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EVENT COVERAGE
プレイヤーズツアー・名古屋2020
準々決勝ダイジェスト ~過去に例を見ない絢爛豪華なトップ8~
日本国内初の開催となったプレイヤーズツアーは、いよいよ終盤の佳境を迎えていた。
選ばれし総参加者193人は、1日目9回戦、2日目6回戦の合計15回戦を終え、決勝トーナメント進出を決めた「8人」にまで絞られていた。
『テーロス還魂記』ドラフトとパイオニア、両方のフォーマットで卓抜した成績を残した8人をデッキとともに紹介しよう。
プレイヤー、デッキ紹介
スイスラウンド1位の石村 信太朗は自作した「青信心」を主軸にした「青黒・真実を覆すものコンボ」を持ってきている。シェアをした覚前 輝也も好成績を収めており、デッキの強さを知らしめている。
続く2位の高橋 優太は会場で最も多かった「青黒コントロール」型の「青黒・真実を覆すものコンボ」だ。「青黒」といえば彼、とまで称される代名詞のデッキとともに、このデッキタイプでは会場で最も良い成績を残した。
そして3位の行弘 賢のデッキは、今回明らかに「台風の目」と呼べるデッキだろう。彼が友とともに製作した「白黒オーラ」は全くの新機軸で構成されており、デッキリストを見てもなおその動きを的確に読み取れるプレイヤーは少ない。
4位の八十岡 翔太も「青黒・真実を覆すものコンボ」だ。《スカラベの神》や《悪夢の詩神、アショク》など、コンボ以外の勝ち筋をメインに複数枚採用していることが特徴のリストを仕上げてきた。
5位の原根 健太は「バント・スピリット」。緑はもちろん《集合した中隊》だが、《真実を覆すもの》を乗り越える能力を持つ《ネベルガストの伝令》採用などリストは「最新」のものだ。
6位の浅原 晃と、7位のリー・シー・ティエン/Lee, Shi Tianも《暴君の嘲笑》が光る「青黒・真実を覆すものコンボ」だ。使用率最多の勢いをそのままに、8人中5人が「青黒・真実を覆すものコンボ」という形になったが、入賞したいずれもがトッププロであることから、デッキの真骨頂を引き出すのは生半可なことではないことを意味しているように見える。
そして最後となる8位、ドミトリー・ブタコフ/Dmitriy Butakov。こちらはトップ8唯一となる「黒単吸血鬼」で、吸血鬼軍団を《傲慢な血王、ソリン》でバックアップする体制で、相対する敵を撃ち落とし続けてきた。
競技シーンに馴染みがあるプレイヤーならば、1位から8位まで全員の名前を見たことがあるだろう。それぞれの功績を書き出せばそれだけで記事が1つ書けてしまうほど豪華な面々が、日本最初のプレイヤーズツアーのトップ8に揃った。
豪華絢爛な彼らの準々決勝のうち、ビデオマッチとなった石村とブタコフ以外のマッチの様子をダイジェストの形でお届けする。
行弘 賢 vs. 浅原 晃
浅原 晃 |
第1ゲームを最速で終えたのは、このマッチアップだ。行弘が《恩寵の重装歩兵》から始めて《上級建設官、スラム》と繋げたところで浅原が《致命的な一押し》で展開を留める。
そのまま《真実を覆すもの》をプレイし、ライブラリーを1枚にして《神秘を操る者、ジェイス》をプレイした浅原。打ち消しのようなカードを持たない行弘は、最速最短のコンボ完成に成すすべくゲームを畳まざるを得ない。
対して第2ゲームは行弘の「白黒オーラ」最高の動きとなった。《憎しみの幻霊》から《天上の鎧》2枚を貼りつけ、《ケイラメトラの恩恵》で除去に対するバックアップも万全にして、爆発的かつ速やかにライフレースを完走した。
行弘 賢 |
まだ第1ゲームを続ける他の卓もある中で始まった第3ゲーム。行弘は《憎しみの幻霊》に《結束のカルトーシュ》をつけ、クロックを刻んでいく。浅原は《致命的な一押し》をいつ差し向けるかを悩み続けていたが、1ターン遅らせたことが浅原にとっての致命傷となり、《ケイラメトラの恩恵》で《憎しみの幻霊》を守られると、《天上の鎧》と《グリフの加護》で一気に打点を高めた行弘がそのままマッチをもぎとった。
行弘 2-1 浅原
高橋 優太 vs. リー・シー・ティエン
準々決勝で唯一の「青黒・真実を覆すものコンボ」同系戦を迎えたマッチアップ。
第1ゲームはお互いに《思考囲い》を打ち合うスタートだが、先に《神秘を操る者、ジェイス》を着地させることができた高橋に天秤が傾き始めた。
しかしコンボ・デッキ同士の対決はそれまでの均衡をおもむろに無視するのも特徴の1つだ。リーが《真実を覆すもの》をプレイしてライブラリーの厚みをごくわずかにすると、解決策を求める必要があるのは高橋の方となった。リーの手札に《タッサの神託者》があれば猶予となるターンはあまり長くないが、高橋も《神秘を操る者、ジェイス》のサポートで《真実を覆すもの》を引き込む。
すでに「コンボパーツ」でもある《神秘を操る者、ジェイス》を着地させられている高橋が、そのまま一手早く勝利のフラッグを手にした。
高橋 優太 |
互いに水分や糖分の補給を行う小休憩を挟んでの、第2ゲーム。《思考囲い》で高橋の《正気泥棒》を捨てさせるリー。続けた《神秘を操る者、ジェイス》には《検閲》を当てられるが、さらに《真実を覆すもの》を示す。能力が解決され、リーのライブラリーが2枚になる。内訳はすでに公開されている。《思考囲い》と、《神秘を操る者、ジェイス》だ。
高橋はこの2枚を丹念に「シャッフル」し、リーに返す。もちろん、即座に負けとなる《神秘を操る者、ジェイス》が「トップではなく、ボトムになる」ことを祈ってだ。
その祈りは届いた。リーのドローは《思考囲い》。高橋は土地2枚の手札を公開するも、《神秘を操る者、ジェイス》を引かれなかったことに一瞬表情が和らいだ。しかしその変化は本当に一瞬であった。
リー・シー・ティエン |
リーが、すでに手札に持っていた《神秘を操る者、ジェイス》をプレイしたのだった。
決めて、決められての第3ゲーム。リーが《思考囲い》でゲームを始めると、高橋もトップから《思考囲い》を引いて打ち返す。今後の安定したドローに繋がったはずの《宝物の地図》が落とされたリーは、引いてきたカードを2ターン目に戦場へ送り出した。《宝物の地図》。
リーにとってはハンデスで見ていないカードが飛んできて、高橋にとってはハンデスで落としたはずのカードが唱えられ、互いに「想定外」のアクションを取り続けた1・2ターン目の攻防だったが、ここからは高橋が主導権を握り始めた。
リーが3枚目の土地を引けず、大きいアクションを取れないターンが続いてしまう。高橋は一度《海の神のお告げ》を挟んでドローを調整すると、《神秘を操る者、ジェイス》から《悪夢の詩神、アショク》とビッグアクションを続け、その差を活かしきってゲームを決めた。
高橋 2-1 リー
原根 健太 vs. 八十岡 翔太
第1ゲーム、後手ながら「バント・スピリット」の原根が序盤から攻勢を仕掛け続けていく。《霊廟の放浪者》から2体の《至高の幻影》さらに《天穹の鷲》と、最速に近い「部族・ビートダウン」戦略だ。
しかし八十岡の「青黒・真実を覆すものコンボ」は「青黒コントロール」型だ。《英雄の破滅》、《湖での水難》で次々とスピリットを撃ち落としていくと、《神秘を操る者、ジェイス》を挟んで手札も回復させつつ、《悪夢の詩神、アショク》へと繋げる。
原根も手を枯らすことなく「瞬速」持ちのスピリットを戦場に送り続けて隙なく攻撃を続けるがいなされ続け、ゲームを決めるほどの打点を作り出せない。その間に八十岡は《スカラベの神》を見つけ出し、起動コストも確保しつつ展開した。
これまでに犠牲となったスピリットたちがゾンビとなって原根に牙を剥き始めると、打開する術は消えて、原根はゲームを畳んだ。
八十岡 翔太 |
第2ゲームも再び原根の攻勢で始まる。《天穹の鷲》を毎ターン追加していき、《厚かましい借り手》などの攻撃力の高い飛行クリーチャーが八十岡のライフを蝕み続け、デッキに豊富に入っているはずの除去にほとんどたどり着けないまま、速やかにライフが0を割った。
第3ゲームは原根の展開を八十岡がことごとく止め続けた。《幽体の船乗り》に《致命的な一押し》、《思考囲い》で《無私の霊魂》が落とされ、《厚かましい借り手》には《神秘の論争》。
1点も戦闘でライフを失うことなくここまで進めてきた八十岡だが、残る手札はドロー呪文ばかりで打ち消しもなく、ビッグアクションにもつなげられない。ターンエンドと自らのメインで2枚の《集合した中隊》を連打する原根に対し、《時を越えた探索》を唱えて打開策を求めに行く八十岡だが、手にとった7枚は「《選択》と《時を越えた探索》2枚、土地4枚」という絶望的なものであった。
この絶望を覆すものは現れないまま、ライフは0となった。
原根 健太 |
原根 2-1 八十岡
行弘、高橋、原根Win!
彼らはそれぞれ「青黒・真実を覆すものコンボ」を倒し、準決勝進出を決めた。ビデオマッチでは「黒単吸血鬼」のブタコフを、石村独自の「青黒・真実を覆すものコンボ」が打ち倒しており、「青黒・真実を覆すものコンボ」2人、「バント・スピリット」、「白黒オーラ」のトップ4が決まった。
誰が勝つのか。そもそも、どのようなゲーム展開になるのか。準決勝に残った4人の当事者たちをして、「本当にどうなるか分からない」。
準決勝のマッチアップは行弘 vs. 高橋、原根 vs. 石村となることが決まっていた。多少の休憩を挟みつつも、彼ら4人は欠片も熱を失うことなく、次戦へと眼差しを向けていた。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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