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ワールド・マジック・カップ2017
準々決勝:ドイツ代表 vs. スロバキア代表
Frank Karsten / Tr. Keiichi Kawazoe
2017年12月3日
準々決勝の第1試合、まずはヨーロッパの2チームが対戦することになった。両チームとも、経験豊富なキャプテンが中央席に座り、(今回やっと生涯初のプロツアーの権利を得たばかりの)経験浅い仲間を助けてきた。
チーム紹介
ドイツにとって、今大会は初めてのワールド・マジック・カップのトップ8となる。昨年は9位と惜しいところで一歩及ばなかったが、今年はマルク・トビアシュ/Marc Tobiaschが決勝トーナメントへとドイツを導いたのだった。
実際、彼らはこの週末の間止められない快進撃を見せていた。初日はメンバーの誰も1マッチたりとも落とさずに駆け抜け、2日目もステージ1、ステージ2と無敗で抜けて、トップ8に1位の成績で進出したのだった。これはすなわち、トップ8で行われる全てのマッチの第1ゲームで彼らが先攻を取ることができることを意味しており、特に2人がアグロデッキを使っている彼らにとっては、非常に重要なアドバンテージとなった。
一方のスロバキアにとって、近年の国別対抗戦で良い成績を残すのは初めてではない。イヴァン・フロック/Ivan Flochは2010年の世界選手権で優勝した時のメンバーであり、また彼は2012年と2014年にもチームを率いてワールド・マジック・カップでトップ8に入賞しているのだ。フロックをまたトップ8の場で見ることは全く驚くことではなかったが(おそらくプロツアー王者である彼自身が最もよく知っていることだろう)、このイベントはチーム戦であり、そして実際にいくつものラウンドでチームメイトが彼を助けている。
B卓:マルク・トビアシュ (4色コントロール) vs. イヴァン・フロック(ティムール・エネルギー)
この中央席は、両チームのキャプテンが対峙する。フロックの「ティムール・エネルギー」は非常によく知られたものだったが、一方の「4色コントロール」はまさにマルク・トビアシュ・スペシャルといったものだった。一見それは他のエネルギー・デッキ同様に見えるが、トビアシュはより多くのインスタントを採用することで、マナ・カーブの頂点に置いた《奔流の機械巨人》によってよりコントロール寄りの動きができるデッキになっていた。実際、3週間前のグランプリ・ワルシャワにおいてもその実力の片鱗を見せ、そして今週末、ついに彼の創造力を実証したのだった。
第1ゲーム、初動でリソースを交換しあった後で、トビアシュは1ターン土地が詰まってしまった。このことはトップ8のプレイヤーには『Unstable』のフルアート土地が先行的に提供されていたためにより残念に思えたが、仮にそうでなくても、トップ・ヘビーな4色デッキを使う中で土地が詰まるということは致命的なことであった。
その後、フロックは《反逆の先導者、チャンドラ》を起動し続け、さらに《栄光をもたらすもの》の督励を駆使して彼のプレインズウォーカーに対する脅威を取り除いていった。トビアシュは《スカラベの神》で反撃を試みるも、フロックはそれを《慮外な押収》で奪い、もはやトビアシュに打てる手はなくなってしまった。
第2ゲーム、トビアシュはは《光袖会の収集者》の誘発によってアドバンテージを得続けていた。フロックは《栄光をもたらすもの》や《慮外な押収》に望みを託したが、それはどちらも《至高の意志》(2度目は《奔流の機械巨人》によって「フラッシュバック」された)によって否定されてしまった。最終的にトビアシュは十分な盤面に加えて手札7枚いっぱいの呪文を抱える状況となり、そこからの勝利は全く難しくなかった。
第3ゲーム、またも初動のリソース交換が終わった後、フロックは《導路の召使い》と《ならず者の精製屋》で攻勢に出た。一方トビアシュは非常に我慢強くプレイし、《本質の散乱》も打たず、また《光袖会の収集者》でのブロックも見送った。彼は超ロングゲームを見越して動いていたのだ。さらに彼は、相手の《多面相の侍臣》(実際フロックは手札に引いていた)にコピーされないようにケアして、《スカラベの神》も出さずに進めた。
しかし、このトビアシュの忍耐は裏目に出てしまった。盤面を膠着させたときにはすでにライフが1まで落ち込んでおり、最終的にフロックは《つむじ風の巨匠》を押し込み、溜まっていた10個のエネルギーから飛行機械を生み出して決着をつけた。この結果、1マッチ目はスロバキア代表が手に入れた。
A卓:フィリップ・クリーガー/Philipp Krieger(マルドゥ機体) vs. ペテル・スノハ/Peter Snoha (白青・王神の贈り物)
ドイツは《ボーマットの急使》と《熱烈の神ハゾレト》をラムナプ・レッドに譲ったため、それらを抜いたユニークな形のマルドゥ機体を使用していた。クリーガーにとって、ここでスノハを圧倒できればそれが奏功したといえるだろう。
第1ゲーム、《模範的な造り手》から《歩行バリスタ》、《経験豊富な操縦者》というマナ・カーブに沿った流れで、クリーガーが5ターン目の勝利を決めた。スノハのデッキは、このスピードに対して何もすることができなかった。彼は4ターン目に《王神の贈り物》を《復元》することを狙っていただろうが、それは叶わなかったのだ。
第2ゲーム、スノハは緊張していたのかもしれない。《氷河の城砦》、《イプヌの細流》と続けたあと、3ターン目に土地を置き忘れて4ターン目に(本来アンタップインできない)《氷河の城砦》をアンタップで出そうとしてしまった。その間に、クリーガーは《キランの真意号》、《模範操縦士、デパラ》と脅威を展開し、さらに《強迫》で重要な《復元》を落としていった。次のターンの攻撃で、彼はドイツ代表に1勝をもたらしたのだった。
C卓:モリッツ・テンプリン/Moritz Templin(ラムナプ・レッド) vs. オンドレイ・ケドロビッチ/Ondrej Kedrovic(マルドゥ機体)
第1ゲームをを簡単に要約すると、テンプリンが4ターン目に《熱烈の神ハゾレト》を走らせたゲームだった。これは今のスタンダードで数少ない最速の動きであり、ケドロビッチも一方で《キランの真意号》でのダメージレースを挑んだが、一歩及ばなかった。
第2ゲーム、ケドロビッチは《屑鉄場のたかり屋》といくらかのクリーチャーで攻勢に出た。一方テンプリンは多くの除去呪文を引き込んでおり、火力でケドロビッチのクリーチャーを処理し始めたが、《屑鉄場のたかり屋》は墓地から戻ってくるのだ。結局テンプリンは留まれる足場を手に入れることができず、そのまま投了に追い込まれた。
第3ゲーム、ついに全ての決着を懸けた戦いとなった。6人のプレイヤー全員が最後のテーブルを取り囲み、緊張感が高まっていた。
テンプリンは《損魂魔道士》から《稲妻の一撃》、そして《暴れ回るフェロキドン》と良い初動を見せた。そして4ターン目、手札は《熱烈の神ハゾレト》2枚とさらなる《暴れ回るフェロキドン》となった。依然、この破壊不能の神は攻撃に参加できないため、《暴れ回るフェロキドン》の方を追加した。
ケドロビッチにとってこの状況は最悪とも言えるもので、返しのターンに《ピア・ナラー》で4点のライフを失うことになった。そして、続くターンでテンプリンはハゾレトが攻撃てきるようになるための土地を引き当て、スロバキア代表のメンバーは投了のために手を差し出した。
ドイツ代表がスロバキア代表を下し、準決勝に進出!
6 《平地》 4 《山》 4 《感動的な眺望所》 4 《秘密の中庭》 3 《泥濘の峡谷》 4 《産業の塔》 -土地(25)- 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 2 《模範操縦士、デパラ》 4 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(18)- |
4 《無許可の分解》 2 《木端 // 微塵》 4 《キランの真意号》 2 《霊気圏の収集艇》 3 《試練に臨むギデオン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(17)- |
4 《強迫》 2 《マグマのしぶき》 2 《イクサランの束縛》 3 《燻蒸》 1 《木端 // 微塵》 1 《霊気圏の収集艇》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
1 《森》 2 《島》 1 《沼》 1 《山》 4 《植物の聖域》 4 《花盛りの湿地》 2 《異臭の池》 1 《水没した地下墓地》 2 《竜髑髏の山頂》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《光袖会の収集者》 4 《ならず者の精製屋》 3 《つむじ風の巨匠》 1 《豪華の王、ゴンティ》 2 《スカラベの神》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(17)- |
4 《霊気との調和》 4 《致命的な一押し》 3 《本質の散乱》 3 《蓄霊稲妻》 2 《至高の意志》 3 《ヴラスカの侮辱》 2 《天才の片鱗》 -呪文(21)- |
3 《貪る死肉あさり》 1 《豪華の王、ゴンティ》 2 《チャンドラの敗北》 4 《否認》 1 《蓄霊稲妻》 2 《人工物への興味》 1 《至高の意志》 1 《秘宝探究者、ヴラスカ》 -サイドボード(15)- |
15 《山》 4 《ラムナプの遺跡》 4 《陽焼けした砂漠》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(24)- 4 《ボーマットの急使》 4 《損魂魔道士》 4 《地揺すりのケンラ》 3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《暴れ回るフェロキドン》 1 《アン一門の壊し屋》 4 《熱烈の神ハゾレト》 1 《砂かけ獣》 -クリーチャー(25)- |
4 《ショック》 4 《稲妻の一撃》 3 《削剥》 -呪文(11)- |
4 《ピア・ナラー》 1 《アン一門の壊し屋》 3 《砂かけ獣》 4 《栄光をもたらすもの》 1 《削剥》 2 《屍肉あさりの地》 -サイドボード(15)- |
7 《島》 6 《平地》 3 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 2 《イプヌの細流》 1 《敵意ある砂漠》 -土地(23)- 4 《査問長官》 4 《聖なる猫》 4 《機知の勇者》 4 《発明の天使》 -クリーチャー(16)- |
4 《航路の作成》 4 《巧みな軍略》 2 《アズカンタの探索》 4 《復元》 1 《排斥》 2 《燻蒸》 4 《王神の贈り物》 -呪文(21)- |
3 《賞罰の天使》 2 《呪文貫き》 2 《ジェイスの敗北》 3 《飛行機械による拘束》 2 《不許可》 2 《残骸の漂着》 1 《排斥》 -サイドボード(15)- |
3 《森》 1 《島》 2 《山》 4 《植物の聖域》 2 《隠れた茂み》 3 《根縛りの岩山》 3 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《牙長獣の仔》 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 4 《つむじ風の巨匠》 3 《逆毛ハイドラ》 4 《栄光をもたらすもの》 -クリーチャー(23)- |
4 《霊気との調和》 1 《マグマのしぶき》 4 《蓄霊稲妻》 1 《削剥》 2 《慮外な押収》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(15)- |
2 《多面相の侍臣》 2 《チャンドラの敗北》 1 《マグマのしぶき》 4 《否認》 2 《削剥》 1 《至高の意志》 2 《川の叱責》 1 《自然に仕える者、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
4 《山》 3 《平地》 4 《感動的な眺望所》 3 《泥濘の峡谷》 2 《竜髑髏の山頂》 4 《秘密の中庭》 4 《産業の塔》 -土地(24)- 4 《ボーマットの急使》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 2 《ピア・ナラー》 4 《熱烈の神ハゾレト》 -クリーチャー(22)- |
3 《致命的な一押し》 1 《稲妻の一撃》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 2 《霊気圏の収集艇》 -呪文(14)- |
3 《暴れ回るフェロキドン》 1 《ピア・ナラー》 4 《強迫》 2 《ショック》 1 《致命的な一押し》 3 《俗物の放棄》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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