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プロツアー『イニストラードを覆う影』
プロツアー『イニストラードを覆う影』での出来事トップ5
Event Coverage Staff
2016年4月24日
このプロツアーもいつものプロツアー同様、記憶に残るイベントやエキサイティングなマッチによって興味深いストーリーに満ちていた。以下はその中から我々が選び抜いた、マジックの歴史に残るべき5つの出来事である。
第5位:ジョン・フィンケル/Jon Finkelが100回を待たずして16回を達成する
第6回戦、ジョン・フィンケルはルイス・スコット=ヴァーガス/Luis-Scott Vargasに2-0のストレート負けを喫した。しかし、これは彼のスイスラウンド唯一の敗北であった。
第14回戦時点で彼は13勝1敗を記録し、自身のキャリアで16回目となるプロツアートップ8進出を決めた。彼はこの週末の成功が幸運によるものだと考えていた。今となっては彼は、自分より上手いと考えるプレイヤー(その多くはチームメイト)の名前を多く挙げることだろう。しかし彼は、たとえわずか数パーセントのことだったとしても、程度の差こそあれ、一切の幸運に助けられていない人はいないことも認めた。
プロツアートップ8に16回進出するというのは、想像しがたい成果かもしれない。実は、10回に到達したプレイヤーは他にいない。フィンケルはごく初期のプロツアーから参加しており、1996年のプロツアー・ニューヨークのジュニア部門に出場していた。最初のトップ8進出は1998年のことであり、一方直近はたった半年前のことだった。
フィンケルは、20年にもわたって開催されたプロツアーの7分の1以上でトップ8に進出しているのだ。我々にとって、100回目のプロツアーを祝う際には彼のトップ8ほど良い方法があるとは思えない。彼の業績は大きな影響を及ぼし、彼と一緒に競技生活を送る人々にその偉大さを超えるべく努めさせているのだ。
第4位:記録に残るトップ8?
土曜にトップ8が発表されると、ソーシャルメディア上での議論に火がついた。「今回のトップ8は、スター性の点から見て歴代何位なのか?」
多くのことが話題に上がった。例えば、3人の殿堂顕彰者――2大会連続となるトップ8のルイス・スコット=ヴァーガス、非凡なデッキビルダー八十岡翔太、そして歴代最強にも名が挙がるジョン・フィンケルだ。
セス・マンフィールド/Seth Manfieldは現世界王者であり、アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciも、昨年のワールド・マジック・カップで優勝したイタリア代表の一員であった。ブラッド・ネルソン/Brad Nelsonもまた(上記の殿堂顕彰者と同様に)プレイヤー・オブ・ザ・イヤーの獲得者であるし、あまり知られていないルイス・サルヴァット/Luis Salvattoでさえもスーパーサンデーシリーズ・チャンピオンシップのタイトルを持っているのだ。
一方、スティーヴ・ルービン/Steve Rubinは、昨シーズンの間安定してプロポイントを稼ぎ続け、世界選手権2015への出場を決めたうちのひとりから、このゲームの真のスターに変身したプレイヤーなのだ。
第3位:チーム「Blitz」の生まれ変わり
ここ数年、マジックシーンの頂上付近に居続けたチーム「Blitz」のメンバーだったが、約1か月前に非常に困難な決断に直面した。彼らはお互いのプレイヤーとしての能力を尊敬しあっていたが、一方チームとしての動きが十分に効果的ではないことに気づいてしまった。そして意見の食い違いが頻発した。チーム名に関してでさえ合意するのが難しかったのだ。そうした状況の結果、しばらくの話し合いの後、彼らは別の道を行くことを決断した。
「もちろん僕らはみんな凄いプレイヤーなんだ」とブラッド・ネルソンは言う。「だからこそ、別れた方がより自分の価値が高まると感じたんだ」
メンバーの大半は、新天地をうまく見つけられた。結局のところ、皆素晴らしいプレイヤーなのだ。例を上げれば、世界ランキング23位のブラッド・ネルソンは大西洋を越えてチーム「EUreka」に加わった。同2位のセス・マンフィールドはチーム「East West Bowl」から声がかかり、スティーヴ・ルービンはチーム「Face-to-Face Games」の友人たちに合流した。
そして時は流れて土曜のトップ8発表のとき、この3人全員が名前を呼ばれ、同じ光の下に集まったのだ。3つの違うチーム、違うデッキとなったが、しかし実際に、チーム「Blitz」はプロツアーにおいて最も素晴らしい結果を残したチームとなったのだ。
「そして、僕らはついに、全員が納得する新しい名前を見つけたんだ。」とブラッド・ネルソンは言った。「チーム『Former Team』(かつてのチーム)だ。これが最高だ。なぜなら、それが事実だからさ」
第2位:「トップ8がそれぞれ違う8つのアーキタイプになったんだって? 本当に?」
プロツアー直前の2週間で開催されたスタンダードのイベントは非常に少なく、多くのプレイヤーはこの週末を、「バント・カンパニー」や「人間」のようなデッキが仮想敵だろうという、はっきりとした予想で迎えていた。もちろん、大きなプロチームは自分たちのアイデアをそこに加え、革新的なデザインをして、スタンダードの環境というパズルへの解答を用意した。
そして、最終的な結果として、土曜の夜に霧が晴れトップ8が発表された時、我々は手元にある事実に驚いたのだった。いくつものチームの代表が成功した結果、どのグループも2人以上をトップ8に送り込むことができず、どのデッキも似通うことがなかったのだ。プロは挑戦したが、フォーマットは全く解き明かされなかったのだ!
2つのエスパー・コントロールには最も共通点が多かったが、それでもそれぞれが勝利に至るために用意した道は大きく違い、同じデッキとは全く言えないものだった。片方は4人の異なるプレインズウォーカーを採用したノンクリーチャー型で、もう片方はドラゴンに頼っていた。
また、トップ8には2種類の黒緑デッキもあったが、これらもまた全く異なるデッキだった。片方は軽いクリーチャーを盤面に敷き詰め、《ズーラポートの殺し屋》と《ナントゥーコの鞘虫》を《集合した中隊》でサポートするデッキだ。一方のデッキはほとんどクリーチャーを使わず、手札破壊と除去、そして《過ぎ去った季節》で極端なコントロール戦略をとっていた。
《紅蓮術師のゴーグル》と《マグマの洞察力》、《苦しめる声》、《溺墓の寺院》、そして《巨人の陥落》という組合せを使ったデッキも2種類あった。片方は赤緑のランプデッキで、もう片方はエルドラージを使った、よりミッドレンジに特化したものだ。
そして、決勝を戦ったのはさらに異なる、バント・カンパニーと緑白トークンだったのだ。
第1位:真の王者たるべくプレイすること
プロツアーの大会は信じられないほど長く、消耗するものだ。そして、決勝に進出した者以上に長くプレイしている者はいない。アンドレア・メングッチとスティーヴ・ルービンはともに、この週末で最も高いレベルで戦ったが、その彼らであったとしても一瞬にして滑り落ち得るのだ。第3ゲーム、両者は後で考え直せばすぐ気づくような、最適でないプレイをしてしまっていた。これこそがマジックでの消耗がもたらすものだ。
しかし、誰だって失敗はするものだ。マジックはとてつもなく難しいゲームなのだ。勝者たちが他の者と異なる点は、その失敗をどう扱うのが適切かを知っていることである。
ゲームが終わった後、お互いにすぐ誤りを取り去った。彼らはゲーム間にお互いのやってしまったことについて話して気合を入れなおし、最後のゲームを素晴らしくプレイしたのだった。
「そのゲームでつまづいたりはしなかったよ」とルービンは言った。「次のことを考えなおして、前を向いて、それで全く問題はなかったんだ」
そして彼はプロツアー王者に向けて改めて歩を進め、勝ち取ったのだった。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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