- HOME
- >
- EVENT COVERAGE
- >
- ワールド・マジック・カップ2014
- >
- 第6回戦:イスラエル代表 vs. 南アフリカ代表
EVENT COVERAGE
ワールド・マジック・カップ2014
第6回戦:イスラエル代表 vs. 南アフリカ代表
Adam Styborski / Tr. Yusuke Yoshikawa
2014年12月5日
南アフリカにとって、歴史の舞台へ駆け上がるチャンスはきわめて魅力的だ。アフリカ大陸出身のチームは、世界選手権の国別対抗戦部門で優勝したことは今日までない。ワールド・マジック・カップのタイトルを勝ち取ることは、彼らにとって歴史的なことであり、マジックの選手権の歴史においても同様の意味がある。その過程で世界王者とそのチームメイトを倒すことは、2日目に進んだ際に彼らの自信と順位をさらに高めることになるだろう。
そこに対するは、ワールド・マジック・カップの中でも随一のチームだ。
彼らは既に世界王者を手にしている。今、彼らはその記録にチーム世界王者のタイトルを刻もうと望んでいる。才覚ある2013年度世界王者シャハール・シェンハー/Shahar Shenharに率いられたイスラエル代表チームは、良い雰囲気に包まれていた。前年から引き続きメンバーとなったのはシェンハーだけではあるが、彼はこのイベントにやってくるチームメイトについて絶大な自信を寄せていた。シェンハーは、新たな友人たちが日曜日の決勝でプレイするべく準備をしてきたことを強調していた。
1年を通じて世界を旅している合間を縫って、シェンハーはチームメンバーの大半に会う時間を作った。「イスラエルで一緒にプレリリースに出て、1日中話し合いました」 では今、チームがキャプテンの期待に応えられている感触はあるのだろうか? 「すごくいい感じです。成績もすごくいい」 実際、今日は1敗を喫したのみだ。 「負けたラウンドは、ほとんどどうしようもなかったと思います。引きが酷すぎました、腹立つほど。何とかできていればチームを助けられたのに、とは思いません」
昨年のワールド・マジック・カップも含め、世界で戦った技量を携えていることで、シェンハーはさらにチームメイトの頼みの綱になっているようだ。「ええ、そうですね。なんて言うか、『3人待ち』です。というのも、(あるゲーム内で)僕に質問をしたとします。これに答えるには、そのマッチに注意を払っておかなければなりません。ゲームの最中に盤面を見直す必要がなくなりますからね。答えが見つからない場合、自分で決めるように伝えます。彼らがパイロットなのですから。でも、僕はすべてのゲームの質問に答えられるよう、すべてのゲームに注意を払うようにしてきました。あちこち見なければいけないので、世界選手権とは違って疲れます。辛いというのではなく、違うというだけです。違う環境なのですから。」
それぞれのデッキ
両チームとも、よく洗練されたアーキタイプを使用している。イスラエル代表は以下のとおり。
- スタフ・ブレナー/Stav Brenerは「青黒コントロール」。世界選手権でイヴァン・フロック/Ivan Flochとスタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifkaが組み上げてきたものと同種だ。つまり、解答、打ち消しを重ね、そして最終的に《真珠湖の古きもの》で勝利する。
- シャハール・シェンハーは「アブザン・ウィップ」。アブザン・ミッドレンジの《女王スズメバチ》と《包囲サイ》に《エレボスの鞭》を組み込んだものだ。
- イラン・バサン/Ilan Bassanは「赤白トークン」。世界選手権で9位に入ったサム・ブラック/Sam Blackが「プリマス・ロック/Plymouth Roc」と的確に描写したこのデッキは、《風番いのロック》を含めさまざまなトークンを手段として用いつつ、《ヘリオッドの巡礼者》で強力なオーラにアクセスするものだ。
南アフリカ代表の内訳は、全体のメタゲームの内訳とよく似たものになっている。
- レオン・シュレッチャー/Leon Schlechterは「アブザン・ウィップ」。
- ケラーン・チェティ/Keraan Chettyは「マルドゥ・ミッドレンジ」。《軍族の解体者》に、トークン、火力、その他脅威を加えている。
- シナン・エフェンディ/Sinan Effendiは「ティムール・ミッドレンジ」。《凶暴な拳刃》、《世界を喰らう者、ポルクラノス》、その他モンスターを、《エルフの神秘家》や《爪鳴らしの神秘家》といったマナ・クリーチャーから戦場に出すものだ。
ゲーム展開
シェンハーとチェティの第1ゲームは「まばたき無用」のものになった。チェティの《ゴブリンの熟練扇動者》が、世界王者が強力なアブザンのカードを使う前に蹂躙したのだ。ジャッジは、デッキチェックのために小休止を入れた。
不吉な音楽が再生リストに加わった。
バサン対エフェンディの第1ゲームが次に終わった。バサンの攻撃的デッキが、土地3枚で止まりながら驚異的な抵抗を見せたエフェンディをついに打ち破ったのだ。プレイヤーから少し離れられるようになり、シェンハーは隣り合うマッチ両方にアドバイスを送る時間を得た。
ブレナー対シュレッチャーのゲーム、そしてマッチは、最も遅いものになった。ブレナーは青黒コントロールを使い、シュレッチャーの手中にあるアブザン・ウィップの力と戦っていた。しかし《苦悶の神、ファリカ》が起動されはじめ、蛇・エンチャント・クリーチャー・トークンが生成されると、コントロール使いのライフは削り取られていく。
とうとう、ブレナーはシュレッチャーの繰り出す脅威への解答を使い果たし、蛇が残った。南アフリカは第2ゲームへと進んでいくことになった。
ブレナー対シュレッチャーの第2ゲームがまず始まった。序盤のターンは挨拶代わりの《思考囲い》、クリーチャーと除去の交換で過ぎていった。シュレッチャーはマナ・クリーチャーを持ってはいたが、脅威となるものが戦場に残ることはなかった。小さなクリーチャーは攻撃し続け、ターン終了時の《真珠湖の古きもの》には、タイムリーな《アブザンの魔除け》が捕らえた。ブレナーは、折よく2枚目を手札に抱えていたため、これを許可した。
バサン対エフェンディの第2ゲームが次に始まった。バサンはエフェンディがプレイし続ける強力な怪物を退けていく。《灰雲のフェニックス》と《風番いのロック》が空を駆け、結局エフェンディが怪物以上に土地を多く引いてしまっていたことで、バサンがイスラエルに最初のマッチ勝利をもたらした。
シェンハーとチェティは、サイドボードの問題でチェティが「ゲームの敗北」を課せられた後、第3ゲームを始めていた。イスラエルが1マッチを取っていることで、シェンハーはあと1勝でこのラウンドのチームの勝利をもぎ取ることができる。彼はチェティが繰り出す《ゴブリンの熟練扇動者》と仲間たちを除去し、マナのある限りブロッカーをプレイすることで、相手の妨害に力を尽くした。
一方、シュレッチャーとブレナーはいまだ第2ゲームを戦い続けていた。ブレナーは《真珠湖の古きもの》の助けを得てシュレッチャーの脅威の流れへの解答を続け、《危険な櫃》が戦場を一掃してシュレッチャーの苦労を台無しにした。
しかし、チェティ対シェンハーの試合は世界王者優勢に傾いていた。《包囲サイ》1体と《クルフィックスの狩猟者》によるライフ獲得が、チェティのデッキの爆発力を減衰させていた。手札から《女王スズメバチ》が唱えられ、ライブラリーの一番上では「おかわり」が公開され、チェティは心配そうな顔をのぞかせた。《神々の憤怒》が最初の《女王スズメバチ》に対応し、《ゴブリンの熟練扇動者》2体が仕切り直しの先陣を切った。
しかし、南アフリカ代表に迫る真の危険はこれではなかった。シェンハーは同一ターンに2枚の《包囲サイ》を唱え、チェティのライフをほとんど壊滅させた。そして、飛行クリーチャーが勝利を決めるには十分だった。
イスラエル代表 2-0 南アフリカ代表
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
RANKING ランキング
NEWEST 最新の記事
-
2024.11.12観戦記事
The Week That Was: 熱烈な勇者の帰還|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.27観戦記事
第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 決勝戦|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26トピック
第30回マジック世界選手権 トップ8プロフィールとデッキリスト|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26観戦記事
Magic World Championship 30 Day Two Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25観戦記事
Magic World Championship 30 Day One Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25戦略記事
The Spiciest Decklists of Magic World Championship 30|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権