読み物
Round 10: 渡辺 雄也(神奈川) vs. Andrew Cuneo(アメリカ)
By Takeshi Miyasaka
渡辺は初日のスタンダードを4勝2敗で終えていた。あと3点のプロポイントを上乗せしたい渡辺は、モーニングを食べながら「今日は 5-1 したいっすねえ。そうしたら明日は1勝できれば十分なんで。」と殊勝なことを語ってくれた。
一つのイベントで三つものフォーマットに対応しなければいけない世界選手権は、渡辺のようなプロプレイヤーにとっても相当な難物で、練習できていないモダンで好成績を残すことはかなり難しいのだという。
できれば、得意にしているブースター・ドラフトを一敗で切り抜けたい。渡辺は筆者にそう語ってくれた。
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Andrew Cuneo |
Andrew Cuneo 「Two loss?」
渡辺 「Yes... good deck?」
Cuneo 「Yes!」
Andrew Cuneoは、10年ほど昔に雲の上の存在だった当時のトッププレイヤーだ。いまはマジックの開発部長をしているアーロン・フォーサイスがプロプレイヤーだった頃の盟友で、クネオ・ブルーという彼の名を冠した青いデッキも存在した。当時青いデッキが大好きだった筆者は当然のようにコピーさせてもらい、大会に突撃し、そして撃沈していた記憶がある。
現在のAndrew Cuneoは戦いの舞台をオンラインに求め、夜な夜な Gainsay というハンドルでイベントに参戦している。毎週ブースターパックを勝ち取った数が多い人を表彰するリーダーボードがマジックオンラインの公式サイトにはあるのだが、毎週のように Gainsay の名を見かけることができるだろう。そう、Andrew Cuneoはいまでも有名プレイヤーだったのだ。
Andrew Cuneoはこの世界選手権にマジック・オンライン・チャンピンシップ・シリーズ(MOCS)へ参加するためにやってきた。そして、願わくば世界選手権の最終日に、リアルと、オンラインの両方で頂点に立ちたいと願っていることだろう。
渡辺とAndrew Cuneo、それぞれがリアルマジックで活躍した時代は違えども、この世界選手権では同じ参加者として、それぞれの矜持をかけてこの10回戦で対峙した。負けられない戦いがそこにある。
Game 1
先攻の渡辺は《》《》から《》スタート。対して、Andrew Cuneoは《》《》、《》《》という立ち上がり。


3ターン目に渡辺がプレイした《》も《》と、攻撃させる隙を与えない。その間に《》が両者のライブラリを削り、Andrew Cuneoに墓地からフラッシュバックする選択肢を増やしていく。
Andrew Cuneoは渡辺のライブラリを《》《》表裏で狙いながら、自身は《》と《》で墓地を肥やしていく。
渡辺はバウンス祭りから復活した《》と《》を《》で増強するとレッドゾーンへ突入させる。《》をパンプアップして、Andrew Cuneoに一挙8点のダメージを与える。
突如目の前に現れたモンスターにAndrew Cuneoは《》に《》をフラッシュバックして対処する。
渡辺は《》で攻撃してAndrew Cuneoのライフを9にすると、何度目かの《》をプレイする。
ライフが一桁になったところでAndrew Cuneoは《》で《》を戦場へ。ライフ総量をごまかしながら、渡辺のライブラリを削りきる算段なのだろう。
しかし、渡辺が操るクリーチャーたちはいずれもファッティばかり。《》がAndrew Cuneoの皮算用を無にすると、《》フラッシュバックで《》と《》をそれぞれ 3/3、4/4 へサイズアップして攻撃に繰り出す。
Andrew Cuneoのライフは2となり、風前の灯火だ。
Andrew Cuneoもそう感じたのだろう。自分がライブラリを削りきるのが先か、渡辺が自身のライフを削りきるのが先か。
Andrew Cuneo 「How many cards?」
渡辺 「(ライブラリを数えて)Twelve。」
嘆息し、ついでいちばん大きい《》を《》フラッシュバックでバウンスして時間を稼ぐAndrew Cuneoだったが、彼がブロッカーにしようと考えていた《》が《》に《》されて勝負あり。
渡辺 雄也 1-0 Andrew Cuneo
Game 2
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渡辺 雄也 | |
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先攻のAndrew Cuneoがテイクマリガンに対して、渡辺はしばし悩むも7枚の初手をがっちりキープ。
ライブラリを狙うAndrew Cuneoは《》《》という最高のファーストアクションでゲームを開始するが、渡辺のファーストアクションがこれへの《》で、続く3ターン目には《》と攻め手を休めない。
とりあえず《》でバウンスするAndrew Cuneoだが、3 枚目の土地をプレイすることができず、ライブラリを狙うこともできずに厳しい展開だ。続く《》も《》でバウンスして急場をしのぎ、引き当てた《》でふたたび墓地を肥やしライブラリを狙うことに。
クリーチャーこそバウンスされているものの、毎ターン土地をセットし続けてきた渡辺は、三度目の正直でバウンスされなかった《》をレッドゾーンへ押し込むと、《》と《》を戦線に加える。
続くターンに総攻撃でライフが 17→11 となり、《》でさらに戦力が増強される。著しいライフの損失を被ったAndrew Cuneoはようやくプレイできるようになった《》でライフを4点獲得して15へ差し戻す。
しかし、渡辺の猛攻はまだ終わらない。《》で《》と《》へ、フラッシュバックで《》と《》へそれぞれ+1/+1 カウンターを載せると総攻撃。
《》(2/2)《》(4/4)《》(3/2)《》(3/3)で一挙12点のダメージ! Andrew Cuneoのライフは3だ。
たまらずAndrew Cuneoはターン終了時に《》を起動してから《》をフラッシュバックし、ライフを9へ引き上げる。さらに《》をプレイして大きく育った渡辺のクリーチャーたちを道連れにしようと画策する。
だが、《》は《》に狩られてしまい、12点分のパワーを持つクリーチャー軍がレッドゾーンへ送り込まれる。Andrew Cuneoは《》で墓地を肥やしてから《》をふたたびプレイしてライフを8点獲得するもの、12点のダメージを受けて残ライフは5となる。もはや回復量が攻撃力に追いついていなかった。
続くターンの総攻撃に対し、Andrew Cuneoは《》に加えて《》の力も借りて墓地を肥やしてみたが、ついにAndrew Cuneoの防波堤は決壊するのだった。
渡辺 雄也 2-0 Andrew Cuneo
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