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週刊デッキ構築劇場
第21回:清水直樹のデッキ構築劇場・プレインズウォーカーの神話
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週刊デッキ構築劇場
2011.07.21
第21回:清水直樹のデッキ構築劇場・プレインズウォーカーの神話
演者紹介:清水 直樹 言わずとしれた、デッキ構築劇場看板役者。主な戦績は、プロツアー・オースティン09トップ8、グランプリ・京都07トップ8、日本選手権06トップ8など。 |
皆さんこんにちは!
今回の日本選手権は『基本セット2012(M12)』入りのスタンダードということで、毎日仕事の合間を縫ってプレビュー情報を追い求める毎日を過ごしていました。
そんな中、まず《記憶の熟達者、ジェイス》が発表されて僕も大きな衝撃を受けました。《精神を刻む者、ジェイス》が禁止されたかと思ったら、またまた超強力な「ジェイス」が登場してしまうなんて!
そして間もなく《炬火のチャンドラ》がお目見え!
これは、ネット上でかねてから噂されていた「新しいガラク」も、きっと期待できるに違いない!
そして、僕自身その姿を初めて見たときは、初めて《野生語りのガラク》を見たときの感覚に等しいものでした。
このカードは、強すぎる。
今回はこの強すぎる「ガラク」をさっそくフィーチャーしたデッキを構築劇場してみたいと思います!!
強いプレインズウォーカーとは
そもそも、「強いプレインズウォーカー」とは何なのか。まずはそこから、僕の考え方を紹介したいと思います。
条件1.+能力でカード・アドバンテージが取れること
一部例外を除き、プレインズウォーカーはみな「忠誠値」を上げる能力を持っています。
これにより、自身を倒されにくくしながらもカード・アドバンテージを稼ぎ、更にゲームを有利に進めていくことができます。
また、+能力なのでダメージを受けなければ永久に使い続けることができるのもポイントです。《精神を刻む者、ジェイス》の真ん中なんかもこれに該当してきますね。
条件2.能力で自分自身を守れること
《精神を刻む者、ジェイス》がなぜ禁止されるほど強かったのか。
それは、+能力が2という、それだけでダメージによる対処を難しくする値だったことに加えて、-1能力で相手のクリーチャーを対処して自身を守れることにあります。
今回追加された《炬火のチャンドラ》なんかは、+能力で相手のクリーチャーを除去できるためかなり強力と言えます。
再録されて使用者が多くなるであろう《渋面の溶岩使い》を倒せるのは高評価ですね。
条件3.奥義に決定力があること
《野生語りのガラク》が出た当時何故とんでもなく強かったのか、それは《樹上の村》と《変わり谷》にあります。
とにかく一番下の能力(奥義)の決定力が高かった! +能力を1度起動するだけで、場にいるクリーチャーに加えて土地までが《踏み荒らし》してくる様は、まさしく《野生語りのガラク》の全盛期でした。これらの土地がスタンダードから退場してから、《野生語りのガラク》はちょっとイマイチ、となってしまいましたね。
他にも《槌のコス》なんかは、奥義が「発動したら勝ち」に等しいわりに発動しやすいという意味で、全盛期の《野生語りのガラク》を思わせます。
改めて《原初の狩人、ガラク》
さて、こうした観点から《原初の狩人、ガラク》を見てみましょう。
まず1番上。今までは-1だった能力が、何故か+1になりました。
《遍歴の騎士、エルズペス》が出せたトークンが1/1トークンだったことを考えると、とんでもないことが分かると思います。1/1トークンを出されるだけでも非常に倒すのが大変だったということは、当時プレイしていた方なら覚えていると思います。
お気づきの通り、この+能力こそが条件1、2に合致しますね。3/3トークンというのはプレインズウォーカーを守るブロッカーとして十分すぎるサイズです。
無理やり《原初の狩人、ガラク》をクリーチャーで倒そうとすれば、きっと相手は重要な戦力を失うことになるでしょう。
そして真ん中の-3能力。この手の能力は今まで対象を取るものばかりだったり、生け贄を要求したりなど制限が強かったのですが、この《原初の狩人、ガラク》は違います。
そもそも対象を取らないので、複数体クリーチャーをコントロールしていれば対応してクリーチャーを除去されても損はしません。
そして、やはり緑ですからかなりの枚数を期待できます。少なくとも3枚、欲張れば5,6枚のドローも可能でしょう。それだけ引けば、多分次の《原初の狩人、ガラク》を引いたりしてどんどん勝ちが近づいてきます。-6能力もありますが、-3も十分決定力がある能力ですから、条件3に合致すると言っていいと思います。
-6能力はおまけと思われるかもしれません。ただ、全体除去がない相手にとっては起動すればほぼ勝ちが決まると言ってよいでしょう。
初めから6回上陸した《ゼンディカーの報復者》、と言いかえればその凄さが分かると思います。
ビートダウン相手など、常に+1起動でブロッカーを用意するようなときは、この奥義が大きなプレッシャーになりますね。
というわけで、この《原初の狩人、ガラク》は半端なく強いです。おそらく、これから某ビクトリー仮面の記事では「つよい」の一言で片づけられるようになってしまうのではないでしょうか。
しかし唯一ネックになるのがそのコスト。絶対このカード高くなりますよね。{2}{G}{G}{G}というコストはそう簡単に用意できるようなものではありません。ちょっとした工夫が必要になってきます。
そこで今回、相方としてスポットを当てたのはこの2名です!
《ジョラーガの樹語り》《水蓮のコブラ》、どちらも、3ターン目に5マナを用意することができる優秀なマナ加速です。
そうです。往年の緑黒エルフが《変わり谷》込みの3ターン目《野生語りのガラク》で勝ち、というのを、3ターン目《原初の狩人、ガラク》で再現するのです!
勿論5マナ域が《原初の狩人、ガラク》だけではもの足りませんから、やはりここは後半のマナクリーチャーを有効活用できる《饗宴と飢餓の剣》の採用は固いですね。お!?ひょっとしてパワーが上がって《原初の狩人、ガラク》と相性抜群!
手札が増えれば《戦争と平和の剣》で大量ライフゲイン!! こ・・・これは・・・!?
13 《森》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 4 《地盤の際》 -土地(25)- 4 《ジョラーガの樹語り》 4 《水蓮のコブラ》 4 《ダングローブの長老》 3 《真面目な身代わり》 2 《最後のトロール、スラーン》 3 《酸のスライム》 2 《ワームとぐろエンジン》 -クリーチャー(22)- |
3 《四肢切断》 2 《内にいる獣》 2 《饗宴と飢餓の剣》 2 《戦争と平和の剣》 4 《原初の狩人、ガラク》 -呪文(13)- |
3 《呪文滑り》 1 《最後のトロール、スラーン》 1 《酸のスライム》 1 《ガイアの復讐者》 2 《自然の要求》 4 《漸増爆弾》 1 《内にいる獣》 2 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
完成したデッキの正体は緑単の装備品デッキでした。
デッキ名は緑で「剣」ということで、この名前となりました。いやぁ、一度つけてみたかったんですよこのデッキ名。緑で剣入ったデッキならOKだなー、とか思ってたんですがまさかこんな形で実現してしまうとは。やはりデッキ名からデッキ構築を考えていくというのも方法論としてはアリなのではないk(強制終了)
今回、M12で追加されている《ダングローブの古老》はまさにこのデッキのためのカード。
M12からキーワード能力として「呪禁(じゅごん)」が追加されましたが、往年の《トロールの苦行者》よろしく装備品の土台として最適です。
かつ緑単であるためパワーが高くなりやすく除去されにくいため《原初の狩人、ガラク》の-3との相性が抜群!
もちろん、同様の理由で《最後のトロール、スラーン》も強力です。
メインからこの2種類の「呪禁」を搭載するのが正当化できるあたり、中国選手権なんかで大流行の兆しを見せている青黒に大きな耐性が付けられて好感触です。
復帰組の《真面目な身代わり》も、やはり除去されてもカードを引ける点で装備品と相性抜群です。
そういえば、このカードが初めてお目見えしてからというもの、ひたすら僕はこのカードをスタンダードで使い続けていたような気がするのですが、今回復帰してきたというのはもはや運命的とも言えますね。あぁ、
懐かしのウルザトロン。無色しか出ないマナベースから何度色マナを供給して僕を救ってくれたことか!!
《酸のスライム》は《原初の狩人、ガラク》と「剣」以外の5マナの選択肢です。
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》はやはり無視できない存在ですし、赤単の《燃え上がる憤怒の祭殿》など、昨今対象はとても増えてきています。
《原初の狩人、ガラク》が無くても、これを3ターン目にキャストできればかなり相手の行動を制限できますしね!
除去呪文の選択肢は、《四肢切断》と《内にいる獣》以外はありませんでした。まぁ緑単ですし。これとサイドボードの《呪文滑り》+《自然の要求》のおかげで、十分「双子コンボ」とも戦えるでしょう。
そんなわけで、皆さんのこの「クサナギの剣」についての感想を、ぜひお聞かせいただけたらと思います!
世の中便利になったもので、「Twitter」を使えば簡単に皆さんの考えを参考にすることができますからね!
これを機会に、「クサナギの剣」のようなデッキ以外でも《原初の狩人、ガラク》の使い方を皆さんで一緒に考えられたらとても面白いと思います。
うまく完成度を高めることができれば、とうとうデッキ構築劇場デッキがプレミアイベントを席巻する日が来てしまうかも!?
これぞまさしくAmbitious!ですね!
Decks, be Amibitious!!
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