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EVENT COVERAGE
プロツアー『マジック・オリジン』
第13回戦:Shaun McLaren(カナダ) vs. Matthew Sperling(アメリカ)
Marc Calderaro / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2015年8月1日
ショーン・マクラーレン/Shaun McLaren (世界ランキング9位/アブザン・ラリー) vs. マシュー・スパーリング/Matthew Sperling (アブザン・コントロール)
両プレイヤーともプロツアーの2日目常連である。ベイエリアのマシュー・スパーリング、 アルバータ州生まれの世界ランキング9位ショーン・ラクラーレン、どちらもプロツアーのトップ8に残ったことがあり、マクラーレンはプロツアー『神々の軍勢』の王者だったのだ。
この対戦は長期戦になると思われた。アブザン・コントロールでかなりの長期戦になることはあり得る。手札や戦場にあるすべてをコントロールしてから、1/1の兵士やサイ、精霊龍などで大蛇が締め付けるように対戦相手のライフをゆっくりと削っていくことが狙いだ。
マクラーレンのアブザン結集もまた対戦相手によっては遅くなることがある。《先祖の結集》を使うのに最高のターンが来るまで待ち、大量のカードを引いて《ナントゥーコの鞘虫》などを使った大ダメージの攻撃をたたき込むのだ。マクラーレンは先週末にこのデッキについて知り、それからかなりの合理化を施している。変更した中で最も気に入っている部分を尋ねたところ、彼は《エルフの幻想家》を指さし、力強く叩いて見せた。
マクラーレンはこの対戦を相性がいいと見て、コントロール・デッキの束縛を逃れられると期待していた。
ゲーム展開
第1ゲーム、マクラーレンは第3ターンのメイン・フェイズに《集合した中隊》を唱え、攻撃を仕掛けようとする。前のマッチでは彼はもっとコントロール寄りだった(たとえば赤アグロの脅威に対するように)ところを見せていたが、スパーリングの大型アブザン・デッキを相手にしてはサイが暴れ出す前に攻撃を仕掛ける必要があったのだ。
スパーリングのデッキはスムーズに展開していった。マクラーレンの序盤の攻撃は《包囲サイ》2体がひっくり返し、続けて《思考囲い》をたたき込んで(手札は《先祖の結集》《先祖の結集》《異端の癒し手、リリアナ》《サテュロスの道探し》《エルフの幻想家》だった)、戦場だけでなく相手の手札までコントロールしようとする。
観客から見ると、スパーリングが優勢に見えた。彼はマクラーレンのクリーチャーを押さえ込んでいたが、《先祖の結集》デッキに対してはそれが有利だとは言い切れない。マクラーレンは《ナントゥーコの鞘虫》や2体の《無慈悲な処刑人》を使って自分でもクリーチャーを送り込んでおり、大技を狙って準備していた。
一見するとスパーリングの狙い通りに見えたが、その実はそうではなかった。
やがて、マクラーレンのビッグターンが訪れた。《先祖の結集》で、《モーギスの匪賊》《無慈悲な処刑人》、《エルフの幻想家》2体、《サテュロスの道探し》が(一度に)戦場に戻ってきたのだ。そして既に戦場にいた《ナントゥーコの鞘虫》のおかげで、攻撃は実のあるものになった。
《モーギスの匪賊》の効果で巨大クリーチャーたちが速攻を得て、それ以外のクリーチャーは昆虫の骸骨(ルール上はスケルトンではなくゾンビだが、これはナントゥーコの外骨格の殻なので骸骨なのだ)の餌となる。マクラーレンの突撃だ。
「18点?」 スパーリングが尋ね、ライフメモに書かれた「19」に線を引いて大きく「1」と書いた。
その後、ゲームは終わりを告げる。マクラーレンはコントロール・デッキの支配から逃れたのだ。
第2ゲームで、マクラーレンはマリガンして土地1枚の手札をキープする。占術2回(土地の効果と、バンクーバー・マリガン)と《エルフの幻想家》があるので、なんとか体勢を立て直せると見たのだ。
スパーリングの第1ターンの《思考囲い》が状況を変えた。マクラーレンの手札は《不気味な腸卜師》《不気味な腸卜師》《疾病の神殿》《ナントゥーコの鞘虫》《エルフの幻想家》、それに《先祖の結集》。
「じゃあ《先祖の結集》」
さらに次のターン、スパーリングは「もう一度」といいながらさらなる《思考囲い》を唱え、今度は《エルフの幻想家》を奪う。マクラーレンは2枚目の土地を引けなかっただけでなく、カードを引いて立て直す手段も失ってしまったのだ。
4ターン後、マクラーレンはようやく2枚目の土地を引いたが、スパーリングは毎ターン土地を並べ、《アブザンの魔除け》を構えてマクラーレンにとどめを刺すところだった。《アブザンの魔除け》と《思考囲い》で、マクラーレンはほとんど麻痺してしまっていた。
スパーリングが第7ターンに《精霊信者の賢人、ニッサ》を変身させ、目覚めし世界、アシャヤを呼び出すと、ゲームはほぼ終わりを告げた。しかも、マクラーレンの土地はまだ2枚のままだった。
ここに至って、平然としていたマクラーレンの表情に小さな笑みが浮かんだ。このゲームはあまりにもばかげていて、もうやることはなかった。マクラーレンが文字通り呪文を唱えることもできなかった、第11ターンのことだった。
スパーリングはマクラーレンが倒れるまで、ただ毎ターン4/4で攻撃しているだけだった。
カードを集めた後、マクラーレンは小さく笑いながら言った。「遅くて辛かったよ」
「アブザンだからね」 そんな返事が返ってきた。
最終ゲーム、マクラーレンはマリガン後の占術を使って3枚目の土地をライブラリーの一番下に送った。彼は2ターン目に《森の女人像》を、さらに第4ターンには《集合した中隊》を打てる体勢が整っており、必要なのはさらなる燃料だった。手札は5枚になっていたが、《エルフの幻想家》と《不気味な腸卜師》で手札を整え、デッキを掘り進めることができる。
スパーリングは対戦相手の動きを記録し、そして危険を逃れられるのに充分なだけの呪文を唱えた。《思考囲い》、《英雄の破滅》、そして《黄金牙、タシグル》で体裁を整えていく。しかしゲームの大局を動かしていたのはマクラーレンだった。《エルフの幻想家》3体が最高の働きを見せる。単にドローを整えるだけでなく、攻撃もする。その攻撃だけで、対戦相手のライフは11点まで削られていた。これは言うまでもなく大チャンスだ。
しかし、マクラーレンが《思考囲い》を打つと、スパーリングの手札は《ラノワールの荒原》《対立の終結》《太陽の勇者、エルズペス》2枚だった。6枚目の土地が出ると、1/1エルフは1/1兵士と対峙することになる。
《英雄の破滅》で《太陽の勇者、エルズペス》は墓地に送られたが、残った《精霊信者の賢人、ニッサ》と《黄金牙、タシグル》がスパーリングに大量のカードを与えはじめる。マクラーレンの手札は空で、スパーリングは毎ターン3~4枚のカードを引き、しかも兵士たちが攻撃を止めていた。
大蛇が獲物を締め付けはじめたのだ。
盤面が落ち着き、マクラーレンの軍勢が一掃されると、スパーリングは4/5クリーチャーで攻撃しはじめた。死を招く締め付けが強まっていく。マリガンを考えるとマクラーレンは本当に健闘したが、アブザンのアドバンテージ・マシーンの前には太刀打ちできなかったのだ。
ショーン・マクラーレン 1-2 マシュー・スパーリング
2 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(21)- 2 《エルフの神秘家》 4 《エルフの幻想家》 4 《サテュロスの道探し》 3 《森の女人像》 4 《不気味な腸卜師》 4 《異端の癒し手、リリアナ》 3 《肉袋の匪賊》 3 《ナントゥーコの鞘虫》 2 《無慈悲な処刑人》 2 《モーギスの匪賊》 -クリーチャー(31)- |
4 《先祖の結集》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
2 《アラシンの僧侶》 2 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《再利用の賢者》 1 《苦悶の神、ファリカ》 2 《思考囲い》 3 《悲哀まみれ》 3 《英雄の破滅》 -サイドボード(15)- |
4 《森》 1 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 2 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 2 《コイロスの洞窟》 4 《静寂の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 3 《棲み家の防御者》 4 《クルフィックスの狩猟者》 3 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《包囲サイ》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(15)- |
4 《思考囲い》 2 《究極の価格》 4 《アブザンの魔除け》 3 《英雄の破滅》 2 《衰滅》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(19)- |
3 《羊毛鬣のライオン》 1 《黄金牙、タシグル》 1 《強迫》 2 《ドロモカの命令》 1 《ファリカの療法》 1 《究極の価格》 2 《悲哀まみれ》 2 《骨読み》 1 《完全なる終わり》 1 《対立の終結》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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