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『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ メタゲームブレイクダウン(スタンダード)
2021年6月2日
マジック・プロリーグ(MPL)およびマジック・ライバルズ・リーグ所属選手の他、MTGアリーナやMagic Onlineで開催された予選を勝ち抜いた精鋭たちが一堂に会する『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップが、6月4日(金) 9時(日本時間4日25時)より開幕する。
総勢250名の強豪プレイヤーたちがスタンダードとヒストリックの2フォーマットで争うこととなる本イベント。今回の記事ではスタンダードに焦点を当て、デッキリストのサンプルとともに人気のアーキタイプを紹介しよう。ここ数か月スタンダードから離れていた方であっても、この記事を読めば最新の環境が理解できるはずだ。(ヒストリックのメタゲームブレイクダウンについては別に記事を掲載する。)
メタゲームブレイクダウン(スタンダード)
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
スゥルタイ根本原理 | 53 | 21.2% |
イゼット・ドラゴン | 41 | 16.4% |
ナヤ・アドベンチャー | 23 | 9.2% |
ディミーア・ローグ | 17 | 6.8% |
グルール・アドベンチャー | 17 | 6.8% |
サイクリング | 17 | 6.8% |
赤単アグロ | 16 | 6.4% |
白単アグロ | 16 | 6.4% |
ジェスカイ変容 | 15 | 6.0% |
ティムール・アドベンチャー | 9 | 3.6% |
マルドゥ・サクリファイス | 4 | 1.6% |
ボロス・ウィノータ | 3 | 1.2% |
スゥルタイ・コントロール | 3 | 1.2% |
ディミーア・コントロール | 3 | 1.2% |
緑単アグロ | 3 | 1.2% |
ラクドス・サクリファイス | 2 | 0.8% |
4色ブリンク | 2 | 0.8% |
スゥルタイ巨獣の巣 | 2 | 0.8% |
アゾリウス・ブリンク | 2 | 0.8% |
ラクドス・ミッドレンジ | 1 | 0.4% |
ナヤ・フューリー | 1 | 0.4% |
ご覧の通り、今回のメタゲームは直近で行われたオンライン・イベントの結果から予測されるものから大きく逸れてはいない。「スゥルタイ根本原理」が相変わらず使用率トップに君臨し、「イゼット・ドラゴン」や「ナヤ・アドベンチャー」が2位、3位の枠でその後を追随しているという形だ。後者2つのアーキタイプに関しては、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のリリースにより《表現の反復》や《精鋭呪文縛り》といった新たな武器を手に入れており、いずれも上々の活躍を見せている。
私が最も驚かされたのは「ジェスカイ変容」の使用率が6%だということだ。この奇抜なアーキタイプは、《プリズマリの命令》を含む5種のカードを用いて無限マナ、無限ダメージを発生させる複雑なコンボを軸にしており、決まればこの上なく痛快だ。詳細については後述するが、このアーキタイプに最適な構築を見出したプレイヤーはスタンダード・ラウントで良い結果を残すのではないかと予想している。
とはいえ、現スタンダード環境は非常に良いバランスとなっており、その均衡を「破る」ことはそう簡単ではない。大半のマッチアップは五分五分と言って差し支えなく、比較的良い位置につけているアーキタイプであっても他と数%の差がある程度であろう。よって、スタンダード・ラウンドにおいて鍵を握るのはプレイスキル、サイドボーディングの熟練度、そして各マッチアップの経験値となりそうだ。
《砕骨の巨人》と《神秘の論争》はそれぞれ456枚、420枚と、基本土地を除けば、サイドボードも含めスタンダードにおいて最も高い採用率を誇る2枚となった。これは2か月前に開催された『カルドハイム』チャンピオンシップと同様の結果であり、今環境も相変わらずこの2枚のカードによって定義づけられていると言える。
しかしながら、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』が環境に与えた影響も決して無視できるものではない。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』収録カードの中で最も高い使用率となったのは《表現の反復》と《精鋭呪文縛り》であり、それぞれ173枚、159枚と、いずれも高い採用数となった。《才能の試験》、《ガラゼス・プリズマリ》、《プリズマリの命令》も大きく後れをとってはいない。これらのカードがなければ、「イゼット・ドラゴン」、「ナヤ・アドベンチャー」、そして「ジェスカイ変容」は、ここまでの人気アーキタイプとはならなかったはずだ。
上位12デッキの詳細
本記事ではこれより、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップのメタゲームにおいて、使用率上位12個のデッキを1つずつ紹介する。デッキリストについては6月4日(金)の第1回戦開始とともに掲載となるため、実際に使われるリストを例に取ることはできない。その代わりに、直近のイベントで使われたデッキを元にサンプルデッキを作成したので、これらを用いて解説しよう。
今回生成したデッキリストのサンプルは、各アーキタイプがどのようなカードで構成されているのかの参考にはなるはずだが、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ用に提出されたものと完全には一致しないであろうことはご留意いただきたい。
スゥルタイ根本原理(使用率:21.6%)
2 《沼》 3 《森》 3 《島》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 1 《ケトリアのトライオーム》 4 《闇孔の小道》 3 《疾病の神殿》 4 《清水の小道》 4 《樹皮路の小道》 4 《寓話の小道》 -土地(32)- 1 《嘘の神、ヴァルキー》 2 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 1 《クアンドリクスの栽培者》 2 《長老ガーガロス》 1 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 -クリーチャー(7)- |
4 《無情な行動》 4 《海の神のお告げ》 4 《狼柳の安息所》 2 《ジュワー島の撹乱》 1 《取り除き》 4 《耕作》 2 《神秘の論争》 1 《エルズペスの悪夢》 1 《ペラッカの捕食》 4 《古き神々への拘束》 2 《絶滅の契機》 2 《影の評決》 4 《出現の根本原理》 2 《アールンドの天啓》 2 《海門修復》 1 《キオーラ、海神を打ち倒す》 1 《オニキス教授》 -呪文(41)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 1 《悪意に満ちた者、ケアヴェク》 1 《長老ガーガロス》 2 《星界の大蛇、コーマ》 3 《強迫》 2 《取り除き》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《才能の試験》 1 《エルズペスの悪夢》 1 《神秘の論争》 1 《影の評決》 -サイドボード(14)- |
『カルドハイム』チャンピオンシップでも最も人気を誇っていた「スゥルタイ根本原理」が、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップでもトップに君臨した。
このデッキのゲームプランは、相手のクリーチャーを破壊しつつ、ランプをして7マナまで土地を伸ばし、《出現の根本原理》を唱える、というものだ。この《出現の根本原理》によって選ぶことができる3枚のカードには強力な組み合わせが多く存在する。例えば、《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》、《アールンドの天啓》、《キオーラ、海神を打ち倒す》の3枚であれば、対戦相手がどのカードを選択したとしても非常に強力な盤面を構築できるのだ。
このデッキに関しては、ここ数か月で大きな変化が加わることはなかった。しかしながら、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』によって新たな選択肢がいくつか与えられた。《クアンドリクスの栽培者》や《オニキス教授》はあまねく採用されるカードではないものの、「スゥルタイ根本原理」のゲームプランには合うものであるし、《才能の試験》はサイドボードへの採用がよく見られる。《否認》と比較するとやや対象の狭いカードではあるものの、特定のインスタントやソーサリー呪文が戦略の鍵を握るするアーキタイプに対してはより信頼度が高い。
イゼット・ドラゴン(使用率16.4%)
6 《冠雪の島》 4 《冠雪の山》 4 《移り変わるフィヨルド》 4 《河川滑りの小道》 3 《不詳の安息地》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《砕骨の巨人》 4 《厚かましい借り手》 3 《ガラゼス・プリズマリ》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(15)- |
4 《霜噛み》 3 《表現の反復》 3 《精神迷わせの秘本》 3 《神秘の論争》 3 《襲来の予測》 3 《アールンドの天啓》 1 《マグマ・オパス》 -呪文(20)- |
1 《灰のフェニックス》 2 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《燃えがら地獄》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《焦熱の竜火》 1 《否認》 2 《アクロス戦争》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
「イゼット・ドラゴン」は、しばしば「プリズマリ・ミッドレンジ」や「イゼット・テンポ」という呼称で紹介されることもあるアーキタイプだが、今回は私が個人的に好む呼称を用いることにした。正直に言って、ドラゴンの「部族デッキ」と呼べるようなカードは含まれてはいない。だが、(《不詳の安息地》も含めれば)10体のドラゴンがいるし、何より「イゼット・ドラゴン」という呼称の響きの方が胸が高まる。とは言ったものの、このデッキはあらゆる要素を少しずつ取り入れていることが最大の特徴だ。「冠雪」絡みのカードが7枚、「出来事」絡みのカードが8枚、「予顕」カードが6枚と、他にもシナジーの濃い要素が含まれていることも考慮すれば、「イゼット・冠雪・アドベンチャー・予顕・ドラゴン・テンポ・ミッドレンジ」と呼ぶこともできるのだ。
いずれにせよ、このアーキタイプは『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のリリースにより、《表現の反復》、《ガラゼス・プリズマリ》、そして《マグマ・オパス》がもたらされたことによって新たに登場したものだ。《表現の反復》を唱えると、ライブラリーの上3枚から最適な呪文1枚を入手しつつ土地を追放してプレイする、ということがしばしば起こるが、これは2マナのカードから得られるバリューとしては非常に高いものだ。多数のインスタントやソーサリーが採用されているこのデッキにおいて、《精神迷わせの秘本》をタップしてマナを生み出すことも可能な《ガラゼス・プリズマリ》は強力なクリーチャーカードだ。そしてマナを伸ばして唱えたい呪文として《マグマ・オパス》も強力な1枚と言えるだろう。
これらプリズマリの新カードが加わったことにより、現環境において堅実に立ち回ることのできるアーキタイプとなった。テンプレート的な構築は存在せず、上記で挙げた『ストリクスヘイヴン:魔法学院』産の3種のカードも必須というわけではない。(《神秘の論争》が多い環境だと、《マグマ・オパス》は抜かれることが多い。)しかし、基本的には飛行クリーチャーで削り切るプランが取られるため、《黄金架のドラゴン》と《厚かましい借り手》はほぼ必ず採用されている。
ナヤ・アドベンチャー(使用率9.2%)
5 《森》 2 《平地》 1 《山》 4 《枝重なる小道》 4 《岩山被りの小道》 4 《針縁の小道》 3 《寓話の小道》 -土地(23)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《巨人落とし》 4 《ヤスペラの歩哨》 4 《クラリオンのスピリット》 1 《ドラニスの判事》 4 《砕骨の巨人》 4 《精鋭呪文縛り》 4 《恋煩いの野獣》 1 《秘密を知るもの、トスキ》 -クリーチャー(30)- |
3 《カビーラの叩き伏せ》 4 《スカルドの決戦》 -呪文(7)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-相棒(1)- 1 《ドラニスの判事》 2 《運命の神、クローティス》 2 《傑士の神、レーデイン》 1 《秘密を知るもの、トスキ》 2 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《乱動する渦》 1 《ガラスの棺》 1 《引き裂き》 -サイドボード(14)- |
数か月前、「ナヤ・アドベンチャー」と名の付くデッキには多種多様な構築が存在した。しかし、最近では《クラリオンのスピリット》や《ヤスペラの歩哨》を採用した、あっという間に戦場を埋め尽くす数のクリーチャーを展開する型が主流だ。息切れを防ぐために、《エッジウォールの亭主》や《スカルドの決戦》も採用されている。
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から新たに加わった戦力は、サイドボードにしばしば採用されている《引き裂き》、そして現環境に多大な変化をもたらした《精鋭呪文縛り》だ。パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo Da Rosaが「第26回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」を優勝した特典としてカードイラストに描かれたこのカードは、白を含むクリーチャーベースのデッキにはほぼ例外なく採用される人気ぶりだ。《精鋭呪文縛り》こそが『ストリクスヘイヴン:魔法学院』リリース後にも「ナヤ・アドベンチャー」が良い結果を残し続けている要因の1つだろう。
ディミーア・ローグ(使用率6.8%)
6 《島》 3 《沼》 3 《ゼイゴスのトライオーム》 3 《欺瞞の神殿》 4 《清水の小道》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《マーフォークの風泥棒》 4 《遺跡ガニ》 4 《盗賊ギルドの処罰者》 4 《空飛ぶ思考盗み》 -クリーチャー(16)- |
4 《湖での水難》 3 《無情な行動》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《取り除き》 2 《神秘の論争》 2 《心を一つに》 1 《無礼の罰》 4 《物語への没入》 2 《アガディームの覚醒》 -呪文(20)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 3 《スカイクレイブの影》 2 《塵へのしがみつき》 1 《死の重み》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《取り除き》 1 《否認》 1 《才能の試験》 1 《神秘の論争》 2 《激しい恐怖》 1 《凪魔道士の威圧》 -サイドボード(14)- |
「ディミーア・ローグ」は『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のリリースによって、これと言って新戦力は加わらなかった上、直近のオンライン・イベントにおいても目立った成績は残していないが、その人気の高さは健在である。
このデッキが取るゲームプランも数か月前から変化はない。まずはならず者で相手を攻撃し、切削を進める。次に、どんな呪文でも対象に取れるようになった《湖での水難》や、コストが少なくなった《物語への没入》でゲームを完全に掌握する。ここまで来たらあとは対戦相手が唱える呪文をことごとく打ち消し、または破壊し、《夢の巣のルールス》で攻め手を補充しながら勝利を目指すのだ。
グルール・アドベンチャー(使用率6.8%)
10 《森》 5 《山》 4 《岩山被りの小道》 1 《神託者の広間》 1 《寓話の小道》 -土地(21)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《ヤスペラの歩哨》 4 《厚顔の無法者、マグダ》 4 《リムロックの騎士》 4 《砕骨の巨人》 4 《恋煩いの野獣》 3 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(27)- |
1 《歌狂いの裏切り》 1 《グレートヘンジ》 4 《髑髏砕きの一撃》 3 《エンバレスの宝剣》 3 《エシカの戦車》 -呪文(12)- |
2 《仮面の蛮人》 1 《運命の神、クローティス》 3 《長老ガーガロス》 3 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《乱動する渦》 2 《アクロス戦争》 1 《パーフォロスの介入》 -サイドボード(15)- |
「グルール・アドベンチャー」も『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の影響をあまり受けていないアーキタイプであり、新戦力となったのは《神託者の広間》(「出来事」を唱えた後に+1/+1カウンターをクリーチャーに置いたり、足りない色マナを補う役目を果たす)くらいだが、デッキの構成は『カルドハイム』チャンピオンシップで見られたものと大きく異なる。プレイヤーたちが『カルドハイム』収録の《厚顔の無法者、マグダ》に強さに気づくのにはしばらくかかったようだ。しかし、ついに日の目を浴びることとなったこの伝説のドワーフは、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップにおいて、1人を除いてすべての「グルール・アドベンチャー」プレイヤーが4枚採用することとなった。
マグダは自身が攻撃することで宝物・トークンを生成し、《黄金架のドラゴン》など高コストのクリーチャーを唱えるターンを早めることができる。また「ドワーフ・ロード」として《リムロックの騎士》とのシナジーも抜群だ。また、《ヤスペラの歩哨》や《エシカの戦車》の能力を利用すれば攻撃をすることなく宝物・トークンを生み出すことができる。そう頻繁に起こることではないが、宝物・トークンを5つ並べることができれば、それらを生け贄に捧げて《エシカの戦車》、《黄金架のドラゴン》、《エンバレスの宝剣》または《グレートヘンジ》をライブラリーから探し戦場に出すことも可能だ。これらすべてのシナジーがデッキのパワーとスピードを強化したのだ。
マグダの他には、《エッジウォールの亭主》や《恋煩いの野獣》、《砕骨の巨人》に《エンバレスの宝剣》と、よく見る面々が並ぶ。これらは相変わらず強力であり、「グルール・アドベンチャー」が現環境を象徴するアーキタイプの1つであるゆえんだ。
サイクリング(使用率6.8%)
1 《島》 4 《ラウグリンのトライオーム》 4 《連門の小道》 4 《河川滑りの小道》 1 《清水の小道》 4 《針縁の小道》 1 《陽光昇りの小道》 1 《荒廃踏みの小道》 -土地(20)- 4 《繁栄の狐》 4 《ドラニスの刺突者》 4 《雄々しい救出者》 4 《アイレンクラッグの紅蓮術師》 -クリーチャー(16)- |
4 《血の希求》 4 《型破りな協力》 4 《驚くべき発育》 4 《記憶漏出》 4 《天頂の閃光》 4 《願い与えの加護》 -呪文(24)- |
2 《常智のリエール》 3 《レッドキャップの乱闘》 3 《否認》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《ガラスの棺》 1 《切り裂かれた帆》 1 《神秘の論争》 1 《プリズマリの命令》 -サイドボード(15)- |
「サイクリング」デッキが取るべきゲームプランは1年前から変わってないない。《繁栄の狐》でプレッシャーをかけつつ、《天頂の閃光》でとどめを刺すのだ。
これと言って『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から加わったカードはないものの、(上記のリストにはサイドボードに《プリズマリの命令》が採用されている。)いまだに高い人気を誇るアーキタイプだ。
赤単アグロ(使用率6.4%)
19 《冠雪の山》 4 《不詳の安息地》 1 《エンバレス城》 -土地(24)- 4 《熱烈な勇者》 3 《講堂の監視者》 2 《火刃の突撃者》 4 《義賊》 3 《リムロックの騎士》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 1 《灰のフェニックス》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(28)- |
4 《霜噛み》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(8)- |
1 《灰のフェニックス》 2 《アゴナスの雄牛》 3 《レッドキャップの乱闘》 3 《乱動する渦》 2 《焦熱の竜火》 2 《魂焦がし》 2 《アクロス戦争》 -サイドボード(15)- |
「イゼット・ドラゴン」や「ナヤ・アドベンチャー」と言った現環境で特に人気の高いアーキタイプを不利なマッチアップとしているせいか、『カルドハイム』チャンピオンシップと比較すると使用率が下がっている「赤単アグロ」だが、メタゲーム上で決して無視できない存在であることには変わりない。ゲームプランは以前と同様、マナ・コスト通りにクリーチャーを展開し、巨大なアナックスを戦場に投入し、《エンバレスの宝剣》やトーブランで迅速にゲームを締める。
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』収録の新戦力は《講堂の監視者》だ。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』以前の「赤単アグロ」は、1マナ圏のクリーチャーに《熱烈な勇者》や《火刃の突撃者》を4枚ずつ採用していた。《講堂の監視者》の登場により1マナ圏の選択肢が広がり、最近のリストでは9~10枚採用しているものが主流となっている。1マナ1/1の速攻クリーチャーとして活躍するケースが大半だが、《長老ガーガロス》をブロックに回せなくすることで、絶望的な盤面でも致命的な攻撃へと繋がるのだ。
白単アグロ(使用率6.4%)
20 《冠雪の平地》 4 《不詳の安息地》 -土地(24)- 4 《命の恵みのアルセイド》 4 《巨人落とし》 4 《無私の救助犬》 4 《光輝王の野心家》 4 《歴戦の神聖刃》 2 《ドラニスの判事》 4 《精鋭呪文縛り》 4 《スカイクレイブの亡霊》 3 《傑士の神、レーデイン》 2 《軍団の天使》 -クリーチャー(35)- |
1 《スカイクレイブの大鎚》
-呪文(1)- |
2 《ドラニスの判事》 1 《傑士の神、レーデイン》 2 《赦免のアルコン》 2 《軍団の天使》 1 《夢の巣のルールス》 3 《ガラスの棺》 1 《払拭の光》 1 《忍耐の偶像》 1 《影槍》 1 《スカイクレイブの大鎚》 -サイドボード(15)- |
「白単アグロ」も《不詳の安息地》を強力に運用できるアグロデッキの1つだ。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』より《精鋭呪文縛り》が加わり以前にも増して強力なデッキとなった。対戦相手にプレッシャーを与えながら、同時に妨害をすることも可能なこのカードは、前述の通り白を含むクリーチャーベースのデッキには最適な1枚だ。「ナヤ・アドベンチャー」同様、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』以降のスタンダードにおいて「白単アグロ」は高い勝率をマークしている。
《精鋭呪文縛り》とともにメインデッキに採用されるようになったのは《ドラニスの判事》だ。《ドラニスの判事》が戦場にいるかぎり、「出来事」や「予顕」のような呪文は使いづらくなる。素敵な新シナジーとして、《精鋭呪文縛り》の能力で対戦相手の手札からカードを追放すると、《ドラニスの判事》がいるかぎり、それを唱えることができなくなるのだ。
ジェスカイ変容(使用率6.0%)
3 《島》 3 《山》 4 《ラウグリンのトライオーム》 4 《河川滑りの小道》 4 《連門の小道》 4 《針縁の小道》 -土地(22)- 4 《伝承のドラッキス》 4 《雷の頂点、ヴァドロック》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(12)- |
3 《棘平原の危険》 4 《表現の反復》 4 《非実体化》 2 《火の予言》 2 《セジーリの防護》 1 《否認》 1 《焦熱の竜火》 1 《真実の視認》 3 《プリズマリの命令》 3 《戦利品奪取》 2 《神秘の論争》 -呪文(26)- |
1 《灰のフェニックス》 2 《赦免のアルコン》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《精神迷わせの秘本》 1 《燃えがら地獄》 1 《本質の散乱》 1 《否認》 1 《引き裂き》 1 《神秘の論争》 1 《サメ台風》 -サイドボード(15)- |
「ジェスカイ・コントロール」「ジェスカイ・コンボ」「ジェスカイ・ランプ」あるいは「ジェスカイ変容」、なんと呼ぼうが、このデッキが『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップにおいて最も刺激的であるに違いない。『ストリクスヘイヴン』リーグ・ウィークエンド(5月)にマシュー・アヴィニョン/Matthieu Avignonによりそのポテンシャルの高さが示されたこの奇抜なデッキを、その1か月後となる本イベントにて15名のプレイヤーが手に取ったのだ。飛びぬけた結果を出してくれることを期待している。
序盤はバウンスや除去呪文を駆使し、盤面をコントロールして時間を稼ぐことに徹する。安定してきたところで《雷の頂点、ヴァドロック》か《伝承のドラッキス》、またはこれら両方を《黄金架のドラゴン》を対象に変容し、一気にアドバンテージを稼ぐ。
「変容」と名のつくアーキタイプであるものの、《両生共生体》が採用されておらず、「変容」クリーチャーも計8枚しか取られていないように、完全に「変容」シナジーに寄せたデッキではない。忘れてはいけないのが《黄金架のドラゴン》の誘発型能力だ。このクリーチャーが呪文の対象となるたびに宝物・トークンが生成され、これにより2マナ捻出可能だ。したがって、以下のような5種のカードを用いた無限ダメージのコンボが可能だ。
- 《黄金架のドラゴン》を唱える。(-5マナ)
- 《黄金架のドラゴン》を対象に《雷の頂点、ヴァドロック》を変容で唱え、宝物・トークンが1個生成される。(-2マナ)変容の誘発型能力により、墓地からコストを支払わずに《プリズマリの命令》を唱え、宝物・トークンを1個生成し、《黄金架のドラゴン》に2点のダメージを与える。(+4マナ)
- 《黄金架のドラゴン》を対象に《伝承のドラッキス》を変容で唱え(ドラゴンを対象に取ることで宝物・トークンが1個生成されるので実質ノーコスト)、変容の誘発型能力が2つスタックに置かれる。片方で墓地にある《非実体化》を手札に加え、もう片方で墓地から《プリズマリの命令》を唱え、先ほどの手順と同様宝物・トークンを1個生成し、《黄金架のドラゴン》に2点のダメージを与える。(+4マナ)《プリズマリの命令》に対応して(これを解決してしまうと《黄金架のドラゴン》が死んでしまう)すべての宝物・トークンを生け贄に捧げ、《非実体化》で3体のクリーチャーを手札に戻す。(《黄金架のドラゴン》を対象に取ることで宝物・トークンが1個生成されるので実質ノーコスト)
- 上記の手順を繰り返す。1回のループにつき1マナずつ増えていくので、マナを無限に増やすことが可能。
- 無限マナを達成したら、《非実現化》を唱える手順で《プリズマリの命令》の2点ダメージを対戦相手に与える。これにより無限マナを無限ダメージに転換することができる。
うん、なかなかぶっ飛んだデッキだ。1ループにつき1マナしか得られないため、すべての手順を正しく処理するためには非常に高い集中力を要する。誘発型能力を正しい順番でスタックに置かなければならず、自分で唱える呪文に対応するためにフルコントロール・モードにする必要があり、ドラゴンを手札に戻す前にすべての宝物・トークンを生け贄に捧げなければいけない。3体目の変容クリーチャーさえいればもう少し簡単にはなるが、Twitchで視聴者のみなさんが盤面で起こっていることをなんとか理解しようと四苦八苦する姿を見るのが楽しみだ。
ほとんどのカードが『ストリクスヘイヴン:魔法学院』以前から使用できたものの、《表現の反復》と《プリズマリの命令》の追加は必要不可欠であった。コンボに必要なパーツを探しやすくした《表現の反復》はデッキの安定性を向上させた。《プリズマリの命令》は序盤に相手のクリーチャーを捌くだけでなく、上記で解説したループにも欠かせないカードだ。中盤以降はいずれの呪文も変容クリーチャーとのシナジーが濃く、すべてが完璧に噛み合っている。もしかしたら私がこの奇抜な5枚コンボデッキにのぼせ上っているだけかもしれないが、とにかく、このデッキのすべてが大好きなのだ。
ティムール・アドベンチャー(使用率3.6%)
2 《森》 2 《島》 2 《山》 4 《ケトリアのトライオーム》 4 《樹皮路の小道》 4 《岩山被りの小道》 4 《河川滑りの小道》 4 《寓話の小道》 -土地(26)- 4 《エッジウォールの亭主》 4 《砕骨の巨人》 4 《厚かましい借り手》 4 《恋煩いの野獣》 3 《ラノワールの幻想家》 2 《星界の大蛇、コーマ》 -クリーチャー(21)- |
2 《軽蔑的な一撃》 2 《火の予言》 1 《否認》 1 《神秘の論争》 2 《アクロス戦争》 1 《髑髏砕きの一撃》 4 《銅纏いののけ者、ルーカ》 -呪文(13)- |
2 《運命の神、クローティス》 2 《灰のフェニックス》 2 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《乱動する渦》 2 《焦熱の竜火》 1 《否認》 2 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
「ティムール・アドベンチャー」は《エッジウォールの亭主》と赤、緑、青から選りすぐりの出来事クリーチャーを軸にしたデッキだが、《銅纏いののけ者、ルーカ》入りであったり、《獲物貫き、オボシュ》入りであったり、またこれらのいずれも取らないものであったりと、多様な型が存在するアーキタイプだ。これらすべての型が『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップに持ち込まれたが、オボシュ抜きでルーカを採用した型が最も人気のあるものとなった。上記のデッキリストがそのサンプルだ。
3ターン目に《ラノワールの幻想家》を唱え、4ターン目にルーカの能力で《星界の大蛇、コーマ》を戦場に叩きつける動きは極めて強力だ。しかしながら、このアーキタイプは『ストリクスヘイヴン:魔法学院』で新戦力が加わっていない。プレイヤーたちが現環境を打破する新たな手段を模索しているせいだろうか、『カルドハイム』チャンピオンシップでは使用率において2番手に位置していたデッキであったが、これを手に取る者の数は大きく下降した。
マルドゥ・サクリファイス(使用率1.6%)
4 《沼》 2 《山》 4 《サヴァイのトライオーム》 4 《荒廃踏みの小道》 2 《陽光昇りの小道》 4 《針縁の小道》 1 《ロークスワイン城》 1 《寓話の小道》 -土地(22)- 4 《ひきつり目》 4 《鋸刃蠍》 2 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 2 《悲哀の徘徊者》 1 《砕骨の巨人》 3 《オリークの首領、エクスタス》 -クリーチャー(16)- |
4 《初子さらい》 4 《村の儀式》 4 《禁じられた友情》 3 《禁忌の調査》 1 《検体探し》 4 《想起の拠点》 2 《アクロス戦争》 -呪文(22)- |
1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 1 《アゴナスの雄牛》 3 《強迫》 2 《レッドキャップの乱闘》 2 《乱動する渦》 1 《無情な行動》 2 《害獣召喚学》 1 《壊死放出法》 1 《ご破算》 1 《アクロス戦争》 -サイドボード(15)- |
「マルドゥ・サクリファイス」と名のつくデッキであるものの、一見「ラクドス・サクリファイス」に見えるかもしれない。実際、《村の儀式》と《初子さらい》のコンボや、《悲哀の徘徊者》、《アクロス戦争》のような、クリーチャーを生け贄に捧げることができるカードや、対戦相手のクリーチャーを「盗む」カードで構成されているし、何よりすべての呪文が赤か黒だ。
しかし、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から加わった新たな1枚のカードがプレイヤーたちをマルドゥへと駆り立てた。《オリークの首領、エクスタス》だ。第1面で唱えれば、《禁忌の調査》で多数のクリーチャーを生け贄に捧げて魔技を何度も誘発することができるし、第2面で唱えたければこれらのクリーチャーが大いに役立つ。
《ひきつり目》や《検体探し》はまさにこのようなプランに最適なカードで、「履修」の能力で《害獣召喚学》をサイドボードから持ってくれば、生け贄に捧げるためのクリーチャーをさらに増やすことが可能だ。それに、「講義」の候補は他にもある。従来の「ラクドス・サクリファイス」とは違った動きを見せる「マルドゥ・サクリファイス」も、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のスタンダード環境に一石を投じたデッキの1つだ。
ボロス・ウィノータ(使用率:1.2%)
8 《平地》 4 《山》 4 《針縁の小道》 3 《凱旋の神殿》 2 《怒静の交錯》 3 《寓話の小道》 -土地(24)- 4 《無私の救助犬》 2 《命の恵みのアルセイド》 2 《堕ちたる者の案内者》 4 《象徴学の教授》 2 《光輝王の野心家》 4 《砕骨の巨人》 4 《精鋭呪文縛り》 2 《傑士の神、レーデイン》 2 《スカイクレイブの亡霊》 4 《刃の歴史家》 4 《軍団のまとめ役、ウィノータ》 2 《帰還した王、ケンリス》 -クリーチャー(36)- |
-呪文(0)- |
1 《巨人落とし》 2 《スカイクレイブの亡霊》 1 《エメリアのアルコン》 1 《傑士の神、レーデイン》 2 《アゴナスの雄牛》 2 《レッドキャップの乱闘》 1 《環境科学》 1 《墨獣召喚学》 1 《記憶留出法》 1 《スピリット召喚学》 1 《ご破算》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
1~3ターンは非人間・クリーチャーを展開し、4ターン目に《軍団のまとめ役、ウィノータ》を唱え、願わくは《帰還した王、ケンリス》を引き当てる。ウィノータが登場して以来長く運用されてきたこの強力なゲームプランに、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から多数の新戦力が投入された。《刃の歴史家》、《象徴学の教授》、そして《精鋭呪文縛り》だ。
《刃の歴史家》と《精鋭呪文縛り》はウィノータの誘発型能力で戦場に出すことができると非常に強力なカードである一方、《象徴学の教授》はウィノータの能力を誘発するカードとして優秀だ。「履修」によって直面した状況に合わせた「講義」呪文を手札に加えることができ、高い柔軟性を備えている。何より、「履修」呪文が構築戦でも使われているのは喜ばしいことだ。
まとめ
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップのメタゲームは、本記事で紹介した12のデッキ合計で92.4%の使用率を占めている。残りの7.6%には奇抜なデッキも含まれているが、大半はこれまでにも見かけたことのあるものだ。「スゥルタイ巨獣の巣」はこの中でも最新の部類に入るかもしれない。このアーキタイプは《巨獣の巣》と、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』収録の《情報収集》を用い、マナを伸ばして早期に《サメ台風》や《アールンドの天啓》を唱えることを目指し、従来の《出現の根本原理》でフィニッシュを狙うスゥルタイとは全く異なる戦略を取る構成だ。
総じて、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』はスタンダードの競技シーンに良い刺激を与えたと思うし、メタゲームも多様性に満ちている。では、ヒストリックのメタゲームブレイクダウンでお会いしよう!
6月4~6日の9時(日本時間25時)から行われるtwitch.tv/magic(英語)で行われる生放送もお見逃しなく!
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ 日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717)
- 実況:海老江邦敬(@kuroebi_games)
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007)
- 解説:黒田正城(@masashiro41236)
- 解説:中村修平(@Nakashu_)
- and more...
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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