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プレイヤーズツアー・名古屋2020
プレイヤーズツアー・名古屋2020 優勝者・原根 健太 インタビュー
名古屋で決勝が終わるころ、ベルギーではプレイヤーズツアーのヨーロッパ大会にて準々決勝が行なわれているところでした。つまり、原根選手は「世界初のプレイヤーズツアー・チャンピオン」というわけです。
2日間で計18回戦のタフな試合を終えたのち、生放送出演と英語版のインタビューが続き、お疲れのところではありましたが原根選手に快く取材に応じていただきました。
――まず、今回使用した「バント・スピリット」について教えてください。
原根「計11人が参加したチーム『武蔵』の調整で生まれたデッキで、やまけん(山本 賢太郎)さん、瀬畑(市川 ユウキ)さん、宇都宮(巧)、僕の4人で同じデッキを使いました」
――選択した理由は?
原根「現環境におけるポジションの良さです。『バント・スピリット』が苦手とする『赤単アグロ』を、最近流行っているデッキたち――『青黒・真実を覆すものコンボ』や『ヘリオッド・バリスタ』のような――が駆逐してくれたので、相対的にポジションがよくなってきたからです」
――「白青スピリット」デッキとのメインにおける唯一の差は《集合した中隊》ですが、このカードはどれくらい重要なのでしょうか?
原根「白青の場合、そのスペースに《執着的探訪》などが入りますが、リスキーかつ先手後手の差が大きいのに対して、《集合した中隊》はゲームレンジを自分である程度イメージできますし、盤面が不利な状態からでも逆転できる見込みがあります。『白青スピリット』は、押しているときはひたすら強いんですが、いったん押されてしまうと対処できない。今回の構築ラウンドでは後手が10回あったんですが、《集合した中隊》だったから勝てたと思ってます」
――予選ラウンドでは「青黒・真実を覆すものコンボ」や単色アグロといったデッキと当たってきて、決勝でいきなり行弘さんのオリジナルデッキと相まみえたわけですが……。
原根「あのデッキと戦ったことは一度もなかったんです。仲間内でもやったことはなくて、何してくるか全然わからないから、探り探り戦っていた感じです」
――そもそも原根さんはこのデッキ自体、昨日初めて使ったそうですね。
原根「1ゲームだけMagic Onlineでやってるんで、厳密には2回目ですけど」
――そうすると、今大会で使いながら学んでいったんですか?
原根「とはいえ、以前のカンパニーデッキの回し方はわかっていましたし、チーム『武蔵』の人たちからノウハウを共有してもらっていたので、不安は全然なかったです」
――というと、プレイングを指南してもらったり?
原根「いや、そういうのではなくて、自分で各メタデッキとの対戦をイメージして、『こういうときはどうするんだ?』といった、わからないことが出てきたら質問したりしました」
――なるほど、チームでの調整があったからこそですね。
原根「今回のリストを考えてくれた、チームのみんなが正しかったなと感じています。サイドボードもすべてのカードを使いましたし、すごくいいデッキリストをプレイできたことに感謝しています」
――決勝ラウンドでは八十岡 翔太さん、石村 信太朗さん、行弘 賢さんという、調整メンバーと3連続で当たりました。いつもどおりの気楽な雰囲気で戦えたのもよかったんでしょうか?
原根「そうですね、予選の最終3ラウンドはケルヴィン・チュウ、クオ・ツーチン、加藤 健介さんと当たったんですが、特に加藤さんは今回チーム『曲者』と調整されてたので、どちらかというとライバル寄りの立ち位置なんですよね。そういった強者との対戦続きだったので、ヒリヒリするというか、身を削るような戦いだったんですが、最後は仲間たちと当たって楽しくプレイできました」
――このデッキを使ってみたいと思う人への、プレイングのコツを教えてください。
原根「最大効率を追求することです。『バント・スピリット』というデッキはインスタント・タイミングでいろいろできるので、『《呪文捕らえ》でハメてやろう』とか、『相手がこうしてくるだろうからこれで迎え撃ってやろう』とか考えがちなんですけど、そういうのは相手に合わせたアクションなので、意図が透けるとずらされてしまって動きがバラバラになったりする。なのでそれよりも、一番強いアクションをとったほうがいいです」
――うまくやってやろうという気持ちではなく、まっすぐ瞬間最大風速を出した方がいいと。
原根「前日の夜ずっと、最大効率を出すことだけを一人回しで練習してました。で、実際の試合では最大効率を出すうえで支障が出るとき――たとえばメインでクリーチャーを並べすぎると返しの全体除去で全滅する可能性があるとか――そういうときだけ、別の行動を考える感じでしたね」
――ちなみに、ドラフトラウンド(1日目、2日目とも2勝1敗)は、どんな感じでしたか?
原根「2回ともツイてました。僕は基本的にドラフトは苦手なんですけど、前日に『武蔵』の面々と『このレア引きたいね』と言い合ってたトップ10カードのうち、6位か7位くらいに位置する《狼のまとい身》を、2回とも初手でピックできたんです。
カード単体で見ればほかにも強いレアはたくさんありますけど、この環境だとオーラはいろいろな手段でサーチできるので、サーチ手段によって一時的に枚数を増やせるのが強みだと思っています。2日目のデッキには《ヘリオッドの巡礼者》が6枚入っていて、実質そのレアが7枚あるようなものでした(笑)」
――原根さんは今回の優勝で一挙にプレイヤー・ポイントを獲得したので、今後「ライバルズ・リーグ」入りも見えてきたかと思うのですが?
原根「ライバルズを目指すの目指さないのという話は、まずプレイヤーズツアーのトップ8に入ってから考えることだと前々から公言していたんですが、実際入ったからにはこれを機に現実的に考えてみようかなと……」
――まずは4月にアメリカで行なわれる、プレイヤーズツアーファイナルへの参加権利を獲得しましたね。
原根「現時点で権利を有している、『武蔵』のヤソさんや行弘さんとまた一緒に練習できる、共通の目的に向かって頑張れるというのがすごくうれしいです」
――それから、優勝賞金35,000ドルでモンスターマシンを買って個人配信を始めるといった話を、放送のインタビューでおっしゃっていましたが、いよいよ配信するんですか?
原根「モンスターマシンはいらないですが(笑)、配信はもともと始めるつもりでした。プロツアーが終わってゆっくりできるようになったら、環境を整えて始めたいと思っていたので、ちょうどいい資金になりました(笑)」
――それではこのたびの優勝、おめでとうございました。配信も楽しみにしています!
パイオニアの環境分析記事にもある通り、このフォーマットが始まって以来熱心に続けてきた研究が、このたび見事優勝トロフィーの形で報われる結果となりました。
また、原根選手と言えばかつて「3年でレベルプロになる」という目標を立ててマジック界に参入し、見事結果を出したことでも知られています。ライバルズ・リーグ入りという目標ができたのであれば、再び「努力すれば夢はかなう」ということを我々に証明してくれるのではないでしょうか。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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