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(特集記事)黒田正城の「エターナルへの招待」・『モダンへの招待』編 その2
読み物
黒田正城の「エターナルへの招待」
2011.09.01
黒田正城の「エターナルへの招待」・『モダンへの招待』編 その2
著者紹介:黒田 正城 黎明期から日本のプロマジック・シーンを支えてきた強豪プレイヤー。 |
モダンの紹介第2回ということで、今回の記事を始める前に一言お詫びを申し上げます。
本当にごめんなさい!!
前回の記事で、禁止カードリストを何度も確認したはずなのに、《師範の占い独楽》が禁止であることを完全に見落としており、多くの方々にご迷惑をおかけしてしまいました・・・。
二度とこのようなことがないよう、気をつけたいと思っています。申し訳ありませんでした!
では、今回の紹介を進めていこう。
モダンの環境は、8月24日にMagic Onlineで解禁となってから急速に広まり、いくつもの大会が開かれている。
フォーマットが非常に広いことと、今はまだメタが固まっていないことから数え切れないほどのデッキを目にすることができる。あらゆるプレイヤーが、思い入れのあるオリジナルデッキを持ち込むことができる素晴らしい時期なのだ。実際、MOのトーナメントは連日大盛況。いつログインしても相手に困らないという状態だ。
はっきり言ってしまおう。このフォーマットはやばい。おもしろい。
多少古いカードを持っているのなら、ゼッタイ参加すべきだ!
本稿では、MOのデイリートーナメントで結果を出したデッキの中から3種をピックアップしてみるが、これは全体から見ればわずか一部の話である。どんどん環境を掘り下げて色んなデッキを発見してみよう。
では、早速1つ目のデッキから。
4 《森》 1 《島》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 4 《ヴェズーヴァ》 4 《霧深い雨林》 1 《繁殖池》 1 《ドライアドの東屋》 1 《ウギンの目》 -土地(24)- 4 《桜族の長老》 1 《永遠の証人》 1 《ムル・ダヤの巫女》 3 《原始のタイタン》 1 《トリスケリオン》 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(12)- |
3 《シミックの印鑑》 3 《探検の地図》 4 《探検》 3 《知識の渇望》 4 《風景の変容》 2 《全ては塵》 4 《緑の太陽の頂点》 1 《解放された者、カーン》 -呪文(24)- |
4 《ヴィダルケンの策謀者》 1 《耕すツリーフォーク》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《強情なベイロス》 1 《ワームとぐろエンジン》 3 《自然の要求》 4 《三なる宝球》 -サイドボード(15)- |
10 《森》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 4 《ヴェズーヴァ》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《ドライアドの東屋》 1 《ウギンの目》 -土地(25)- 1 《燭台の大魔術師》 1 《巣の侵略者》 1 《永遠の証人》 1 《コジレックの捕食者》 4 《原始のタイタン》 1 《テラストドン》 1 《無限に廻るもの、ウラモグ》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(11)- |
4 《古きものの活性》 4 《探検の地図》 4 《探検》 2 《内にいる獣》 3 《忘却石》 3 《刈り取りと種まき》 4 《緑の太陽の頂点》 -呪文(24)- |
2 《土覆いのシャーマン》 1 《大貂皮鹿》 1 《子守り大トカゲ》 1 《隔離するタイタン》 2 《内にいる獣》 4 《三なる宝球》 2 《全ては塵》 2 《解放された者、カーン》 -サイドボード(15)- |
活躍しているデッキをざっと見渡したときに、とにかく目に付いたのが《引き裂かれし永劫、エムラクール》である。
スタンダードでも《流転の護符》とのタッグで使われたりしていたが、モダンの環境でもその十分すぎる存在感を示している。でかくて強いクリーチャーが大好きな私としては見逃せないところだ。
しかもモダンの環境では、《召喚の罠》や《流転の護符》といったインチキカードは使わない。ちゃんと《引き裂かれし永劫、エムラクール》を手札からプレイし、追加ターンを得ることができるのである!
その鍵となるのは《雲上の座》。ミラディンの傷跡が発売されたとき、「なんでいまさら神座なの?」と誰もが思った《微光地》とセットで使われることで、「神座」の効果を大きく膨らませることができるようになった。
もちろん古くからの友である《ヴェズーヴァ》も、追加の《雲上の座》としてガッチリとマナベースを支えている。
このデッキにはいくつかのマナ加速パターンがあるが、よくある流れとして1例を挙げてみよう。
なんと、ただ土地を4枚置くだけで《無限に廻るもの、ウラモグ》が手札から登場するのだ。
最後の《微光地》が《ウギンの目》だったりすると、その後《引き裂かれし永劫、エムラクール》につながったりもする。ウルザ地形よりもそろえるのが簡単で、安定したマナ爆発力が魅力である。
とはいえデッキが《雲上の座》に大きく依存しているため、《雲上の座》を確実に入手できる手段が必須である。
《古きものの活性》はエルドラージや《忘却石》も手に入れることができるし、《探検の地図》は緑マナが足りないときに《森》を持ってきたり、ライフが足りないときに《微光地》を持ってきたりと、どちらも汎用性が高い。
スタンダードと同じように、《原始のタイタン》から《雲上の座》につなげ、大技フィニッシュといった流れもある。
この手のデッキは《翻弄する魔道士》や《記憶殺し》に完封されることがあるため、勝ちカードの種類はいくつか用意しておいた方がよいだろう。
ちなみにいずれのデッキにも、サイドボードに《解放された者、カーン》が採用されている。理論的には3ターン目にプレイ可能だ。
すでにMOの世界ではそこそこ使われるデッキとなっており、サイドから《幽霊街》や《すき込み》がバンバン飛んでくる。赤いデッキなら《月の大魔術師》も当然入ってくるだろう。とにかく土地を守る方法に乏しいため、こういった場合も相手の妨害より先に全力で回る以外に対処法があまりなく、しっかり対策されたときの抜け道が狭い点は弱点だ。
同様の理屈で、ミラーマッチの対策も土地を攻めるカードで良いだろう。紹介したデッキにも、《ヴィダルケンの策謀者》や《内にいる獣》がきっちり入っている。先にペースを掴んだ方の一方的な虐殺ゲームになることが多いため、とにかく軽いカードを採用しよう。
では、次のデッキを紹介したいと思う。
6 《森》 4 《山》 4 《銅線の地溝》 4 《火の灯る茂み》 4 《カープルーザンの森》 -土地(22)- 4 《炎族の先触れ》 4 《低木林の旗騎士》 4 《エルフの幻想家》 4 《狼骨のシャーマン》 3 《獣相のシャーマン》 4 《憤怒の鍛冶工》 1 《ヴィティアの背教者》 4 《血編み髪のエルフ》 -クリーチャー(28)- |
4 《稲妻》 3 《噴出の稲妻》 3 《暴走の先導》 -呪文(10)- |
4 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 3 《ヴィリジアンのシャーマン》 4 《強情なベイロス》 1 《ヴィティアの背教者》 3 《焼却》 -サイドボード(15)- |
これはなんとも懐かしいニオイがする、それでいて強そうなデッキである。
ローウィンブロックの限定構築で赤単シャーマンというデッキがあったが、これはそのアップデート版とでも言うべきだろうか。
20 《山》 4 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《炎族の先触れ》 4 《威嚇者の信徒》 4 《難問の鎮め屋》 4 《煙束ね》 1 《巡礼者アシュリング》 4 《憤怒の鍛冶工》 3 《雷叫び》 -クリーチャー(24)- |
4 《タール火》 4 《つっかかり》 4 《炎の投げ槍》 -呪文(12)- |
2 《アッシェンムーアの抉り出し》 2 《恨み唸り》 3 《炎の突き》 3 《悪意に満ちた幻視》 3 《燃えさしの突風》 2 《ツキノテブクロのエキス》 -サイドボード(15)- |
とにかく「《憤怒の鍛冶工》命!」といったデッキである。適当にシャーマンを並べて、《憤怒の鍛冶工》の能力を発動させればいきなりとんでもないダメージが入る。
《低木林の旗騎士》がいると大幅に展開力がアップするため、是非2ターン目にプレイしたいところだ。
先ほどの《雲上の座》と同様に、こちらも《憤怒の鍛冶工》の有無がゲームを大きく左右するため、このカードにアクセスする方法が複数用意されている。
1ターン目に《炎族の先触れ》からライブラリートップに積むもよし、《獣相のシャーマン》でサーチするもよし。
少し確実性に欠けるが、《暴走の先導》や《血編み髪のエルフ》から登場することも考えると、かなりの確率でたどり着くことができるだろう。
しかし、それにしてもよくこれだけのシャーマンを探してきたものである。特にサイドボードの《ゴブリンの廃墟飛ばし》が注目の1枚。これは気付かなかった・・・。
複数のクリーチャーを並べて強化するデッキのため、全体除去に対しては非常に弱い。その弱点を補いつつマナベースも強化できるので、ナイスシャーマンとして《変わり谷》を何枚か使ってみてはいかがだろうか。
それと《カープルーザンの森》が《踏み鳴らされる地》よりも優先している点は気になるところである。なにか理由があったのだろうか?
では最後にもう1つのデッキ紹介を。
4 《森》 2 《沼》 2 《草むした墓》 1 《神無き祭殿》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 1 《ゴルガリの腐敗農場》 1 《地平線の梢》 1 《陽花弁の木立ち》 1 《寺院の庭》 1 《黄昏のぬかるみ》 1 《宝石の洞窟》 -土地(23)- 4 《極楽鳥》 3 《臓物の予見者》 1 《貴族の教主》 4 《根の壁》 3 《シルヴォクののけ者、メリーラ》 1 《獣相のシャーマン》 1 《闇の腹心》 1 《潮の虚ろの漕ぎ手》 4 《台所の嫌がらせ屋》 1 《永遠の証人》 1 《残忍なレッドキャップ》 1 《イーオスのレインジャー》 1 《酸のスライム》 1 《影武者》 1 《目覚ましヒバリ》 1 《明けの星、陽星》 1 《変幻の大男》 -クリーチャー(30)- |
4 《出産の殻》 3 《召喚の調べ》 -呪文(7)- |
2 《萎縮した卑劣漢》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《呪文滑り》 1 《調和スリヴァー》 1 《強情なベイロス》 1 《皮裂き》 3 《思考囲い》 2 《強迫》 1 《四肢切断》 1 《記憶殺し》 -サイドボード(15)- |
スタンダードでもすっかり上位の常連となった《出産の殻》を主軸にしたデッキを、モダン環境にアップデートするとこんなに無限コンボが入りました!というデッキ。当時からマジックをやっていたプレイヤーであれば、「あったあった!」と思うコンボが満載である。
キーカードとなるのは、自分のクリーチャーを自由に墓地へ送り込む《臓物の予見者》。このカードを軸に、2種類の無限エンジンを回すのが主な勝ち筋だ。
1つ目は《シルヴォクののけ者、メリーラ》と《台所の嫌がらせ屋》、もしくは《残忍なレッドキャップ》の頑強セット。頑強の能力でこれらのクリーチャーが戦場に帰ってくる際に、-1/-1カウンターが置かれないため何度でも戦場と墓地を往復することができる。この3枚が揃えば無限ライフか無限ダメージが完成する。デッキの中身を知らずに対戦していると、即死するので注意しよう。
ちなみに、クリーチャー主体のコンボデッキでよく使われる《変幻の大男》は、1枚でこの無限コンボを成立させることができる。《出産の殻》の最終到達点=無限コンボで勝ち、という分かりやすい構成だ。
2つ目は《目覚ましヒバリ》と《影武者》のコンボ。《目覚ましヒバリ》が墓地にいる状態で、《影武者》を戦場に《目覚ましヒバリ》として出せば、墓地に落ちるたびに自身とパワー2以下のクリーチャー1体を釣ることができる。
先ほどの《残忍なレッドキャップ》でも良いし、《酸のスライム》で土地を破壊し尽くしても、《根の壁》で無限マナを得ても良い。
いずれにしても《臓物の予見者》が必須パーツだが、これは《獣相のシャーマン》、《召喚の調べ》などから引っ張ってくることができる。
どちらのコンボも成立可能性が高く、回していて非常に楽しいデッキなのでオススメである。
さて、モダンのさわりとして今回はいくつかのデッキを紹介したが、今週末はいよいよプロツアー・フィラデルフィアが開催される。
どんなデッキが登場するのか、今から非常に楽しみな一方、そこで活躍したデッキのコピーばかりが世に溢れてしまうのは残念なところ。せっかくの広大な、多様性のあるフォーマットなので、思い入れのあるカードを駆使して末永く付き合っていきたいものだ。
ちなみにここで紹介したどのデッキも、ライブラリーから特定のカードを探してくるシステムを採用してデッキの安定性を高めている。
他にも《緑の太陽の頂点》を活用したエルフや《けちな贈り物》を主軸にしたコントロールデッキ、《聖遺の騎士》やフェッチランドなどが環境に存在しており、アンチカードとして《疑念の影》《エイヴンの思考検閲者》などにスポットライトが当たるかもしれない。
いずれにしてもプロツアーに注目しよう。
ではまた次回!!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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