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EVENT COVERAGE
世界選手権11
Round 1: Patrick Chapin(アメリカ) vs. Brad Nelson(アメリカ)
By Keita Mori
各国代表選手(王者)による国旗掲揚、投票によって選出された3選手の入堂式といったオープニングセレモニーを終え、世界中から選び抜かれてきた精鋭たちがゲームテーブルに着いた。これからはじまる3日間18回戦を戦い抜き、栄光の日曜日のステージにあがる8人の中のひとりとなることが共通の目標だ。
少なくない人数のトッププロたちが《鍛えられた鋼》デッキを世界選手権のスタンダードデッキに選択したらしい、というのが、カバレージライターブースでの「今朝のトップニュース」だった。
そして、今ここでデッキをシャッフルしている巨漢、昨年度世界最優秀選手Brad Nelsonも《鍛えられた鋼》を選択した一群を代表する選手だ。
66点ものプロポイントを荒稼ぎした昨年度に比べると、今季ここまで17点という戦績はNelsonほどの選手にとってはいささか物足りない感もないではないが、彼が千秋楽で帳尻をあわせるだけのポテンシャルをもった傑物であることは間違いない。
一方、ぜひとも注目したい新しいコントロールデッキを仕上げてきたのが"Innovator"ことPatrich Chapinだ。オールドファンの中には《落とし格子》の件でおなじみの「おしゃべりチャピン」という独特のエピソードを覚えている方もいらっしゃるかもしれない。
Chapinのデッキはフラッシュバック・スペシャルとでも言うべきグリクシスタッチ緑(UBRg)デッキで、《捨て身の狂乱》と《禁忌の錬金術》というフラッシュバックのドロースペルをエンジンとして採用している。
タッチされた緑マナは《古えの遺恨》のフラッシュバック等を主眼にしたものであるようで、もしかしたらサイドボードにもタッチ緑が活きるスペルが隠れ潜んでいるかもしれない。
とにかくドローに続くドローから除去呪文を確保し、フィニッシャーに到達するというコンセプトの最新デッキとのこと。
これは全世界のコントロールフリークが待ち望んでいたChapinの最新作で、あの「ジョニー・マジック」Jon Finkelもこのレシピにほれ込んでこのデッキを世界選手権でプレイしているという情報もあり、様々な意味で目が離せない一戦となりそうだ。
Nelsonもこのカードに驚きを隠せないが、気を取り直して呪文爆弾から1/1マイア・トークンを生成した。とにかく、この神話レアによって盤面が滅茶苦茶にされてしまう前に、確実に有効打をたたきこんでいくか、あるいは彼女を除去してしまうか、といったアクションが求められることになった。
しかし、打撃力向上の鍵を握っている《鍛えられた鋼》も、除去のための《急送》も引き当てられないNelsonは、戦線に二体目の《信号の邪魔者》と《刻まれた勇者》を送り込むだけでターンを返すこととなった。
そして、ここで我々は《オリヴィア・ヴォルダーレン》が単なるリミテッド専用ボムではないことを学ぶことになる。
ここからはいわゆる「オリヴィア無双」状態。Chapinは二体の《信号の邪魔者》を《オリヴィア・ヴォルダーレン》の狙撃であっという間に葬り、これによって「金属術」を失ってしまったNelson軍の《刻まれた勇者》は《感電破》によって除去されてしまった。
《きらめく鷹》、《月皇ミケウス》といったNelsonの後続も《オリヴィア・ヴォルダーレン》の射撃能力の的もしくはクレーの役割しか果たせず、Pat Chapinは彼女をみるみるうちに10/10というサイズまで育て上げる。そして、"The Innovator"は吸血鬼のアタックと本体火力《感電破》であっという間にゲームを終わらせてしまった。
Chapin 1-0 Nelson
Brad Nelson
Patrick Chapin
ここでNelsonは《忘却の輪》で《業火のタイタン》を封じ込め、さらに盤面に《きらめく鷹》を追加したが、Chapinはここで盤上の脅威を対処して見せた。
《ヴェールのリリアナ》が《きらめく鷹》を生け贄に捧げることを命じ、《漸増爆弾》が、《業火のタイタン》を封印した《忘却の輪》への回答、カウントダウンとして提示された。
そして、Chapinはまもなく《死の支配の呪い》をプレイしてNelson軍を完全に沈黙させたのである。
かくて、《漸増爆弾》に3つ目のカウンターが乗せられたとき、Nelsonは投了した。
Chapin 2-0 Nelson
Game 1
両者マリガンなく初手をキープし、後手Nelsonのセット《金属海の沿岸》から《信号の邪魔者》召喚というアクションでゲームははじまった。 続くターンにもNelsonは《墨蛾の生息地》のマナから《起源の呪文爆弾》をプレイし、《きらめく鷹》召喚時にその呪文爆弾を手札にバウンスした。 Nelsonの最初のアタックによってライフが17点となったところで、ここまで静かに土地を並べるばかりだったChapinがこのゲームで最初のドロースペルをプレイし、はやくも決定的な一枚を引き当てることとなった。すなわち、《禁忌の錬金術》からの《オリヴィア・ヴォルダーレン》だ!Game 2
待望の先手を手に入れたNelsonは、開幕ターンに《起源の呪文爆弾》プレイ、2ターン目に《きらめく鷹の偶像》と《メムナイト》展開という立ち上がりを見せた。 対するChapinはメインフェイズに《古えの遺恨》で《起源の呪文爆弾》を破壊し、Nelsonは《きらめく鷹の偶像》の2枚目と《信号の邪魔者》を召喚してからアタック宣言。Chapinのライフを17点に削った。 続くターン、Nelsonが大ダメージを期待して全軍突撃を宣言したところで、Chapinは《感電破》で《信号の邪魔者》を、さらにフラッシュバックでの《古えの遺恨》で《きらめく鷹の偶像》のうち1枚を破壊し、ライフ14点+毒カウンター1個という水準をキープすることに成功した。 序盤の猛攻を耐えたChapinがここで送り出すのは、もちろん《オリヴィア・ヴォルダーレン》だ。 しかしながらNelsonもここで「金属術」からの《急送》によって伝説の吸血鬼を除去し、3点のダメージと毒カウンター1個の損害を与える。これでChapinは11点、毒カウンター2個。 確実にマナを伸ばしながらターンを返す動きを続けるChapinを前に、Nelsonは愚直なアタックを繰りかえすのみ。続くNelsonのアタックも3ダメージと毒1個という規模であったため、Chapinは損害に目をつぶってアクションをドロー加速にスイッチした。 まずは《禁忌の錬金術》、そして《捨て身の狂乱》と連続詠唱。 ちなみに、このランダムディスカードでこの試合2枚目となる《オリヴィア・ヴォルダーレン》が墓地に落ちてしまうという一幕もあった。 続くターンにChapinは《金屑の嵐》を詠唱し、敵陣の《メムナイト》と1対1交換を選択。ソーサリー全体除去の猛威を逃れた《きらめく鷹の偶像》と《墨蛾の生息地》でのアタックを試みるNelsonだが、Chapinは偶像を《感電破》で除去した。 このアタックによってChapinは4個目の毒カウンターを得ることになり、戦闘後にNelsonは《起源の呪文爆弾》をプレイした。 Nelsonがマイア・トークンに加えて《メムナイト》を展開したところで、Chapinは《業火のタイタン》を召喚し、地上戦力を一掃。 Nelsonは毒殺というゲームプランに賭けて《墨蛾の生息地》のアタックを続け、毒カウンター5つという折り返し地点を迎えた。RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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