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週刊デッキ構築劇場
第10回:浅原晃のデッキ構築劇場・プレインズウォーカー人材派遣会社?ちょい足しデッキビルド
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週刊デッキ構築劇場
2011.04.14
第10回:浅原晃のデッキ構築劇場・プレインズウォーカー人材派遣会社-ちょい足しデッキビルド
演者紹介:浅原 晃 マジック界のKing of Popとして知られる、強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権05・世界選手権08トップ8、グランプリ優勝2回、The Finals2連覇など。 |
● グランプリダラス業績発表
ここは、とある次元にあるプレインズウォーカー達が勤めるごく普通の会社。
ニコルボーラス(社長)「アメリカで行われたグランプリダラスだが、また、業績トップはジェイス君、次いでギデオン君か。ジェイス君はトップ8、グランプリ2日目で使われた回数は誰よりも多いという話じゃないか。」 |
リリアナ(秘書)「トップ8に32枚使われたそうね。トップ8の全部のプレイヤーが4枚ずつ使っていたってことになるのね、前代未聞の活躍だわ。私も一緒に使われることがあるけど、ほとんどジェイスさんのお蔭よね。ほんとすごいわね。 |
ジェイス(エリート社員)「いえいえ、そんなことは無いです。僕なんて相手のデッキ見て、カード引いて、クリーチャー戻して、ちょっと精神刻むくらいの事しか出来ないですよ。いつもギデオンさんに守ってもらっていますし」 |
「謙遜することはないよ、君のような部下を持って私も鼻が高い。他の同期にも君のドローの垢を煎じて飲ませたいくらいだ。」 |
「いえいえ、僕はアジャニさんみたいにライフも回復できないですし、とてもとても。あ、でも僕がライフ回復できたら、アジャニさん要らなくなっちゃいますね。そうなったら、これがほんとのさよなライオンとかいったりして(^^」 |
「ハッハッハ、うまいこと言うけど、あいつ猫だよね?」 |
「あ、そうでしたね。確か、昔少しだけ活躍していましたもんね、子分の猫が(^^」 |
「ジェイスさん、面白い(笑)」 |
「君のこの活躍を見ると、もう、ジェイス君に任せてわしそろそろも引退かな」 |
「いやいや、ニコルさんに殴られたら僕のアドバンテージなんて全部すっとんでしまいますから。勘弁してください(笑)」 |
「じゃあ、もうちょっと頑張らないとな(笑)」 |
「HAHAHAHA......」 |
・・・・・・
● 会社の窓際にて
アジャニ(平社員)「くっそ、あの野郎、ちょっと調子がいいからって図に乗りやがって。いつか、次元の底に叩き落としてやりたいところだが......」 |
ガラク(ベテラン社員)「アジャニさん落ち着いてくだサイ。怒っちゃダメデス。復讐に燃えていたときのアジャニさんは結構イカしていましたけど、今はもうかなり丸くなっちゃいまシタし。」 |
チャンドラ(OL)「ジェイスもちょっと前までは、シャッフルできなくてつらいわー、今日は1回しかシャッフルしてないわーってくらいの自慢だったのにミラディン包囲戦が加わってからの調子に乗り出し方は目に余るわね。リリアナはすっかり長いものに巻かれろモードだし。ジェイスさんで手札に戻したクリーチャーを捨てれるのよ!ってどんだけプライド無いのよ。」」 |
「兎にも角にも、ミラディン包囲戦の《饗宴と飢餓の剣》が転機だったな、《石鍛冶の神秘家》が強くなったせいで、ジェイスもシャッフルできるわ、《饗宴と飢餓の剣》の効果でマナのやりくりは楽になるわで、フルタップしたと思ったら次の瞬間には相手の土地全部起きてるって、どういうことなの。」 |
「ニッサさんもあの剣みて怒って実家に帰ってしまいまシタからね。《肉体と精神の剣》のときもヒステリー起こして大変でしたが、《饗宴と飢餓の剣》が出てからはプロテクション緑ってなんなんですの!プロテクション緑ってなんなんですの!頭おかしいゾッ!ってずっと言ってマシタから、何か選ばれしものだけ連れてのんびり暮らすらしいデス。」 |
ソリン(会長)「君たち、何を話しているんだね。」 |
「ソリン会長!」 |
「さっき、エルドラージ社がまたクレーム付けてきてね、あいつらなかなか帰らないし大変だったよ。 まあ、それはいいとして、ジェイス君のことかな。個人的な意見を言わせてもらうなら、実はジェイス君は過大評価されているのではないかと思っている。例えば、今活躍している、『Caw-Blade』も《戦隊の鷹》と《石鍛冶の神秘家》のコンボの名前を冠していて、ジェイス君の名前はない」 |
「なるほどデス。そのコンボが強いものではあるが、ジェイスはその恩恵にあずかっているだけに過ぎないってことかもしれないデスね。そういえば、最近その『Caw-Blade』ちょい足しが流行しているみたいデスよ。」 |
「それは、ちょい足しデッキビルディングって奴ね。強いデッキのカードを環境に応じて変えていくっていうのは、デッキ構築では基本とされる理論だけど、それで生み出された『Tezzerator-Blade』や『Dark-Blade』が活躍したりしているわね。そういえば、最近活躍しているテゼレットだけど、昔、うちの会社に居なかったっけ?」 |
「昔うちの会社にいて、『無限連合』っていう労働組合作ってマシタけど、ジェイスさんに追い出されてどっかで独立したみたいデスよ。もともと変な人でしたけど、この前、街で見かけたらもっと変な風貌になってマシタ。アーティファックト最高!って叫んでて、怖くて話掛けなかったデスね。」 |
「テゼレットみたいな変人でも活躍できるくらいだし、『Caw-Blade』に何かを足すことで、より強い形にできる可能性もまだまだあるってことかもしれないな。」 |
「その通りだ。可能性は無限大といえるだろう。他のデッキにも言えるこだが、完成形なんてものはない、どちらかといえば、夢を追う心が重要なんだ。」 |
「良く考えたら、《黄金のたてがみのアジャニ》も同じ4マナのプレインズウォーカーなんだし、色だって最近流行りの白。《饗宴と飢餓の剣》を《戦隊の鷹》に付けて攻撃、その後起こした土地で《精神を刻む者、ジェイス》と思いきや、《黄金のたてがみのアジャニ》! これいいかもしれんね。」 |
3 《島》 3 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《金属海の沿岸》 4 《氷河の城砦》 2 《墨蛾の生息地》 1 《沸騰する小湖》 1 《湿地の干潟》 4 《地盤の際》 -土地(26)- 4 《戦隊の鷹》 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《ミラディンの十字軍》 3 《エメリアの天使》 -クリーチャー(14)- |
4 《定業》 4 《失脚》 1 《糾弾》 4 《マナ漏出》 1 《迫撃鞘》 1 《骨溜め》 1 《饗宴と飢餓の剣》 4 《黄金のたてがみのアジャニ》 -呪文(20)- |
4 《セラの高位僧》 4 《魂の従者》 4 《アジャニの群れ仲間》 3 《生き残りの隠し場所》 -サイドボード(15)- |
「どう、これ?圧倒的じゃない?」 |
「何が圧倒的か分からないデスが、《エメリアの天使》とか、《墨蛾の生息地》・とかをアジャニさんで強化すると結構かっこいいデスね。このデッキ名の後についている32って何デスか」 |
「次のグランプリ神戸でトップ8に32枚使ってもらいたいという願望だ。」 |
「一応、ジェイスをライバル視しているのね。」 |
「ちょっと気になったが、次に神戸で行われるグランプリと言えばスタンダードではなく、エクステンデッドだ。エクステンデッドはスタンダードと違い、ローウィンブロックからのカードが使用できるレギュレーションだから......」 |
「え、それじゃ、このリストだと......」 |
「スタンダードはともかく、エクステンデッドで夢のトップ8、32枚を目指すのは厳しいな。」 |
「私も今『Gurrak Blade』を考えてたんデスが、駄目そうでスネ・・・」 |
「私の『Chandra Blade』も夢かしら・・・ジェイスの奴はエクステンドでも引っ張りだこだからなぁ」 |
「我々ではあの野郎に勝てないのか、『マジックは「カード」、カード引けば勝つっしょ(笑)』くらいしか言わない、あのいけすかないデジタル思考なJB(ジェイス・ベレレン)の奴を見返してやりたい。」 |
「その心意気や良し、ならばヒントを出そう、エクステンデッドならエクステンデッドなりに活躍のチャンスはあるということを忘れてはいけない。カードプールが広がるということは、それと組み合わせるカードによって、カードそのものの強さも変わる。そして、その恩恵はジェイス君よりも、アジャニ君の方が大きい。特に警戒が付く能力は実は大きなカギになると睨んでいる。」 |
「どういうことですか?」 |
「ここにエクステンデッドの一つのデッキリストがある、これが参考になるはずだ。」 |
4 《島》 4 《平地》 4 《天界の列柱》 4 《金属海の沿岸》 4 《氷河の城砦》 2 《秘教の門》 4 《変わり谷》 -土地(26)- 4 《戦隊の鷹》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《ミラディンの十字軍》 4 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(16)- |
4 《流刑への道》 4 《瞬間の味わい》 4 《時間のねじれ》 2 《饗宴と飢餓の剣》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(18)- |
「セイバー・ブレイド!?」 |
「何か変なデッキでスネ。《瞬間の味わい》は次のアンタップフェイズが無くなる代わりに次のターンを得るソーサリー、さらに《時間のねじれ》と合わせて、ターンを得ることを中心にしたデッキになっているようデスが。」 |
「注目すべき一つの点は、《饗宴と飢餓の剣》は《時間のねじれ》や《瞬間の味わい》との相性がいい点だ。特に《瞬間の味わい》のアンタップフェイズが無くなるというデメリットは、全ての土地が起きるという《饗宴と飢餓の剣》のメリットをうまく使えば相殺することもできる。本来、《瞬間の味わい》はデメリットが強すぎるために使われないカードだが、これなら有効に使うことも可能で、軽い《時間のねじれ》ともなるだろう。」 |
「ただ・・・このデッキだと、連続しての攻撃が難しいですね」 |
「そうだな。ということは、どういうことか分かるか?、このデッキは完成形ではない。」 |
「分かりました、つまりはこうですね!」 |
2 《平地》 2 《島》 2 《山》 4 《天界の列柱》 4 《金属海の沿岸》 2 《秘教の門》 3 《乾燥台地》 2 《沸騰する小湖》 4 《変わり谷》 1 《墨蛾の生息地》 -土地(26)- 4 《戦隊の鷹》 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《カザンドゥの刃の達人》 3 《セロドンの一年仔》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(17)- |
3 《流刑への道》 4 《瞬間の味わい》 3 《時間のねじれ》 3 《饗宴と飢餓の剣》 4 《黄金のたてがみのアジャニ》 -呪文(17)- |
4 《翻弄する魔道士》 3 《誘惑蒔き》 3 《瞬間凍結》 2 《紅蓮地獄》 3 《審判の日》 -サイドボード(15)- |
「先程のデッキに足りないものは警戒です! 仮に《饗宴と飢餓の剣》で攻撃し、後に《瞬間の味わい》を使っても、そのクリーチャーはアンタップしないため、続けて次のターンに攻撃することはできない。しかし、他のクリーチャーで攻撃するためには、アンタップ状態のクリーチャーと《饗宴と飢餓の剣》を付け替えるための2マナが必要になる、これは、いかに土地がアンタップしていても確保できるかどうかは限らない。」 |
「うむ」 |
「先程の『Savor Blade』で足りなかったのは、警戒、そして、ジェイスのような軟弱なものではなく、細かいクリーチャーを強化できる私《黄金のたてがみのアジャニ》のような存在です。もちろん、忠誠度の能力で、細かいクリーチャーを強化してさらに警戒を付けるので、《瞬間の味わい》に繋げるもよし、むしろ、それだけで勝つことも可能でしょう。そして、《黄金のたてがみのアジャニ》無しでも、もともと、警戒を持つクリーチャーを使うことで、《饗宴と飢餓の剣》と《瞬間の味わい》をナチュラルにコンボさせることもできる。」 |
「《カザンドゥの刃の達人》だけでなく、赤をタッチしてまで入れた《セロドンの一年仔》は警戒、そして、速攻を持つ、このデッキにはピッタリなクリーチャーでしょう。速攻で《饗宴と飢餓の剣》を装備し走り、そのまま《瞬間の味わい》へと繋げる、これだけで、相手は投了を余儀なくされるのではないでしょうか。ブレイドを装備したセロドン、それはまさにブレイドンと呼ぶに相応しい。」 |
「何か、アジャニさんすごいデースな気がしてきマシタ。もしかしたら、本当にグランプリ神戸でジェイスさんを越えてしまうかもしれないデスね。気のせいかもしれませんが」 |
「《黄金のたてがみのアジャニ》、《瞬間の味わい》、《セロドンの一年仔》、3つのキーカードとその目標をもって、このデッキを『Ajani Savor Bladon 32』と名付けたい。」 |
「うむ、これはグランプリ神戸が楽しみだな」 |
「何がなんだか」 |
● グランプリ神戸へ向けて
「今日もカード引いた引いた、右手吊りそうだよ。グランプリ神戸も近いし大変だ。」 |
「さっきから、向こうでアジャニ君がテンションあがっているけど何やっているんだ。」 |
「なんでしょうね、猫じゃらしでも見つけたんじゃないですか。そういえば、わが社としてはアジャニはM12の契約更新でも続投するんですかね?」 |
「どうしようかな、最近景気も悪いしな」 |
「さよなライオンじゃなくて、キャットだけにカットですかね(笑)」 |
「やだージェイスさんたら」 |
「HAHAHAHA......」 |
そう、君はいかなるプレインズウォーカーもパートナーに選ぶことができる!ということを忘れてはいけない!
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