By Masashi Koyama

石村 信太朗 vs. ギョーム・ワフォ＝タパ

　石村 信太朗はかつて「異彩を放っている」と評されたことがある、まさに独特の空気感を持っているプレイヤーだ。

　カードを自分自身ではなく対戦相手に向けて配置するプレイスタイルもそうだし、柔らかな物腰ながらその心の奥に秘める独特の理論など、「彼ならでは」という点が多く、「ライザ」というニックネームで親しまれてきた。

　一方、この第15回戦で石村と対戦するギョーム・ワフォ＝タパ/Guillaume Wafo-Tapaも独特のスタイルを持っている。プロツアー・横浜2007で優勝を遂げた彼は「ドロージャンキー」としてプロシーンの名物プレイヤーだった。

　構築にとどまらずリミテッドでもドロー呪文を喜々として唱えるワフォ＝タパ。彼が口角を上げながらニコニコとカードを引く姿は多くのプレイヤーの記憶に残り、愛されてきた。

　お互いに独自の雰囲気を持ちながらも、国籍も年齢も違うふたりがトップ８進出をかけてぶつかりあう。

ゲーム１

　ワフォ＝タパが《さまよう噴気孔》を２ターン連続でプレイし、《ヒエログリフの輝き》をサイクリングするスタート。

　一方の石村は３ターン目《ウルヴェンワルド横断》から《山》をサーチするのが初動で、その間もワフォ＝タパは淡々とターンを返していくのみ。石村が２ターン連続で唱えた《奇妙な森》は許可し、ただ手札を蓄える。

　ワフォ＝タパは石村の《約束の刻》も通し、これで《見捨てられた神々の神殿》が２枚、《ウギンの聖域》が１枚とマナが十分だ。

　一方、次のターンから石村による脅威の連打が見えているワフォ＝タパは、このターン終了時に《奔流の機械巨人》で《ヒエログリフの輝き》を唱え、２枚のカードを引きつつクロックを用意。

　だが、石村からは当然のように《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。

　これが《奔流の機械巨人》と《さまよう噴気孔》を対象に取ったところで、ワフォ＝タパは《天才の片鱗》から《検閲》をサイクリング。ドローを重ねるが、《ウギンの聖域》の能力で石村がさらなる《絶え間ない飢餓、ウラモグ》をサーチすると、ズラリと並んだ土地とドッサリ抱えた手札を片付けた。

石村 1-0 ワフォ＝タパ

カードを引いている時のワフォ＝タパはいつも満足げだ

ゲーム２

　２ターン目、石村が《検閲》をケアして土地を置いてからの《ウルヴェンワルド横断》で《山》をサーチするスタート。

　一方、淡々とドローゴーを続けるワフォ＝タパは、石村の《不屈の追跡者》こそ《蓄霊稲妻》で処理するが、しばらくは石村の繰り出す脅威から自らを守る時間が続く。

　２枚目の《不屈の追跡者》は《本質の散乱》し、なんとか４枚目の土地を引き込むと、石村の繰り出した《難題の予見者》も２枚目の《本質の散乱》で処理し、《約束の刻》は《不許可》。

　だが、《反逆の先導者、チャンドラ》は撃ち漏らし、これが着地してしまう。

　ワフォ＝タパは《天才の片鱗》で何とか土地を引き込み、石村の続く脅威《世界を壊すもの》(対象は《霊気拠点》)は《奔流の機械巨人》からの《本質の散乱》の「フラッシュバック」で弾くのだが、石村の手札からは２枚目の《世界を壊すもの》。

　これが《奔流の機械巨人》を追放しながら着地すると、ドロー呪文しか手札にないワフォ＝タパは、ターン終了時に《明日からの引き寄せ》をＸ＝４で盤面への回答を探し求める。

「ライザ」の愛称で親しまれる石村

　ドロー呪文を重ねふたたび土地を伸ばし続けるワフォ＝タパに対し、石村は《約束の刻》。これに対しワフォ＝タパは《奔流の機械巨人》から《不許可》で打ち消しつつ、《世界を壊すもの》への一応の回答とする。

　《奔流の機械巨人》と《世界を壊すもの》が睨み合う中、石村は《ウルヴェンワルドのハイドラ》を送り出すが、これ以上フィニッシャーを追加されてはたまらないワフォ＝タパは《天才の片鱗》からの《不許可》で何とか応じることに成功する。

　そして、長々と守勢に回っていたワフォ＝タパはついに《世界を壊すもの》を除去できる《蓄霊稲妻》を引き込むと、《反逆の先導者、チャンドラ》を《奔流の機械巨人》で葬り去り、２枚目の《天才の片鱗》で手札を充実させる。

　石村は《世界を壊すもの》を回収し、そのままプレイ。ワフォ＝タパは《検閲》をサイクリングするが、打ち消しは見つからず、逆に《世界を壊すもの》がワフォ＝タパにダメージを通し始める。《反逆の先導者、チャンドラ》によりダメージを受けていたワフォ＝タパのライフは９。

　そしてついに、石村の手札から降臨する《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。

　ここに及んで、ワフォ＝タパが最後に唱えた呪文は３枚目の《天才の片鱗》だった。

石村 2-0 ワフォ＝タパ

石村 信太朗がトップ８への望みをつなぐ！