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プロツアー「テーロス」
1日目終了時の構築戦アーキタイプ分析
Marc Calderaro / Tr. Yusuke Yoshikawa
2013年10月12日
混合フォーマットのプロツアーのひとつの欠点として、それが素晴らしくプレイ・スキルを試すものである一方、構築戦のアーキタイプの表れ方をゆがめてしまうことが挙げられます。あるデッキがうまくいったと見られても、実のところまずまず戦えただけであり、その使い手がドラフトで完璧な仕事をやり遂げたというだけかもしれません。そのため、2日目に進出したすべての構築アーキタイプに注目するだけではなく、このイベントのリミテッド部門と関係なしに、それぞれのデッキがこのフィールドでどれだけの働きがあったかを見る方がより役立つのではないかと思います。
以下は、最初の構築5回戦で5勝0敗もしくは4勝1敗以上の成績を残した全アーキタイプの表です(1人の3勝0敗2分けがおまけとして含まれています)。そのアーキタイプをプレイしている人に対する割合を比べます。この方法にも欠点はありますが(例えば、ドラフトで0-3してしまったら、構築ラウンドで手強い競争相手と当たることは少ないでしょう)、構築戦のフィールドをより明確に表すものになります。そしてこのデータは、実に理解を容易にさせてくれました。
表における※1 (そのアーキタイプを使って4勝1敗以上を記録した人数)÷(そのアーキタイプをプレイした全体人数)
表における※2 (そのアーキタイプを使って4勝1敗以上を記録した人数)÷(4勝1敗以上を記録した全体人数)
アーキタイプ | 4-1以上人数 | 全体人数 | ※1 | ※2 |
青単信心 | 17 | 37 | 45.95% | 22.67% |
グルール・ミッドレンジ | 10 | 37 | 27.03% | 13.33% |
セレズニア・アグロ | 6 | 43 | 13.95% | 8.00% |
エスパー | 5 | 46 | 10.87% | 6.67% |
ラクドス・コントロール | 4 | 17 | 23.53% | 5.33% |
ChannelFireball・赤単 | 4 | 15 | 26.67% | 5.33% |
赤単信心 | 3 | 32 | 9.38% | 4.00% |
ナヤ・ミッドレンジ | 3 | 30 | 10.00% | 4.00% |
アゾリウス・コントロールl | 3 | 17 | 17.65% | 4.00% |
ナヤ・アグロ | 2 | 18 | 11.11% | 2.67% |
ジャンド・ミッドレンジ | 2 | 7 | 28.57% | 2.67% |
赤単アグロ | 2 | 4 | 50.00% | 2.67% |
ボロス・ミッドレンジ | 2 | 3 | 66.67% | 2.67% |
黒白赤ミッドレンジ | 1 | 15 | 6.67% | 1.33% |
オルゾフ・ミッドレンジ | 1 | 9 | 11.11% | 1.33% |
黒白赤コントロール | 1 | 8 | 12.50% | 1.33% |
ダーク・スカイ(青黒アグロ) | 1 | 7 | 14.29% | 1.33% |
ゴルガリ・アグロ | 1 | 5 | 20.00% | 1.33% |
アゾリウス「波使い」 | 1 | 4 | 25.00% | 1.33% |
黒単信心 | 1 | 3 | 33.33% | 1.33% |
グルール・アグロ | 1 | 3 | 33.33% | 1.33% |
オルゾフ・アグロ | 1 | 3 | 33.33% | 1.33% |
ディミーア・コントロール | 1 | 2 | 50.00% | 1.33% |
セレズニア・オーラ | 1 | 1 | 100.00% | 1.33% |
赤白青「波使い」 | 1 | 1 | 100.00% | 1.33% |
まずはじめに紛れもなく明らかなのは、このフィールドにおいては、青単信心は赤単信心よりずっと巧く行っていることです。両デッキタイプはほぼ同じ数のプレイヤーを抱えていて、青単信心は17人のプレイヤーを上位へと押し上げた一方、赤単信心はたった3人でした。もし古典的で攻撃的なタイプの信心デッキを使おうという場合、青単を使うべきとなります。しかしまた、黒単信心で5勝0敗を記録した山本賢太郎というプレイヤーもいます。
その他の信心、あるいは信心に類似する戦略で、力を示したのはグルール・ミッドレンジです。このデッキは《嵐の息吹のドラゴン》や《世界を喰らう者、ポルクラノス》といった新しいカードを「怪物的」に急上昇させるもので、これも率を残しています。これらのデッキを使用したプレイヤーのうち4分の1以上が、4-1以上の成績を残しました。現時点ではこのアーキタイプには三原槙仁の驚異的なデッキ、ほぼ緑単で赤緑のプレインズウォーカーと大量の《ニクスの祭殿、ニクソス》を使うようなものも含まれています。
「ChannelFireball」赤単もまた4分の1以上の使い手を上位へと押し上げていますが、これらを使っているプレイヤーを考えると、その割合もあまり良くないと見えます。ブライアン・キブラー/Brian Kiblerがこのデッキについて語ったところでは、このデッキは《至高の評決》に対しては最高の信心デッキであるものの、誰も《至高の評決》を使うことにはしなかったということです。《神の怒り》系デッキはひとたびプレイされ始めればプレイヤーを惹きつけるものですが、今回のトーナメントではベスト・チョイスではなかったのだろうと思われます。
《至高の評決》の話をするならば、エスパーは今日の最大の驚きのひとつかもしれません。構築ラウンドで好成績を残せたプレイヤーはわずか11%で、これはセレズニア・アグロの14%と差はわずかですが、より悪いものです。メインデッキに全体除去を積んではいるものの、エスパーは新たなアグロとコンボの融合したメタゲームを打破すべく再調整する必要があるかもしれません。
小勢力のデッキの中では、ラクドス・コントロール(しばしば「デーモン&ドラゴン」「D&D」と呼ばれます)が17人中4人を上位付近に送っています。ルーカス・ヤクロフスキー/Lukas Jaklovskyとイワン・フローク/Ivan Flochはともに5戦無敗ですが、青単信心を除くと、初日で複数の無敗プレイヤーを輩出した唯一のアーキタイプなのです。加えて、伝統的な赤単アグロのプレイヤーはわずか4人ですが、そのうち2人が4-1以上の成績を残しています。もし赤単をプレイしたいと思うなら、《モーギスの狂信者》に注目するような信心テーマは良い手段ではないかもしれません。
今日の時点ではラウンドも半分を過ぎたところで、トップ8は間違いなくプロツアー後のメタゲームに一石を投じることでしょう――これまでもそうしてきたように。偉大なリミテッド・プレイヤーであろうとせずにプロツアー・トップ8は成し得ないということもお忘れなく。しかしながらこのデータは、構築専門のプレイヤーにより考慮の余地を与えるものになることでしょう。
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