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プロツアー『カルロフ邸殺人事件』

戦略記事

プロツアー『カルロフ邸殺人事件』 メタゲームブレイクダウン

Frank Karsten

2024年2月23日

 

 デッキリストが揃い、データの準備も整い、2024年最初のプロツアーが明日開幕する!世界最高のマジック:ザ・ギャザリングプレイヤー258名が、賞金50万米ドル、世界選手権への多数の招待枠、そして栄えあるトロフィーを賭けて競い合うプロツアー『カルロフ邸殺人事件』の時間だ。このイベントはMagicCon: Chicago内で開催される。

 ほとんどの参加者たちは地域チャンピオンシップで参加権利を獲得している一方、参加者の中にはマジックの殿堂顕彰者や、オンラインのトッププレイヤー、過去のプロツアーやプロツアー予選、そして世界選手権の上位入賞者もいるのだ。そして世界選手権王者の世界王者のジャン=エマニュエル・デプラ/Jean-Emmanuel Deprazやプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのサイモン・ニールセン/Simon Nielsenも参加するこのプロツアーは、まさにテーブルトップマジックの競技シーンの世界最高レベルの大会なのだ。

 フォーマットは『カルロフ邸殺人事件』ブースタードラフトが金曜日と土曜日の朝に行われ、その後各日5回戦ずつパイオニアが行われる。パイオニアは日曜日のトップ8のフォーマットでもある。一挙手一投足を追いかけるには、twitch.tv/magic (日本では公式YouTubeチャンネル)を確認しよう。twitch.tv/magicでは金曜日と土曜日のアメリカ中部時間11時から、日曜日は同午前10時から生中継を開始する。より詳細な情報は観戦ガイドからご覧いただける。

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パイオニア メタゲームブレイクダウン

 パイオニアは『ラヴニカへの回帰』以降の拡張セットと基本セットによるローテーションのないフォーマットであり、もっとも目を引く禁止リストのカードは「フェッチランド」だ。パイオニアは次回のRCQサイクルで構築フォーマットに指定され、競技プレイヤーにとっては重要性が高まっている。10,000枚を超える選択可能なカードに、新たに『カルロフ邸殺人事件』のカードが加わり、アグロ、ミッドレンジ、コントロール、そしてコンボといった多種多様な戦略が特徴的だ。本プロツアーでのメタゲームブレイクダウンは以下の通りだ。

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アーキタイプ 使用者数 使用者割合
1. イゼット・フェニックス 46 17.80%
2. アゾリウス・コントロール 36 14.00%
3. ラクドス・ミッドレンジ 36 14.00%
4. ロータス・コンボ 23 8.90%
5. アマリア・コンボ 17 6.60%
6. ボロス・ヒロイック 12 4.70%
7. イゼット魂込め 11 4.30%
8. ボロス召集 11 4.30%
9. ラクドス吸血鬼 11 4.30%
10. ジェスカイ独創力 8 3.10%
11. 白日の下に 7 2.70%
12. ラクドス・サクリファイス 5 1.90%
13. アブザン脂牙 4 1.60%
14. 5色オムナス 4 1.60%
15. エニグマ・ファイヤーズ 4 1.60%
16. イゼット独創力 3 1.20%
17. 無駄省き 2 0.80%
18. オルゾフ人間 2 0.80%
19. グリクシス・フェニックス 2 0.80%
20. クイントリス・コンボ 2 0.80%
21. ヴァニファール・コンボ 1 0.40%
22. 黒単ミッドレンジ 1 0.40%
23. ティムール機体 1 0.40%
24. 赤単アグロ 1 0.40%
25. アゾリウス・スピリット 1 0.40%
26. アゾリウス即席 1 0.40%
27. 白単人間 1 0.40%
28. ジェスカイ・コントロール 1 0.40%
29. ローナ/ルーカ・コンボ 1 0.40%
30. 黒単吸血鬼 1 0.40%
31. ディミーア・コントロール 1 0.40%
32. ボロス・バーン 1 0.40%

 今大会におけるパイオニア構築の全デッキリストは、プロツアー『カルロフ邸殺人事件』イベントページにて、2月23日(金)の第4回戦試合開始時(アメリカ中部時間午後2時ごろ)に公開予定となっている。

 本プロツアーのメタゲームは、私がフォーマット入門で分析した1月のオンライン上のメタゲームと多くの類似点を有するが、同時に多くの相違点も目立つ。まず何よりも、「ラクドス・ミッドレンジ」は2023年を通して最も目立ったパイオニアのデッキであったが、その座を奪われた。プロツアーのデッキで最も多く使用されている土地でないカードは依然として《鏡割りの寓話》、《思考囲い》、そして《致命的な一押し》ではあるが、新たなナンバーワンデッキが登場した。「イゼット・フェニックス」だ!

 『エルドレインの森』で《錠前破りのいたずら屋》と《手練》を得て、「イゼット・フェニックス」は前サイクルの地域チャンピオンシップを通して上昇の一途を辿り、今やプロツアー参加者の17.8%が《考慮》、《宝船の巡航》、そして《稲妻の斧》を連鎖させ《弧光のフェニックス》を墓地から複数枚復活させることを狙っている。いくらかイノベーションも見られる。7名の「イゼット・フェニックス」使用者が《夢を引き裂く者、アショク》をメインデッキに採用し、自らの墓地を肥やし対戦相手の墓地を追放し、《出現の根本原理》や《召喚の調べ》といったサーチ効果を妨害している。

新たな進歩とサプライズ

 ほとんどの「イゼット・フェニックス」デッキリストは『カルロフ邸殺人事件』の新カードを使用していないが、最新セットは他の様々なアーキタイプに強力な選択肢をもたらし、結果としてメタゲームを激震させた。最も多く採用されている新カードは《喝破》で、顕著な《かき消し》のアップグレード版であり《弧光のフェニックス》や《記憶の氾濫》に対して明確なユーティリティを備えている。ここでは《喝破》の重要性とその他の進歩について見て行こう。

喝破》の採用:《喝破》は80枚と60枚のバージョンのいずれでも「アゾリウス・コントロール」の立ち位置を主要なデッキとして確固たるものにした。《喝破》はまた「ジェスカイ独創力」や「白日の下に」の出現に大きな役割を果たした。ともにコンボで試合を決めるコントロールデッキである。斬新な「ジェスカイ独創力」の構築は、昨年リード・デューク/Reid Dukeがパイオニアでのプロツアー優勝を果たした「イゼット独創力」を彷彿とさせ、《喝破》や《放浪皇》といいた白いカードを加えたものになっている。2/2の侍トークンが《偉大なる統一者、アトラクサ》に変化する独創的な光景を見られるかもしれない。「白日の下に」デッキは「5色オムナス」に似ているが、少なくとも《ニヴ=ミゼット再誕》の1枚を《白日の下に》でチューターのターゲットとして使用し、通常は《喝破》とともに公開されることになる。

ロータス・コンボの刷新:「ロータス・コンボ」は伝統的に「イゼット・フェニックス」に対しては相性が良く、本プロツアーにおいては23名、8.9%のプレイヤーがこのデッキを登録した。23名のうち、ほぼ満場一致である22名が《大ドルイドの魔除け》を組み込み、16人が4枚フル投入している。この緑トリプルシンボルの呪文は無条件で《睡蓮の原野》や《演劇の舞台》をライブラリーから直接戦場に出すことができる効果を持つ史上初の3マナの呪文だ。デッキの一貫性を高めるだけでなく、《大ドルイドの魔除け》はサイドボード後に《減衰球》への回答となり《龍王ドロモカ》、《願いのフェイ》や、さらには《王国まといの巨人》といった銀弾クリーチャーをフェッチすることもできる。しかし、もちろん残りの参加者も用意周到だ。「ロータス・コンボ」使用者たちは《クレンコの轟音砕き》(呪禁を回避できる)や《夢を引き裂く者、アショク》(《大ドルイドの魔除け》を止める)を相手にしなければいけない。これらの全ての新たな変化は「ロータス・コンボ」戦の戦い方を一新するだろう。

ボロス・ヒロイックの驚愕:メタゲームの4.7%を占める「ボロス・ヒロイック」は最もプレイされているアグロデッキであり、ちょっとしたサプライズだ。前サイクルの地域チャンピオンシップでは『エルドレインの森』が《巨怪の怒り》をもたらし堅実な成績を収めていたが、「ボロス召集」の陰に隠れていた。しかし「ボロス・ヒロイック」は一般的により高速であり「アマリア・コンボ」や「ロータス・コンボ」といったコンボデッキたちと競り合うことができる。さらに、12人中10人の「ボロス・ヒロイック」使用者が、ゲーム後半の持続力を供給するため、新たな2ターン目の変装できる能力持ちクリーチャーとして(予想通り)《逃走する暗号破り》を採用している。豊富なインスタントやソーサリーに支えられ、《逃走する暗号破り》は「ラクドス・ミッドレンジ」相手の厳しいマッチアップを支えている。

吸血鬼の活気:《魂の洞窟》は《喝破》登場以降の本フォーマットにより価値を高めた。参加者のうち4.7%、12人のプレイヤーが11名のラクドスと1名の黒単デッキに分かれ「吸血鬼」を手に取ることを選択した。《傲慢な血王、ソリン》はパイオニアにおいて長年の間パイオニアで使用可能ではあったが、サポートする吸血鬼は常に多少物足りないものだった。だが、最近のセットがその状況を変化させた。『イクサラン:失われし洞窟』では《分派の説教者》が加わり、『カルロフ邸殺人事件』では《血管切り裂き魔》が新登場した。《血管切り裂き魔》は除去されにくく、ダメージレースを制し、ソリンによって3ターン目に戦場に登場すると速いダメージクロックをもたらしてくれる。新たな吸血鬼デッキはパンチが効いたものになっている。

『カルロフ邸殺人事件』採用カードランキング

 既存のパイオニアのカードプールが設定した高いハードルにもかかわらず、『カルロフ邸殺人事件』はこのフォーマットに大きな影響を与えた。《喝破》や《大ドルイドの魔除け》といった目玉カードについては言及したが、以下の表はプロツアーに登録されたデッキの中から、パイオニアに新登場した全カードをまとめたものである。

カード名 使用枚数 メインデッキ サイドボード
喝破 181 181 0
行き届いた書庫 81 81 0
大ドルイドの魔除け 81 81 0
推理 58 58 0
稲妻のらせん 55 54 1
ひよっこ捜査員 48 48 0
血管切り裂き魔 48 48 0
クレンコの轟音砕き 42 11 31
逃走する暗号破り 27 27 0
迷路庭園 16 16 0
謎めいた外套 16 2 14
死人に口無し 12 12 0
煌く機械ドレイク 12 12 0
泥棒隼の事件 11 11 0
門道急行の事件 10 9 1
優雅な談話室 9 9 0
許可なき脱出 6 0 6
真紅の鼓動の事件 5 0 5
思考への侵入 4 4 0
花粉の分析 4 4 0
轟音の滝 4 4 0
手つかずの饗宴の事件 4 4 0
プロフトの映像記憶 3 2 1
魂探り 3 3 0
地底街の下水道 3 3 0
幽霊の裁き、ケイヤ 2 1 1
地底の遺体安置所 2 2 0
戦導者の号令 2 0 2
草萌ゆる玄関 2 2 0
犯行現場の再現 2 2 0
間の悪い爆発 2 2 0
毒を選べ 1 0 1
通電 1 0 1
大音声の劇場 1 1 0
商業地区 1 1 0
緊急の検死 1 0 1

 《喝破》に加え、ほとんどの「アゾリウス・コントロール」使用者たちは《行き届いた書庫》および/または《推理》を採用していた。《行き届いた書庫》はマナベースの安定性を向上させ、《記憶の氾濫》を墓地に諜報しその価値を高め、《耐え抜くもの、母聖樹》が《一時的封鎖》を破壊したときにはコストなしに諜報が可能だ。《推理》は《熟慮》を改良したものであり、「アゾリウス・コントロール」使用者の半数弱、少数の独創力デッキ使用者が《不屈の独創力》の対象として手掛かりを利用している。

 『カルロフ邸殺人事件』は「白日の下に」と「5色オムナス」の金の鉱脈だった。《死人に口無し》は《白日の下に》の大切な対象であり、対戦相手のすべての《弧光のフェニックス》や《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》を全て追放しながら盤面を一掃することで、特定のマッチアップにおいて大きなアドバンテージをもたらしてくれる。《稲妻のらせん》はさらに大きな収穫だ。《帳簿裂き》、《密輸人の回転翼機》、そして《野茂み歩き》に対する序盤の除去呪文としてこのデッキの強力な点である終盤戦へと橋渡しをしてくれる。この象徴的な火力呪文は「ジェスカイ独創力」、「ジェスカイ・コントロール」、そして「ボロスバーン」にも採用されている。

 全「ボロス召集」使用者(と「アゾリウス即席」使用者1名)は《ひよっこ捜査員》を4枚採用していた。このカードは 《上機嫌の解体》 と《敬慕されるロクソドン》を軸にするデッキにとって最高の1マナ圏であり、能力的には《スレイベンの検査官》を実質的に8枚運用できることで冗長性と一貫性が向上するのだ。「ボロス召集」使用者は通常《羽ばたき飛行機械》を削って空き枠を作る。加えて、ほとんどの「ボロス召集」使用者たちは《門道急行の事件》を1枚挿ししており、横並べ戦略を強化している。

 11名の「イゼット魂込め」使用者のうち、4名のみが《煌く機械ドレイク》および/または《泥棒隼の事件》をデッキリストに組み込み、《上機嫌の解体》や《無謀な奇襲隊》を削ったが、これは有力な選択肢だ。両カードはアーティファクト・トークンを連れてくるため、《アーティファクトの魂込め》を身にまとうか《爆片破》で生け贄に捧げることができる。そして《ダークスティールの城塞》が《泥棒隼の事件》によって活性化すると、《アーティファクトの魂込め》と異なり、対戦相手の《一時的封鎖》や 《失せろ》はその回答策とはなりえないのだ。

 全体として『カルロフ邸殺人事件』は新旧両方のアーキタイプに多くの斬新なカードをもたらした。どのカードが、どの戦略が、そして誰がマジックの歴史にその名を刻むのか知りたいなら、生中継をお見逃しなく!中継は2月23日金曜日からtwitch.tv/magic (日本では公式YouTubeチャンネル)にて開始だ!

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