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プロツアー『イクサランの相克』
第15回戦:Lucas Esper Berthoud(ブラジル) vs. Gerry Thompson(アメリカ)
Chapman Sim / Tr. Takuya Masuyama / Edit. Yusuke Yoshikawa
2018年2月3日
ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoud(5色人間) vs. ジェリー・トンプソン/Gerry Thompson(マルドゥ・パイロマンサー)
2人のプロツアー王者がフィーチャーマッチ・エリアで激突した。このマッチの勝者が人生に一度あるかないかの2回目のプロツアー優勝へと挑むことになる。プロツアー『アモンケット』王者のジェリー・トンプソン(11勝3敗)とプロツアー『霊気紛争』王者のルーカス・エスペル・ベルサウド(11勝2敗1分け)の行く手には、互いに大きな障害が立ちはだかるのだ。
トンプソンは464人中13人の「マルドゥ・パイロマンサー」の使い手の1人だ。この赤白黒デッキは軽い呪文(手札破壊か除去)を《若き紅蓮術士》と《騒乱の歓楽者》の燃料として用いる。手札が空であっても最低6枚のインスタントやソーサリーを何とかして墓地に送ることができれば、《騒乱の歓楽者》は《Ancestral Recall》つき2マナ3/4になる。必要ならば《コラガンの命令》で《騒乱の歓楽者》を再利用することができ、このデッキはそれらすべての手札操作とカード・ドローによってガス欠に陥ることがない。
一方、ベルサウドは「5色人間」を携えており、これはこの会場でほぼ10%の使用率を誇る、今週末最も人気のあるデッキ選択だ。この5色のマナ基盤は《手付かずの領土》が印刷されたことと、《魂の洞窟》と《古代の聖塔》によって可能となり、1ターン目の《実験体》(ベルサウドの独自技でもある)、2ターン目の《帆凧の掠め盗り》、3ターン目の《カマキリの乗り手》という、5色それぞれを1マナずつ使う動きを安定してできるようになったのだ! また《サリアの副官》と《幻影の像》で臨界突破させることも可能だ。しかしながら、ベルサウドはこの大事な試合でのチャンスに興奮していなかった。
「このマッチアップはこっちにとって悲惨だ」と彼は言った。「『マルドゥ・パイロマンサー』には大量の単体除去とブロッカーがある。このマッチアップは全く好きじゃない」
ゲーム展開
1ゲーム目はトンプソンが《コジレックの審問》から入り、ベルサウドは《教区の勇者》、《スレイベンの守護者、サリア》、《反射魔道士》、《霊気の薬瓶》と土地3枚の手札を公開した。サリアは50%近くが呪文である「マルドゥ・パイロマンサー」にとって最も問題のあるカードなので、トンプソンはベルサウドにそれを失わせることを強いた。
その後、トンプソンは《信仰無き物あさり》で手札を整え、2枚目の《コジレックの審問》で《サリアの副官》を捨てさせた。《霊気の薬瓶》にカウンターを1個置いた後、ベルサウドは《教区の勇者》を「薬瓶」してから今引いたばかりの《翻弄する魔道士》を召喚し、《騒乱の歓楽者》を指定した。これはデッキを支える重要なカードなので、トンプソンは即座に《稲妻》をそれに撃ち、《騒乱の歓楽者》が手札にあることを匂わせた。何の圧力もかけずにターンを返すことを良しとせず、ベルサウドは《教区の勇者》を3/3にするために《反射魔道士》を召喚した。
予想通り、トンプソンの最後のカードは《騒乱の歓楽者》であり、トンプソンは3枚のカードで自らを援護した。《霊気の薬瓶》を引き、ベルサウドは《教区の勇者》を4/4にすることができずターンを返すことを強いられた。トンプソンは《信仰無き物あさり》をフラッシュバックする時間を用いて、不要な2枚の土地を捨て去った。ベルサウドは今引いた《地平線の梢》をプレイし、生け贄に捧げ、《カマキリの乗り手》を探し当てた。
突如として、トンプソンは4/4の《教区の勇者》と飛行する《カマキリの乗り手》に直面し、ライフが4まで落ち込んだ。3枚目の《信仰無き物あさり》で彼は回答を見つけることができなかったが、少なくとも2枚目の《騒乱の歓楽者》はチャンプ・ブロックすることはできた。《カマキリの乗り手》のさらなる攻撃によってトンプソンのライフは1まで落ち込んだ!
アンタップした後、トンプソンは《若き紅蓮術士》を召喚し、《信仰無き物あさり》をフラッシュバックし、《稲妻》を《カマキリの乗り手》に撃ち、2体の《騒乱の歓楽者》で攻撃した。エレメンタル・トークンが増殖し始め、ベルサウドは自分が助からない状態になったことに気づいた。事態は驚くほど早く手がつけられなくなり、トンプソンは何とか逆転に成功した。
「ライフ1」 トンプソンは嘆息した。「俺はいつもライフ1だ」
実際、そのマナ基盤は必ずしも「痛くない」ものではなかった。ベルサウドが自分のカードを片付けるとき、彼は筆者にデッキの一番上から次のドロー・ステップに引くはずだったカードを見せてくれた。1枚挿しの《ケッシグの不満分子》だ。悲しい!
それにも関わらず、両プレイヤーは重苦しく2ゲーム目の準備を進めた。トンプソンはすぐに手札をキープしたが、ベルサウドは熟考の後に7枚の手札を切り直した。精彩を欠く6枚をキープし、ベルサウドは《手付かずの領土》から始めて《サリアの副官》しか出すことができなかった。1/1を1つ出すのに2マナを費やすなど、おそらく彼がモダンでやりたいことではないだろう。トンプソンはそれをすぐに《集団的蛮行》で始末し、ベルサウドは依然として1/1のままの2枚目を出した。トンプソンは静かに《血染めのぬかるみ》を切って《聖なる鋳造所》を出し、《未練ある魂》を唱えた。ベルサウドは何もプレイせず返し、「次は何がある?」と聞くように促した。
通常「5色人間」は高い圧力をかけるが、ベルサウドは2マナと手札の《カマキリの乗り手》3枚では何もできなかった。2枚目の《未練ある魂》、続いて《致命的な一押し》と《稲妻》が《騒乱の歓楽者》を最大限にする道を整えた。《若き紅蓮術士》と4体のスピリット・トークンが戦闘に参加したとき、この試合を見ている誰もがベルサウドの小さな《教区の勇者》が無駄なあがきだと分かっていた。
「このゲーム中1/1を3体唱えることしかできなかった。勝ち目はなかった」
ルーカス・エスペル・ベルサウド 0-2 ジェリー・トンプソン
この結果により、トンプソンは12勝3敗に浮上し、ベルサウドは11勝3敗1分けに後退した。まだ、両者にトップ8の可能性は残っている。
「おめでとうジェリー、最後のラウンドでIDできることを祈ってるよ」 ベルサウドは最大限の誠実な敬意を伝えた。「君がたどり着けることを祈ってる」旧友の目を真っ直ぐ見て、トンプソンは最も大事な言葉だけを伝えた。ゆっくりと、静かに、彼は囁いた。
「次のラウンド勝ってくれ。一緒にトップ8に行けるんだ」
マジックはただのゲームかもしれないが、絆のゲームでもある。戦場で対立があるかもしれないが、互いの夢に対する敬意がある。この技術のために人生を捧げた2人のベテランの、この瞬間の偉大さを理解できる人はわずかしかいなかった。この真に情熱的な2人のマジックプレイヤーがともに日曜の舞台に進むことができれば、この午後の壮大な対決の後であっても、これは畏敬の念を抱かせる瞬間となるだろう。
残すは1ラウンド。すぐに我々は、彼らの道が再び日曜日で交差することになるかどうかを知ることになる。
1 《平地》 3 《地平線の梢》 2 《金属海の沿岸》 4 《魂の洞窟》 4 《手付かずの領土》 4 《古代の聖塔》 1 《マナの合流点》 -土地(19)- 4 《教区の勇者》 4 《貴族の教主》 2 《実験体》 4 《サリアの副官》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《帆凧の掠め盗り》 3 《翻弄する魔道士》 3 《幻影の像》 4 《カマキリの乗り手》 4 《反射魔道士》 2 《ケッシグの不満分子》 -クリーチャー(37)- |
4 《霊気の薬瓶》 -呪文(4)- |
2 《凶兆艦隊の向こう見ず》 1 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《帆凧の掠め盗り》 3 《イゼットの静電術師》 2 《罪の収集者》 2 《墓掘りの檻》 2 《はらわた撃ち》 1 《石のような静寂》 1 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
3 《山》 2 《沼》 2 《血の墓所》 1 《聖なる鋳造所》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《湿地の干潟》 4 《黒割れの崖》 -土地(20)- 4 《若き紅蓮術士》 4 《騒乱の歓楽者》 -クリーチャー(8)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 4 《稲妻》 2 《致命的な一押し》 2 《集団的蛮行》 1 《戦慄掘り》 1 《魔力変》 1 《終止》 4 《未練ある魂》 3 《コラガンの命令》 2 《血染めの月》 1 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(32)- |
1 《大爆発の魔道士》 3 《外科的摘出》 2 《虚無の呪文爆弾》 2 《集団的蛮行》 2 《溶鉄の雨》 1 《神々の憤怒》 2 《摩耗 // 損耗》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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