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週刊デッキ構築劇場
第59回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・マッスルアヴァシン
読み物
週刊デッキ構築劇場
2012.04.30
第59回:塚本樹詩のデッキ構築劇場・マッスルアヴァシン
演者紹介:塚本 樹詩
独創的なデッキ構築と記事展開で知られるデッキビルダー・ライター。玉石混淆アイディア先行のデッキを数多く試すことや、多くの人に笑いもしくは失笑を与える語り口から『試行落語(トライ&テーラー)』として、畏怖されている。
プロツアー・ホノルル2009にて初のプロツアー出場を果たし、《破門》マスターとして恐れられた。また2009年度プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの渡辺 雄也は自宅アパートの二軒隣に住んでいる関係から非常に親交が深く、「渡辺の三次元の嫁」「〈渡辺の信奉者〉」と呼ばれることも。
代表作は、栗原 伸豪が危うくプロツアーで使う所だった《ルーン炎の罠》入り新型ハウリングオウルや、渡辺大絶賛の《山賊の頭の間》バーンなどだが、むしろ今後の代表作に期待したい逸材。
どうも、塚本ですよ!ははは!
『アヴァシンの帰還』がもうすぐ発売ですね!皆さんはプレリリースイベントに参加したり、新しいカードリストから新環境のスタンダードのデッキを作ったり、プロツアー組はブロック構築で切磋琢磨したりしていますか!?
ゴールデン・ウィークに少しでも皆さんのマジック・ライフが楽しくなる手助けができるように、今回も限界まで突き抜けて頑張りますので、最後までお付き合いお願いします!
さてさて、今回はカードリストを眺めていて琴線に触れるカードが何枚かあったのですが、どれを主役にしようなんて考えたんですよ。ちょうど最近の僕は熱狂的にジャイグロ(《巨大化》)にはまっていて、リストの中になんと「奇跡」付きのジャイグロが2種類もあるじゃないですか!
なんと1マナで+6/+6とトランプルと《寄せ餌》! もう片方は+1/+1カウンターが4つも!
2点ライフを支払えば+2/+2してくれる時代だから、1マナだともうこんなにもすごい恩恵が受けられるんですね!
(注:塚本はまだ現実が見えていません)
この2枚を使って、適当に《不可視の忍び寄り》とかでマンモスしていれば簡単に勝てそうじゃないですか!
(注:塚本は象が好きです)
僕がどうしてこんなにもジャイグロを愛しているかというと、こういった呪文は生物がいないとアイデンティティが確立されないじゃないですか、しかも打ったところで生物が戦場から離れてしまえば、単なるディスカード同然! それならプレイヤー本体にもクリーチャーにもダメージを与えられる火力のほうが幾らかマシ! それなのに愚直にクリーチャーだけを強化する呪文が何故存在するのか! きっとウィザーズはこれに重要なキーワードを潜ませているはず。僕たちがこうして成長したのもきっと沢山の大人たちが僕たちに《剛力化》を打ってくれたからだと思うのです、それを...それをウィザーズは僕たちに教えようとしてくれているのですよ! それを強いプレイヤーたちはすぐ《蒸気の絡みつき》とかするじゃないですか、あいつらはロマンってモノがないんですよ! 勝つための機械! これぞまさに《狩られる者の逆襲》! 俺たちの戦いはこれからだ!
ということで今回のツカズキッチンの料理は「低マナ域の小賢しいクリーチャー、ジャイグロ炒め」です。
今回の食材は太平洋の黒潮が育てた活きのいい《不可視の忍び寄り》と、山の幸の中でも特に高級素材とされている《秘密を掘り下げる者》の海陸コラボレーションです。
これだけだと具の種類が少ないのでアクセントとして《ぎらつかせのエルフ》と《荒廃の工作員》も入れちゃいましょう、これで料理全体の味がピリピリとしてとてもファンタスティックになります。
次に調味料の紹介です。今回は食材の味を引き立てるために《変異原性の成長》のような調味料を使っていこうと思うのですが、最近注目されつつある新しい調味料の《狩られる者の逆襲》と《自然の祝福》で大胆に具材を変身させちゃいます。
最後に今回の隠し味は《突撃のストロボ》これでグルメな感じの細胞的要素がめきめき成長するくらいに美味しくなるでしょう!
そして完成した料理がこちらです!(注:最近料理にもはまっています)
4 《島》 4 《森》 1 《山》 4 《銅線の地溝》 3 《内陸の湾港》 3 《根縛りの岩山》 1 《硫黄の滝》 -土地(20)- 1 《秘密を掘り下げる者》 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《不可視の忍び寄り》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(13)- |
4 《突撃のストロボ》 4 《変異原性の成長》 4 《信仰無き物あさり》 3 《使徒の祝福》 3 《有毒の蘇生》 1 《投げ飛ばし》 4 《自然の祝福》 4 《狩られる者の逆襲》 -呪文(27)- |
4 《精神的つまづき》 4 《蒸気の絡みつき》 3 《知恵比べ》 3 《帰化》 1 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
このデッキは「ミラディンの傷跡」ブロックのリミテッド時によく言われていた「感染クリーチャーと非感染クリーチャー両方で相手のライフを30点削りにいくのは弱い」というセオリーと「奇跡呪文は奇跡コストで唱えられるギミックがデッキにあるか、本来のコストでプレイできる構成にしないと使いづらい」というマイナスとマイナスをかけて、プラスにしているのです!
その恩恵?を受けてか、このデッキはうまくいけば2ターンで相手をマンモスすることができるのです!
1ターン目《ぎらつかせのエルフ》からの2ターン目《自然の祝福》か《狩られる者の逆襲》を「奇跡」して《突撃のストロボ》で任務完了。最高にハイってやつですね。
《ぎらつかせのエルフ》の前では《秘密を掘り下げる者》ですら二番煎じ!
ドロー操作のできない色では《信仰無き物あさり》のようなカードを使って墓地に「奇跡」呪文を落としてから、《有毒の蘇生》でライブラリーのトップに積むのがこれからの「スタンダードあるある」になるのではないでしょうか。
サイドボードはどれも軽いカードを採用していますが、その中でも《知恵比べ》は《ゲスの評決》や《忌むべき者のかがり火》のようなカードをたった1マナで対処できる素晴らしいカードなのです! これからも期待が持てる1枚ですね。
《秘密を掘り下げる者》がデッキに入っていることによってあたかも自分がスタンダードのメタゲームを覇権している気分にもなれ、その気になればゲームなど2ターンで終わらせられるという優越感にも浸れる自己催眠ギミック満載デッキ! しかし、勝った時の爽快感はスタンダード随一といってもよいでしょう!
このデッキは2、3ターン目に標準をあわせたとっても不安定なロマン重視のデッキですが、「奇跡」も感染クリーチャーも好みに合わないプレイヤーもいるでしょう。
そんなプレイヤーたちにお勧めしたいのがこのジャイグロ!
これであらゆるインスタント・ソーサリー呪文が《巨大化》に!
「奇跡」なんか無くったって、このエンチャント1枚で全てのクリーチャーがフィニッシャーに化けてしまいますよ!
このエンチャントを《ラノワールのエルフ》や《極楽鳥》で早く戦場に置こうとしたのならビックリ、そのまま次のターンにこれらのマナクリーチャーが相手のライフを20点以上削ってしまった!何てこともあるかもしれません。
早速リストを載せて解説をしましょう。あ、えっと今回は「地中海風マナクリーチャーの《野生の抵抗》添え」とかです。
5 《森》 4 《島》 4 《銅線の地溝》 3 《硫黄の滝》 3 《内陸の湾港》 2 《根縛りの岩山》 -土地(21)- 4 《極楽鳥》 3 《ラノワールのエルフ》 4 《不可視の忍び寄り》 3 《絡み根の霊》 1 《グリセルブランドの猟犬》 -クリーチャー(15)- |
4 《突撃のストロボ》 4 《変異原性の成長》 4 《思案》 3 《巧みな回避》 3 《使徒の祝福》 4 《野生の抵抗》 2 《戦争と平和の剣》 -呪文(24)- |
4 《精神的つまづき》 4 《饗宴と飢餓の剣》 3 《攻撃的な行動》 2 《戦争と平和の剣》 1 《使徒の祝福》 1 《最後のトロール、スラーン》 -サイドボード(15)- |
《野生の抵抗》が置いてあれば1枚で《巨大化》2枚分になり、さらにブロックもされなくなる《巧みな回避》と、もはやこの手のデッキでは生命線でもある《突撃のストロボ》は《野生の抵抗》だけでなく、《戦争と平和の剣》との相性もばっちり。
《不可視の忍び寄り》の他に、《巨大化》していくクリーチャーは「不死」を持ったクリーチャーを採用して除去耐性を意識。「不死」に加えて「二段攻撃」まで持っている新顔である《グリセルブランドの猟犬》のポテンシャルは無限大!
サイドボードから相手のデッキに合わせて、剣の種類を変えたり、《原始のタイタン》のようなファッティを《攻撃的な行動》で奪ってから、さらにサイズを大きくさせて攻撃したりできますが、《使徒の祝福》がクリーチャーだけでなく装備品を守れることも忘れないように!
このデッキに「奇跡」スペルや感染クリーチャーを入れるのもよいのですが、《焼身の魂喰い》や《苛立たしい小悪魔》を入れてみるのも面白いかもしれません!
この手のデッキはいわゆる「肉」という強化元のクリーチャーがどうしても少なくなってしまうので、不用意に展開せずに1体で決めにいくようにしましょう。全体除去を打たれて「肉」が無くなってしまい、手札の強化系呪文を見つめながらもじもじすることなってしまいますしね。
『アヴァシンの帰還』でようやく7つのセットのカードプールが全て開放された状態になり、デッキビルダーたちは蜜月を迎え新たなデッキタイプが沢山隆盛していくのでしょう。その中の一つがこれらの《巨大化》デッキだったり、あるいは皆さんの作ったデッキがあるきっかけで爆発的に流行ったりするかもしれません。
実際に組んでみないと強い・楽しいといった要素が感じ取りにくい時もあります。実際に大会に出るまではいかなくとも、友達と遊ぶ用の楽しいデッキが意外と強かったりすることもあるし、失敗したらまた新しく作ればいいのです!
最初から強さと楽しさの両方を兼ね備えている天才なんて滅多にいません、なので僕みたいに楽しさを追及するもよし、勝つために一つのデッキを調整するもよし、人生はあなたが主役なので自分で道を選ぶのです。『アヴァシンの帰還』にはそれを手助けしてくれるカードがいつもの第3エキスパンションよりも多めに入っていることでしょう! そこで我が教団の「神話レアしか出ないと評判の御守り」今なら1万2000アニメ(我が教団の通貨)でご奉仕させていただいています! これを機に「ドラフトの時にパックからボムしか出なくて困ってしまうネックレス」とセットでなんと1万5000アニメ! そんなに高くては手が出ないよ。という信者様のためには「欲しくないレアは当たらないようになる素敵な指輪」や「大会の賞品でパックがいつもの10倍もらえるようになる迷彩柄のバンダナ」等、お手頃なグッズも沢山用意していますので是非ともこの機会に検討いただけないでしょうか? 今なら「お友達と一緒に買って得々キャンペーン」実施中なのでお友達と一緒の買うことで最大効率のアドバンテージを得られるかもしれませんよ? このグッズでゴールデンウィークの大会を連覇できたり、友達と差をつけるチャンスかも? 教団のことが気になるけど急に入ったりグッズを入手したりするのは怖いという方も気軽に見学や質問をしてください、救いの手は万人に差し出されるのですから、それだけは絶対運命決定事項なのです。今回の『アヴァシンの帰還』に出てくる天使たちもそれを望んでいるでしょう。そもそもアヴァシンに天使が舞い降りたのは...
おわり。
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