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プロツアー『サンダー・ジャンクション』
数字で紐解く強豪チーム:Handshake Ultimate GuardとChannelFireball Ultimate Guard
2024年4月23日
近年の競技シーンは、2つの強豪チームが席巻している:チーム「ChannelFireball Ultimate Guard」とチーム「Handshake Ultimate Guard」だ。プロツアーが復活した2023年以降、大半のトーナメントはいずれかのチームに所属するものによって制覇され、チームメンバーは世界屈指のプレイヤーとして広く認知されている。
各チームについてはコービン・ホスラー/Corbin Hoslerが以前に紹介しているが、本記事ではより分析的なアプローチを加えて紹介するつもりだ。プロツアー『サンダー・ジャンクション』に挑むメンバーたちが、いかに優れているかを示すデータの宝庫に目を向け、プロツアーでも突出したこの2チームについて数字で紐を解いてみよう。
参加メンバー
チーム「Handshake Ultimate Guard」(以下、Handshake)からは以下の11名がプロツアー『サンダー・ジャンクション』に参加する:
Anthony Lee
Christoffer Larsen
David Inglis
Eli Kassis
Javier Dominguez
Jesse Hampton
Karl Sarap
Matti Kuisma
Nathan Steuer
Simon Nielsen
Stefan Schütz
チーム「ChannelFireball Ultimate Guard」(以下、CFB)からは以下の13名がプロツアー『サンダー・ジャンクション』に参加する:
Arne Huschenbeth
Brent Vos
Gabriel Nassif
Jim Davis
Logan Nettles
Martin Jůza
Matt Sperling
Maxx Kominowski
Reid Duke
Samuel Pardee
Seth Manfield
Theodore Jung
Tommy Ashton
チームメンバーはトーナメント毎に変動があるため、各チームについて全期間の戦績を参照するのではなく、プロツアー『サンダー・ジャンクション』に参加するメンバーに限定してメスを入れよう。
殿堂プレイヤー
Handshake Ultimate Guard:0
ChannelFireball Ultimate Guard:4
「プロツアー殿堂」は、このゲームで最も偉大で影響力の大きなプレイヤーを称える制度だ。長年にわたって、殿堂顕彰者は戦績、腕前、潔白性、スポーツマンシップ、そしてコミュニティへの貢献度を元に選出されてきた。現在のシステムにおいては、殿堂顕彰者には年に一度任意のプロツアーへと参加できる権利が与えられる。
この分野に関しては、現役プレイヤーとして活躍する殿堂顕彰者を最も多く擁するCFBに軍配が上がる。長年にわたり共闘・競合を繰り返してきた熟練のプレイヤーたる彼らは、大型のトーナメントに向けて結束をする以前には、彼らの考えや発見をしばしばChannelFireball.comに寄稿していた。伝説的プレイヤーであるルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargaとカイ・ブッディ/Kai Buddeも、通常CFBと共に調整を行う2人だが、今回は殿堂顕彰者としての権利を使わずにプロツアー『サンダー・ジャンクション』に参加することを選択した。数十年にわたるプロツアーでの活躍から、ときにCFBは“old guard”と呼称される。
一方、Handshakeはオンラインの競技シーンにルーツを置くチームだ。キャプテンのデイヴィッド・イングリス/David Inglisは「みんなMagic Onlineで行われるPTQや、MTG Arenaの予選ウィークエンドに度々挑んでいましたから、多くのメンバーは互いを認知してましたよ」と語る。「コロナが蔓延していた時期はオンラインが競技シーンの主戦場となり、我々のようなプレイヤーにとって戦いやすい場や、自身の強さを証明できる機会が増えたのです。オンライン予選でセット・チャンピオンシップへの権利を勝ち取ったプレイヤーを見つけてはチームに誘うようにし、徐々に成功を重ね高い安定感を誇るチームが生まれました。」
世界選手権王者
Handshake Ultimate Guard:2
ChannelFireball Ultimate Guard:1
「世界選手権」はその年の頂点を決めるイベントであり、世界王者となることは比類のない偉業だ。今年は記念すべき30回目となる「第30回世界選手権」が開催される。
Handshakeには2018年に世界王者として戴冠したハビエル・ドミンゲス/Javier Domínguez、そして2022年世界王者であるネイサン・ストイア/Nathan Steuerと、2人の王者がいる一方で、CFBには2015年世界王者のセス・マンフィールド/Seth Manfieldがいる。「世界選手権」という分野においてはHandshakeが優勢だ。
生涯トップフィニッシュ回数
Handshake Ultimate Guard:40(1人あたり3.6回)
ChannelFireball Ultimate Guard:59(1人あたり4.5回)
「トップフィニッシュ」とは、プロツアーやセット・チャンピオンシップなど、世界規模のトーナメントでトップ8やトップ4などのプレイオフ・ラウンドへと進出することを意味する。より詳細な定義についてはTop Finishesにて解説されている。
両チームを比較すると、CFBの生涯トップフィニッシュ回数が59回と、Handshakeを上回る数字となっている。彼らがこれまでいかに安定的な活躍をしていたかがはっきりと見てとれる。この栄誉の大部分は、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassif(16回)、セス・マンフィールド(11回)、そしてリード・デューク/Reid Duke(8回)と、彼ら殿堂顕彰者の華々しい戦績が貢献している。
Handshakeにおいてこの分野で突出してるのはハビエル・ドミンゲスだ。9回のトップフィニッシュ経験のあるハビエルは、Handshake内で最も経験値の高いプレイヤーであり、その経験を大いにチームへの貢献へと活かしている。
大型トーナメントでの生涯優勝回数
Handshake Ultimate Guard:7(1人あたり0.6回)
ChannelFireball Ultimate Guard:11(1人あたり0.8回)
「大型トーナメントでの優勝」とは、「トップフィニッシュ」にカウントされる世界規模のトーナメントでの優勝を示すものだ。
両チームを比較すると、CFBが11回という数値でHandshakeよりも前を走っている。特筆すべきは、前項でも名前を挙げた3名の殿堂顕彰者の貢献度が高いことだ。セス・マンフィールドは「世界選手権2015」、プロツアー『イクサラン』、「2020ミシックインビテーショナル」、プロツアー『カルロフ邸殺人事件』と四度の優勝でチーム全体の数値を底上げしており、ガブリエル・ナシフも「プロツアー・アトランタ2005」と「プロツアー・京都2009」の二度、そしてリード・デュークは「2011 Magic Online Championship Series」とプロツアー『ファイレクシア』で二度の優勝を果たしている。
Handshakeの戦績を見ると、この項目においてはネイサン・ストイアが頭一つ抜けている。「2021 Magic Online Championship Series Season 3」、「2022 Magic Online Championship Series Season 2」、「第28回世界選手権」、プロツアー『機械兵団の進軍』と、四度の優勝経験のあるネイサン。近年の競技シーンは彼の独壇場であったと言っても過言ではない活躍ぶりだ。
直近のプロツアー優勝回数
Handshake Ultimate Guard:1
ChannelFireball Ultimate Guard:2
2023年にプロツアーが復活して以来、4つのうち3つのプロツアーはHandshake、CFBのいずれかのチームメンバーが優勝している。 CFBからは、リード・デュークがプロツアー『ファイレクシア』を「イゼット独創力」で、そしてセス・マンフィールドがプロツアー『カルロフ邸殺人事件』を「ラクドス吸血鬼」で優勝している。Handshake側はネイサン・ストイアのプロツアー『機械兵団への進軍』での優勝がここに名を連ねる。またしても、CFBがHandshakeに対して白星をあげる分野となった。
近年のトーナメント戦績
Handshake Ultimate Guard:866勝559敗 (勝率60.8%)
ChannelFireball Ultimate Guard:913勝655敗 (勝率58.2%)
上記の数値は近年開催された世界規模のトーナメントでの勝敗数を示している。具体的には、以下のトーナメントが含まれる:「2020プレイヤーズツアーファイナル」、「2020年シーズン・グランドファイナル」、「2020ミシックインビテーショナル」、『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ、『カルドハイム』チャンピオンシップ、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ、「イニストラード・チャンピオンシップ」、「神河チャンピオンシップ」、「ニューカペナチャンピオンシップ」、「第28回世界選手権」、プロツアー『ファイレクシア』、プロツアー『機械兵団の進軍』、プロツアー『指輪物語』、「第29回世界選手権」、プロツアー『カルロフ邸殺人事件』。両チームを比較すると、Handshakeの本プロツアー参加メンバーの勝率が、CFBの数値を上回っている。
Handshakeの中でも特に高いパフォーマンスを誇るのが、昨シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤーであるサイモン・ニールセン/Simon Nielsenで、勝率は驚異の65.5%(114勝60敗)。サイモンに続くデイヴィッド・イングリスも64%(110勝62敗)素晴らしい戦績を上げており、マティ・クイスマ/Matti Kuismaも62.4%(93勝56敗)と引けを取らない。
CFBでトップの戦績を誇る3人はジム・デイヴィス/Jim Davis(62.8%、71勝42敗)、セス・マンフィールド(62.4%、121勝73敗)、リード・デューク(61.4%、113勝71敗)だ。
念のために補足をすると、これらの数値はプロツアー『サンダー・ジャンクション』に参加するメンバーのみの戦績を反映している。つまりイーライ・カシス/Eli Kassisの戦績はHandshake側に含まれていて、本プロツアーへの権利を有していないメンバーの戦績は含まれていない。今回の寸評はプロツアー『サンダー・ジャンクション』に特化した、瞬間的な戦力を示すものだ。そしてこの分野においては、HandshakeがCFBに勝る結果となった。
近年の直接対決戦績
Handshake Ultimate Guard:42勝41敗(勝率50.6%) vs. CFB
ChannelFireball Ultimate Guard:41勝42敗(勝率49.4%) vs. Handshake
上記の数値が示しているのは、前項で挙げたトーナメントにおいて、両チームのうちプロツアー『サンダー・ジャンクション』に参加するメンバーが、もう一方のチームメンバーと対戦した際の結果だ。これらはMTGMelee上のデータを用い算出し、スイス・ラウンドの結果はすべて網羅している。しかしながら、トップ8ラウンドの結果についてはすべてが反映されているわけではない。
両チームの戦績に顕著な違いはなく、Handshakeが僅差でリードしている。特筆すべきはHandshakeの中でも特に勝率の高いデイヴィッド・イングリス。現行のCFBメンバーとの対戦においては9勝3敗と驚くべき戦績を収めている。大きなブレイクスルーとまでは至っていないものの、全体での戦機が64%であることも加味すると、Handshakeのキャプテンたるデイヴィッドは間違いなく驚異的な存在だ。近年高い安定感を持って各トーナメントで好成績を残す彼は、その道中で幾度となくCFBのメンバーに勝利してきたのだ。
結論
以上、単に「ライバル」という言葉だけではやや物足りない関係性を築くCFBとHandshakeの両チームが、いかにしてマジック最高峰のレベルを誇るトーナメントにおいて、彼らの強さや偉業を見せてくれたかを記した。彼らの活躍は、今後のイベントにおいても観戦の楽しみを増幅させてくれるものだ。
プレイ歴で勝るCFBは、生涯戦績や殿堂顕彰者の数、トップフィニッシュ回数や大型トーナメントでの生涯優勝回数でHandshakeを上回った。これらの数字は彼らが長年の戦いで培った能力の高さや、経験の豊富さを物語っている。
一方でHandshakeは近年開催されたトーナメントでの対CFB戦績で優位を取っている。2020年シーズン以降の彼らの目覚ましい活躍は、進化止まらぬマジックの競技シーンへと適応する彼らの能力の高さを物語っている。
分析的にいずれかのチームが他方に勝っているとは名言しがたい。両チームとも素晴らしい戦績を誇り、比類なきデッキビルダーを擁し、世界最高峰の腕前を持つプレイヤーがいるのだ。本プロツアーも、また王者がHandshakeかCFB、いずれかのチームから輩出されても驚かないだろう。
あなたがたは、どちらのチームからプロツアー『サンダー・ジャンクション』の王者が誕生する確率が高いと思うだろうか?ぜひ、#PTThunderをつけてご意見を聞かせてほしい。4月26~28日に行われる生放送もお見逃しなく!
日本語版注:日本語での情報は、以下のメディアからお届けします。
- Twitter @mtgjp (マジック日本公式アカウント)
- Twitter @MTGArenaJP (MTGアリーナ日本公式アカウント)
「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」の模様は、全日程で日本語実況で公式生放送! 放送スケジュール・放送ページは以下のとおりです。
「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」日本語放送情報
日程 放送日・放送時間 放送ページ 1日目 4月26日(金) 27:00(翌03:00)~ 「YouTube」 2日目 4月26日(土) 27:00(翌03:00)~ 3日目 4月28日(日) 26:00(翌02:00)~ 日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717)
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007)
- 実況:岩SHOW(@suicidman)
- 解説:黒田正城(@masashiro41236)
- 解説:松本友樹(@torauoo)
- 解説:加藤健介(@katoken6017)
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