもより少し早めの登場ですが、今回もよろしくお願いします。
集まれ象市民!
失礼、噛みました。
集まれ象!
グランプリ・横浜が1ヶ月先に迫ってまいりました。
参加予定の皆様、デッキは決まりましたか?
モダンって何?車?という方から、メタが複雑すぎて細部が決まらない!という方々のために、今日は楽しい楽しいモダンの世界へ案内しましょう。
では、このタイムマシンに乗ってモダンの時間旅行へレッツゴーです。
でれれれれれれれれれれれ(時空を渡るSE)
氷河時代(アイスエイジ)
さ、寒い! どうやら氷河期の真っ只中の永久凍土に不時着してしまったようです。
こんな極寒の地で何を楽しめというのでしょうか! 凍っているマンモスでも探しますか。
「キシャー!キシャー!」
遠くから雄叫びが聞こえます。
これは古代の生物的咆哮でしょうか? それとも働きすぎて発狂してしまった井川でしょうか!
違いました! ただの恐竜でした! 残念。
上に肌の色が不健康そうな人? が乗っていますね。ヘイタクシー!
次の時代まで運んでくれるそうです、ラッキー。
ついでにマンモス的なサムシングも欲しかったのですが残念です。
でれれれれれれれれれれれれ(時空をかけるSE)
動物時代(ゼンディカー)
氷はすっかり溶けたようです、暖かいぞ!
さっきとは打って変わって動物だらけです。
動物の宝石箱やで!
向こうの森で何やら巨大な生物が怒り狂っています、今度こそ井川じゃないでしょうか!
残念! いや、お目当てのマンモスですよ! マンモス!
しかも「テラ」まで付いているから相当マンモスなんでしょう。
「テラマンモス」ってことですかね!
こんなのが急に出てきたら戦場は壊滅ですよね。
マンモスを早出しできれば・・・早マンモスできれば・・・
こんな時に《出産の殻》があれば!
そうです、このカードがあれば《アロサウルス乗り》から一気に《テラストドン》が出せるのです!
マナクリーチャーから加速して《出産の殻》を出して、すぐさま代替コストで《アロサウルス乗り》をキャストしてすぐに《テラストドン》にチェンジできるってわけです!
そこから9マナへアクセスできれば、君は勝ったも当然でしょう。
《出産の殻》で《シルヴォクののけ者、メリーラ》コンボを揃える時代は終わった! これからは《出産の殻》はマンモス専用機だパオーン。
ということで、今回の塚本デッキその1は《出産の殻》デッキです。
《出産の殻》の相方といえば《シルヴォクののけ者、メリーラ》が代表的ですが、頑張れば頑張るだけ好きなクリーチャーを戦場に呼び出せる、このカードの可能性を追求したリストにしました!
4 《森》 1 《沼》 4 《剃刀境の茂み》 1 《寺院の庭》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《草むした墓》 4 《新緑の地下墓地》 4 《霧深い雨林》 1 《湿地の干潟》 1 《嘆きの井戸、未練》 -土地(22)- 4 《貴族の教主》 4 《極楽鳥》 4 《根の壁》 1 《ウッド・エルフ》 1 《召喚者の卵》 1 《クローンの殻》 1 《ワームとぐろエンジン》 4 《アロサウルス乗り》 4 《テラストドン》 4 《憤怒の天使アクローマ》 1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《魅力的な執政官》 -クリーチャー(30)- |
2 《死せざる邪悪》 2 《雲隠れ》 4 《出産の殻》 -呪文(8)- |
4 《台所の嫌がらせ屋》 2 《フェアリーの忌み者》 1 《怒りの天使アクローマ》 1 《鋼の風のスフィンクス》 3 《攻撃的な行動》 4 《召喚の罠》 -サイドボード(15)- |
《アロサウルス乗り》から《テラストドン》へ繋ぐコンボはもちろん、もうひとつのジャンプアップ方法が「変異」からの早出しです。
「変異」で出した《憤怒の天使アクローマ》を《死せざる邪悪》や《雲隠れ》で無理やり本来の姿にすれば、《出産の殻》で一気に《エメリアの盾、イオナ》や他の9マナへジャンプアップできるのです!
相手のデッキによってはそのまま戦場に残したり、《出産の殻》で《アロサウルス乗り》を《憤怒の天使アクローマ》にする場面が強い時もありそうですね。
このデッキには《死せざる邪悪》と《雲隠れ》のどちらがいいのか?
前者は全体除去に強かったり、《出産の殻》との相性が良かったり、このデッキのエースである《テラストドン》が安心して攻撃に行けたりするのですが、後者は戦場に出た時に誘発する効果をもつクリーチャーと相性が良く、《憤怒の天使アクローマ》を「変異」から能動的に本来の姿にできたりします。
今回はお試しで2枚ずつ入れていますが、好きに枚数を調整していい枠ですね。
サイドボードからは相手のデッキの色に対応したプロテクションを持つファッティをサイドインするといいでしょう。両方とも8マナなので、ちょうど《アロサウルス乗り》から出せますしね。
このデッキは、8マナ・9マナのクリーチャーが主役なので、自分の好きなクリーチャーを是非是非採用してあげてください!
僕はMagic Onlineのモミール・ベーシックというフォーマットが好きで、特にモミールを9マナで起動する瞬間を楽しみにしています。
今回は9マナの当たりカードである《魅力的な執政官》をデッキに入れていますが、8マナの《浄火の大天使》や9マナの《奈落の君、苦弄》とかを入れるのも素晴らしいのではないでしょうか!
さて、《出産の殻》デッキの紹介はここまでです。
え? まだ別の時代がある? でもタイムマシンは壊れたし、思ったよりアロサウルスは乗り心地悪かったんですが・・・
《魅力的な執政官》が乗せてくれる? 乗る乗る乗っちゃうー!
でれれれれれれれれれれれ(ここだけ執政官が口で言っています。)
荒廃時代(ミラディン)
文明が荒廃している時代に来てしまいました! 人々は傷つけあい疑心暗鬼、自分ですら信じられないくらい荒んでいます!
やっぱり人間の最大の敵は人間なのでしょうか!
僕も早速、騙されてしまい《聖トラフトの霊》と《沼のチンピラ》を交換してしまいました! 恐ろしい時代!
先ほどの詐欺師がまたもやトレードを申し込んできました! きいいいいい!
え? 違う? あれは兄? それより僕の《戦争と平和の剣》が欲しい?
あの有名プレイヤーの津村さんが使っていた《森》と交換できるの?
...す...する! する!
あんなにいい人違いだったのに、勘違いしてしまいました。危なかったです。
しかし、兄弟だとさすがにそっくりですね。と思ったら目の前で分裂しました!
どうやら一番付いてはいけないオーラがくっついているようです!
そうです、塚本デッキその2は双子デッキです!
スタンダード時代から猛威を振るっていた、「2枚揃えば勝ってしまう」このデッキはモダンでも強力で、環境のコンボデッキの顔となっています。
今回はこのデッキを「2枚のキーパーツを揃える」ことだけに特化して自分なりに組んでみました。早速リストを出して説明してきましょう。
4 《魂の洞窟》 4 《宝石鉱山》 4 《禁忌の果樹園》 4 《氷の橋、天戸》 4 《真鍮の都》 -土地(20)- 4 《極楽鳥》 4 《貴族の教主》 4 《詐欺師の総督》 4 《やっかい児》 4 《通りの悪霊》 -クリーチャー(20)- |
4 《否定の契約》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《大霊堂の戦利品》 4 《魔力変》 4 《欠片の双子》 -呪文(20)- |
3 《呪文滑り》 4 《研究室の偏執狂》 4 《天使の嗜み》 4 《神聖の力線》 -サイドボード(15)- |
まず、このデッキでは3スロットを実質0マナのドローカードにすることによってデッキの枚数を擬似的に48枚に減らし、デッキの濃度を上げました。
そして次に速度を重視して、1ターン目に《貴族の教主》《極楽鳥》を出せば3ターンで勝つことができるようになりました。色拘束が激しいのですが、いっそ、デッキに入っている土地からは好きなマナしか出ないようにしちゃいました。
《真鍮の都》から《魂の洞窟》まで沢山の5色地形が入っていますので、これでデッキに理論上は色を気にせずにあらゆるカードが入れられるのです。これぞモダンの特権といったところでしょうか!
そして双子デッキの構造上いつも浮かび上がってくるコンボパーツの枚数ですが、《詐欺師の総督》と《やっかい児》は4枚ずつ入れられるのに、《欠片の双子》と同じ役割である《鏡割りのキキジキ》は5マナと、少し重いのでデッキに沢山入れられないのです。
そこで思い切って《鏡割りのキキジキ》を別のカードで代用しました。
《大霊堂の戦利品》はたった1マナで好きなカードを手に入れられる夢のようなカードですが、失敗すれば負けてしまう悪夢のようなカードでもあります。
しかし双子デッキでは上記のコンボパーツが2枚揃ったら勝率が跳ね上がるので、この危険を乗り越えれば勝ちは目前なのです。
《詐欺師の総督》か《やっかい児》を相手のターンの終了ステップに出して、自分の土地をアンタップしてすぐさま《大霊堂の戦利品》をプレイすれば、次のターンに勝利!なんてことができちゃいます。
最終的に自分のライフが1点でも残っていれば勝てるのです! それがマジック。
そしてサイドボードからは《研究室の偏執狂》と《天使の嗜み》を入れることによって、別の勝ち手段で相手のサイドプランを崩壊させます。
《天使の嗜み》で負けない状態になっている時に《大霊堂の戦利品》で「デッキに入っていないカード」を宣言すれば、自分のライブラリーが0枚になるので、次のドローで《研究室の偏執狂》で勝利できます!
《通りの悪霊》のサイクリングにスタックして、もしくはアップキープにライブラリーを0枚にするのが手段ですね。相手が《研究室の偏執狂》に除去呪文を打ってきても、そこで《通りの悪霊》で勝ち!なんてこともできちゃったりします!(訂正・お詫び:ライフが1以下になっているときに、《通りの悪霊》をサイクリングコストとして「ライフを2点支払う」ことはできません。お詫びの上、訂正いたします。 編集 5/22)
ただ、このサイドプランのおかげでサイドボードの枠が8枚も圧迫されているので、残りのカードは本当に必要なものだけを採用しましょう。
ディスカード呪文に弱いこのデッキも《神聖の力線》さえ置ければ、あとは自由に動けます。相手が構えてくる呪文には《呪文滑り》で対応しましょう。
と、今回はモダンの可能性を追求して既存のデッキを改造するに留まりましたが、オリジナルデッキともなれば可能性はもっと無限大なので、モダンを未体験の方もこの記事を読んで触発されればとっても幸せです!
グランプリ・横浜ではどんなデッキが勝つのでしょうか! 打倒トップメタを掲げて、今日は終わりにしたいと思います。それではまた次回!
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