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EVENT COVERAGE
プロツアー『マジック2015』
第7回戦:Melissa DeTora(アメリカ) vs. Jon Finkel(アメリカ)
Adam Styborski / Tr. Yusuke Yoshikawa
2014年8月1日
プロツアー殿堂顕彰者は何のためにプレイするのか? この問いには様々な形の答えがある。このゲームにおける歴史上の偉人のひとりであるジョン・フィンケル/Jon Finkelにとって、それは難題に挑戦し続けることだ。史上初めて、殿堂顕彰への選出後にプロツアー優勝を果たしたこの人物は、その後の年月でも一貫して、彼の才能がいかなるものであるかを示してきた。幾年も、過去も現在も、彼はプロツアーの支配者であり続けているのだ。
もちろん、彼ですらも非常に厳しい困難に直面している。彼がプロ・プレイヤーズ・クラブのプラチナ・レベルを維持するために残された道は、プロツアー『マジック2015』で優勝することのみなのだ。彼が手にしてきたプロツアーのタイトルから考えれば、十分にあり得る状況だが。
メリッサ・デトラ/Melissa DeToraは、プロツアー『ギルド門侵犯』トップ8という躍進までは比較的目立たない存在だった。彼女にとって、今週末でトップ100に入れば来シーズンでシルバー・レベルを獲得することができるが、トップ25が目標だという。「トップ25に入れば、来年のプロツアー2回に招待されるから」と、来シーズンにプロ・ポイントの獲得を最大化することを賢明に見据えて、彼女は言う。
それぞれのデッキ
フィンケルは彼のチームメイトの大半と同じ、白黒ミッドレンジをプレイしていた。一貫性がありパワフルなこのデッキは、クリーチャーを除去し、ライフを得て、最終的にほとんどのゲームを掌握する。その弱点のひとつは、ともするとそれが遅くなることか。タップ状態で戦場に出たり使用にライフを要求する土地により、《群れネズミ》を唱えて効果的に増殖させるのが1~2ターン先になってしまう。白黒ミッドレンジにとっては、対戦相手を制圧するまでの冷淡で優雅な散歩のようなものかもしれない。
一方デトラは、最速と表現されうるデッキをプレイしている。そのチームメイトの大半と同様に、彼女はこの週末に頭角を現した「熟練扇動者」赤デッキを選んだのだ。1・2マナのクリーチャーを詰め込み、火力とその名の由来となった《ゴブリンの熟練扇動者》を加え、動きの遅い対戦相手の出足を挫くようデザインされたデッキだ。
そのデッキはどうやってできたのだろうか?
「ブラッド・ネルソン/Brad Nelsonがデッキをもたらしてくれた大きな存在でした。誰もそれをプレイしようとはしませんでした。木曜日の夜になると、誰もがそれをプレイしたくなっていました」 デトラはこう説明した。「ブラッドはこのデッキに労力を費やしてきたティム・ロス/Tom Rossの親友です。彼がそれを使って勝ち続けたので、私たちはそれを試すことに決めました。青信心にはあまり期待できませんが、多くのミッドレンジ的な遅いものに対して、これは良いデッキだと感じたのです」
ここまでデトラが対戦してきた相手について聞いた。「エスパー、《ボロスの魔除け》の白を入れてあるタイプの同デッキ、黒単信心タッチ緑、そして先ほどは白黒信心」とのこと。「他のみんなもマッチアップ次第ですね。ブラッドは青信心に2回当たったというから、今日は彼の日ではないのでしょう」 そしてラファエル・レヴィ/Raphael Levy、世界ランキング24位、殿堂顕彰者にして2013ワールド・マジック・カップ優勝チームのキャプテンはというと、「厳しい相手である白青コントロールと当たってしまいました。土地からダメージを受けてくれないのですから。ただ、私はチームの大半がこの選択に満足していると思っています」
しかしながら、その速度がジョン・フィンケルに一杯食わせられるものなのかは、まだわからない。
ゲーム展開
デトラは大急ぎでスタートを切り、《軍勢の忠節者》《火拳の打撃者》で攻撃、次いでもう1枚の《軍勢の忠節者》と《変わり谷》が続いた。フィンケルは《胆汁病》で押しとどめるが、《群れネズミ》2体をプレイして守りを固めるころにはライフがわずか8に落ち込んでいた。
デトラが求める追加の戦力は《灰の盲信者》で、《ヴィズコーパの血男爵》がフィンケルのライフを1で留めるかに思われた。しかし《瓦礫帯のマーカ》は《灰の盲信者》の先制攻撃を重いものにするにはぴったりで、デトラは第1ゲームを締めくくった。
フィンケルの開幕《思考囲い》がデトラの手札から1マナの《火飲みのサテュロス》を引き抜いたが、デトラは早期に圧力をかけるために必要な《ラクドスの哄笑者》をライブラリーからもぎ取った。しかし、デトラがその後にプレイしたクリーチャーに対し、フィンケルは解答を持っていた。《変わり谷》には《破滅の刃》、《ゴブリンの熟練扇動者》には《ファリカの療法》。
最終的には《幽霊議員オブゼダート》が現れ、デトラからライフを吸い始めた。《群れネズミ》も登場し、フィンケルはネズミのトークンを生産し始め、的確にデトラを抑えこんでいった。1回の攻撃の後、デトラは第3ゲームに移ることを決めた。
《鋳造所通りの住人》と《火飲みのサテュロス》が序盤の攻め手となり、フィンケルは《ゴブリンの熟練扇動者》を《ファリカの療法》で払いのけた。《群れネズミ》のような序盤のクリーチャーがなく、フィンケルは生き延びるために手札の除去を使うことを強いられた。
4マナに到達し、フィンケルは砦を守るべく《冒涜の悪魔》を唱えたが、デトラは《ゴブリンの熟練扇動者》と《火飲みのサテュロス》の両方によって、《冒涜の悪魔》をタップしつつフィンケルに7点のダメージを与えることができた。ライフ5は落ち着ける水準ではなく、毎ターンゴブリンを安全に生け贄に捧げられる能力は、《冒涜の悪魔》が頼りにならないことを意味していた。
《幽霊議員オブゼダート》はあったものの、《灰の盲信者》がまたしてもブロックの計算を変えてしまった。フィンケルはライフを使い果たし、最後の1枚のカードを引くと手を差し出した。
「このあとも幸運を」 デトラが言った。
「ありがとう、メリッサ」
デトラ 2-1 フィンケル
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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