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EVENT COVERAGE
プロツアー『イクサランの相克』
準々決勝:行弘 賢(日本) vs. Reid Duke(アメリカ)
Mike Rosenberg / Tr. Chikara Aoki / Edit. Yusuke Yoshikawa
2018年2月4日
プロツアー『イクサランの相克』の日曜日、トップ8による最初の試合はモダンの「伝統的なミッドレンジ」対「伝統的な地雷デッキ」となった。
「Ultimate Guard Pro Team」のメンバーで世界ランキング2位のリード・デューク/Reid Dukeはひと月ほど前に、《タルモゴイフ》と《ヴェールのリリアナ》の時代は過ぎ去ってしまったものとモダンのマジック・コミュニティでは考えられていることを指摘した。
All 20 articles that I read this morning tell me that Tarmogoyf and Liliana are bad in Modern. Should I take it as a lesson or as a challenge?
— Reid Duke (@ReidDuke) 2018年1月10日
今朝、僕が読んだ20の記事すべてで、タルモゴイフとリリアナはモダンで良くないカードだと書かれていた。僕はこれを、教訓と捉えるべきか、挑戦と捉えるべきだろうか?
デュークが黒緑系ミッドレンジデッキを使うことには何の驚きもない。「ジャンド」や「アブザン」といったアーキタイプはモダンが始まってから常に彼の選択肢であり、否定的な意見に臆するようなものではなかった。
デュークの挑戦は受け入れられ、彼がこのアーキタイプをどれだけ素晴らしく扱うかを結果で示してくれた。
4回目のプロツアートップ8であるスーパーチーム「Musashi」の行弘賢は、デッキ選択が少し変わっていることで知られる。配信者でもある日本のプロはフォーマットの新顔を選んだ。「黒赤『虚ろな者』」デッキは1ターン目の《燃え立つ調査》により、手札に残った《虚ろな者》を0マナで唱えるというフォーマット随一のスタートを切ることができる。1ターン目に複数枚の4/4クリーチャーが出ればほぼ勝ちで、妨害手段にバックアップされたらなおさらだ。
シャッフル中、以前にもプロツアーサンデーの控室で会っていたことを思い出す両名。
「プロツアー『異界月』でもお互いトップ8だったよね」 デュークの問いに行弘は微笑みながら頷く。2人一緒にプレイオフに出場して以来、約1年半が経つ。「うん、いい組み合わせだね」と行弘。
フィーチャーマッチ・エリアではふたりともプロフェッショナルであり、対戦相手と回りのすべての人に礼儀正しいものの、ともに複数回のプロツアー・サンデー経験者であり、プロツアー王者になるための闘志を燃やしている。
ゲーム展開
6枚でスタートしたデュークの手札は、行弘の《通りの悪霊》に続く《燃え立つ調査》でさらに興味深いものとなる。無作為にカードが選ばれ、行弘は《稲妻》《ゴブリンの知識》《信仰無き物あさり》を、デュークは《思考囲い》《花盛りの湿地》《虚無の呪文爆弾》を捨てた。
もちろん、それが観衆の興奮の声を引き出したわけではない。行弘が2枚の《虚ろな者》を出したことに起因するのだ。デュークの《コジレックの審問》は全くの無意味で、《炎跡のフェニックス》しか選べなかった。ひとたびフェニックスが蘇ると、デュークの《タルモゴイフ》は致死ダメージを受けるまで置物だった。
第2ゲーム、デュークの《コジレックの審問》は先手のため効果的に行弘の《燃え立つ調査》を奪い、壊滅的な第1ゲームを思い起こすかのような2枚の《虚ろな者》が控えているのを確認する。行弘が1ターン目に土地を置いただけで終えたのを見たデュークはホッとしたため息を吐き、このゲーム最初のクリーチャーとして《漁る軟泥》を出す。行弘は一回り大きな《黄金牙、タシグル》を戦場に。
スゥルタイの伝説のクリーチャーの命は短く、《大渦の脈動》で退場させられる。第3ターンに《ゴブリンの知識》を引いた行弘は素早く唱えて、《虚ろな者》《通りの悪霊》と土地を捨てる。デッキ名に冠するアーティファクト・クリーチャー2枚のうち1枚を失ったもののもう片方の4/4を配備し、《漁る軟泥》には《稲妻》を落とす。
続くデュークの《タルモゴイフ》に直面すると4/4は心許ないサイズとなるが、さらなる行弘の《ゴブリンの知識》がドロー呪文の連鎖によるデッキのパワーを見せつける。土地と《稲妻》《炎跡のフェニックス》が捨てられ、フェニックスはすぐに墓地から戻される。《タルモゴイフ》に対峙するため、《グルマグのアンコウ》が墓地にある《虚ろな者》とインスタントを追放する。
行弘が攻撃に出たところ、デュークは《湿地の干潟》で「紛争」した《致命的な一押し》で《炎跡のフェニックス》を除去して《タルモゴイフ》のサイズを4/5にし、攻撃した《虚ろな者》をブロックする。行弘は攻撃に失敗したことにより窮地に立たされた。3枚目の《ゴブリンの知識》でさらに掘り進めたものの、ガス欠に陥ってしまった。実りのない《信仰無き物あさり》フラッシュバックはサイドボーディングに移るのに十分だった。
第3ゲームを行弘は第1ゲームをなぞるかのように《燃え立つ調査》で始め、周囲に緊張した笑みを引き起こしつつ、土地2枚と《稲妻》を捨てて、デュークは基本土地3枚を捨てた。ついていないことに、2枚の《虚ろな者》ほど重要なカードをデュークの《コジレックの審問》では捨てさせることができず、《グルマグのアンコウ》が公開された。2枚目の土地を探している最中のデュークは(投了しなかった)第1ゲームとは反対の選択を行い、状況を覆せないことを認めた。
第4ゲーム、デュークは《強迫》で行弘の《燃え立つ調査》を捨てさせると、残りの手札はすぐには戦場に出ないものばかりになった。《最後の望み、リリアナ》を育てる時間を得たデュークだが、同じころ2枚目の《燃え立つ調査》を引き込んだ行弘は《炎刃の達人》、《炎跡のフェニックス》、そして《虚ろな者》を捨て、デュークも《残忍な剥ぎ取り》《最後の望み、リリアナ》《致命的な一押し》を捨てる。その結果、行弘は土地を数枚得ただけで役に立つものは引けなかった。
《集団的蛮行》が行弘から《稲妻》を取り上げ、《虚無の呪文爆弾》が手札の《グルマグのアンコウ》用の餌を空にする。行弘は有効な動きが取れず、《最後の望み、リリアナ》の忠誠値が増えていくことをただ見るしかできない。《未練ある魂》の軍勢が彼女の守護に現れてから、3枚目の《燃え立つ調査》が《虚ろな者》を見つけて《炎跡のフェニックス》を捨てるものの、次のターンに紋章を得ようと迫りくる《最後の望み、リリアナ》を押し戻すほどではなかった。
最終ゲーム、行弘は《燃え立つ調査》の代わりに《信仰無き物あさり》で《炎跡のフェニックス》を捨てる。一方のデュークも《コジレックの審問》ではなく《墓掘りの檻》を置く。行弘は餌に《信仰無き物あさり》と2枚のフェッチランドを使って《グルマグのアンコウ》を続ける。デュークの選択肢は少なく、《グルマグのアンコウ》は明らかに問題だ。2度の攻撃の後に《虚無の呪文爆弾》は少ない行弘の墓地を追放しつつドローに変わった。
土地を引き過ぎているデュークは、何か動きが必要だった。
《強迫》で《大物狙い》が控えていることを明らかにしながらも、デュークは5/5のゾンビ・魚の除去を探すプレッシャーにさらされている。
やっと見つけたものは《タルモゴイフ》だった。《致命的な一押し》を持たれていると悲惨な状況になるため、行弘は《大物狙い》のバックアップに《ゴブリンの知識》で《虚ろな者》を探しにいき、見事やってのけた。《信仰無き物あさり》からマッドネスで《大物狙い》が現れるとデュークは敗北を認めた。
行弘 賢がリード・デュークを3勝2敗で破り、準決勝へ!
1 《沼》 2 《山》 3 《血の墓所》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《樹木茂る山麓》 1 《乾燥台地》 1 《沸騰する小湖》 3 《黒割れの崖》 -土地(18)- 4 《炎刃の達人》 4 《恐血鬼》 4 《炎跡のフェニックス》 4 《虚ろな者》 4 《通りの悪霊》 1 《黄金牙、タシグル》 3 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー(24)- |
4 《燃え立つ調査》 4 《信仰無き物あさり》 4 《稲妻》 4 《ゴブリンの知識》 2 《集団的蛮行》 -呪文(18)- |
3 《渋面の溶岩使い》 2 《大物狙い》 2 《致命的な一押し》 2 《古えの遺恨》 1 《集団的蛮行》 2 《血染めの月》 3 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
2 《森》 2 《沼》 2 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 1 《神無き祭殿》 4 《新緑の地下墓地》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《湿地の干潟》 2 《花盛りの湿地》 1 《黄昏のぬかるみ》 1 《乱脈な気孔》 2 《樹上の村》 -土地(23)- 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 2 《残忍な剥ぎ取り》 2 《漁る軟泥》 1 《不屈の追跡者》 -クリーチャー(13)- |
4 《致命的な一押し》 4 《コジレックの審問》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《思考囲い》 2 《突然の衰微》 3 《未練ある魂》 2 《大渦の脈動》 4 《ヴェールのリリアナ》 1 《最後の望み、リリアナ》 -呪文(24)- |
3 《大爆発の魔道士》 1 《強迫》 1 《墓掘りの檻》 1 《虚無の呪文爆弾》 3 《集団的蛮行》 3 《石のような静寂》 2 《滅び》 1 《最後の望み、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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