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プロツアー・フィラデルフィア11
(現地取材) 中島主税 トップ8への道
by Naoki Shimizu
第13ラウンド終了時点、日本勢でトップを走っていたのはやはり中島 主税(東京)であった。
初日を1敗で終えた後、2日目で2敗を喫してしまい3敗となってしまったところだったが、まだまだトップ8の目は充分に残っている。
彼が操るデッキは赤単の『親和』だ。《電結の荒廃者》《エイトグ》といったクリーチャーを、《投げ飛ばし》するという非常に爽快なデッキでありつつサイドボードから《血染めの月》を用意するという、いかにもモダンなデッキである。
そんな中島の最終3ラウンドを追ってみた。
まず第14ラウンド。ここで登場するのがこの男。 Brian Kibler(アメリカ)である。 昨年のグランプリ・仙台を制したことでも恐らく日本の多くの方に知られているプレイヤーであろうかと思う。 まさしく「強豪」という言葉が相応しい人物。2009年にプロツアー・オースティンを優勝したときの『Zoo』を思い起こさせる新デッキ、『Counter Cat』を引っさげて中島を迎え撃つ。
金属術を達成しているこの勇者は、「ドラゴンマスター」Brian Kiblerの望みをまさしく1枚で完封してのけた!
中島 2-0 Kibler
3敗キープとなった中島。この次のラウンドを勝てば、その次をIDしてトップ8というラインに立てる。 大事な大事な第15ラウンド。立ちはだかったのは今年のプロツアー・パリでもトップ8入賞を果たしているVincent Lemoine(ベルギー)だ。 この山のように大きな男が操るデッキは赤緑の《雲上の座》。《原始のタイタン》が5枚デッキに入っているのではないかとすら思わせる雰囲気だ。 一方その内面はとっても気さく。中島を相手に「よろしくおねがいします」と非常に流暢な日本語でご挨拶。「日本の漫画が好きなんだ」とのことだ。 これには中島もニッコリ。円満な雰囲気で、決戦が始まる。
一方の中島。敗れはしたものの、オポーネントマッチパーセンテージではトップ。もし最終戦を勝てば、8位に滑り込める可能性が残っている! 最終戦、この戦いさえ勝てば!! Round 16、対戦相手はJosh Hakakian(アメリカ)。 勿論、相手にとっても勝てばトップ8、というところを賭けた大一番だ。 泣いても笑ってもこれが最終戦。中島が最後の望みを賭けて、最終戦のフィーチャーマッチエリアの席につく。 対戦相手のデッキは青赤。ストームコンボ、《紅蓮術士の昇天》、そして《欠片の双子》とバリエーションが豊富だがどれもみな「コンボ」であることは変わらない。今大会でも「青赤」という括りでは最多勢力だ。
《倦怠の宝珠》!!!
1ターン目に《倦怠の宝珠》を置きながら、更にそれが対処されても《詐欺師の総督》を撃ち落とせる《感電破》がある!
相手の《定業》の返し、すぐさま1ターン目に《羽ばたき飛行機械》《ダークスティールの城塞》《オパールのモックス》から、《倦怠の宝珠》を設置! 動揺するHakakikan。なぜデッキがバレているんだ・・・。と。
中島は、これで終わりではないとばかりに《墨蛾の生息地》《信号の邪魔者》《羽ばたき飛行機械》で攻め立てる。
ブロッカーとして登場した《やっかい児》はすぐ《感電破》で撃ち落とし、クロックとして《ちらつき蛾の生息地》も追加していく。
《倦怠の宝珠》で完全に手が止められてしまったHakakian、《信号の邪魔者》で強化された「ちらつき蛾」軍団を止めることはできなかったのだった・・・!!
中島 2-0 Hakakian
Hakakian "I made a lot of mistakes in the last couple of games, you are better. I hope you win tomorrow."
(この試合、僕は沢山のミスを犯したと思う。君のほうが上手だ。明日、君に勝って欲しい。)
彼もまた、素晴らしいスポーツマンシップの持ち主であった。
人事は尽くした。あとは、天命を待つのみだ。 スタンディングが発表される。そのとき中島は、仲間の中でただひたすら祈るしかなかった。 そして・・・ "8th Place, 36 points...." "From Japan!!!" おめでとう、中島 主税!
まず第14ラウンド。ここで登場するのがこの男。 Brian Kibler(アメリカ)である。 昨年のグランプリ・仙台を制したことでも恐らく日本の多くの方に知られているプレイヤーであろうかと思う。 まさしく「強豪」という言葉が相応しい人物。2009年にプロツアー・オースティンを優勝したときの『Zoo』を思い起こさせる新デッキ、『Counter Cat』を引っさげて中島を迎え撃つ。
Game 1
Kibler、痛恨、ダブルマリガン。 中島は容赦なく、《メムナイト》《バネ葉の太鼓》から、《電結の荒廃者》《金属ガエル》とつなげKiblerを攻め立てる。 守るしかないKiblerは《流刑への道》で《電結の荒廃者》を退けるが、その後中島が組み上げた《頭蓋囲い》に対する解答を、2枚ハンデのKiblerは持ち合わせていなかった。 中島 1-0 KiblerGame 2
両者7枚でキープ。 らしくない展開となってしまったKiblerから、今度こそはという強い思念が伝わってくるようだ。 そんな思いを乗せて、《野生のナカティル》が滑り出す。 だが中島は落ち着いてこれを《感電破》の2点で退ける。 そして続くターンにはお返しとばかりに超展開! 《ダークスティールの城塞》をからめつつ《頭蓋囲い》《オパールのモックス》、そして《金属ガエル》!! さきほどのようにはやられまいと《金属ガエル》を《稲妻のらせん》で退けるKiblerは、続いて5/5の《聖遺の騎士》を送り出す。 だが中島の展開は止まらない。 《頭蓋囲い》の2枚目から、《墨蛾の生息地》を置きつつ《信号の邪魔者》《羽ばたき飛行機械》と展開。一気に毒殺も見えてくるという状況だ。 Kiblerは手札に《ギデオン・ジュラ》を抱えている。なんとかここまで辿りつきさえすれば!というところ。 そして戦場に《タルモゴイフ》を加え、《聖遺の騎士》とあわせて10点のクロックを作り出す。2回攻撃を通すことができれば勝利する算段だ。 その前に、と中島は《頭蓋囲い》を纏わせた《墨蛾の生息地》と《信号の邪魔者》で攻撃し、Kiblerの残る最後の《稲妻》を使わせる。毒殺こそできなくなったが、《頭蓋囲い》2枚があれば充分Kiblerを倒すのに事足りる。 Kiblerは力強くドローし、《聖遺の騎士》《タルモゴイフ》で10点ダメージを決めつつ、とうとう《ギデオン・ジュラ》を着地させる。+2能力を使っても《ギデオン・ジュラ》は一撃で倒されてしまうが、チャンプブロッカーさえ出されなければ次の攻撃でKiblerは勝つというプランだ。もしチャンプブロッカーを出されてしまっても、それを除去する呪文を引けばよい。 だがそのKiblerのプランを完全に粉砕する一枚が降臨した。3敗キープとなった中島。この次のラウンドを勝てば、その次をIDしてトップ8というラインに立てる。 大事な大事な第15ラウンド。立ちはだかったのは今年のプロツアー・パリでもトップ8入賞を果たしているVincent Lemoine(ベルギー)だ。 この山のように大きな男が操るデッキは赤緑の《雲上の座》。《原始のタイタン》が5枚デッキに入っているのではないかとすら思わせる雰囲気だ。 一方その内面はとっても気さく。中島を相手に「よろしくおねがいします」と非常に流暢な日本語でご挨拶。「日本の漫画が好きなんだ」とのことだ。 これには中島もニッコリ。円満な雰囲気で、決戦が始まる。
Game 1
またしてもダブルマリガンとなったLemoine。それに対して中島は《大霊堂のスカージ》から《金属ガエル》3連打の猛攻!! 《エイトグ》こそ《内にいる獣》するLemoineだったが、もちろんこのカエル軍団を押しとどめる術はなかった。 中島 1-0 LemoineGame 2
両者7枚キープ。Lemoineは《森》を用意しつつの《草茂る胸壁》、さらに《炎渦竜巻》で中島の軍勢を一掃する立ち上がり。 中島はキラーカード《血染めの月》でVincentの動きを封じにかかるが、《草茂る胸壁》と《森》あわせて{G}{G}が出る状況では《血染めの月》は無力。 《原始のタイタン》が降臨し、《内にいる獣》で月が獣となると、伝説のエルドラージが永劫を引き裂くまでには時間がかからなかった。 中島 1-1 LemoineGame 3
中島は土地さえ引ければ2ターン目に《血染めの月》が置けるという手札に賭ける。 しかしVincentの対応は完璧だった。見事2ターン目に《血染めの月》を置いた中島をあざ笑うように《グルールの印鑑》、そして《草茂る胸壁》と展開し、さらに《緑の太陽の頂点》で《草茂る胸壁》を追加して加速。 2ターン目の《血染めの月》以降元気の無い中島をよそに、《原始のタイタン》を進撃させ、あとは《原基の印章》で月をさばくと、あっという間に中島の希望を撃ち砕いたのだった。 中島 1-2 Lemoine だがLemoine、運が無かった。このラウンドで勝利しトップ8を確定させたかと思われたのだが、次のラウンドで対決したのはIDが許されないSam Black(アメリカ)。 ここで相性の悪い「モダン感染」とマッチングされ、敗北。トップ8を逃すと言う憂き目に遭うのだった。一方の中島。敗れはしたものの、オポーネントマッチパーセンテージではトップ。もし最終戦を勝てば、8位に滑り込める可能性が残っている! 最終戦、この戦いさえ勝てば!! Round 16、対戦相手はJosh Hakakian(アメリカ)。 勿論、相手にとっても勝てばトップ8、というところを賭けた大一番だ。 泣いても笑ってもこれが最終戦。中島が最後の望みを賭けて、最終戦のフィーチャーマッチエリアの席につく。 対戦相手のデッキは青赤。ストームコンボ、《紅蓮術士の昇天》、そして《欠片の双子》とバリエーションが豊富だがどれもみな「コンボ」であることは変わらない。今大会でも「青赤」という括りでは最多勢力だ。
Game 1
ダイスロールの結果先手は中島。 土地が1枚だが、《大霊堂のスカージ》と《メムナイト》が2体というまずまずの初手をキープ。 なかなか土地が伸びない中島だが、こつこつと3点ずつのクロックを刻む。 なおも、土地が引けない。 僕はこの光景に覚えがある。日本選手権決勝、石田龍一郎(愛知)が、ダブルマリガン後、細いクロックながらも決して諦めずに攻撃し続け勝利を得た瞬間だ。 土地が止まってしまっても、盤面にいるクリーチャーが1/1だけだったとしても、決して諦めない。次のドローこそは、必要なカードを引いて見せるんだ! 中島のクロックが遅いうちに、とHakakianは3ターン目に《知識の渇望》で青赤のコンボとしての手札を整えにかかる。 4ターン目。念願叶い、ついに《オパールのモックス》を手に入れた中島は、《電結の荒廃者》を追加することでなんとか次のターンには相手を倒せる「詰めろ」の状態を作り上げることに成功する! 先ほどの《知識の渇望》でHakakianのコンボが完成していなければ或いは・・・? 土地が4枚となったHakakikan。なんと、自らを倒そうとする中島の《電結の荒廃者》が膨れ上がるのを、ただ見ているしかなかったのだった。 中島 1-0 Hakakikan 中島の視点でみると、まだHakakianがどういったコンボをプレイしているのかはわからないかもしれない。 なんにせよ、《知識の渇望》以外は目立った呪文をプレイしていないのだ。 ただ、中島は見抜いていた。試合後、こう語ってくれた。 「相手は《滝の断崖》を置いていた。ということは、{U}{U}か{R}{R}が必要になるデッキ。ということは・・・《欠片の双子》!」Game 2
そして中島に「神の手」が舞い降りた。 《信号の邪魔者》《羽ばたき飛行機械》 《オパールのモックス》《ダークスティールの城塞》《墨蛾の生息地》 《感電破》 そして、人事は尽くした。あとは、天命を待つのみだ。 スタンディングが発表される。そのとき中島は、仲間の中でただひたすら祈るしかなかった。 そして・・・ "8th Place, 36 points...." "From Japan!!!" おめでとう、中島 主税!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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