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ワールド・マジック・カップ2014
ワールド・マジック・カップ2014、トップ5カード
Event Coverage Staff / Tr. Tetsuya Yabuki
2014年12月7日
ワールド・マジック・カップ2014、そのトップ5カードをご覧いただきましょう。
第5位 《軍族の解体者》
世界中から集まった各国の代表チームは、チーム共同デッキ構築・スタンダードというフォーマットの例に漏れず、様々なデッキを持ち込みました。それでも、すべての国のすべてのプレイヤーを見回すと、最も使用されたデッキは「マルドゥ・ミッドレンジ」であるという結果が出ています。そして、そのデッキには普通、悪名高いふたつの柱があります。ひとつは《はじける破滅》、そしてもうひとつが《軍族の解体者》です。《軍族の解体者》はマルドゥの理想の体現であり――残酷なまでに優秀で、危険極まりなく、実直なやつです。ギリシャ代表がこの5/4のデーモンで文字通り準決勝の卓を飛び越え、アメリカ代表の決勝進出への夢を砕いたことからも、トップ5カードに選ばれるのに相応しいと言えるでしょう。
第4位 《ゴブリンの熟練扇動者》
この週末を通して《軍族の解体者》はたくさんのゴブリンを食べましたが、そのゴブリンたちは《軍族童の突発》と、そしてこの《ゴブリンの熟練扇動者》があらゆるところで「扇動」した結果出てきたものだと言って差し支えないでしょう。アグレッシブな赤いデッキを筆頭に、「ジェスカイ・トークン」や「マルドゥ・ミッドレンジ」など、《ゴブリンの熟練扇動者》の安定した脅威は、大量のトークンのごとくトーナメントを覆い尽くしました。実際に、世界選手権で渡辺 雄也が解き放った「ジェスカイ・トークン」は、《ゴブリンの熟練扇動者》4枚を引き立てる興味深いデッキであり、メタゲームに一石を投じるものとなっているのです。
第3位 《苦悶の神、ファリカ》
《エレボスの鞭》を使用したデッキは、この週末のいたるところで姿を見せました。「ちょっと、そこのライターの中の人、じゃあなんで《エレボスの鞭》が第3位じゃないのさ?」と、皆さん疑問に思われるかもしれません。その答えは、《苦悶の神、ファリカ》は「同型破り」の《エレボスの鞭》に対して、「同型破り破り」として働くからです。《苦悶の神、ファリカ》は、多くのミラー・マッチで《エレボスの鞭》によるアドバンテージを一方的なものにし、また《破滅喚起の巨人》や《開花の幻霊》とのコンボでそのデッキを頂点へと押し上げたのです。
第2位 《ジェスカイの隆盛》
この週末、《ジェスカイの隆盛》の信念を継いだ流派はふたつありました。ひとつは渡辺流――コンボを使わず、大量のトークンと《宝船の巡航》を用いるもの。そしてもうひとつは、トップ8入賞までの道をそのコンボで切り開いた、セルビア代表のミーロス・スタイッチ/Milos Stajicのようなプレイヤーが好んだコンボの形です。どちらの流派も目覚ましい活躍を見せ、他のチームは積極的に《消去》や《再利用の賢者》を多く採用しました――このエンチャントは、そうしなかったことを後悔させるほどのものなのです。
第1位 《砂塵破》
決勝戦の最終ゲームをご覧になった方は、この結果をご存知だったでしょう。このカードがサイモン・ニールセン/Simon Nielsenにとって、デンマーク代表にとって、そしてオランダのプレイヤーにとって深い意味があることをご存知のはずです。このカードは今回のワールド・マジック・カップを象徴する1枚です。ある場面を思い返してください(あるいはもう一度観に行くのも良いでしょう)――ギリシャのパナヨーティス・サヴィディス/Panagiotis Savvidisは、土地が3枚と《森の女人像》という状態でマナ基盤が不足していながらも、《悪夢の織り手、アショク》の最終奥義を放ちました。ニールセンはトップ8入賞チームの中で、メインとサイド合わせて75枚の中に《砂塵破》を1枚採用していた3人のプレイヤーのひとりでしたが、対戦相手のライフを残り11点のところまで押していたものの、そこで何も残らなくなってしまいます。手札にも、墓地にも、土地以外に使えるものはありません。ゲームはこれで終わりだと思われました。完全に終わったと。
ところが、このゲームはこれで終わりではなかったのです。
その後彼が最初に引いたのは《包囲サイ》で、サヴィディスのライフを8点まで落としました。しかしそれは手札が豊富なサヴィディスにはすぐ対処できるものであり、少なくとも自身の戦場にある《包囲サイ》と少しのブロッカーで数ターンはどうにでもできるものでした。見事なドローであるのは間違いありません。それでもサヴィディスはそれに対応できました。
しかし、ニールセンの次のドローは、世界を変える《砂塵破》でした。
《砂塵破》がサヴィディスのクリーチャーをすべて除去し、その中には肝心要の《森の女人像》2枚も含まれていました。マナに苦しみ、ライフも減ったサヴィーディスは、急に選択肢が狭まります。そして次のターン、《風番いのロック》が番いの1羽を連れてくると、サヴィディスはどこで道を間違えたのかと思わずにはいられませんでした。
この決勝の後ソーシャル・メディアで話題になったように、「デューンブラスト/Duneblast(砂塵破)」ならぬ「デーンブラスト/Daneblast(デンマーク破)」が、デンマーク代表にタイトルをもたらしたのでした。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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