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ワールド・マジック・カップ2016
ステージ2第1回戦:スペイン代表 vs. ベルギー代表
Frank Karsten / Tr. Keiichi Kawazoe
2016年11月19日
ついにトップ16が確定し、4つの組み合わせに分けられた。プールAはベルギー・ウクライナ・ドミニカ共和国・スペインとなった。4プールの上位2チームずつが、日曜のトップ8に進出する。そのためには、3回戦で2勝することが必要になる。
このラウンドのフィーチャーマッチでは、ベルギー代表とスペイン代表が対戦する。ベルギーはこのトーナメントで最も注目されている。昨日を無敗で駆け抜けた経験豊富な3人組、ピーター・フィーレン/Peter Vieren、パスカル・フィーレン/Pascal Vieren、そしてブランコ・ナランク/Branco Nerynckだ。一方スペインは2日目に辛うじて進出したが、その後勝ち進んでステージ2まで生き残った。スペイン代表のキャプテンは、彼にとって2度目のワールド・マジック・カップとなるハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezが務めている。
デッキに関して言えば、両チームとも感染とナヤ・バーンを選択し、残りの1つはチームメンバー1人が極めて熟達しているデッキを選んでいる。ベルギーはグリセルシュートの名で知られる、ジェローム・バストーニュ/Jerome Bastogneが長年使い続けている《御霊の復讐》。そしてスペインは、ミゲール・アンヘル・ヌニェス・レジェス/Miguel Ángel Nunez Reyesが使い込んでいるドレッジだ。ドミンゲスに感染とナヤ・バーンを選択した理由を聞いたところ、感染は彼自身がMagic Onlineでよくプレイしていること、そしてナヤ・バーンはメタゲームを考えた時感染やドレッジ、そして一部のフェアデッキに有利だからということだった。
C席:ピーター・フィーレン (感染) vs. ミゲール・アンヘル・ヌニェス・レジェス (ドレッジ)
モダンにおいて、よく「マリガンが序盤、第1ターンが中盤、第3・4ターンが終盤だ」と言われている。その文脈で第1ゲームを考えてみると、序盤フィーレンが《ペンデルヘイヴン》、《吹きさらしの荒野》、《墨蛾の生息地》、《貴族の教主》、《荒廃の工作員》、《古きクローサの力》、そして《ひずみの一撃》という手札を、一方のヌニェス・レジェスは《山》、《傲慢な新生子》、《信仰無き物あさり》、《臭い草のインプ》、そして《ゴルガリの墓トロール》という手札をそれぞれキープした。
どちらにとっても良い手札だったが、フィーレンが先攻であった。そのため、中盤ではフィーレンが《貴族の教主》を、ヌニェス・レジェスが《信仰無き物あさり》を唱え、そして終盤の第3ターンには毒殺が決まっていた。素晴らしく早いゲームだった。
第2ゲーム、ヌニェス・レジェスは手札4枚までのマリガンを強いられた。さらに悪いことに、彼が唱えた《安堵の再会》が打ち消され3対1交換を取られてしまったのだ。フィーレンは第1ターンに《ぎらつかせのエルフ》を出すのではなく、賢明にも《呪文貫き》のためのマナを残しておいたことで、ヌニェス・レジェスは一層劣勢に立たされることになった。確かに彼は《臭い草のインプ》を捨てており、次に5枚を発掘した時に《ナルコメーバ》と《秘蔵の縫合体》を引き当てていたが、しかしながらそれでは足りていなかった。
ピーター・フィーレンはもはや全くプレッシャーを感じていない。第5ターンには、兄パスカル・フィーレンと「相手が《殺戮の契約》や《はらわた撃ち》を持っている可能性があるか」について話し合いつつも、十分に強化された《荒廃の工作員》で致命的なダメージを叩き込んだのだった。
ピーター・フィーレンがミゲール・アンヘル・ヌニェス・レジェスを2-0で破った。
A席:ジェローム・バストーニュ (御霊の復讐) vs. ペドロ・グラーティ (ナヤ・バーン)
第1ゲーム、グラーティはダイスロールには負けたものの《僧院の速槍》でスタートを切った。一方バストーニュは《信仰無き物あさり》で《グリセルブランド》を捨てて、グラーティに恐怖を与えた。
リカルド・ディアス・ロホ/Ricardo Diaz Rojoのコーチを受けるスペインのプレイヤーは、第2ターンでいくつかの選択肢を持っていた。すなわち、《大歓楽の幻霊》で盤面を整えるか、2枚の《稲妻》でダメージを最大化するか、それとも《アタルカの命令》や《ボロスの魔除け》のためにマナを残しておくか、だ。
結局彼は最後の選択肢をとった。というのも、《アタルカの命令》は《グリセルブランド》や《滋養の群れ》のライフ獲得を防げるからだ。もしバストーニュが《御霊の復讐》を持っていた場合、これは極めて重要だ。しかし、バストーニュは違う戦略を持っていた。グラーティがマナベースを整えるためにすでにライフを14まで減らしていたため、バストーニュは《猿人の指導霊》から《裂け目の突破》、《世界棘のワーム》と繋げ、15/15速攻のワームでゲームを決着させようとしていた。
しかしながらマッチはカメラのもとのゲーム結果で決まってしまった。B席の方を見てみよう。
B席:ブランコ・ナランク (ナヤ・バーン) vs. ハビエル・ドミンゲス (感染)
両プレイヤーがデッキケースからデッキを取り出す時、ドミンゲスは手元が狂ってサイドボードの《呪文貫き》を公開してしまった。その情報をチームメイトと共有することがルールに抵触しないことをジャッジに確認を取った上で、ナランコはチームメイトに「《呪文貫き》が見えたから、多分相手は感染だな」と言った。そう、それは正しかった。
第1ゲーム、ドミンゲスは5枚までマリガンし、なお良い手札に巡り会えなかった。一方のナランクは、《ゴブリンの先達》を第1ターン、第2ターンと立て続けにプレイした。片方を《四肢切断》で失ったが、その結果として第2ターンの終わりにはドミンゲスのライフは12まで削られていた。バーンデッキを相手に考えた時、これはもう危機的な状況だった。まだ《稲妻》と《焼尽の猛火》も手札に残っており、ナランクはこのゲームをいとも簡単に取った。
第2ゲーム、ドミンゲスはマリガンして土地が1枚しかない6枚をキープしたが、とりあえず最初のターンに《ぎらつかせのエルフ》をプレイすることはできた。一方ナランクは《渋面の溶岩使い》という、感染デッキの小粒なクリーチャーを幾度となく処理できるカードを第1ターンに唱えて圧力をかけた。ドミンゲスはしかめ面になり、チームメイトに窮状を伝えた。「なんてこった、溶岩使いだよ。」
コントロール・プレイヤーとしての立ち回りをすることになったナランクは、メインフェイズで《渋面の溶岩使い》の能力を《ぎらつかせのエルフ》に対して使い、《顕在的防御》を唱える余裕を与えなかった。ドミンゲスはすぐに劣勢に立たされた。
彼はサイドボードからサプライズとして《タルモゴイフ》を投入しており、たしかにこれは溶岩使いの火力を耐え抜くサイズがあったが、しかしナランクは《流刑への道》という回答を用意していた。次なる《渋面の溶岩使い》への防衛線は《ペンデルヘイヴン》だ。これは、打たれ弱いクリーチャーを救うことができるもので、たしかに勝利を手中にしうるものであった。
数ターン後、毒を6つまで受けたナランクは2枚の《大歓楽の幻霊》と《渋面の溶岩使い》をコントロールしており、墓地にはカードが1枚と手札にフェッチランドが1枚という状態だった。一方ドミンゲスのライフは残り5点、今ちょうど《墨蛾の生息地》と《ぎらつかせのエルフ》で攻撃したところで、《ペンデルヘイヴン》はまだアンタップ状態だった。ベルギーチームがチャンスを最大化するための相談をオランダ語でしている間に――「これで3まで行くはずだ、それがベストさ!」――ドミンゲスはカメラに向かってスペイン国旗を振り、生放送を見ている観客を楽しませようとしていた。そして、ベルギーチームは両方の幻霊で攻撃し、ドミンゲスがブロックに回ると、《渋面の溶岩使い》を《ぎらつかせのエルフ》へと起動した。
この結果、ドミンゲスは2枚の《大歓楽の幻霊》を前にしてライフが残り3という状況になり、残されたクリーチャーは《墨蛾の生息地》だけとなった。彼は、ただひとつの《強大化》という例外を除いて強化呪文を唱えられなくなった。最後のターン、彼は興奮しながらカードを引いたが、願ったカードを引き当てることはできなかった。ナランクは、ドミンゲスがきまり悪そうに唱えた《変異原性の成長》に対して《大歓楽の幻霊》の誘発を宣言するのを忘れなかった。
ブランコ・ナランクがハビエル・ドミンゲスを2-0で破り、ベルギー代表チームがスペイン代表チームを2-0で下した。
ベルギーはゲームカウントでも5-0という圧倒的な勝利をおさめた。ベルギーはトップ8まであと1勝となった一方、スペインにはもはや負けが許されなくなった。
5 《沼》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《悪意の神殿》 2 《黒割れの崖》 2 《血の墓所》 2 《山》 -土地(19)- 4 《猿人の指導霊》 4 《グリセルブランド》 2 《怒れる腹音鳴らし》 4 《世界棘のワーム》 -クリーチャー(14)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《御霊の復讐》 4 《夜の囁き》 3 《捨て身の儀式》 2 《魔力変》 1 《苦しめる声》 4 《滋養の群れ》 1 《神々の憤怒》 4 《裂け目の突破》 -呪文(27)- |
2 《否定の契約》 1 《仕組まれた爆薬》 3 《突然のショック》 1 《紅蓮地獄》 2 《神々の憤怒》 4 《虚空の力線》 2 《粉砕の嵐》 -サイドボード(15)- |
4 《沸騰する小湖》 4 《樹木茂る山麓》 3 《乾燥台地》 3 《聖なる鋳造所》 2 《銅線の地溝》 2 《山》 2 《踏み鳴らされる地》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《僧院の速槍》 4 《野生のナカティル》 1 《渋面の溶岩使い》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(17)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 4 《アタルカの命令》 4 《ボロスの魔除け》 4 《焼尽の猛火》 3 《裂け目の稲妻》 -呪文(23)- |
3 《流刑への道》 1 《渋面の溶岩使い》 4 《破壊的な享楽》 3 《頭蓋割り》 2 《安らかなる眠り》 1 《跳ね返す掌》 1 《稲妻のらせん》 -サイドボード(15)- |
4 《墨蛾の生息地》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 2 《繁殖池》 2 《森》 2 《ペンデルヘイヴン》 1 《植物の聖域》 1 《吹きさらしの荒野》 -土地(20)- 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《貴族の教主》 4 《荒廃の工作員》 1 《ヴィリジアンの堕落者》 -クリーチャー(13)- |
4 《顕在的防御》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《古きクローサの力》 4 《変異原性の成長》 4 《巨森の蔦》 2 《ひずみの一撃》 1 《よじれた映像》 1 《四肢切断》 3 《強大化》 -呪文(27)- |
2 《払拭》 2 《自然の要求》 2 《呪文貫き》 1 《墓掘りの檻》 1 《よじれた映像》 1 《呪文滑り》 1 《霊気のほころび》 3 《台所の嫌がらせ屋》 2 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
4 《乾燥台地》 3 《血染めのぬかるみ》 3 《沸騰する小湖》 3 《踏み鳴らされる地》 3 《樹木茂る山麓》 2 《山》 2 《聖なる鋳造所》 -土地(20)- 4 《ゴブリンの先達》 4 《僧院の速槍》 4 《野生のナカティル》 2 《渋面の溶岩使い》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(18)- |
4 《溶岩の撃ち込み》 4 《稲妻》 4 《アタルカの命令》 4 《ボロスの魔除け》 4 《焼尽の猛火》 2 《裂け目の稲妻》 -呪文(22)- |
3 《流刑への道》 2 《墓掘りの檻》 1 《渋面の溶岩使い》 2 《跳ね返す掌》 2 《破壊的な享楽》 1 《稲妻のらせん》 1 《安らかなる眠り》 1 《頭蓋割り》 1 《石のような静寂》 1 《ファイレクシアの非生》 -サイドボード(15)- |
4 《墨蛾の生息地》 3 《霧深い雨林》 3 《新緑の地下墓地》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《繁殖池》 2 《森》 2 《ペンデルヘイヴン》 1 《ドライアドの東屋》 -土地(20)- 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《貴族の教主》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(12)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《古きクローサの力》 4 《変異原性の成長》 3 《顕在的防御》 3 《巨森の蔦》 2 《ひずみの一撃》 2 《よじれた映像》 1 《怨恨》 1 《四肢切断》 4 《強大化》 -呪文(28)- |
3 《自然のままに》 3 《呪文貫き》 4 《タルモゴイフ》 2 《四肢切断》 1 《台所の嫌がらせ屋》 2 《貪欲な罠》 -サイドボード(15)- |
4 《銅線の地溝》 4 《宝石鉱山》 4 《マナの合流点》 2 《黒割れの崖》 2 《ダクムーアの回収場》 2 《カープルーザンの森》 1 《真鍮の都》 1 《山》 -土地(20)- 4 《傲慢な新生子》 4 《恐血鬼》 4 《ナルコメーバ》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《臭い草のインプ》 2 《猿人の指導霊》 4 《ゴルガリの墓トロール》 1 《災いの悪魔》 -クリーチャー(27)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《安堵の再会》 3 《壌土からの生命》 2 《燃焼》 -呪文(13)- |
2 《暗黒破》 2 《自然の要求》 1 《稲妻の斧》 3 《集団的蛮行》 1 《突然の衰微》 1 《古えの遺恨》 1 《ゴルガリの魔除け》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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