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Beyond the Basics -上級者への道-
土地をプレイして(はいけない)
2018年10月11日
マジックを初めて遊ぶときに最初に学ぶルールの1つに、毎ターン土地を1枚プレイ、つまり手札から戦場に出せる、というものがある。《ルーン爪の熊》、《ケンタウルスの狩猟者》、《ベイロスの大喰らい》という流れから、毎ターン土地をプレイする利点を学習するだろう。その恩恵はすぐに理解できる。
あなたは遊び始めてから今までにどれほどの土地をプレイしただろうか? 対戦するたびに何度も何度も土地を戦場に叩きつけ、リソース(訳注1)を高く高く積み上げていく。そうやって積み上げられたリソースをどう使うかについては、これまでに幾千もの言葉で語られてきた。
(訳注1:リソース/資源。ゲームの中で他の要素のために消費・交換できるもの)
さて今回は、まったく逆のことをするつもりだ。この記事では、土地をプレイしないときについて語ろうと思う!
《地震断層》 アート:James Paick |
いや、土地が入っていないデッキを使う話をするってわけじゃないし、1ターン目に土地をプレイしない理由について話をするわけでもない。それでも、手札から土地をプレイすることが不利益となる場合は多いんだ。
こんな状況を体験したことがあるだろう。戦場に土地を5枚出している状態で、手札は空だ。自分のターンになってカードを1枚引いて……基本土地だった。それをプレイしたほうがいいだろうか?
したほうがいいときもあれば、しないほうがいいときもある。今日は、なぜそうなるのかを掘り下げていこう。
始めよう!
情報戦
手札から土地をプレイしたくない理由について、主に2つの分類がある。まず1つは、あまり多くはないがゲーム上の効果のために土地を用いたい場合。もう1つは、対戦相手から情報を得る機会を奪う道具として用いるためで、こちらのほうが多いだろう。
私たちが最初に学んだものから話を始めよう。土地のプレイについての1段階目だ。ゲーム中は、毎ターン土地を1枚プレイしよう。これは自分の手札に土地カードが1枚だけあり、他に何もないなら、それをプレイすべきだということになる。とても単純なことだ。
この手法に伴う潜在的な問題点は何だろうか? これにより、手札が無いということが対戦相手に伝わり――今や相手はすべての情報を得ている。対戦相手は、戦場の状態を把握できるのと同じく、こちらの手札について理解している。これはつまり、コンバット・トリック(訳注2)や火力呪文や打ち消し呪文を今使われる心配はない、という意味だ。相手はもはや行動判断においてそれらを警戒する必要がない。
(訳注2:コンバット・トリック/戦闘フェイズ中に、クリーチャーを支援する呪文や能力)
というわけで、土地のプレイについての2段階目だ。手札に土地が1枚だけあるなら、そのまま残しておこう。これは極めて一般的な手法で、多くのプレイヤーがそうしている。
つまりは、手札の土地が必要になるマナ・コストの呪文を引いたとしても、土地を手札からプレイすればいいだけなので、残しても問題ないというものだ。呪文を唱えるのが1ターン遅れをとるということはない。そしてその土地をプレイしないことで、対戦相手はこちらが実は何もできないということを確信できなくなる。こちらの手札にあるカードは何でもいいんだ! 必要であれば次のターンにプレイすればいい土地をただ手札に残すだけで、戦術的効果をしっかり得られる。
私はよく見るが、一般的にはあまり見受けられないものがある。2段階目をそのまま進めたもの、私が3段階目と呼ぶものだ。土地を複数枚手札に残すことについて話そう。
《思考囲い》 アート:Aleksi Briclot |
私はアリ・ラックス/Ari Laxとの「フェアリー」デッキ同士での対戦を、決して忘れないだろう。そのゲームは奥深かった。彼は数ターンのドローで3枚の手札を保持していた。私は《思考囲い》を唱えて何か捨てさせようとし、その手札を見た……3枚とも土地だった!
彼は引いたそれらを意図的に手札に残していて、そのため私は、彼の手札には利用できるカードがいくつもあると思い込まされていた。それが土地のプレイについて私の考えを全く新しい領域へと広げてくれたんだ。
より多く土地を手札に残すことで柔軟性は多少失われるが、あなたが自分のデッキについて理解しているのであれば、それは問題にならないだろう。自分のドラフト・デッキで一番重いカードが5マナだとする。次のターンに5マナ出せる準備ができてさえいれば、手札に土地が複数枚あってもかまわない。(バウンス(訳注3)呪文のようなもので戦場への展開を妨げられる可能性もありはするが。)手札を複数枚抱えている間、対戦相手はより保守的な選択を取らざるを得なくなるだろう――そして、そうするための負担はきわめて少ない。
(訳注3:バウンス/戦場のカードを手札に戻す)
取りうる別の方策は、それらを切り替えることだ。これが4段階目で、最も極端かつ異例な手法と言える。土地をプレイして手札を空にする、というやり方に立ち戻ろう。
待ってくれ……どうして? と思ったことだろう。
この発想は、観察力のある対戦相手はこちらのプレイ内容に注目し、ゲーム中にそれを把握しようとする、というところから来ている。こちらに手札が無いとき、引いたカードが土地だったらそのままプレイしてみよう。対戦相手はこちらのことを、土地が来たらとにかくプレイして、手札を空にしてしまうプレイヤーだと分類するに違いない。ということは、そういうプレイを1~2回見せてからカードを手札に残したなら、それは土地ではないと思い込むだろう……
……実際にはそれが土地であったとしてもね。
さて、ここにきて、私たちは完全に一回りした。拡張された頭脳にこれらを共通認識として加え入れよう。
《高熱仮説》 アート:Chris Seaman |
これらの4段階のうち、どれを採用するのがベストだろうか?
結論から言えば、使うデッキとゲームごとに答えは異なる。一般的には、少なくとも2段階目、あるいは3段階目を採用すべきだろう。しかし、互いに何のデッキを使って対戦するかにより、判断に大きく左右される。
それはなぜかって? ああ、それでは次の分類へと進もう!
対戦するデッキごとの判断
対戦するデッキの組み合わせは、土地をいつプレイすべきか、あるいはすべきではないかについて、大きく影響する。結局、手札の土地を見せないことによる利益は、ゲームプレイ上でのより強力な利益より優先するものではない。
まずは自分のデッキについて考えてみよう。
単純な例がこのカードだ。
複数の土地を手札に残している状態で《猛火》を引いたが、もっとマナが必要だったとすれば、土地を出しておかなかったことを後悔するだろう。自分のデッキにこのカードが入っていると覚えておくことは、土地をプレイするか否かの判断に影響する。《猛火》のことを考えれば、土地を1枚だけ手札に残しておいても問題はないが、2枚以上残すと与えられるはずだった最大限のダメージに届かなくなってしまう。
それから、カードを引く呪文。これも大きく影響する要素だ。
デッキに《予言》のような単純なものが入っているとしよう。
今は7枚の土地を出している状態だ。デッキに8マナのカードはない。手札には土地が1枚あり、《予言》を引いた。それを唱えて引いたのは、《島》と《ボーラスの手中》だった。
おおっと!
前のターンに手札の土地をプレイしていたなら、このターンに《予言》で引いた土地をプレイして、そのまま《ボーラスの手中》を唱えることができた。しかし土地を手札に残してかく乱を狙ったがゆえに、今唱えることはできない。
これは手札の土地のプレイを優先するいくつかの理由となる。しかし同様に、土地を手札に残す理由というものもある。
『ラヴニカのギルド』のあちこちで見られるものが、再活だ!
『ラヴニカのギルド』のリミテッド・フォーマットでは、デッキに再活カードが入っている場合、通常よりも手札に土地を残しておくことが重要となる。プレイしても意味のない土地が、2点ダメージ呪文や2枚ドロー呪文、あるいは別の何かになるかもしれないんだ! その影響力は絶対的で、私はこのフォーマットで、最近の記憶にある他のどの場合よりも土地を手札に残すことが多いと気づいた。
土地をより多様な行動へと変換させるものすべてについて、同じことが言える。《マーフォークの物あさり》的なカードや、《突撃の地鳴り》など、いろいろとあるだろう。
それから、相手のデッキについても考慮する必要があるんだ。
土地を手札に残すことは、対戦相手に情報を与えないだけでなく、他のカードを守ることにもつながりうる。
これの一般的な例は、黒いデッキと対戦するときだ。手札の余分な土地はプレイしてしまい、《一斉検挙》のようなカードを後で使うために手札に残していたとしよう。そのときに対戦相手が《泥棒ネズミ》や《虚報活動》を唱えてきて《一斉検挙》を捨てるはめになったら、大問題だ!
このように、他のカードを守るために手札に土地を残しておくこと――あるいはほかに手札がないならそれらをプレイしてしまうこと――は、間違いなく覚えておくべき手法だ。
土地をプレイしたりしなかったりした結果で打撃を受けるカードは多種にわたるが、パーマネントを手札に戻す呪文、《マナ漏出》のような「ゆるい打ち消し呪文」や土地破壊は、判断にかかわる他の2つの例だ。最終的には、相手が何色のデッキを使い、どんなカードが入っているかによる。その判断は、リミテッドに比べれば構築フォーマットのほうがかなり簡単だろう。とはいえ、それについて考える価値は絶対にある。対戦相手が《スランの崩落》を持っているなら、手札に余分な土地を残しておいて復帰を早めたいはずだ!
とりわけリミテッドでは、前のゲームで対戦相手が何をプレイしたか、そしてそのセットのコモンに何が存在するかを覚えておこう。それは判断するうえで間違いなく役に立つ。
土地守
長期戦で土地を手札に残さずプレイすべきかどうかは、簡単にはわからない。しかし、この記事で提示された技術を用いることで、これまで気づいていなかった点からよりよい判断を下せるようになることを願うよ。
土地を手札に残したことがなければ、実際に試してみてほしい――あるいは常に土地を手札に残しているなら、それをプレイしきってみよう。デッキ戦略と情報かく乱の適切なバランスはあなた次第だ。デッキを知り、対戦相手のプレイングを学習すれば、正しい判断を下せるようになるだろう。
この記事や、マジックのことについて何か思いついたことがあるかな? いつもそれを聞かせてほしいと思っているんだ! いつでもTwitterやTumblrでメッセージを送ってくれてもいいし、BeyondBasicsMagic@Gmail.comにメールしてくれてもいいよ。あなたの考えを教えてくれ!(編訳注:英語でお願いいたします。)
『ラヴニカのギルド』とMagic: The Gathering Arenaを楽しもうじゃないか! また会おう!
Gavin / @GavinVerhey / GavInsight
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)
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